夢を見ている。
目の前には十代前半ぐらいの黒髪の男の子。
季節は冬。
この世界に来て最初の冬休み。
わたしは男の子の勉強を見てやっている。
教科は国語。小説を読み、後の問いに答えよ、というもの。小説の内容は戦争に行った父や兄を待つ家族の様子を綴ったもの。
「エリアは寂しくないの?」
今まで黙々と問題を解いていた男の子がポツリとこぼす。
「急にどうしたの?」
「だってこの話では最後はお父さんとお兄さんに会えるけど、エリアはもう家族に会えないんでしょ?寂しくないの?」
その幼い故に率直な問いにわたしは
「………ん」
そこで目が覚めた。
夢を見ていた。とても懐かしい、自分でも忘れかけていた夢。
「あの時何て答えたんだっけ………」
仰向けに寝転んで天井を見ながら、記憶の引き出しを探っていると、すぐそばからよく知る声が聞こえた。
「目が覚めたなら早く退いてくれないか」
寝転んだまま声の方向に頭を傾ける。目の前にあったのは夢の中の男の子の面影を残しながらも年相応に成長した少年の顔。彼我の距離は五センチにも満たない。予想外のことに思考停止。
「まだ寝ぼけてんのか?」
声をかけられ再起動。
「うわひゃあっ!?」
慌てて離れようとしてベッドから転げ落ち、床で頭を打つ。とても痛い。
「何でわたし実体化してるの!?」
「俺が知るか。気持ち良く寝てたのにいきなり人の上に降ってきやがって………昨日の晩飯がリバースしかけたぞ」
荘太の言葉につい自分の身体が汚れていないか確認する。
「そこは俺の心配をするところだろう!」
いやいや、女の子なら仕方ないでしょ。
実体化していたせいで付いた寝ぐせや服のシワを直していると、着替えを終えた荘太が
「今から朝飯食べに行ってくるけど、お前はどうする?」
「食べるけどまだ少し時間かかるからパンか何かとっといて」
むう、寝ぐせがなかなか取れない……ワックスでも付けるかな?でもベタベタするのは嫌だしなぁ………
そんな感じで寝ぐせと格闘すること数十分。
水とドライヤーを駆使してようやく寝ぐせをおとなしくすることに成功した頃に荘太が戻って来た。
「随分遅かったね。何かあったの?」
「寮の食堂が混んでたからな。校舎まで行ってドローパン買ってきた。」
言われてみれば右手に紙袋を抱えている。
………それにしても、ドローパンかぁ。
「荘太がそれ買うなんて珍しいね。いつもは普通にカレーパンとかなのに」
「まあ、たまにはこういうのもいいかと思ってな。十代達も買ってたし」
「十代君達もドローパンかぁ………何が当たってた?」
「十代は卵パン、翔は数の子パンだったな」
数の子パンって………何でパンに入れようと思ったんだろ………
「翔君は運が無かったね。十代君は今回で何回目だっけ?」
「たしか八連続だったかな。一日一つしか手に入らない筈なんだが、あいつの強運はとんでもないな」
十代の引きの強さはデュエルだけじゃないってわけか。
「そろそろ食べるか。この後用事もあるしな」
「あれ?今日は休日だから授業はないんじゃ?」
「さっき十代にレッド寮に遊びに来ないか誘われたんだよ。ほれ、お前の分」
荘太はベッドに腰を下ろすとそう言ってわたしに向かってパンの包みを投げる。
「ん、ありがと。さて中身は何かなっと」
結果は、
「………ハズレだ。何も入ってない」
「まあ、変な物が入ってるよりいいんじゃない?………わたしなんて漬物パンだし」
キムチやピクルスならともかく何故らっきょなのさ?しかも大量に入ってるし………
苦行一歩手前の朝食を終え、わたし達はレッド寮前に来ていた。実体化したまま来たのでイエロー寮を出る際に三沢に遭遇していろいろあったが気にしないことにする。
………荘太は頭を抱えてるけど。
「………三沢なら周りに言いふらしたりしないだろうからまだ良かったけど他の奴に見られてたらどうすんだよ。朝から女を連れ込むような奴ってレッテル貼られちまうじゃねえか」
「そのときはそのときってことで。それに堂々としてれば意外となんとかなるもんだよ。そんなことよりもわたしの姿を見て何か言うことあるんじゃない?」
腰に手を当て胸を張る。
「そういえばこの前もブルーの制服着てたな。どうしたんだそれ?」
