スタートラインに立つって大変だなぁ
気づけば俺は海にいた。
ち、力が……溺れる、助けてくれ!
「ゼェハァ……死ぬかと思った」
どうやら俺はハンコックの技を喰らってしまったようだ。
海に落ちて悪魔の実の力が弱まり解除でもされたのか?
モリアの技とか塩で対策できるし、あながち間違えじゃないかもしれない。
「漂流者、なんて居るわけ無いか」
「誰だ……室伏?」
「悪いが、出てってもらう。エミリネイト、オン!」
気付いたら俺は知らない場所に移動していた。
ど、どういうことだってばよ。
オッス、オラナッパワクワクすっぞ!
どうやら俺は違う世界に来たらしい。
何でかって、世界が現代チックだからだよ。
携帯あるし、サラリーマンもいる。
可笑しいのは、普通に剣を持った人も偶にいるってことだ。
「た、助けてくれ」
「裏路地でぶつかったんだ、慰謝料払えよ」
「あ、アンタが無理矢理連れてき……ひっ、分かった払うよ払うから」
一見、真面目に働いてるだろう姿をしたチンピラを大通りから路地裏に拉致して慰謝料を頂く。
路地裏にいるってことは悪人だろう、俺はラノベに詳しいんだ。
その後、何名か路地裏に連れてきては金を徴収していたら警察官がやって来た。
まぁ、彼らも路地裏に連れてきてサクッと殺した。
うんうん、路地裏にいるんだから悪人に違いないな。
「やれやれ、久々に厄介な輩に会うとは」
「ッ!?」
俺は悪寒を感じて背後に飛ぶ。
視線を向ければ、そこにはヒョロいオッサンがいた。
俺からしてみれば貧弱なボディに見えるが、そこからありえない威圧感が放たれる。
まるでペンギンが強者のオーラを纏って俺を挑発しているような違和感すら覚える。
「なんだお前」
「協専ハンターさ、大人しくしな」
「ハンター、マジか」
「あぁ、分かってくれたようで」
俺は踏み込みと同時に首を手刀で薙ぐ。
するとスパッと首が飛び、オッサンの首がえっと自分の身体を見てから呟いた。
ふむふむ、やはり気の所為だったか。
「ありがとうよ、お陰で色々分かったぜ」
俺はどこの世界か特定した。
ここは、ハンターハンターの世界だ。
オッスオラナッパワクワクすっぞ!
まさか、ハンターハンターの世界に来るとか予想外。
なんだろ、ジャンプヒーローかな。
ジャンプの世界にばっか移動してるじゃないか。
そんな俺は天空闘技場にやって来ていた。
「オラオラオラオラオラ!」
「フンッ」
「ぐあぁぁぁぁぁ!?」
俺の身体を殴る蹴ると好き放題する格闘家。
ソイツに対して爪先蹴りをお見舞いする。
すると、ソイツは地面に転倒してそのまま壁までぶっ飛ばされる。
壁に亀裂が走ってる、内臓とかヤバそう。
「勝者ナッパ選手、君は150階へ上がりなさい!」
ハンターハンターあるある、金策編は天空闘技場で金稼ぎである。
必死こいて修行してる奴らに念能力で無双するという、鬼畜の所業を行う場所だ。
超サイヤ人4な悟空がレッドリボン軍と戦うとか、覇気使えるルフィが東の海で大暴れとか、仙術使えるナルトが中忍試験に挑むみたいな、そんな状況である。
200階に上がると変な三人組に出会った。
俺はひと目見て目的の人物たちだと判断した。
「ククク、ようこそ200階へ」
「ヤラないか?」
「へっ?」
「日取りはいつにする、今からでも良いぜ」
「ひえっ!?」
何か引かれ気味だったが、途中からチョロいと思ったのか試合のやり方を懇切丁寧に教えてくれて試合をすることにした。
なんて良いやつだ、苦痛もなく殺すことにしよう。
『レディース&ジェントルメーン!皆様お待たせしました。見えない一撃で相手を沈める隻腕の闘士、サダソ選手!対するは、全て爪先蹴りだけで勝ち上がったバトルスタイル不明の謎の超人、ナッパ選手!どんな戦いを見せてくれるのかあ!それでは、レディーファイ!』
俺の目的、それは念能力を会得する事だった。
念、それは瞑想で何年も掛けて手に入れるか無理矢理習得する方法の二つがある。
俺は無理矢理を選択するためにやって来たのだ。
「恨むなよ、アンタは新しいステージに登る代償を払うだけさ」
「何の話だ?」
サダソが左手を此方に向ける。
裾がひらめく、何もない左手だ。
だが、俺の中のゴーストが囁いてやがる。
ネットの海は広大だわ、ではなく何かヤバイの来るぞと。
一応、知って入るがマジで見えない。
「くっ、ほぉ……」
「ククク、見えない攻撃に絡め取られる気分はどうだ」
『どうしたというのでしょうか、ナッパ選手もサダソ選手も動きが止まっている!これは様子見ということかぁぁぁぁ!』
「怖いだろ、ジワジワと身体から悲鳴が上がるってのは」
俺の身体に圧迫感が発生する。
で、それだけだった。
ぶっちゃけ、重力室にいるのと変わらない。
もっと来いよオラァ!
