オッス、オラナッパワクワクすっぞ!
空を飛べるってすごーい、俺は自由なフレンズだね。
「ヒャッハー!」
適当な小舟に乗って、舞空術でジェットスキーの真似事をする。
えっ、海賊?シューティングゲームみたいに気でぶっ殺してるよ。
「少佐、ナッパです!首刈りのナッパです!」
「なんでこんな東の海に!?」
前方に数隻の船があるけど、知らね。
俺は戦いたくないんだ。
「撃て、撃つんだ!奴を近付かせるな!」
「あっ、この野郎!」
どうしてアンタ達は戦いたいんだ!俺は戦いたくないのに!
小舟を海軍船の真横に付けて普通に殴る。
それだけで、船が吹き飛びぶっ壊れる。
仕方ないね、普通の木材だもんよ。
「まそっぷ!」
「なんだあのふざけた掛け声」
「あんなんで船に穴がっ!」
「海だ!海に飛び込め!」
やれやれだぜ、俺と戦えるやつが居るわけがないだろ。
ここは東の海だぜ、そもそも世界観が違う。
ドラゴンボールはインフレすごいんだ、ワンピースの奴らなんか雑魚だろ。
「あっ?」
視界がズレて俺の身体に亀裂が走った。
瞬時にくっついたが、何だ今の?
いや、誰かいやがるな。
「貴様、見ているな!」
ビシッと振り向きながら指差せば、その方向には誰もいない。
えっ、何?なんで俺の身体切れたの?
「うわぁ、また!?」
い、一体何が起きてやがる!
今度は小舟をぶっ壊しやがった。
だが、海を裂きながら攻撃が来たもんだから攻撃の方向は分かった。
誰だか知らないが、落とし前つけてやる。
オッスオラナッパワクワク……しねぇよ!
誰だよ、落とし前つけるとか言ってたやつ、俺だよ!
「よく来たな、首刈り。暇潰しに斬撃を飛ばしてみたが、よもや生きているとは……評価を見直さねばな」
俺の目の前に居たのは、孤島でどこで買った椅子なのと言いたくなるような物に腰掛けた七武海、鷹の目がいた。
ミホークである、世界一位である。
ちょ、おま、なんで東の海にいるねん!
「これも何かの縁だ。さぁ、始めよう」
やめて下さい、死んでしまいます。
とか思ってる間に、身体がバラバラになっていた。
「アイェェェェ、ジャネンバ無ければ死んでた!?」
「何の手品か知らんが、悪魔の実か。動物系と聞いていたが、面白い。ならば、直接覇気を叩き込む」
ミホークが笑顔で黒刀を抜いていた。
おい、何準備してんだよ!
流石に勝てる気が……いや、行けるんじゃないか?
へへへ、調子乗りやがって見せてやるぜ俺の力。
「ほぉ、隈取り……いや、動物の特徴か。やはり、動物系なのか?」
「へへへ、お前なんか怖くねぇ!黒刀なんか捨てて掛かってこい!」
「何を言っておるのだ?」
音も聞こえない、静かなる剣戟が俺の身体を切り裂く。
見えない、漫画だと見えたけど斬撃とか見えない。
だが、そんなものは気にせずに突撃し殴り掛かる。
それを鷹の目は難なく避けるが、俺の拳はそのまま地面にぶつかり瓦礫を大量に作るほどのクレーターを発生させた。
「ふん」
島が半壊し、沈むように地面が割れて行く。
普通に人間が起こせる光景ではないのだが、鷹の目は動揺してなかった。
むしろ、喜々として飛び移りながら斬り掛かってくる。
お前、普通地面が傾いたら体勢を崩すもんですが!
「タネは割れた」
「ぐぼぉ!?」
後頭部に衝撃が走り、首から上が引っ張られるように圧力を受ける。
それに引きずられるように回転しながら、俺の身体は飛んでいく。
「貴様は斬撃には強いが、打撃には弱いと見た」
「ペッ、中々の一撃だったぜ」
「安心しろ、峰打ちだ」
その峰打ちの余波で内蔵が損傷したんですけど。
頭部に至っては、おそらく爆発してたんじゃないですかね?