「千尋のお古を仕立て直したの」
「仕立て直したってお前がか?難しかっただろうに」
「うん、本当に大変だったよ。………特に胸の辺りが」
うう、自分で言ってて悲しくなってきた。
「………何というか、まあ、あれだ、ご愁傷様です」
「慰めないでよ、余計悲しくなる………」
「この話はおしまい!何時迄も沈んでたら十代君達に心配されちゃうからね!」
沈んだ空気を振り払うべくわざと大きな声で言う。もっとも、沈んでいたのはわたしだけなのだけれど。
「じゃあさっきまでのやりとりは無かったってことで。おーい、十代!遊びに来たぞ!」
荘太の声にドアが開き、十代が顔を出し、わたし達を部屋に招き入れる。
「さっきぶりだな荘太。そういえばドローパンの具は何だった?」
「何も入ってないただのコッペパンだった」
「あちゃー、まあそういうこともたまにはあるよな。次はきっと良いのが当たるって。て、あれ?エリアも来てたのか」
「うん、来る途中で会ってね」
本当はイエロー寮からずっと一緒だったんだけどね。
十代に続いてドアをくぐる。………うん、二年前に来た時と変わらない狭さと古さだね。生徒の向上心を高めるためとはいえユニットバスぐらいつけてあげればいいのに。
部屋の奥(と、言っても一部屋しかないから直ぐだけど)では翔とコアラによく似た顔をした前田隼人君がちっこいテレビの前に座っていた。
「いらっしゃい。荘太君、エリアさん」
「いらっしゃいなんだなぁ」
「おはよう」
「翔はさっきぶり。隼人はおはよう」
わたし達の挨拶が終わると十代が二段ベッドの下から一昔前のゲーム機とコントローラーを引っ張り出してきて
「よし、ス○ブラしようぜ!」
いやいや、君デュエルアカデミアの生徒なんだからデュエルモンスターズに関係あることしなよ。まあ、ス○ブラ楽しいからわたしもやるけど。
「くそっ!何でこんなにプ○ンの耐久性が高いんだ!?」
「荘太君の○スのハメ技もヒドイけどこのプ○ンしつこ過ぎるっスよ!」
「飛ばしても飛ばしても帰って来るんだなぁ……」
「ふふふふふ。ピンクの悪魔と怖れられたわたしの力、思い知るがいいわ」
「いや、それ別のキャラだろ………つか、今更だけどこんなことしてて大丈夫なのか?」
「ん?大丈夫って何がだ?」
ゲーム開始から約一時間、荘太のつぶやきに十代が反応する。
「月一試験、明後日だぞ。お前ら勉強してるか?」
「………してないけどなんとかなるって!」
荘太の問いに笑いながら答える十代。
君は実技で何とかなるかもしれないけどね………
「………どうしよう、ぜんぜん勉強してないよぉぉ〜!!」
頭を抱える翔。
あれ?隼人は随分と落ち着いてるね?普段から勉強してるの?
「俺はもう諦めてるんだなぁ」
ダメじゃん。
「よし、お前らゲーム機しまえ。試験勉強するぞ」
荘太はそう言って壁に立て掛けてあった卓袱台を部屋の真ん中に持ってくる。
それに対し十代は、
「じゃあデュエルしようぜ!」
君、荘太の話聞いてた?
自分のことを白い目で見るわたし達に気付いたのか慌てて弁明する。
「い、いや勉強が嫌なんじゃないぞ!?筆記試験の勉強も大事かもしれないけどさ、ここじゃ実技の方が重要視されてるだろ。実際俺は入試の時に筆記では点数低かったけどクロノス先生に勝てたから入れたし」
だから実技の練習をしようと言う十代。
「確かに実技も重要だ。でも、筆記試験はデュエルモンスターズのこと以外にも基本五教科があるんだから勉強はしたほうがいい」
どちらも譲らず狭い部屋に沈黙が降りる。
ん?翔と隼人がこっち見てる?わたしがかわいいからってそんなに見つめられたら照れるんだけど。え?違う?あぁ、この空気どうにかしろって?ハイハイ、わかりましたよ。そんな訳で一つ提案してみる。
「十代君、そんなにデュエルがしたいならわたしが相手してあげるよ」
デッキを取り出し、立ち上がるわたし。
「そういえば、エリアとはまだデュエルしたこと無かったな。よし、受けてたつぜ!」
十代も立ち上がりデュエルディスクを構える。
「ただし終わったら勉強すること。荘太もこれなら文句ないでしょ?」
「ああ、わかった」
「まあ、それならいいか」
原作主人公相手に何処まで戦えるかいっちょ頑張ってみますか!
