番号は104番だった。
結構序盤らしく、時間までまだあるらしい。
これ、周りの奴ら殺したら合格率上がらないだろうか?
「良いねぇ……」
「ファ!?」
キュッとケツの穴が締まる。
む、無意識に背中から危機感を抱かせるとは、やるねぇ……。
振り向いたら、すげぇ顔のピエロがいた。
えっ、なんで目を見開いてガンギマリしてるピエロがいた。
俺が右にズレると、右に移動する。
左にズレると、左に移動する。
一瞬で背後に回ると、俺の方に身体の向きを合わせる。
「君――」
「カバディ、カバディ」
「何を言ってるんだ……?」
俺のフットワークがピエロを襲う。
ピエロは混乱している、俺はそのうちに離れた。
「ヒヒヒ」
「やべぇよ、やべぇよ」
顔中に針を刺してるイカレ野郎も居る。
なんだここ人外魔境かよ。
もうハンターハンターうろ覚えだから分かんねーけどコイツ主人公かその仲間だろ。
だって、キャラ濃いもん。
「よぉよぉ、アンタ新顔だろ?俺はトンパってんだ」
「誰だお前」
「まぁまぁ、おっとこれはお近づきの印だ。みんなに配ってんだ」
「ふうむ」
ジュースを渡してくるオッサン。
トンパ、聞いたことある名前だ。
「俺はこれでも35回は試験を受けてるベテランなんだ」
「強く生きろよオッサン、あんた35年も無駄に生きてるぞ」
「う、うるせぇよ」
おっと図星だったらしい、やーい万年落第生め。
いやまて、劣等生のふりをした強キャラなのか?
命がけの試験を生き残った実績、ううむやはり人外魔境だな。
「おい、痛いじゃねぇか」
「あっ?」
「テメェ、舐めてんのか?」
「ふん」
歩いているとぶつかってくる奴が絡んできやがったので、腕を握って折る。
骨折で済ませるとは、俺も優しくなったぜ。
「いぎゃぁぁぁぁ」
「人にぶつかったら謝る、常識だぞ」
あと、相手を選ぼうな。
俺の後ろの奴なんか舌舐めずりしながらお前の事見てたぞ。
きっと俺じゃなくてあっちにぶつかってたらもっと酷い目にあってた。
しばらくするとブザーがなって、試験を始めるという説明をするオッサンが現れた。
オッサンは歩きながら説明しているのだが、微妙に速度を上げてやがる。
「間違いない、あのオッサン……」
「おいアンタ何か知ってるのか」
「あぁ、競歩の達人に違いない」
「何いってんだ?」
周りから変な奴を見る目で距離を取られたが、素人には分からんのですよ。
そんな俺は胡座を搔いた状態でスライド移動する。
舞空術を使えば、走らなくて良いのだ。
「う、浮いてる!?」
「まるで意味が分からんぞ」
「見てわからないのか、これがヨガだ」
俺の説明に皆が信じられない物を見るように絶句する。
事実を認められないとハンターなんてやってられないぞ。
「そんなのズルいだろ」
「えっ、あぁ俺のことじゃないのか」
俺のことかと思えば、他の場所でスケボーに乗ってるやつに叫んでる者がいた。
だったら、奪えばいいだろ。
まぁ、そんな事をしない小物の戯言である。
ほぉ、子供も参加しているのか。
あの餓鬼、血の匂いがしてやがる……いや、まぁ勘だけどな。
「俺はゴン」
「何だって!?」
俺はその言葉に声の主を探す。
ゴン、だって……筋肉モリモリマッチョマンでワンパンで敵を沈めるゴンさんと同じ名前。
主人公のゴンがいるとは思ってたが、こんなに早く会えるとは……
ほぉ、子供にしか見えないがアレが主人公だな。
じゃあ、あのスケボーがキルアで、女子がクラピカ……クラピカって男だっけ?