「幻想種があると聞いたことがある、つまりお前は不思議な動物系だな」
「お前、馬鹿なんだな」
「……何にせよ、海に落とせば死ぬだろう」
「誰が貴様と戦うか!」
俺は奴の峰打ちが当たらない、空に逃げることにする。
ここから、気をグミ撃ちしておけば俺の勝ち。
勝ったな、ガハハ!
「小癪な真似を、フン!」
「ファ!?」
気付けば、鷹の目は俺の目の前にいた。
あの、10メートルくらい上だったはずなんですがぁぁぁぁ!
動揺する俺を、やつは剣で真下に向かって叩き落とす。
何なの、格ゲーのキャラなの!?
「ガァ!?ハッ、だからどうした」
「タフだな、面白い」
「俺は面白くねぇんだよ!気円斬!」
気円斬、鋭い気の刃の前に相手は死ぬ。
しかし、現実は非情である。
俺の放った気円斬は、鷹の目の前で真っ二つに割れた。
いつ、剣を振ったか分からないんですがチートか貴様。
「今のはおもしろかったぞ」
「か、かめはめ波ぁぁぁぁ!」
「フン!」
かめはめ波が裂けていき、俺の手が真っ二つになり、視界が左右別々を向く。
やっべぇ、何かもう色々とやっべぇ、すんませんワンピースの世界とか雑魚とか言ってすんません。
ドラゴンボールとタメ張れるかもじゃん、すんません。
「わ、ワープパンチ!」
「ッ!?今のは、驚いたぞ」
「ふ、防がれた……」
恐るべき速度で、しかも方向は分からず、瞬間的に空間をつなげてのパンチ。
絶対、当たるはずの一撃が防がれていた。
何だコイツ、未来予知でも出来るのか?やべぇ、マジでやべぇ。
「鷹の目、俺の奥の手を見せてやる」
「ほぉ、来い」
「一瞬だ、俺から目を離さないことだ」
俺は気を頭部に集め、必殺技を放つ。
喰らえ、クリリンの直伝の奥義だ。
「太陽拳!」
「くっ……」
フハハハ、誰が勝てそうも無いやつと戦うかよ!
オッス、オラナッパワクワクすっぞ!
世の中にはまだ強いやつが居るんだね、身体の震えが止まらねぇ。
違うよ団長、武者震いだよ。
サイヤ人の本能がビビる俺の理性と反対に、強くなることを求めてやがる。
しゅ、修行しなきゃ!過程はどうあれ、強くならなきゃ!
「だ、誰だお前はー!ど、動物なのか?」
「あっ、子供?ここは無人島では」
「喋ったぁぁぁぁぁ!」
俺が緊急避難先として、傷を癒そうとしていたら変な餓鬼が無人島に居た。
何、ここは人がいないのではないのか?
「人かと思ったら、なんだ猿か」
「誰が猿だ、俺はサイヤ人だ!」
「何言ってんだコイツ、おいモバンビー関わるのはやめようぜ」
「きゃぁぁぁぁ、喋ったぁぁぁぁ!?」
餓鬼だけかと思ったら、変な鳥が喋りだす。
なんだこの珍獣、悪魔の実の能力者か?