レッド寮前の開けた場所でわたしと十代は十分な距離を開けて向かい合う。
「めんどくさい前置きは置いといて始めようか」
わたしの言葉に十代も頷く。
「「デュエル!!」」
わたしのデュエルディスクに表示された『先攻』の二文字に従いデッキからカードを一枚引く。
エリア:手札5→6
「荘太君、エリアさんのデッキってどんなデッキなんスか?」
「詳しくは言えないけど伏せを多用するデッキだな」
「コラァ!何勝手に教えてんの!?」
「すまん、つい」
後でしばく。とりあえず二人を睨んでおいてデュエルを再開する。
「カードを二枚伏せ、《ガガギゴ》を攻撃表示で召喚!」
ガガギゴATK1850
わたしのフィールドに青い鱗で身体が覆われた二足歩行のトカゲのような姿をしたモンスターが現れ唸り声をあげる。
「攻撃力1850って何か微妙なモンスターっスね………」
その微妙なとこがいいんじゃない。
「わたしはこれでターンエンドだよ」
エリア:場、ガガギゴATK1850、伏せ二枚、手札3
「俺のターン。ドロー」
さてどう来るかな?
あれ?手札見てガッツポーズしてる。メチャクチャ嫌な予感がするんですけど………
「魔法カード《融合》!手札のスパークマンとクレイマンを融合!来い《E・HERO サンダー・ジャイアント》!」
サンダー・ジャイアントATK2400
黄色と紫色のボディを持つ大男が現れる。
………この部分だけ聞くとヒーロー(英雄)というよりヒール(悪役)のような気がするのはわたしだけかな?
「サンダー・ジャイアントの効果発動。一ターンに一度自分の手札を一枚捨てることでフィールド上に表側表示で存在する元々の攻撃力がこのカードの攻撃力よりも低いモンスター1体を選択して破壊する。ガガギゴを破壊しろ!『ヴェイパー・スパーク』!」
こうかはばつぐんだ!
あぁ、張り切ってたのにたったの一ターンで退場………合掌。
「まだまだいくぜ。魔法カード《闇の量産工場》を発動して墓地に存在するクレイマンとスパークマンを回収し、スパークマンを召喚!」
スパークマンATK1600
今度は青と金の装甲を持つ細身のヒーローが現れる。あれ?これワンキル?
「スパークマンでダイレクトアタック『スパークフラッシュ』!」
させるかぁ!
「罠カード《ゴブリンのやりくり上手》発動。それにチェーンして永続罠《強制終了》発動!」
「《強制終了》?初めて見るカードだな」
「ゴブリンのやりくり上手は墓地の同名カードの枚数+一枚ドローした後手札を一枚デッキの下に戻すカード。強制終了はこのカード以外の自分フィールド上のカードを墓地に送ることでバトルフェイズを終了させるカードだよ」
わたしの説明に成る程と頷くレッド生三人。
「さて、問題です。チェーン1ゴブリンのやりくり上手、チェーン2強制終了と組み、強制終了の効果発動の為にゴブリンのやりくり上手を墓地に送ったらどういった処理をするでしょうか?はい、さっきわたしのデッキ内容を聞き出そうとした翔君、制限時間は一分。はい、スタート!」
「ちょ、え?えええぇぇぇ!?」
残り50びょー。
「はい!」
はや!もうわかったの!?
「チェーンって何スか!?」
ファッ!?そこからかいっ!?
「チェーンって言うのは魔法や罠カードなどの応酬をスムーズに解決するためのシステムで、1枚のカードの発動に対応して別のカードを発動させる行為のことなんだなぁ」
おお、隼人君解説ありがとう。
「そんでもって最初に発動したカードをチェーン1とし、チェーン発動するごとにチェーン2、チェーン3…とチェーンブロックが積み上げられていって、チェーン発動が終了すると効果の処理に入り、最後に発動したチェーンから順に効果の処理を行っていくんだなぁ」
以上隼人君の用語講座でしたー。
「ああ!あれってチェーンって言うのか!」
うおい十代君もか!
