オッス、オラナッパワクワクすっぞ。
暫定的に偉くなったら、コートくらい着なきゃねって事でいつも面倒だったから着てなかったコート着たよ。
ダセェ、なんだこの背中のセンス。外国人のお土産じゃねぇんだぞ。
どうしよう、自己紹介とかしたら君の正義って何みたいな事を聞かれたりするのかな?
俺の正義って何だよ、力こそ正義だろ。
「ナッパ大佐、本日はどうしましょうか」
「よし、パトロールだ!」
東の海はまさに平和であった。
プリンプリン准将の件はもうみんな忘れているくらいだ。
アレは嫌な事件でしたね、でもよくあることだ。
海兵が一人死んだ、それだけである。
「見えた、バラティエだ!」
「ちょうどいい、野郎ども!飯の時間だ」
たまたま経費を持ってた日に、たまたま海賊に出会わなくて、たまたまパトロールしてたら海上レストランが見つかった、しかもたまたま私服がある。
仕方ないね、これは運命だろう。
あぁ、会社の経費で食べる昼食はたまんねぇわぁ~
「おい、アレを見ろよ」
「何処かで見た顔だと思ったら、アレ制服着てないけど海兵だぜ」
「ケッ、リア充がデートしてんじゃねぇよ」
部下がなんかコソコソしているが、そんなことよりスープである。
美味すぎる、なんだこれは犯罪的だ!
「おい、コックを呼べ」
「ただいまぁ、お客様どういたしましたか?」
「金はいくらでも出す、このスープをあるだけ持ってきてくれ」
お客様は神様、モットーはサービス!とか叫ぶ店員にスープのおかわりを言う。
今日のスープは中々じゃないかぁ。
「ワイン、詳しいのだってよ」
「味も分からねぇのに見栄張るからだぜ、ケッ」
「本部の人間だからって、程度が知れるぜ」
「おい、お前らうるさいぞ。料理ってのはな、何ていうか救われなきゃいけないんだ。静かに――」
俺がおかわりを頼む間、孤独のグルメの名言を披露してやろうとしたら客の一人が騒ぎ出した。
なんだあいつ、うるせぇなぁ。
「おいおい、この店は虫入りのスープを客に出すのか!?」
「……下品な男だ、こちらの食事が不味くなる。黙らせてこい」
「えっ、大佐。でも、あれ本部の……」
「俺は黙らせてこいと言ったんだ、聞こえなかったのか?」
あんだけ文句を言ってたのだから、大義名分が出来たなら行けばいい。
言うだけで行動に移せないほど無力な部下はいらないのである。
男なら拳で語れ、これサイヤ人式対話だからな。
俺の命令で、部下の奴らが立ち上がる。
最初からそうすればいいのである。
流石に急に立ち上がったのに気付いたのか、騒いでた男がこちらを見た。
一応、私服だから問題を起こしても海兵だってバレなければ問題ない。
「なんだテメェら」
「おい、ここじゃ迷惑が掛かる外に行こうぜ色男」
「それとも女の影に隠れるか?」
「おい、それは冗談か何かか?俺が海軍本部大尉、鉄拳のフルボディと知っての発言か?」
「知ってるさ、アンタより怖い存在もな」
俺達は海兵である。
ちゃんと民間人に配慮して、店の外でやるくらいの気概はある。
さて、スープの続きを飲むとしようじゃないか。
「お客様、スープのおかわりです。因みにお金の方は」
「金が無けりゃ客じゃねぇ、だろ。前金だ、好きなだけ持ってけ」
「ははぁ、ありがたく頂戴致しやす。へへっ」
ゴリマッチョな店員から寸胴を貰って部下たちを見守る。
見せてもらおうか、本部の大尉の実力って奴を……
「やめてフルボディさん」
「すぐに終わらせるよ、おい行くぞ」
そう言って外に出ていこうとする騒いでた男、フルボディとかどっかで聞いたことあるような気がする。
それに従って後を追う俺の部下、馬鹿がちゃんと見ろ。
「オラァ!」
「キャァー!?」
いきなり始まる乱闘、ひゅーなんて素早い不意打ち、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
やったことは簡単、フルボディとかいう奴が外に出るふりして殴りかかっただけである。
油断するから、まったくもう……。
それにしてもデートが台無しになるなんて、可哀想な奴だ。
フルボディの不幸で飯が美味くなるぜ。
「糞が、チンピラが休暇に舐めやがって!」
「よしいいぞ、もっと行け!諦めんな、数の有利は此方だ」
いい感じに乱闘が進んだが、しかしすぐに打ち切られた。
横から、細身の男が現れてフルボディに蹴りを叩き込んだのだ。
「オイ、ここは飯を喰う所だ。喰わねぇなら、とっとと出てけクソ野郎」
「こんなもんか」
おそらく海上レストランのコックであろう男、それにやられるフルボディ、そしてそれに手こずるウチの部下。
やだ、ウチの部下弱すぎ。
お店とか出禁になるのは嫌だから、そろそろ……あれ、あのコックの眉毛クルクルしてね?
