オッス、オラナッパワクワクすっぞ   作:nyasu

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違う、そうじゃない、それは違うよサイバイマン

オッス、オラナッパワクワクすっぞ。

最近、ラディッツが家出した。

そう言えば、弟を迎えに行くとかそんなん言ってた気がする。

あぁ、悟空の所に行ったのか。

 

「グギャギャギャ」

「品性の欠片もない奴らだ。こっちだぜ」

 

一瞬で移動したベジータが指を振るうと異星人がバラバラの肉塊になる。

ヒュー、早すぎる手刀、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

「お前の言っていた、瞬動とやらも身につけた。因みに、これは瞬歩や縮地とどう違うんだ」

「名前」

「それだけか?ふざけた野郎だ」

 

原理的にはスゲー速く移動してるだけだからな。

気の爆発力とか利用してるけど、それだけだ。

それにしても、ベジータも強くなったなぁ。

 

「あっ、そう言えばアイツのスカウターから音声聞こえるんじゃね」

『悪かった、二度とこの星には手を出さねぇ』

『ヘヘっ、二度と騙されねぇぞ』

『待てェェェ!』

『やれェェェ!』

 

その後、ブチンと通信が途絶えた。

やべぇよやべぇよ、なんかラディッツ死んだっぽい。

 

「ラディッツが死んだようだ」

「何、この人でなし!」

「冗談じゃなくて、マジだ」

「何を休暇中にしてるんだ、アイツは」

 

王子の目に、涙はなかった。

あぁ、死んだのとその程度の反応。

やはりサイヤ人、仲間意識なんて無かった。

 

「しかし、アイツが死ぬとは……お前が言っていたサイヤ人のいる星か」

「あぁ、ドラゴンボールというなんでも願いが叶う球がある」

「ドラゴンボールとやらに興味はないが、そのサイヤ人に会うのも一興か」

「フリーザよりも弱いと思うぞ」

 

なんてたって、原作よりベジータ強くなったもんな。

修行する、俺がボコす、また修行してボコされる。

このせいでサイヤ人式パワーアップしたもん。

今は、生活基盤を整えるの面倒だからフリーザに従ってようって方針だが、ぶっちゃけいい勝負できそうなくらいには実力はあるだろう。

 

「フリーザにはそうだな、ラディッツの消息を追うために休暇を貰うとでも言えばいいだろう」

「何か叶えたい願いでもあるのか?」

「この数年、貴様がボコすか子供を拵えるから一族の復興なんぞ考えるまでもなく進んでいる。民が増え、いずれ王として君臨するのも時間の問題だろう。叶えたい願いなんぞ、あるわけない」

 

ベジータは俺に背を向け、それにと一言呟いた。

 

「俺は王になる男だ。道具なんぞに頼るか、自分の願いを叶えるならこの手で叶えてこそだ」

「ベジータ」

「なんたって、俺はサイヤ人の王子ベジータ様だからな」

 

行くぞと言うベジータに、カリスマ的な物を感じた。

 

「おい地球に行く前に、ちゃんとシートベルトを付け忘れるなよ」

「カリスマブレイク早いよ!」

「何を言ってる、宇宙船マナーくらい守れ」

 

やっぱ、カリスマなんてなかった。

 

 

 

スカウターの誘導に従って、グレートキャニオンみたいな所に来た。

初めて会ったが見知った顔が何人かいる。

特にクリリンと天津飯はすぐにわかった。

 

「ここが地球か。宇宙船の中からでも分かったが、何人か待ち構えているな」

「この星は飯が旨いぞ、一回来たことがある」

「なんだと、それは楽しみだ」

 

ハッハッハと笑いながらベジータが宇宙船を降りる。

その様子に地球人組がビビっていた。

ベジータが不敵な笑みを浮かべていたみたいな脳内ナレーションが流れているんだろうか。

 

「お、お前達がベジータとナッパ」

「海賊王目指してそうな声してんなお前」

「な、何を言ってるのかさっぱりだ……」

 

良いことを教えてやろう、俺の発言に特に意味は無いぞ。

 

「戦闘力は最大で2000程度か。まぁ、そんな物だろう」

「戦闘力、ラディッツが言ってた強さの数値か」

「お前達に分かりやすいレベルにしてやろう。俺の強さは6ラディッツ。つまり、戦闘力は9000くらいか」

「なん……だと……」

 

ベジータの言葉に驚きの余り声を無くす面々。

すまんが、それは低く見積もってだ。

もっと本気出せば戦闘力上がるから、重り外したり、気を抑えるのやめたり、あと大猿化したりとかな。

正直スマンかった。俺TUEEEEしようと思ったらベジータも強くなってしもうた。

 

「俺の目的はただ一つ、サイヤ人であるカカロットとの戦いだ。お前達には興味なんぞない」

「お前に用がなくてもこっちにはあるんだ」

「やめておけ、命を無駄に散らして何になる」

 

サイヤ人特有の残虐性が理性によって完全に制御されていた。

ベジータは原作のベジータとは違う存在になっていた。

度重なる敗北の末に、プライドを捨て切れず、弱者に目を向け意思の力に気付いた。

弱者の存在を認めるという原作のベジータではあり得ない境地に達していた。

みたいな感じのことが起きたんだと、最近のベジータを見て思ったよ。

たぶん、来るまでに読んでたっていう漫画の影響じゃないはずだ。

何の漫画を読んでたのか気になる。

 

