まるで自分が私でないかのよう。
意識の戻った私はぬかるんだ足下を踏み締めて、周りを見る。
ここが荒れ果てどういった用途で使われていたかは知る由もないが、暗く、冷たく、無機質で、廃墟めいた様子だった。
いない筈の人の息遣いは私にハッチを開けさせ、退室を促した。
踊り場のない二階への足場が見える。
一階には見渡しても他に確認できる出口もなく、仕方なく登ろうとする。
およそ暖かみという要素が排除されたこの空間から、薄暗くとも少しでも光のある場所へと
ほんの少し前までいた部屋を思い出す。
そこでは殆どが何処へと消え去り、残った何れもが一度形を失い、原型を辛うじて残すのみ。溶かした飴玉を溶け果てる前に冷やしたらこうなるだろうか
山を登るように、けれど上へ急ぎ行く。
おそらくここは尋常じゃない
二階の床に手をつけて、目に付いた。
私の手はこんなだっただろうか
―――コレが今の私の手だ。随分と硬質な、生物らしくない。これでバイオ素材なのだから不思議なことだ
―――仲間はどこだ?仲間?そういえばどこだろう。辺りにはいない。探さなければ
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暗く入り乱れたこの建物に、最早一つもいないのだと気付いてからは、怖気に背から抱き締められて圧迫された心臓がいよいよ私を急かし始めた
歩けば自分の足音が己の孤独を報せに帰って来る。
堪えきれず、走り出そうとした時に何かが聞こえた
壁の向こうにいる
待望の仲間との邂逅の為に障害は取り除いてしまえ。
考えるよりも前にアームキャノンを構え、破壊力の最も高い兵器を使用。
目前の爆発がおさまるや煙のカーテンを手で払い除けつつその先を見る。
煙に映るシルエット、瞼を精一杯に開けて正体の確認に努めると
バイザー越しに驚愕を露にする女性
目があった時には相手は地中へ消えつつあった。
疑問と相手への対応で頭が突沸した私はそのまま見送ってしまった。
後を追うべく痕跡を辿ろうとすると、彼女はエレベーターを作動して降りただけのようだった。
熱くなった顔を意識の外に追いやり、エレベーターを起動しようとする。だが作動しない。
先程の一発で機械がイカれたのかもしれない。
同様に故障したであろうハッチを吹き飛ばし、別の道から彼女を追いかけようとして、思う。恐らくこの高さなら直接下りても問題ない。
底の見えない暗闇を覗くと体の中で心音が暴れまわる。
制御が利かない。私を乱すコレは何だ
ここで直ぐに彼女と合流したらコレがとまるのだろうかと想像して、決めた。
ここから飛び降りよう