オッス、オラナッパワクワクすっぞ   作:nyasu

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できれば強化系が良かったというクラピカムーブ

ワハハと俺の金で飯をたかるオッサンは実は念の指導者だった。

一か八か、俺を見極めるために行き倒れを演出したらしい。

その時、俺のオーラが自然体であったのに助けようとした所から生粋の善人だと思ったそうだ。

うん、虫を助けようとして心が動く訳がないだろ。

生粋の善人ではなく、普通に無関心なだけだ。

嫌悪感とか抱くとかそういうのは眼中にあるときだけだ。

 

「念か、俺はそれを使いたいんだ」

「だろうな、見たところアンタは修行僧。知り合いに念使いが恐らく居ただろう。ただ、独学で身につけたせいで本人すら基礎を修めてないと見た」

 

そう言ってワハハと笑いながらドリンクバーにいくオッサン。

ねぇ、念って秘匿された技術なんでしょ?ファミレスでする会話じゃなくね?

 

「おう、悪い悪い。道具が必要だったんでな」

「道具?」

 

オッサンはそう言って水を持ってきた。

俺の前に水の入ったコップを置き、見てろよと言う。

すると、コップの中に石が出来た。

 

「これは最も分かりやすい判断方法、水見式という。これで系統が分かるんだ」

「なるほど」

「まぁ、瞑想で開いてもいいがそれは難しそうだな。死ぬかもしれないが、それでもやるか?」

「いいね、シンプルだ」

 

そうかい、と店を出ていくオッサン。

俺もスッと移動して店を出ていく。

 

「思い残すことはないな、俺の修行は厳しいぞ」

「サイヤ人は戦闘民族、望むところだ」

 

物凄い速さで移動を開始するオッサン、これは念で強化しているのか。

そんな高速で移動するオッサンに、俺も普通に走って追いつく。

 

「なっ、お前」

「へへっ、驚いたか」

「あぁ、お会計は?」

「……へへっ、驚いたか」

「払ってねーのかよ!」

 

 

この後、滅茶苦茶食い逃げした。

 

 

 

オッスオラナッパワクワクすっぞ。

サクッとオーラ開いてもらってすぐに習得した。

恐ろしいほど速い纏、俺でなきゃ見逃しちゃうねというお言葉をもらうくらいだ。

気と同じ感覚で操れた、まぁ念は何ていうか別のエネルギーな気もするがよく分からん。

 

「イヤフゥゥゥゥゥゥ!」

 

俺の手と手の間で葉っぱが回転してそのまま空に飛んでいく。

間違いない、特質系だ!だって、他に類を見ないもん!

 

「ほぉ、操作系か」

「強化系が良かった」

 

物凄い勢いで葉っぱが回転しただけだった、なんだよ。

しかし、どうして脳筋の俺が操作系なのか。

いや、やっぱインテリだって神様も認めてくれたからに違いないな。

 

「型に嵌まれば強い能力だ。操作系はやはり物ではなく相手を操る能力が多い、強さに関係なく倒せるからだ」

「へぇー、そうなんだ」

「まぁ、念で操作する点から思い入れのある道具を必要とするとか、ちとピーキーだがな」

 

ふむふむ、携帯を使ってたら機種変更が簡単に出来ないってことね、把握した。

まぁ、俺が操るのはもう決まっている。

 

「俺だ、俺自身を対象とする」

「な、何だって?」

「髪をフサフサにする」

「な、何だって!何を考えてやがる」

 

肉体を操作する、これが一番だ。

本当は肉体を強化し……強化か、確か駄目だったよな。

あれ、じゃあ具現化で常に取れないカツラを作り出せばよかったのか!

畜生、どうして具現化系じゃないんだよ!

 

「メモリの無駄遣いだしな」

「メモリ?何を言ってるんだ」

「もう用はないので俺は帰らせてもらう」

「何処にだよ、おいまだ指導始まってないぞ」

 

念の修行なんか一人で出来るもん。

それにしても、操作系とか予想外である。

 

「何でさ、何でだ、何でやねん……」

 

おいおい、操作系って女の子を敏感にするしか使い道が無いぞ!