「お前達がドラゴンボールを狙って不老不死になろうとしてることくらい分かってるんだぞ!」

「こんな時、悟空がいれば……」

「たとえ敵わなくても、時間さえ稼げば」

 

思い思いの言葉を漏らす面々、俺はそんな彼らを横目にお湯を沸かしてカップラーメンを作っていた。

なんか王子やろうとしてるし、観戦モードだ。

 

「おい、それなんだ」

「カップラーメンだ、食べるか」

「アンタ良いやつだな」

「俺知ってるぞ、お前サムライって奴だろ」

 

岩陰に隠れていたサムライ、恐らくヤジロベーと一緒にカップ麺を啜る。

美味すぎる、犯罪的だ!やっぱり宇宙食はカップ麺に限る。

 

「勝てないと分かっていてなお挑むか。素晴らしい、素晴らしいぞ地球人!フハハハ!」

「な、何が可笑しい!」

「認めよう、貴様らはかつての俺よりも高潔だ。強さが足りぬからとフリーザに従っていたあの頃よりもな。実力を理由に足を止めず、強者に挑むその精神性、まさに黄金の精神。いいだろう、試してやろう」

 

チョイチョイ、とベジータが種を投げる。

あ、あれはサイバイマーン!まさか、生ヤムチャしやがってが見れるのでは……。

ベジータの前に、サイバイマン達が現れる。

 

「俺自身が相手すればお前達など瞬殺だ。だが、仮にも王になる男。俺が手を降すなど貴様らには褒美でしか無い。俺と見えるなら、それくらいの試練乗り越えて見せろよ地球人」

「先手必勝、ドドン波!」

「ギィィィ!」

 

サイバイマンの一匹がその攻撃を難なく避ける。

 

「何なんだコイツら、一人一人が途轍もなく強い、ラディッツと同程度か」

「ギィィィ!」

「それに、気を纏っているのか」

「その種は、ナッパが気を練り込んだ特別性だ。サイバイマンがちょっと強くなる」

「ど、どうして奴らが気なんて言葉を知ってるんだ……」

 

サイバイマンが一人ずつ、地球人組に戦いを挑む。

それを腕組しながら見る王子。

やれやれだぜ、クールな俺はラーメンを啜るぜ。

 

 

 

オッス、オラナッパワクワクスっぞ。

戦いも佳境に入った。

何があったか話すとすれば殴り合ってるとしか言えない。

特に何かしてるわけでなく、サイバイマンと殴り合ってるの見てるだけだった。

まぁ、最初はそうだよな。

色々な技を見て、おおおとたまに歓声を上げるくらいだ。

 

「ハァハァ、どんなもんだ。来るなら来い、こんなもんじゃねぇぞ」

「ギィィ!」

 

満身創痍のサイバイマンが声を上げた。

その瞬間、ヤムチャの背後でサイバイマンが地中から飛び出す。

まさか、まさかお前……俺は思わず叫んだ。

 

「サイバイマーン!」

「やめろ、何をする気だァァァ!」

「ギギギ、グギギ!」

「何を言ってるかさっぱりだ!」

 

サイバイマンの一匹が人差し指を立て気を集中させる。

 

「奴ら、戦いの中で成長している」

「クリリン、何かわかったのか」

「あの構え、あれは間違いなくドドン波、ということはまさか!逃げろヤムチャさん!」

「ギギギ、ギィィィ!」

「まさか、離せ!意外と力が強い!」

「ギィィィ!」

 

背後で捕まっていたサイバイマンが叫ぶと同時に、向かいのサイバイマンが指先から気を放った。

それはビームのように、ヤムチャとサイバイマンを貫く。

いや違う、そうじゃない。そこは爆発オチだろ常識的に考えて。

 

「サイバイマン、ただの生物兵器だと思ったが……最期に矜持を見せたか」

「王子、何いってんの?」

「アレは犠牲ではない、未来への礎になったのだ」

「マジで何言ってんの?」

 

ベジータが感心していた。

いや、いやいやいや爆発しろよな。

 

「うわぁぁぁぁぁ!良くもヤムチャさんを」

「ギィィィ!?」

 

あまりの光景に、悟飯がキレていた。

サイバイマン達が吹き飛ばされ、青い体液を撒き散らしていく。

今までの苦戦がウソのように、サイバイマン達が千切っては投げられていた。

怒りで一時的に戦闘力が上がったのだろう。

そのまま、俺の身体に拳を突き立てる悟飯。

おい、ベジータの方に攻撃しろよ。

 

「ぐふっ、残念だったな本体だよ」

「ナッパ、避けろ!」

「王子遅いです、殴られてるからね。フン」

「うわぁぁぁぁぁ」

 

中々のパンチだったぜ、ナイスガッツだ。

と思いながら俺はクリリンに向けて悟飯を投げてやった。

 

「おい坊主、なぜ弱いか教えてやるよ。足りないからだ、憎しみが」

「クソォォォォ!」

「ねぇどんな気持ち?どんな気持ちだ?」

「やめろナッパ、まだ子供だぞ。可能性を摘むなんざ大人のすることじゃない」

「フン、ベジータに感謝するんだな」

 

ちょっとふざけたら怒られたがこれは必要なことなのだ。

怒りに寄って目覚める超サイヤ人への犠牲なのだ。

決して、イタチの真似がしたかったわけじゃない。本当だからな。

 

「さて、どうやら来たようだ。お前の言っていた、俺のライバルとなる男がな」

「よぉ、随分と待たせちまったみたいだなぁ」

「「「悟空!」」」

 

俺達の前に、主人公が現れた。

 

 

 

 

 

 


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