あれ、女の子にしか見えない。
「なぁ、さっきから彼処のオッサン、俺らのこと見てね?」
「すごい、浮いてる」
「ぶ、物理学的に不可能なはず、いったいどうして浮いてるんだ?」
「うわコッチ来た」
俺の話題が聞こえたら寄るしか無いだろ。
主人公と序盤で知り合うのはオリ主のテンプレ。
なお、俺はモブキャラであるナッパだがな。
「オッス、オラナッパワクワクすっぞ!」
「オッス、俺はゴンワクワクすっぞ!」
「なんだよその頭の悪そうな挨拶」
我が国では伝統的な挨拶です、ご存知ないのか。
「ノリが悪いクソガキである」
「クソ餓鬼……このハ――」
「あぁん?」
おっと、ちょっと気が昂ぶってしまった。
そのせいか、すげぇキルア少年に距離を取られた。
先に行くなんて、待ってよとゴンが追いかけるが気付かれたようだ。
偶に居るんだ勘の鋭い餓鬼、勘の鋭い餓鬼は嫌いだよキリッ!
「ヤヤヤヤヤフー!」
「な、なんなんだよ!あのハゲ!えっ?」
首から上が離れるとかびっくり人間もいたもんんだなー(棒読み)
やっぱりハンター試験は人外魔境だよ。
出口に出ると、なんか猿が現れた。
「ヌメーレ湿原、通称”詐欺師の塒”。二次試験会場へはここを通っていかねばなりません」
「ウソだ!そいつはウソをついている!」
気を感じれば本物だと分かる。
だが、これがヌメーレ湿原の洗礼ってやつだな。
そんな猿にピエロのカードが襲う。
デデドン、おぉ死んでしまうとは情けない。
「あぁん?」
「フフフ」
なんかカードが刺さってたけど反応したら面倒そうなのでスルーした。
背後で舌打ち聞こえたし、やっぱり反応しなくてよかった。
気を感じれば霧が立ち込めても余裕で追える。
「死にてぇのか?」
「我慢出来ないんだからぁ」
ニタァと笑うピエロが俺の前に立ちはだかる。
周りの人間が切断されている様子から、俺には見えないが念を纏ったカードを周囲にバラまいてるんだろう。
「お前、もしかしてヒソカだろ」
「おや、僕の名前を知ってたんだぁ」
やはり、このピエロはヒソカだった。
ヤバイな、コイツ強いの知ってんだが序盤で戦うべき相手じゃないだろ。
「20%ぐらいかぁ……」
「へぇ」
俺の体毛が増えて毛深くなる。
顔が猿っぽくなり、顔に隈取りみたくなる。
「サルサルの実の能力だ」
「あの浮くのといい、熟練した隠だ。まるで念を使ってないみたいだ」
「念とか知らねぇよ」
「独学でか、同じ変化系かなぁ……」
奴の身体が消える。
まぁ、俺は見えているので殴り飛ばす。
剃みたいな動きだ、普通に見える。
「…………」
ヒソカは無言で攻撃を放ってきていた。
もっと戦闘中しゃべるかと思えば、頭の中で色々考えているのかもしれない。
そんな奴の顎に向かってパンチを繰り出す。
「ッ、変化系なのになんて重いパンチ……でも、触れたね」
「なっ!?」
俺の身体がなにかに引っ張られ、動きが止まる。
アレだ、ガムとゴムのアレを着けられたんだ。
見えないが、俺には分かる。
燃えろ、俺の小宇宙!
ブワッと俺の周りに気が張り詰めて拘束を解く。
「ガッ!?」
解いたと思ったのだが、カードが飛来して俺に突き刺さる。
気じゃ念を防げないのか!?
いや、よく考えたら念能力者にくっつけても念じゃ解除できないし一緒か。
見えない攻撃が厄介だ。
「悪いがお前と戦うのはもっと強くなってからだ」
「逃げれるとでも?」
「よく見ていろ、俺の必殺技!見逃せば、死ぬぜ」
俺の発言にヒソカが集中する。
動きを止め、構えたまま此方を警戒していた。
「太陽拳!」
「ぐわぁぁぁぁ!?目が、目がぁぁぁぁ!」
「馬鹿め、大佐ってろ!」
目を押さえて苦しむヒソカ、常人なら気絶しても可笑しくないのにタフな野郎だぜ。
さて、ナッパさんはクールに去るぜ!
そのまま俺は試験官の気を追って移動した。
ふぅ、変態の相手は疲れるぜ。
「さっきから何なんだよ」
見えなくなってから、カードが沢山飛んできた。
あの野郎、俺に着けた念を使ってカード飛ばしやがって。
地味に痛いからムカつく、いつか殺す。