クソッタレ、洗脳AVごっこが捗るやんけ!

おっと、いかんいかん戦闘系の能力にしないとな。

まぁ、操作系と聞いて操られるのが怖いことを自覚したし、対策も立てておこう。

 

 

 

オッサンと別れた俺は早速、念の修行をすることにした。

と言っても発を作るために試行錯誤するだけだがな。

操作系の修行ってなんだろう、取り敢えず念を操作する事を練習する。

オーラを伸ばしたり縮めたり、それだけで疲労感が出てくるのだから修行になってるだろう多分。

でもって、俺がまず選ぶ相性がいい愛用品と言えば、どう考えても肉体である。

一生で一番付き合いのあるものだからな。

 

石を強化して石をぶっ壊したり、オーラで絵を作ったり、オーラを飛ばしたり、オーラを切り離した状態で移動させたり、オーラを込めたものを動かそうと試行錯誤してみたり、色々してみた。

操作系だからか、物を移動させることは得意だった。

水見式で葉っぱを自由自在に動かせるようになったからだ。

 

色々試行錯誤してみた結果、水見式ってそれだけで修行になるのだから凄い。

念の出来具合の確認だけじゃなく、ずっとやるだけで各系統の修行になるのだ。

強化系なら水を増やしまくったりとかそんなんだろう。

俺の場合は、延々と葉っぱを動かしてただけだけどな。

この頃になると、ちょっと試したくなってきたりする。

よし、世界平和のために取り敢えず誰かぶっ殺すことにしよう。

 

 

 

オッス、オラナッパワクワクすっぞ!

ここはヨークシン、欲望渦巻くマフィアの街である。

因みに、オークションとか数カ月後にあるらしくって最近裏稼業の人間が増えたんだって。

 

「さて、どうして俺がマフィアの事務所に乗り込んだかと言うと日陰者が死んでも内々で処理されやすいからだ」

「テメェ、タダじゃ置かねぇ!舐めた真似して生きていられると思うなよ」

「制約と誓約っていうのがあってな、まぁゲッシュみたいなもんだ。リスクの分だけリターンが得られる奴だ。でもって、まずこれが一つ目の制約」

 

俺は自分の腕を軽く斬って血を流す。

血を流すことが一つ目の制約だからだ。

 

「俺の能力は血液を通しての操作だ。血液を自在に操り、その血液が体内に入った相手か付着した物を操作することが出来る。因みに二つ目の制約は能力の説明だ。これを怠った場合、俺は念能力を一日使えなくなる」

「な、何言ってやがる……」

「血の量に比例して有効距離と操作時間は長引く。血液は出血してから24時間以内の物でなくてはならないのが三つ目の制約。能力使用中は輸血出来ないのが四つ目の制約だ。もし能力使用中に輸血すれば説明を怠った時と同様に念を使えなくなる」

「だから、さっきから何言ってんだ!」

 

俺は腕から垂れる血をマフィアの男に付着させる。

あぁ、因みにソイツ以外は頭吹っ飛んで死んでいる。

 

「そして、これは俺が一番拘った五つ目の制約、能力は技名を言わないといけない!言わないと能力は不発に終わり、俺は一日念を使えなくなる」

 

技名って大事、それは男のロマンである。

えっ、不意打ちできないじゃないかって?んなこたぁ分かってんだよ蛇野郎。

でも、血液って時点で技名言わなきゃって使命感が働いたのだ。

 

「血の洗脳と書いて、ブラッドハッキング!さぁ、自害しろ!」

「イエッサー!」

 

俺の言葉に従い、銃を眉間に押し付けて自殺するマフィア。

素晴らしい、皇帝ごっこが捗る。

これはもう騎士団とか作ってロボット乗り回すしか無いじゃないか。

 

「よしよし、これでここからも金を奪ったぞ。オークションまでに貯金しなきゃな」

 

オークションが始まったらグリードアイランドに行くとしよう。

恋愛都市アイアイが俺を待っている。

彼処だけ記憶に結構残ってるんだ。

 

 


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