オッス、オラナッパワクワクすっぞ   作:nyasu

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クーポンは使わない、王子だからな!

オッス、オラナッパワクサクすっぞ。

俺はその日、医務室にいた。

 

「えー、つまりですね。この抜け毛のサイクルが早まるのがAGAと呼ばれる症状なのです」

「先生、俺は大丈夫なんでしょうか」

「ふむ、実に健康的なサイクルです。毛根はそう簡単に死滅しませんし、血流不足などが原因なのです。遺伝的な要素は考えられませんので、戦闘による余波により死滅したのかもしれません。万能細胞の移植を試みてみましょう」

「お願いします、先生」

 

血液を採取し、そこから新しい髪の毛の元となる細胞を作ってもらうという治療を開始したのだ。

これで、俺もフサフサになれるはず。

今は騙し騙しで、世紀末のモヒカンヘアーだがこれは嫌過ぎる。

せめて、横にも毛がほしい。

 

「何、一時間もあれば……どういうことだ、細胞が変化しない。驚異的な再生能力でリプログラミングが出来ないのか!?こんな細胞、見たこと無い」

「ど、どういうことだってばよ」

「万能細胞とは一度決まってしまった状態を何にでもなれる状態に戻すことを言うのだ。つまり、皮膚にしかならない細胞を皮膚以外にもなる細胞、即ち髪になる細胞に変えようと思ったのだが、それが上手く出来ない」

 

そ、そんな……俺の、神龍に頼んだ願い事の副作用ってことかよ。

メディカルポットに入ったって、横から髪の毛は生えてこないんだぞ。

あんまりだろ、こんなのってあんまりだろ。

 

「現状維持が限界でしょう、現代の医療では貴方の細胞はこれが限界です。それはそうと、この細胞は実に興味深い、フリーザ様に報告して軍事転用を――」

「そ、それはまずい。アンタは知りすぎてしまったみたいだ」

「な、何を……うげぇ!?か、返せ……私の心臓」

 

俺は医務室で、医者の心臓を抜き取り握りつぶした。

危ない危ない、ここからドラゴンボールの存在がバレたら面倒になるところだった。

手が汚れちまったぜ、必要な犠牲だし仕方ない。

許せ医者、これが最期だ。

 

 

 

オス、オラナッパワクワクすっぞ。

最近、お前ってシャモ星人に似てるよなと言われるナッパだ。

因みにシャモ星人ってモヒカンがデフォな種族な、似てるか。

そんな俺は日夜、修行漬けの日々を送ってる。

修行しないと、なんかムラムラするっていうか、イライラするっていうか。

つまり、サイヤ人は戦ってないとダメという本能のせいだ、本能に違いないな。

そのせいで、自分を苛め抜かないと落ち着かないのだ。

 

「何を黄昏れている、ナッパ」

「ベジータか」

 

ベジータ、遂に二十歳を迎える。

あっという間だったぜ、今頃ピッコロ大魔王と戦ってるのかな。

悟空が餓鬼の頃だもんな、俺は俺でベジータと戦ってるがな。

 

「戦闘中に余所見とは、油断しているな」

「油断、違うな。これは余裕というのだ」

「抜かせ、ギャリック砲!」

 

ベジータの手からビームが炸裂する。

俺はそれに対して、両手で抱え込むようにして構える。

 

「ギャリック砲返し!」

 

ブウンと俺の両手を気が左から右に唸る。

左手に触れたギャリック砲は流れに乗って俺の体表面を滑り、そして右手の方からU字を描くように流れていく。

見たか、何となくで編み出した即席の技だ!

 

「ダニィ!?」

「乗るしかねぇ、このビッグウェーブ!」

「まるで意味が分からんぞ、ぐわぁぁぁぁ!」

 

訓練場が爆発して、訓練場の中心にクレーターが出来た。

その上で、ベジータが倒れていた。

ヤムチャしやがって……。

 

「ビームを撃つくらいなら、手にとどめて殴ったほうが早い」

「の、脳筋野郎め……畜生がぁ……」

 

捨て台詞を残して気絶するベジータ。

おいおい、このナッパただのサイヤ人と違って本を呼んだり教養があるんだからな。

そんなナッパさんが効率性を重視した結果、殴るほうが効率がいいという結論に至っただけである。

決して、脳筋思考ではない……良いね。

 

 

 