「どうした、恐怖で声も出ないか」
「それだけか」
「へっ?」
「何をしてるか分からんが、本気で来いよ」
前に一歩出る、するとサダソの身体が後ろに動く。
サダソから焦る声が聞こえるが知ったことではない。
俺は無理矢理、腕を広げる形で拘束を解除する。
そして何となくでそこら辺をパンチした。
手応えは無いが、サダソが焦った顔をしていたので何とかなったのだろう。
「くっ、後悔するなよ!」
「ッ!」
俺の腹がチクッとする。
服を破いて見ると、腹の中心に豆粒ほどの穴が空いていた。
血が流れているが、すぐに塞がるので大したことはない。
ふむ、ここらへんか?
「なっ、見えてる!?」
「なんの話か分からんが、本気で来い。一発くらい撃たせてやるよ」
俺は両腕を組んで待ち構える。
頼むから、本気でやってほしい。
これじゃあ、念能力に目覚められる気がしない。
サダソは俺の言葉を聞いて、走り寄ってくる。
そして、思い切り腕を振りかぶり俺に向かってパンチを繰り出した。
ズシン、と大きな音が俺の身体から響く。
あの遅いパンチでここまでの威力を出せるとはやはり天才か。
なお、念の補助ありなので天才でも何でもなかった。
「フハハ、暫くは飯も食えなくなるだろうぜ」
「ヒュー、やるねぇ……」
「ひょ!?」
「でも、もしかしたアンタ自分が死なないと勘違いしてないか?」
一発は一発、挨拶には挨拶で返す。
サイヤ人は礼儀正しいのだ。
「フン!」
「ガハッ……は、腹に穴が……」
俺がパンチすると、そこには腹に穴が空いたサダソがいた。
背後ではサダソの一部が血しぶきのように飛び散っていた。
えっ、念能力者なのに貫通するとか微妙すぎる。
なお、観客は沈黙していた。
審判の勝利の音と、救急搬送がテキパキと行われる。
死人が出ることは偶にあることだから慣れてるらしい、流石野蛮人の聖地である。
オッス、オラナッパワクワクすっぞ!
ファイトマネーを手に入れて、俺は天空闘技場を後にした。
念能力とか簡単には手に入らないみたいだな。
もうこうなったらハンター試験を受けてから裏試験で習得するしかなかった。
幸い、ハンター試験の受け方は教えてもらったので出来るはずだ。
しかし、俺はその試験を三回落ちることになる。
なんでか、それは……。
「試験会場に辿り着けないだと!?」
俺の頭が非常に悪かったからだ。
馬鹿な、サイヤ人のエリートでインテリ系なナッパさんが謎解きごとき攻略できないなんてありえない。
試験会場行きのバスでは運転手が道を間違えるし、買い物しろとか指図するやつを殴ったら警察呼ばれるし、最悪である。
しかし、今年のナッパさんは一味違う。
見聞色の覇気を使って人が集まってる場所に向かうのだ。
強い奴らはそれなりに気も強いからな。
「ここか、定食屋にしか見えないがまるで意味が分からんぞ」
いや、そう言えば原作では注文すると奥の部屋に通されて下に行くはず。
「取り敢えず、食うか。半チャーハン味噌ラーメン餃子セット硬め少なめ濃いめで」
「あいよ」
「あと、麻婆豆腐に青椒肉絲、天津飯も頼む……天津飯は餃子と一緒じゃなきゃな」
「あ、あいよ」
「それから回鍋肉とレバニラ炒め、おっとエビチリも頼む」
「お、お客さん食えるのか?」
「当たり前だろ」
サイヤ人は大食漢、俺の身体はカロリーを欲している。
どれどれさっそく来たものから……美味すぎる!
「親父ステーキ定食」
「あいよ、火加減は」
「弱火でじっくりだ」
「奥の部屋へどうぞー」
俺が全メニュー制覇に精を出していると、二週目に差し掛かった所で何名かがステーキを注文していた。
ほぉ、そういうのもあるのか。裏メニューであろうな。
「親父、ステーキ定食を」
「うちにはないよお客さん」
「裏メニューであるんだろ、弱火でじっくりで頼む」
「……もう知らね、奥の部屋へどうぞ」
奥の部屋に移動する。
これで俺もハンターか。
ところで、このエレベーター試験が終わったらどうするんだろうか。
「お待たせしました、鉄板でお好みまで焼いてからどうぞ、ごゆっくりー」
「俺は人間火力発電所、うぉぉぉぉ!あっ、部屋が動いて食べにくい」
取り敢えず、止まるまで待ってよう。
暫くすると、チンの音と共に部屋の前部分が開いた。
顔が怖い奴らがたくさんいる、まぁいいや食べよう。
「な、なんだアイツ食べ始めた!?」
「あ、あの早く出てもらわないとエレベーター戻せないんですが」
「まだ食べてる途中でしょうが、食事っていうのはね何ていうか救われなきゃいけないんですよ」
「あっ、ハイ」
その後、豆みたいな人からプレートを貰った。
やったぜ。