「いやー普段知らなくても問題無かったからさ」
き、気を取り直して、
「今の隼人君の説明でチェーンについてはわかっただろうからもう一度聞くね?どういう処理をするでしょうか?」
「えっと、バトルフェイズを終了して一枚ドローした後手札から一枚デッキの下に戻す?」
うん、やっぱり引っかかったね。
「残念、ゴブリンのやりくり上手のドロー枚数は効果解決時の墓地の同名カードの枚数で決まるんだ。そしてこのカードが墓地にあればその枚数に数えられるから、二枚ドローした後手札から一枚デッキの下に戻す。が正解だよ」
ちょっと落ち込む翔。隣の荘太がフォローを入れる。
「今のは結構間違える奴がいるからそんなに気にするな。筆記試験に同じような問題が出た時に間違えなければいいさ」
「強制終了の他にも《非常食》とかで同じようなことができるよ。と、いうわけで、スパークマンの攻撃は通らないよ。そして、わたしはデッキから二枚ドローして一枚をデッキの下に戻す」
エリア:手札3→4
「ちぇっ、決まったと思ったのになぁ。俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」
十代:場、サンダー・ジャイアントATK2400、スパークマンATK1600、伏せ一枚、手札1
「わたしのターン。ドロー」
エリア:手札4→5
まだ逆転は無理か………
「モンスターをセット。カードを二枚伏せてターンエンド」
エリア:場モンスター(裏守備)、強制終了、伏せ二枚、手札2
「俺のターン。ドロー」
十代:手札1→2
「魔法カード《強欲な壺》デッキからカードを二枚ドローするぜ」
十代:手札1→3
「速攻魔法《サイクロン》発動!強制終了を破壊!」
くっ、もう突破してきたか。
「墓地のネクロダークマンの効果!このカードが墓地に存在する限り1度だけ、
自分はレベル5以上の「E・HERO」と名のついた
モンスター1体をリリースなしで召喚する事ができる。俺はエッジマンを召喚!」
十代の場に半透明の赤と黒の悪魔みたいな姿のモンスターが現れたかと思うとすぐに消え、同じ場所に金ピカのロボットみたいなモンスターが現れる。
エッジマンATK2600
どちらかというと戦士というより機械だよね。ネクロダークマンといい、エッジマンといい、クレイマンといい、ヒーローには初見で戦士族とは思えないモンスターが結構いるなぁ。
「エッジマンで守備モンスターに攻げ「させるか!罠発動《陽動作戦》!このターン裏側表示のモンスターを攻撃対象に選ぶことはできない」………ターンエンドだ」
十代:場、サンダー・ジャイアントATK2400、スパークマンATK1600、エッジマンATK2600、伏せ一枚、手札1
「わたしのターン。ドロー」
エリア:手札2→3
「《死者転生》を発動。手札一枚
をコストに墓地のガガギゴを手札に加えるよ。そして、リバースカードオープン!《DNA移植手術》!わたしが宣言するのは水属性!」
十代のフィールドのモンスター達が青色のオーラに包まれ水属性に変わる。
「モンスターを反転召喚」
水霊使いエリアATK500
現れたのはわたしそっくりな女の子。まあ、わたしが宿ってるカードだからそっくりなのは当たり前なんだけど。
「リバースした《水霊使いエリア》の効果発動。このカードがフィールドに表側表示で存在する限り相手フィールドの水属性モンスター一体のコントロールを得る。エッジマンはもらうよ!『アクア・テイム』!」
最初は抵抗したエッジマンだったが、効果には逆らえずこちら側に歩いて来る。
「そして、ガガギゴを召喚し、バトル!ガガギゴでスパークマンに、エッジマンでサンダー・ジャイアントに攻撃!『ダブルスラッシュ』!」
ガガギゴがその鋭い爪で、エッジマンが腕の刃で、すれ違いざまにそれぞれの攻撃対象を切り裂く。
十代:LP4000→3550
削り取った数値はほんの僅か。でも、フィールドはセットカードが一枚のみ。さっきの攻撃時に使わなかったってことは攻撃反応系じゃない!
「水霊使いエリアでダイレクトアタック!「罠発動!」っ!?」
え、このタイミングで!?
「《ヒーロー見参》!相手に自分の手札をランダムに選択させ、そのカードが特殊召喚可能なモンスターなら自分フィールドに特殊召喚する。俺の手札は一枚、よってクレイマンを特殊召喚!」
粘土の身体を持つヒーローが現れる。
クレイマンDEF2000
「攻撃は中止、水霊使いエリアとエッジマンを墓地に送り《憑依装着ーエリア》をデッキから特殊召喚!」
憑依装着ーエリアATK1850
エッジマンが霊体になり、水霊使いエリアの後ろに控える。………って、ガガギゴさん?何羨ましそうに見てるんですか?