「怪我してるじゃないか、治療しなきゃ!」
「気にするな、すぐ治る」
「お前も、奴らにやられたのか」
お前は何を言ってるんだ、案件。
詳しく話を聞いてやると、なんか海賊に親父殺されたらしい。
よくある話だね、でもってソイツが伝説の秘宝を求めてるって事らしい。
「ふーん、伝説って?」
「動物王の伝説だ」
「どうでもいいな、腹減ったし何か寄越せ」
「自由か!」
抗議の声を上げながらも、モバンビーは飯をくれた。
肉が食いたいと言って動物たちが逃げたのはいい思い出だ。
はぁ、平和だぜ。
「ツ、ツノクイだぁぁぁ!?」
「ツノクイ?」
「猛獣だ、奴らに操られて動物達を虐めるんだ。アイツらが来てから、島は滅茶苦茶だ」
そうなんだ、ふーん。
取り敢えず、なんか向かってきてて目障りだな。
「デスビィィィィム!」
爆発と共にツノクイ達が吹き飛ぶ。
そうそう、俺は強いんだ。
東の海だぜ、鷹の目が反則なんだよ。
「な、何か出たぁぁぁ!」
「気だ」
「気すげぇぇぇぇ!」
そうだろうそうだろう、俺はすごいのだ。
「貴様、貴様がツノクイを!何者だ!」
「誰か来たな、なんだお前達は」
「アイツらだ、アイツらが島の動物を襲って角を食べるんだ」
「なんで角なんか食べるんだ?」
「それはこの島の動物の角が王なる宝だからだ。王なる宝さえ手に入れば無限のパワーを手に入れ、世界の王になるのさ!その動物がどれかは分からんが……ハッ!?貴様、秘密を聞いてしまったな!」
角を食べるとパワーアップする、ほほぉ良いことを聞いたぜ。
「へへへ、大人しくするけん。世界一最強の男、狂犬の――」
「ソイっ!」
「へっ?」
「セイッ!」
「お前達!?し、死んでる」
「お前も死ぬんだよ」
取り敢えず、雑魚三人組を頭を刎ねてぶっ殺す。
さて、モバンビーよ。角の在り処を教えてもらおうか。
「な、ナッパ……殺すなんて酷いよ!」
「何言ってんだ、殺さなきゃ俺らが殺されてたぞ」
「そうだけど……」
「皆には怖がらせてしまったな、俺はそろそろここを出るよ。最期に、動物王とやらを見たいんだがいいか?」
「……うん」
なんか葛藤するモバンビー、他の動物も追い出すようで気まずそうな雰囲気だ。
俺が気を使ってると思ってるのだろうが、そんなことはない。
王なる宝の秘密に気付いてしまったのだ。
王なる宝、王様が持ってる、動物王ってのがいた、でもって角を食べるとパワーアップ。
ピンと来たね、動物王の角が宝に違いないってな。
「ここだよ」
「デカイ、何だコイツ」
「コイツってそんな言い方、ちょっと何してんの!」
「フハハ、案内ご苦労。俺はコイツの角を食って強くなる」
「なんだって!やめて、やめてよ!」
「うるせぇ!」
欲しいもんは力で手に入れる、それが海賊だろ。
「ナッパ、なんでだよ!お前、良いやつじゃなかったのかよ」
「いや、俺海賊だから」
「嘘だ……島が選んだ、新たな動物王だと思ったのに……助けてくれたと思ってたのに」
知らんがな、所でコイツの角とかどう思う?
すごく、大きいです。
泣きわめくモバンビーとか襲ってくる動物を無視して角を食べる。
「見ろ、この……角とモフっただけだな」
頭部に毛が生え……禿げてるやないかーい!
なんでや、そこは体毛に覆われるところだろ、なんで頭だけ禿げてんだよ!
つ、角で誤魔化せれば……余計に目立つぞこれ……。
「じゃあな、モバンビー。ありがとう、お前のお陰だぜ」
お礼は大事、古事記にも書いてあるだろ、書いてない?知らね。
「うわぁぁぁぁぁ!みんな、ごめん!うわぁぁぁぁ!」
「泣くなよ、男の門出は笑顔で見送るもんだぜ、フハハハハ!」
「俺の、俺のせいだ!あぁぁぁぁぁぁぁ!」
なんか、叫んでるモバンビー。
よく分からんが、見送りご苦労。
じゃあな、お前のこと忘れないぜ!