もしウィッチの関係者がこんな人だったら。 作:ロンメルマムート
--某ドキュメンタリー番組の冒頭から
「お兄ちゃん、いつもありがと。お兄ちゃんが整備し始めてから故障が減ったよ」
「なーに可愛い妹のためならこのぐらい朝飯前さ!というかなんなんだよここの整備システムよぉ」
「あ、それ私も思った。なんで故障前整備とかしないのかなぁ…」
「そうそう。スオムスだったら毎回整備の際には整備報告書をちゃんと書いて出さないと怒られるしさ整備作業を監督する要員がいない、さらに言えばなんで出撃前の目視確認しねえんだよ」
「お兄ちゃんの言うとおりだよ。整備は戦闘以前に安全に関わるからね」
全くだ。単独機での世界最悪の航空機事故だって整備ミスが原因だし整備ミスの事故なんて有名なのだけで両手両足の指の数じゃ収まらんぞ。
たくスオムスだと俺が強権振るって整備体制の大改革したおかげで整備ミスも墜落も事故も全部減ってのにこっちは未だに時代遅れの整備システムとかふざけんな。
どうも初めまして第502統合戦闘航空団整備部長ユホ・クスティ・カタヤイネン大尉です。
で、隣にいるのが妹のニパことニッカ・エドワーディン・カタヤイネンです。
え?何話してた?なにスオムスでやってた整備についてだよ。二人でスオムスで整備問題で大波乱起こしたから思い出深いんだよ。
前世は自衛隊から某IATA2レターコードがNHでボーイングカスタマーコードが81な航空会社で整備士してました。
整備してたのは自衛隊でF4、某社で737-800、747-400、787-8ですね。
え?俺入った時はまだジャンボ飛んでたんだよ。最近減ってるらしいよねジャンボ。なんかちょっと悲しいなぁ…
で、ある日某IATA3レターコードがHND、ICAO4レターコードがRJTTな空港から車で帰る際に疲れからか居眠り運転して事故って死んだ。で、こうなりました。
この世界ではヘルシンキ大学を飛び級で卒業してからスオムス軍に志願しました。
その際に整備システムの効率化と統計学の能力をプレゼンして整備専門士官として42年に第24戦隊に配備されました。
で、その部隊には妹のニパもいた。でニパはそこで“異常な程”落ちていた。
すぐに俺は思ったよ。「あ、整備システムがダメなんだ」って。
現代の旅客機は整備に関して非常に多くの規則がある。
一定飛行時間や回数のたびに整備が行われ、その回数や期間もあるものは数年ごとだったりまたあるものは飛行するたびに交換しなければならないものだってある。
更には経年機は追加で数々の整備、例えば超音波検査機を使って金属疲労を探したり本当に嫌になる程沢山のルール、整備がある。
別に手を抜いてもいいんじゃない?とか思う人もいるかも知れないけどこうしないと乗客の安全は担保できない。
実際2001年にアラスカ航空が整備の間隔を経費削減と称してわざと広げた結果事故を起こして88人もの死者を出したし、その他にも正しい部品を使用しなかったため飛行中に機長席の窓が吹っ飛んだブリティッシュ・エアウェイズ5390便、不適切な整備をした上に監査機関が大目に見ていた結果大惨事となったチョークス・オーシャン・エアウェイズ101便、間違った計器を付けた結果燃料切れを起こしたチュニインター1153便、不適切な修理を行い20年後に傷が開いたチャイナエアライン611便、未だに史上最大最悪の事故として知られる日本航空123便、共食い整備で大失敗したオペレーション・ベビーリフト、面倒だという理由で正規の整備手順を守らなかった結果起きたアメリカン航空191便、塗装後の清掃という最後の最後でやらかしたXL航空888T便、整備後の後片付けをミスったヘリオス航空522便、整備士じゃないのに整備を手伝った結果やらかしたコンチネンタル・エクスプレス2574便、ちょっとした整備ミスが航空史上初の退化を齎したエールフランス4590便等々
