流血の錬金術師   作:蕎麦饂飩
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やはり、ホムンクルスが何時までも平和でいるのも何か不自然があるのですよね。

ところで、作中でも人気の高い復讐者って、
スカー以外にはどんな人がいましたっけ?


親友、そして共犯者

ノックスと言う医師の所で入院しているランファンの所に、リンが訪れていた。

新しい生体義手のリハビリはまだ途中ではあるが、何とか動かしてリンの負い目を軽くしようとする自身の配下に、

リンは思わず寝る事が多くて細くなったその身体を抱きしめた。

 

ランファン、天にも昇りかけた瞬間である。

勿論、彼女が痛む身体を締め付けられて喜ぶドMと言う訳では無い。

ごくごく普通の、想いを告げる立場にない型健気系美少女としてだ。

その時、タイミング良くというか、タイミング悪くフーもその部屋に入って来た。

主従の関係ゆえにその先は無いであろうが、折角の雰囲気が完全にブチ壊れた。

ランファンの祖父への尊敬が地に堕ちた瞬間であった。

放って置けば回復するものなので、特に心配する必要はないが。

 

そこへ、空腹で行き倒れていた少女を保護したノックスが帰って来た。

敵対関係に当たる皇族の候補だと理解するや、フーとランファンは刃物を構えた。

標的はその少女、メイ・チャンである。

 

流石に医者の前で意識朦朧とした少女に刃物を向けるとはどういう了見だと、

ノックスに頭を叩かれたランファンと、諌めるリンに免じて見逃そうと言うフー。

 

流石に助けてくれた恩人に対しては強く出られないランファン。

彼女は恩人を攻撃するほど恩知らずでは無い。

シンの人間は恩義を忘れないのだ。本人たち曰く。

フーは、必要ならばリンの見ていない所で手を汚す必要もあるか、とは心の中で考えていたが、それは仕方がない。一族の為である。

 

 

メイは、彼女のそばを張りついて離れない小さなパンダと共に同じベッドに寝かされる事になった。

 

 

その後、意識を取り戻したメイがリンに襲い掛かろうとしてランファンとフーがガチギレしたり、

それ以上にガッツリとキレていたノックスがその場を取り成したり、

リンがメイたち弱小民族も排除しないと言ったが、メイはその場では信用できないと答えて、

やっぱり主たるリンの事を信用できないのかと、ランファンがプッツンしたが、リンに羽交い絞めにされて宥められ、

この状況は考えようによっては後ろから抱きしめられていると、少々乙女思考になって機能停止したところで、

主に迷惑をかけた上に、呆けるとはどういう事かと祖父の鉄槌を受けたり、まあ色んな事があった。

 

 

 

ランファンとメイは良く喧嘩をしていたが、本気で殺し合う事は無いとノックスが判断できる程度にはなっていた。

そしてランファンがリハビリを十分に終えた頃、

シン組はその場を去る事にした。ノックスと言う医師(・・)に深い礼を述べて。

 

 

 

その数日後だった。

 

ずいぶんと賑やかだった人々が去って、再びさびしい生活が始まったノックスは、

小屋を引き払い、家に帰って、

一人で自分の下を去った、否、自分が一緒に居られなくした写真を眺めていた。

 

すると扉を叩く音がした。

誰かと思い、ノックスは扉を開けた。

 

 

そこには、先程まで見ていた写真に、映っていた自分以外の者がいた。

年は進んでいるが、見間違えようは無かった。

 

 

 

「…お前、たち、なんで」

 

声が掠れて上手く喋れない。

声だけでは無かった。視界も滲んできて、心で会いたい思った末に見る事になった幻が霞んでしまいそうだった。

 

「あなた、久しぶりね」

「父さん」

 

幻聴まで聞こえてきたのか、俺ももう年だな。

そう現実逃避しかけた程、待ちわびた夢だった。

だが、彼らは親子の感動の対面を、感動のまま終わる事は出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

戸の前に立つ、その二人を包むように爆風が駆け抜けた。

ノックスが目を開けると、そこには生きた人間は残されてはおらず、かつて見慣れた焼死体が二体転がっていた。

 

 

「お前があの時の軍医かっ!!」

 

黒尽くめの恰好をした男二人が、死体を蹴とばして家の中に入ろうとしていた。

顔をマスクで覆っているが、露出した紅い(・・)眼だけが憎しみを映し出していた。

心が壊れかけたノックスを突き飛ばして、家の中に蹴り飛ばした。

 

彼等2人の青年は、マスクを取ると、その浅黒い肌が露出した。

その内、一人の髪が一瞬黒色になった気がしたが、もはやノックスにはどうでも良かった。

その男は、後はごゆっくりと先程までの真剣さが嘘のように去っていった。

もう片方の男は、憎しみを燃やしたまま、再度ノックスを蹴り飛ばして唾を吐きかけた。

 

「軍医ノックスはお前だな。

俺の母を、幼馴染を連れて行っては焼き殺したんだろっ!!

それだけじゃない。あの錬金術師と組んで俺の祖父を焼き払った。

隠れて潜んでいた俺の前でだ」

 

 

もはや、暴力を振るわれる事も憎悪の言葉を吐かれるのもどうでも良かった。

ノックスは聞き流す様に、その言葉を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~◆◆~

 

 

 

 

次の日、ロイはある家で火事が起きた事を新聞で知って、その家に駆け走った。

検死官が撤収準備をしていて、警察官が周りに近寄らない様にと言っている。

ロイは自分が国軍の大佐であることを明かして、強引に事件の内容を聞き出した。

 

 

 

新聞では自殺という事らしい。首を吊っていたそうだ。

その上での放火、挙句に自分の下を逃げ出した家族を巻き添えにして。

 

だが、ロイはそんな事をする筈が無いと信じていた。

 

 

警察官は、オフレコと言う条件でこっそりと真実を彼に伝えた。

 

 

――――ノックス医師は後ろ手を縛られていた、と。

 

 

かつてノックスとロイは、軍の命令で、戦場でイシュヴァール人を焼いては、火傷の研究をしていた。

また別の件で、ロイは焼死体の偽装をノックスに頼んだこともあった。

色々な意味で、ロイとノックスは共犯者だ。

だが、ノックス自身の死体は本物だった。

 

 

「よくもっ、よくもやってくれたなぁっ!!」

 

親友を殺され、共犯者までもを殺された復讐者は、怒りの焔でその心を染めた。




金髪でお尻がグッドな美女の頑張りは届くのでしょうか?







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