ちょっと待て、三次元だから気づかなかったがアレってサンジじゃね?
ワンピースうろ覚えだったけど、覚えてるぞ。
サンジいるじゃん、このレストラン!
ってことはルフィがバイトしてんだろ、主人公が滞在してるときに海賊が来るだろ、七武海で鷹の目のなんとか来るだろ。
結構覚えてるな、これは出世の大チャンスだな。
「オイ、そこのコック」
「あん、なんだお前?」
「あのスープ、お前が作ったんだろ。美味かったぜ、また来る」
そう言って、ナッパさんはクールに去るぜ。
ちょっとウチの奴ら集めて通い詰めなきゃな。
オッス、オラナッパワクワクスっぞ。
支部の経費を使って連日バラティエに来ている。
来いよ海賊、名前は忘れたけど腹すかせたアイツ来いよ。
そして、やつは来た。
「大佐、首領クリークです。ドクロの両脇に敵を威圧する砂時計、あの海賊旗は間違いない」
「テメェら、出世の大チャンスだ。気張れよ」
みんながザワザワしていると、ガチャと大きいドアが開く。
肩で担がれて入ってくる男、恐らくあれがクリークって奴だ。
手配書が、あったあった……よしあってるな。
「水と飯をくれ、金ならいくらでもある」
「総員、確保!」
「な、なんだお前達!?」
俺の号令により、俺の部下が奴を取り囲む。
フハハハ、貴様なんぞ恐るに足らんわ。
「どういうことだ」
「運がいい、今日はお忍びで来てたんだ」
「テメェ、何者だ」
「俺か、俺はナッパ。海軍第77支部大佐だ」
海軍だ、やった助かったなんて声が聴こえる。
海賊が来るまでスタンバってました、とはいえない。
「さぁ、観念しろクリーク」
「畜生、飯さえ……飯さえ食えば……」
「何、セルみたいなこと言ってんだお前」
俺はベジータほど慈悲深くない、慢心しないのである。
「海兵さん、そこを退いてくれ」
俺が部下たちに捕縛の指示を出そうとした瞬間、背後から声がかかった。
そこにはチャーハンを手に持ったサンジがいる。
コイツ、原作が改変されても飯を与えるのか。
飯を食わせる運命って奴なのか。
「コイツらはこの後捕まるんだろう。だったら最期くらい飯を食わせてやりたい」
「何考えてるサンジ、そんなことしたらコイツらはウチの店を襲うぞ!」
「食いてぇ奴には喰わせてやる、コックってのはそれでいいじゃねぇか」
その言葉に、まわりのコックが黙ってしまった。
うんうん、信念に殉じる人間ってやつだな。
俺もハガレンで見た、そういうの良いよねっていうキンブリームーブ。
しょうがねぇなぁ、食わせてやるか。
「おい、ソイツが飯を食ったら捕まえろ」
「了解です、サー!」
「ありがてぇ……うぅ……」
そのまま、黙って飯を食べるのを見守る俺。
でも、多分反抗するんだろうな。
俺だってそうする、誰だってそうする。
「ッ!?」
「サンジさん!?は、話が違う!首領・クリーク、この店には手を出さないって言うから案内したんだ」
「あぁ、美味かったぜ。生き返った気分だ……鬱陶しい!」
「「「ぎゃぁぁぁぁ!?」」」
ほらやっぱりと見守ってたら流血沙汰になってしまった。
サンジは殴られるし、部下は隠してあった鎧の銃で撃たれちまった。
一瞬で全滅とか、これだから弱い奴は……まぁしょうがないね。
「フハハハ、これで俺はもう一度航海出来る!酒だ、飯だ!百名分、俺の部下の食事を用意しろ!東の海の覇者、首領・クリークの復活だ」
「な、なんてことだ……勝てるわけがない……」
「海兵が、全滅だなんて……」
ビビる客達、ここは恐れ慄く空気。
「いや、まぁ空気とか読まないんだけどな」
「えっ……な、んで……」
俺の腕が鎧を貫通して、腹に突き刺さる。
気を纏えば金属とか普通に壊せる。
「桁違いのレベルに遭遇しちまう、現実だし仕方ないな」
話の展開で、お前が主人公なら自分が頑張れば倒せる程度の敵が出るんだろう。
お前の敗因は、はじまりの村に魔王軍の幹部が来ないみたいなくらい油断したことだ。
「首領・クリークぅぅぅ!」
「俺の出世の為に死ね」
内蔵を引き出して確実に命を奪う。
うんうん、部下達は犠牲になったのだ……そう、出世の為の犠牲にな。
「うわぁぁぁぁ!」
「鬱陶しい!」
序に、隣に居た男も殴って気絶させた。
コイツも賞金首だったら、金になるからな。