整備ミスだけでこれだけの事故が起こり沢山の人が死んでいる。
だからこそ整備は重要なんだ。
で、まず24戦隊で整備システムの抜本的改革を開始した。
まず整備回数交換期間をパーツ単位で設定、頻繁な交換と整備により故障前整備を徹底した。
次に整備マニュアルの改訂。
複雑で難解な語が多く分かりにくいマニュアルに代わって分かりやすく丁寧なものに変更したほかトラブルシューティングマニュアルを新たに作り不具合コードを設定した。
そして整備士とウィッチの打ち合わせ。
飛行のたびに整備士に不具合がないか報告し飛行日誌に記入を行う、不具合があった場合整備士はその原因をトラブルシューティングマニュアルから探しそこに書かれたコードを整備マニュアルから探してその通りに整備を行い整備報告書に記入、整備後の飛行の前にウィッチと打ち合わせを行い不具合が解消されたか確認する。
これだけで一気に事故率が減ったんだがパーツ単位での不具合統計を見たところどうもBf109の一部パーツの不具合率・故障率が異常に高いことに気が付いたわけ。
なにせそのパーツだけ不具合率がほかのパーツの10倍近いんだぞ。その上その大半が書類上の交換期間の半分ほどで故障していた。
で、俺は異常だと思ってそのパーツのいくつかをサンプルとして回収、カールスラントから直輸入した純正パーツと比べたところ一部パーツがおかしいことに気が付いた。
まず書類上のサイズと微妙に違う。0.5mm程度の誤差がある。
次に金属の品質が違う。どうも金属の材質が微妙に違うようで空軍冶金研究所の知り合いに分析を依頼したらパーツ内部に不純物が混じって耐久性が低下していた。
そして何より製造メーカーが違う。純正品ではなくどうやら下請けメーカー製のが純正品に大量に紛れ込んでた。
中には扶桑製の低品質パーツや明らかに使い古されたようなパーツまであった。
で、俺は直感的に思ったよ、不味い事態だって。
スオムスに輸出された整備パーツの一部に模造品が大量に混じってるんだ。
こういった整備パーツの模造品というのは非常に危険だ。
実際史実でも1989年にデンマークで模造品の整備パーツが壊れて旅客機が墜落している。
現代ではほとんどなくなっているけど90年代初めには恐ろしいことに市場に大量に蔓延していてこの事故をきっかけにアメリカのNTSBが調査したところFAAの倉庫で保管されていた整備パーツの4割が模造品で世界で最も墜落してはいけない飛行機であるエアフォース・ワンにまで模造品が使われてたほど。
すぐに俺はこの危険性を上層部に知らせて上層部は即座にスオムス軍の全ユニットの検査を行い問題のパーツをすべて除去、さらに在カールスラントスオムス大使館に命じてこの模造パーツがスオムスに輸出された理由を調査させた。
で、大使館の調査の結果、パーツの製造メーカーが拡大する需要に耐えられなくなったため下請けや孫請け、さらにはこういった非常に小さな誤差が求められるパーツを製造したことのない聞いたことすらない会社やペーパーカンパニー、詐欺紛いのような会社といった問題のある企業にパーツ製造を委託させた結果こういった模造品が純正品に混ざって輸出されたらしい。
しかもたちが悪いのは自国軍向けは純正品メインなのにスオムスやヒスパニア、ヘルウェティアといった国向けの輸出品にこれを混ぜてた。
これを受けてカールスラント当局はすぐにこの会社を調査して主だった連中を全員捕まえたらしいんだがスオムスではこの事例を受けて全輸入機械の総点検をしたところどういうわけかカールスラント製のみ整備パーツに大量の模造品が混ざっていたことが判明、さらにスオムスの事例を受けて他国軍でも調査したところ同じように品質に問題を抱えたパーツが大量に混ざっていたことが判明。
そのためスオムスとカールスラントでこの事件が外交問題化した。
