スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…? 作:トッキー
色々と手直ししました。
突然だけれども、告白したい事がある。
俺は転生者だ。
…今「こいつ、頭おかしいんじゃね?」って思った奴、いるか?
安心しろ、多分俺もそう思うから。
いや、別に妄想とか中二病とかじゃなくて、結構マジモンで転生者なんだよね俺って…。
転生者になった時の状況がテンプレと言えばテンプレなんだけど…その経緯とかが少々特殊なんだよな。
その時の状況は…少し言い辛いからこれ見てくれると助かる。
「はぁ~、今日も疲れた…」
情けない声を挙げた一人の大学生――名は竹宮保彦という――は丁度今日はアニメ「スターウォーズ クローン・ウォーズ」がやる日という事もあり、大学の講義も終わり、少し早め下宿先につこうとした矢先の事だった。
「そこのあんた、逃げろ!!!」
そう声を掛けられ彼が振り向いた途端に、なんといきなり目の前にダンプトラックが迫ってきていたのである。
無情にも彼の体は跳ね飛ばされ、壁にぶつかりグシャグシャの状態になってしまっていた。
その唯一の救いと言っては可笑しいが、彼は衝突の瞬間に即死していた為に、余計な苦しみは一切なかった点であろう。
・・・・・
こうして、一人の大学生はその生涯を終えた…筈であった。
「何処だ、ここ…?」
彼は確かに、あの時死んだ筈であった。それは彼自身も、何となくではあるがそう認識している。
しかし言葉に出来ない衝撃を受けた次の瞬間には、辺り一面真っ白な空間にいたのである。
「俺…死んだ筈だよな?」
彼はなんとか今の状況を確認しようとしていた。
まず第一に自分はダンプに轢かれ、死んだ筈であった。これは間違いない。第二にここは何処なのか。上下左右全てが真っ白な所で、地平線すら見えない。
これからどうすべきなのかを考えていた時、何処からか泣き声が聞こえてきた。
「ご…な…さい…!!…めん…さい…!!」
彼はその声を聞き、急いでその鳴き声がする方向へ走り出した。
しばらく走ってみると、綺羅びやかな服装に身を包んだ、幼い子供が泣いている姿を見つけたのであった。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
彼はその子をなんとかして宥めようとしたが、彼の姿を見たその子供は余計に泣きだしてしまったのだ。
それに慌てた彼だったが、ふと昔親戚の子供にした事を思い出し、その子を抱き上げあやし始めた。
「大丈夫、大丈夫だから。何も怖い事なんかないよ」
「ヒック…ヒッ…ごめん、な、さい…。ごめ、ん…なさい…!」
彼に抱きつき泣きながら必死に何かに謝っていたが、彼がしばらくあやしていると、安心したのかそれとも泣き疲れたのか、その子は眠り始めた。
本当ならば、すぐにでも起こして今のこの状況を聞きたかったが、態々起こすのも憚られた為、自然に起きるのを待つ事にしたのである。
そうして3~4時間立った時その子は目を覚ましたが、また泣き出しそうだったのを彼はなんとか宥め、なんとか状況を聞けるようになった。
「もう大丈夫かい?」
「は、はい…。なん…とか」
「あの…なんで俺がここにいるかって知ってる?あとここって何処なんだい?」
「そ、それは…あの、ご、ごめんな、さい…!」
「あ~、大丈夫!泣かないで!お兄さん、別に怒ってるわけじゃないから!