「くそっ水霊使いエリアを倒せばエッジマンを取り戻せたのに」
「そう簡単にはいかないよ。さらに魔法カード《マジック・プランター》発動。自分フィールド上の永続罠、DNA移植手術を墓地に送り二枚ドロー」
エリア:手札0→2
「カードを一枚伏せてターンエンド」
エリア:場、ガガギゴATK1850、憑依装着ーエリアATK1850、伏せ一枚、手札1
「俺のターン。ドロー!」
十代:手札0→1
「《馬の骨の対価》クレイマンを墓地に送り二枚ドロー」
十代:手札0→2
この状況でそれは博打すぎるような………
「《ホープ・オブ・フィフス》発動!墓地のサンダー・ジャイアント、エッジマン、スパークマン、ネクロダークマン、クレイマンをデッキに戻し二枚ドロー!」
十代:手札1→3
「さらにバブルマンを召喚!召喚成功時に自分フィールド上に他にカードが存在しないので二枚ドロー!」
バブルマンATK800
十代:手札2→4
いやいや、どんだけドローすんのよ。
「よっしゃ行くぜ!《融合》を発動!バブルマンと手札のスパークマン、フェザーマンを融合!来い《E・HERO テンペスター》!」
テンペスターATK2800
また随分と出しにくいのが出てきたなぁ。
「テンペスターでガガギゴに攻撃!『カオス・テンペスト』!」
腕に装着された銃による攻撃でガガギゴがあっけなく倒される。三体融合の割に攻撃方法が地味だね。
エリア:LP4000→3050
「俺はこれでターンエンド」
十代:場、テンペスターATK2800、手札1
「わたしのターン。ドロー」
エリア:手札1→2
よっしゃぁ!これで勝つる!
「速攻魔法《ディメンション・マジック》!自分フィールド上に魔法使い族モンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができ、
自分フィールド上に存在するモンスター1体を生け贄に捧げ、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。
その後、フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する事ができる。わたしは憑依装着ーエリアを生け贄に捧げ、《氷の女王》を特殊召喚!」
憑依装着ーエリアが棺に収納され、数秒後氷の髪に白いドレス、氷の杖を持つ女性が棺から出てくる。
氷の女王ATK2900
「そしてディメンション・マジックの効果でテンペスターを破壊!」
背後に現れた棺にテンペスターが吸い込まれ、蓋が閉じたところを氷の女王が魔法で創り出した氷柱が貫く。
「くそっテンペスター!」
「氷の女王でダイレクトアタック!攻撃宣言時に罠発動!《マジシャンズ・サークル》!魔法使い族モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができ、お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のデッキから
攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。わたしは《デュアル・サモナー》を特殊召喚!」
仮面を付けた魔法使いが現れる。
デュアル・サモナーATK1500
「………俺のデッキには魔法使い族は入ってないんだよなぁ」
「じゃあこれで終わりだね。二体の魔法使いでダイレクトアタック!『コールドランス』!『サモン・マジック』!」
氷の女王が放った氷柱とデュアル・サモナーが呼び出した使い魔の攻撃で十代のライフポイントはゼロを刻んだ。
十代:LP3550→0
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
あ、負けてもそれ言うのね。
「いやーエリアも強いんだな!」
「まあ、荘太とも何回もデュエルしてるしね。強くなきゃ相手は務まらないよ」
「つか、十代はガガギゴじゃなくて憑依装着ーエリアを攻撃対象に選ぶべきだったんじゃないか?魔法使い族の方がサポートが多いから厄介だろ」
あ、それはわたしも気になってた。
「エリアにそっくりだから何か気が引けてさ、だから同じ攻撃力のガガギゴを攻撃したんだよ」
「あ、そういえばそっくりっスね」
「髪型も髪の色も同じなんだなぁ」
「あははは、よく言われるよ」
本人なんで。
「そんじゃあ勉強しますか」
「げ、忘れてた」
「アニキ、デュエルの前にエリアさんが言ってたじゃないっスか」
「十代は完全にデュエルに夢中だったんだなぁ」
レッド寮の部屋へ向かってぞろぞろと歩く彼らについて行きながら、わたしは今朝見ていた夢の続きを思い出していた。
「寂しくはない、かな。確かに、家族には会えないけど、でも、その代わりに千尋や荘太、みんなに会えたし、今の生活も結構楽しいしね」
「ほんとに?」
「うん。もちろん!ほら、そろそろご飯できる頃だよ。手伝いに行こ!」
わたしはそう言って荘太の手を引っ張るのだった。
あの時はまだ少し強がってたけど、今なら本心から言えるよ。
精霊になってこの世界に来たおかげで荘太やみんなに会えて良かったって。
エリアが精霊に転生する前の年齢は16、17くらいの設定
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