お陰で501へのウィッチ派遣が遅れた上に他国軍でもカールスラントへの不信感が爆発、スオムスにではユニットの第2次輸入計画をカールスラントのBf109から生産能力に余裕のあったリベリオンのP51に乗り換えたしヘルウェティア、ヒスパニアでも同じような事態になった。
この事件で派手に信頼を失ったカールスラントは一気に模造パーツのブラックマーケットを摘発したらしいがそれでもなぁ…すでに悪評が板についたようで43年からは一気に兵器の輸出が低調になってたよ。
ちなみに24戦隊時代はニパは機材不調を理由には落ちなかった。やっぱ整備が悪かったみたい。
ただ悪天候と戦闘での損傷では結構落ちてた。
この模造パーツ騒動の後うちからニパとイッルが派遣された。
で、両方とも向こうでやらかした。
何を?まずイッル。向こうの整備システムがこっちと同じだと思って容赦なく整備士と絡んだ。
で、向こうのミーナなんとかとか言うBBAがキレた。なんかこっちに会議できたとか言う時に抗議に来た。
まあいくら郷に入れば郷に従えとは言うもののこっちのシステムの方が安全で効率的だからなぁ…
俺としては501でのスオムス型整備システムの構築を勧めたんだが何故か拒否された。
スオムス軍でやった時と同じプレゼン資料でやったんだけどなぁ…
でニパ。また落ち始めた。
スオムス軍はすぐに調査要員を送った。で原因が分かった。整備システム。またかよ。
それでスオムス軍は502での整備システムの構築のため俺を送った。
まあ二回目で向こうの戦闘隊長が技術屋でやたらとニパのこと心配してたみたいだから意外と楽にできた。
501なんて隊長の頭が固くてどうしようもなかったのに502のラル隊長はすんなり受け入れてくれたので楽だった。
まあウィッチの方は飛行のたびに書類を書いて整備士と会話する必要があるから苦手そうな反応してる人も多いけど。
「そういやお兄ちゃんってイッルとどう言う関係なの?」
「え?何藪から棒に」
「この間イッルからお兄ちゃんにラブレターみたいな手紙来たよね?」
「え?なんで知ってるの?」
な、なんでバレた…イッルが俺のこと好きなこと。
まあ24戦隊だとラプラとハッセも俺のこと好きみたいだからなぁ…
ハッセ元気にしてるかなぁ…色々ヤバい噂しか聞かないカワハバで大丈夫かなぁ…
ラプラも最近怪我したらしいけど元気だと良いなぁ(現実逃避)
(設定)
名前:ユホ・クスティ・カタヤイネン
所属:第502統合戦闘航空団整備部長
階級:大尉
生年月日:1920年5月25日
スオムス空軍出身の整備士。
スオムス軍で整備システムの大改革を行い、結果事故率が低下、稼働率を上げた実績を持つ人物。
整備士そのものの腕は普通だがそれよりも整備マニュアルに至るまでの徹底した改革はスオムス出身の整備士により世界中の軍に影響を与えた。
カールスラントの模造パーツ輸出事件を暴いた張本人。
意外とモテる。
名前のモデルはパーシキヴィ路線を決めたフィンランド第7代大統領ユホ・クスティ・パーシキヴィ。
誕生日はチャイナエアライン611便空中分解事故のあった日から。
(今回の原作改変・独自設定)
・整備システム
・悲報:カールスラントやらかす
・カールスラント製の信頼が地に堕ちる
・イッル、501でやらかす
・ニパの事故率が大幅低下
・イッル、ニパ兄貴が好きになる
・ラプラとハッセも好き
・BBAは頑固で無能
・ラルさんは有能
整備システムという意外と忘れがちな所に光を当ててみた。
メーデー民である自分からすれば整備が事故の一因なんて山ほどあるからなぁ…
ちなみに模造品についてはカールスラントの大量生産能力に疑問を持ってるんでありうると思って作ったけどこれ酷い失態だなぁ…Bf109の信頼性に関わるとかなぁ…
史実ではこういった模造品の整備パーツは民間航空業界で一時蔓延していてエアフォースワンでも見つかってる。
詳しくはメーデー!航空機事故の真実と真相シーズン6オスロ発チャーター機(ノルウェーのパータンエアー394便事故)をどうぞ。