「ほ、本…当ですか…?」
「ああ、本当本当!あの、だから知ってる事とか教えてくれないかな?」
「は、はい…あの…」
その子供から聞いた話では、ここは三途の川とはまた違う生と死の狭間の世界であった。
では何故そんな所に彼はいるのか、それはやはり彼はあの時確かに轢かれて死んだのだが、その原因が目の前の子供だったという。
その子供は所謂神なのだが、自分が死んだ原因がある意味驚くものであった。
コーヒーを零したや、間違って寿命の所を消してしまった云々等ではなく、他の神々の度重なる様々な問題に対処している内に、過労によってその神力の使い方を誤ってしまい、死なせてしまったのだという。
流石にそれを聞いた時、怒らなかったと言えば嘘になる。
しかし先程の泣いていた様子や、寝ている時に見た目の下の隈を見て、目の前にいるのが神等ではなく、まだ単なる子供なのだと実感していた。
そうして彼は怒る気も瞬く間に失くしたのである。
「あの…本当に、申し訳ありませんでした…!」
「ああ、もう大丈夫だから。いや本当に。そんなに謝られると、逆に気が引けちゃうから」
「……………え……?」
「まぁ正直『なんで俺が?』って思いも全く無いと言えば嘘になるけど…。でもそれ以上に、君の姿を見てるとそんな思いもなくなっちゃったし…」
「………ん、で……」
「ん?」
「なんで、怒らないんですか!?私はあなたを、あなたを殺してしまったんですよ!!あなたの人生を終わらせてしまったんですよ!!あなた、の…人、生を…!!」
「…ねぇ神ちゃん」
「ふえ!?は、はい!!」
「神ちゃんがミスをしたのって、色々な問題を解決しようとして、頑張っちゃったからなんだよね?」
「え、あ…あの…」
「それに事故の時だって、神ちゃんがなんとかしようとして、俺以外の犠牲者を出さないようにしたりしたんだよね?」
「あ、の…は、はぃ…」
「じゃあ、怒ったりしない」
「え…」
「俺以外に、犠牲者がいなくてよかったよ」
「ご、ごめんな…さい」
「ああ、もう泣かないで!泣いてるの見てると、なんか俺まで悲しくなっちゃうから!!」
彼が死んでしまった元凶でもある彼女を、罵りもせず、また暴力を振るうでもなくして慰めようとする彼を見て、涙が溢れるのを止められなかった。
なんとか泣き止み、そうして彼の処遇について教えられた。
なんでも天界でも未だ彼を受け入れる体制が整っていない為、整うまで非常措置として、そしてお詫びも兼ねて『転生』と『なんでも望むものを与える』という特典を掲示したのである。
しかし彼は『なんでも望むもの』として、「自分が存在したという事を元の世界から消す」事と、「自分の親を裕福にする」事以外望まなかったのである。
普通ならば人間には扱い切れないであろう能力や、自らの容姿を変える等を言うのが常だろうが、彼はそれすらも望んでいなかった。
神である少女は、このような人物を自分の不甲斐なさ故に死なせてしまった事を後悔し、悲しんだ。
そしてそれは他の神々も同様であった。
ここにはいないけれども、自分達のせいでこのような若者を死なせてしまった事を悔やんでいた。
だが転生しなければ、彼の魂は異物として処理されてしまい、転生出来ずに永久に消滅してしまう。
彼女はそれを望まなかったが、転生先となる場所が既に限られてしまっていた。
その世界は、あの「スターウォーズ」であるという。
これは行くにしても、行く場所が一つの惑星ではなく、銀河規模の場所となる為に手助けも余り出来ないものとなってしまうという事も聞かされた。
しかし、彼はそれすらも苦笑いしながら受けたのである。
彼はそれを聞いた時、正直「助かった」という思いがあった。
もし「リリカルなのは」や「インフィニット・ストラトス」等の作品だったなら、粗筋くらいしか知らない彼はお手上げだったろう。
というのも、彼が住んでいた所にはそれを放送しているチャンネルが映らなかったからだ。
そして送ったとしてもあくまで脇役であるというが、逆にそちらの方が有難かった。
下手に個性があるキャラになってしまうと、どこで主人公達に出会うか分からないからである。
そうしてどんなキャラになるかを選び始めた時も、目の前の少女はちょっとやってしまった。
キャラを決定する時になんとも可愛らしいくしゃみをしてしまい、彼女の手には「Tシリーズ戦術ドロイド」という、普通の人間ならば決して望まないものを引いていた。
目の前の少女はそれを見て、また泣き出しそうになっていたが、彼はしばらく頭を撫でる事でようやく落ち着かせる事が出来た。
因みにその時の彼女は、なんとも言えない幸せそうな顔を浮かべていた。
そして彼が光の輪を潜って転生先に向かう時、彼女は転生先の彼の無事を祈っていたのである。