オッス、オラナッパワクワクすっぞ。

惑星シャープだかシャーツだかを制圧してこいって任務が来たよ。

そうかぁ、俺もそんな歳だったか。

今まで何してたんだっけ、ジャンプだったら十年あれば、だいたい主人公が初期の強敵をワンパン出来るくらいには強くなれるぞ。

何してたかな、飯食って、戦って、女と寝て、うむ食事にセックス、眠りに戦、征服王プレイしてたな俺。

その頃悟空は天下一武道会とかやってたのかな、俺なんか三人でスマブラモドキしかしてなかったぞ。

あと、界王拳とか習得できないか研究してたくらいか。

 

「少し手間取りましたが、3日間で奴等を降伏させました」

「……そうですか。あんな星に3日もね」

 

ベジータの報告をフリーザがうんうんと聞いていた。

所で、なんでマシンに乗ってるの?ここ室内だよ、セグウェイ乗ってる感じなん?

 

「……なるほど、分かりました。下がってよろしいですよ。」

「なっ!?おいっ!ちょっと待てよ!!」

 

ラディッツがフリーザの言葉にびっくりしていた。

あっ、それ俺の台詞なのに……そうか、運命は収束するって奴か。

 

「俺達は体ボロボロにして帰って来たんだぞ!それを……!」

 

等とラディッツは言ってるが、ゲームしながら片手間に征服してたのでボロボロなのはラディッツだけである。

ごめんな、お前にはレベルが高かったもんな。

 

「……フン、ザーボンさん、あの星を征服するのに何日かかりますか?」

「はい、1日あれば充分でしょう」

「そうでしょう、あんなちっぽけな星ですからね。ホッホッホ……他に何かありますか?私は忙しいのです」

 

フリーザ様、ちょっとおこである。

おおお俺だって、半日もあれば滅ぼせるかんな。

海を干上がらせれば普通に異常気象で滅ぼせるわ。

あぁ、イケメン死なねぇかな。

 

「こ、この野郎!」

「ラディッツ」

「ッ!?しかし、王子」

「俺はやめろと言った。二度目は無いぞ」

 

ベジータの視線がラディッツに注がれる。

それだけで、ラディッツはプルプルしながら引き下がった。

なお、尻尾はショボーンとしている。

感情が隠せない、尻尾がある宇宙人あるあるだった。

なお、ベジータの尻尾はギンギンに膨張している。

まるで怒った猫みたいな尻尾だぜ。

 

「……フリーザ様、失礼致します」

「次の働きも期待していますよベジータさん」

 

話は終わりだと、マントを翻しながら帰宅するベジータ。

王者ムーブ、そこに痺れる憧れる。

こんなのって、あんまりだよ、と尻尾で語るラディッツ。

今日は焼肉に行こう、まだ出禁になってない食べ放題屋見つけたからな。

 

城を出て帰り道、なんか学生みたいだな買食いしたいなと考えてたらまだラディッツが怒ってた。

おま、しつけーよ。そんなカリカリすんなよ。

 

「最期に、猿野郎と言いやがった。ザーボンの奴、許せねぇ」

「おうそうだな、それより帰りにドンキ行こうぜ。新しい育毛剤が出てるらしい」

「フン、そう言うと思って焼肉屋の予約は余裕を持ってしている」

「さ、流石王子!俺達が出来ないことを平然とやってのける、そこに痺れる憧れる!」

「当然だ、俺はサイヤ人の王子ベジータ様だからな」

 

ほら、祝勝会やるぞとラディッツの肩に腕を乗せたら、ペシッとされた。

なお、本人は弾くつもりだったのか耳まで真っ赤にして恥ずかしそうだ。

 

「は、離せ!」

「お、おう」

「く、悔しくないのか!巨大隕石がぶつかってサイヤ人が全滅、そんなヤワじゃねぇ!俺には分かる、アイツが……アイツらが殺したんだ」

「えっ、今更。おっ、流石王子評価高いぞ、ここの焼肉。クーポン見っけ」

「飲み物は飲みきってからおかわりだ、あと高貴な俺はクーポンなんぞ使わない。現金払いだ」

「聞けよ!ねぇ、何なの!お前ら、何なの!真面目な話、してんだけど!」

 

やめろよ、そんな少年マンガみたいな熱いノリ、そんなの現実で間に合ってるんだよ。

機嫌が悪そうなラディッツであったが、焼肉を食べたら機嫌は直っていた。

やっぱり、焼肉は最強なんだ。


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