よって続いた
今回はサムスがメインです
修正しました。
エレベーターが降りきると先程の破壊が原因か、構成する光帯が失われた。
その現象をぼんやりと見詰めながら、あの存在を定義した。
アレは私――――――――を模した化け物
虹彩も瞳孔もなく此方を見据えた台風の目は、此方の頭の中を滅茶苦茶に掻き乱して更地に変えて行った。
思考に割ける余裕の出来た私は指令を思い出し、セクター1――――SR388の疑似環境に続く道を確認すると、背肌の粟立ちに駆られて走り出した。
背後で金属のひしゃげる、冷たく臓腑に響く音がする。
背後を確認するまでもない。やはり脅威は去っていなかったのだ――――
ハッチを開けるや否やディスプレイを叩いて彼の名前を叫ぶ。
「アダム!」
「どうした、レディー」
「今すぐハッチを占めろ!とびきり固いヤツでだ!」
「承知した」
ハッチがナビゲーションルーム特有の分厚いソレに変わる。
「・・・」
「・・・」
一瞬の沈黙
轟音。
ナビゲーションルームが揺れる。
「サムス、キミは逃げろ。ここは私が手を打つ」
二度目の轟音。
ハッチに亀裂が走る。
「点滅するハッチを追え、安全な所へ誘導する」
3度目の轟音。
亀裂から悲鳴のように火が迸る。
「以上だ」
「了解した」
返事を皮切りに私は駆け出した。
――――――――――――――――――――
アレがかつての私と同等の性能を誇るなら今の私に対抗する術はない。
もし私がメトロイドの体質を受け継いでいたなら、冷気に極端に弱い私はアイスビームで封殺されかねない。
ベビーが救ってくれたのだ、この命を無駄にはしたくない。
だがそれはそれとして疑念がある。
懸念と言っても良い。
私に投与されたベビーから作られたワクチン。
ソレによって私はx――――ゼリー状の鮮やかなオレンジ色の寄生生物――――から一命をとりとめた。
中枢神経、「脳の大部分」まで侵されていたのにもだ。
銀河連邦には感謝をしている。
彼らの研究の産物によって私は今生きていると言っても過言ではない。
だから私は現在彼らの指示に従うことを良しとしている。
だが、私は否応にも思い出す。
銀河連邦による生物の兵器運用を目的とした違法研究が行われていたボトルシップ。
メトロイドも例外ではなく、唯一の弱点たる冷気を克服させられ、無敵の怪物として産み出されていた。
だがアダムが己を犠牲にセクターゼロを切り離して自爆。
彼らの思い描く悪夢を体現した兵器は泡沫の夢となった。
彼らの残していたオリジナルのクイーンメトロイド、ソレとの死闘も私が制した。
違法な生物兵器運用計画を推し進めた旧銀河連邦軍司令官は失脚した。
――――だが、彼らは研究自体は止めていない。
ベビーのワクチンがその証左だ。
上の首はすげ替えられ、銀河連邦は一新された。
研究の成果、その恩恵によって私は救われた。
だがそれだけだ。
事実上、人的資材のオーバーホールなど無理に等しく、また享受した恩恵も一側面でしかない。
ここBiologic Space Laboratories は生物調査を目的に創られた、平和のためだと謳われている。
そしてここにはSR388の環境を再現したセクターが存在する。
更にメトロイドの研究は未だに続けられている。
ここに来る原因となり私の漠とした不安を煽ったのは、私に擬態したあの寄生生命体だろう。
だがこの不安は私の中で形を取りつつある。
この悍ましい予感が的外れだと良いのだが・・・