スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…?   作:トッキー

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今回は短いです…。


第十話 コルサント上空(4)

 TO-KK1が<ワーカーズ・ボエジ>で指揮を取っていた最中、突如グリーヴァス将軍から通信が入って来た。

 それは『<インヴィジブル・ハンド>を護衛しろ』という、なんとも無茶な命令であった。

 グリーヴァス将軍の戦艦には、専属の護衛艦隊が随伴していた。そんな中で、何故態々自分の艦隊に護衛を指名してくるのかが彼にはよく分からなかったのである。

 

 

 「司令官、どうしますか?」

 「ドウスルモコウスルモ、命令ナラバ仕方ナイ。<インヴィジブル・ハンド>ハ今何処二イル?」

 「ハッ、えーと…ここです。相変わらず大気圏外ギリギリの所を航行しています」

 「何時グリーヴァス将軍ガ戻ルカ分カランカラナ。迂闊ニ持チ場ヲ離レラレナインダロウ」

 

 

 いくらシディアス卿を迎えなければならないと言えども、戦艦や戦闘機のターボレーザーの雨や破片が漂う中、何時までも大気圏外に極めて近い所を航行させる等は自殺行為に等しいものであった。

 

 共和国のスター・デストロイヤーやアサルト・シップならともかく、そもそも独立星系連合側の艦艇群の多くは、地上に降下する為に作られていなかった。だから地表に近づいた時、その船体に大きな負担を掛けてしまう。

 独立星系連合側の艦艇で、大気圏内外で行動可能なのはルクレハルク級コア・シップやC-9979上陸艇、ハードセル級星間輸送船やシーシピド級輸送用シャトルといったもの位である。

 ルクレハルク級コア・シップはある程度の武装を施されているが、他は必要最小限以下の武装しか施されていない為、最悪的にしかならない。

 

 しかし命令を受けた以上、急いで<インヴィジブル・ハンド>の護衛に回らなければならないのもまた事実であった。

 

 

 「全艦、<インヴィジブル・ハンド>ト同高度マデ降下サセロ」

 「ラジャー、ラジャー」

 

 

 <インヴィジブル・ハンド>は、護衛を含めて6隻の小規模な艦隊だった。

 対してTO-KK1が率いる艦隊は、現時点での旗艦<ワーカージ・ボエズ>を筆頭に、プロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーが22隻、ミューニフィセント級スター・フリゲートが16隻、レキュザント級ライト・デストロイヤーが10隻、ルクレハルク級バトルシップが12隻の、計60隻という当初よりも大所帯となっていた。

これだけの数の艦隊を、混戦の最初に移動させる事自体、一苦労というものだった。

 

 しかしいくら数が多いからといって、全く油断は出来なかった。

 もう既に『TO-KK1』というイレギュラーがいる為に、どうなるか全く予想が出来ないというのもある。

 

 彼がそんな事を考えていた時、新たに編成に加わろうとしていた三隻の戦艦が突如として爆沈した。

 

 

 「全艦シールド最大!何処カラノ攻撃ダ!」

 「方位3—9—5、距離1000に敵艦隊!ヴェネター級が四隻、残りは…uh-oh」

 「何ダ、ドウシタ!!」

 「あ、あの司令官。直接ご覧になった方が宜しいかと…」

 「何!?」

 

 

 報告してきたドロイドを押しのけ、ホログラムに映し出された艦影を見て、彼は凍りついた。

 

 そこに映し出されていたのはアサルト・シップでも、ヴェネター級スター・デストロイヤーでも無かった。

 それはクローン戦争末期に開発されたが、あまり活躍する事無く後の帝国軍における初期の艦隊の中心勢力となり、主力がより巨大かつ高速なインペリアル級に置き換えられてからも、惑星の防衛任務等で活躍した戦艦———

 

 —————ヴィクトリー級スター・デストロイヤーの姿がそこに存在していた。

 

 この船はヴェネター級よりも幾分か小型である。しかしその主な任務は艦隊同士での砲撃戦や衛星軌道上からの砲撃であり、艦に比して巨大なターボレーザー砲塔を10基備えているのが特徴であった。

 幾分か不恰好ながらも、艦砲の攻撃力が優先された所謂「戦艦」らしい艦級であり、更にヴェネター級同様に、大気圏内上層部への突入も可能である。

 

 この船の登場で彼は思わず混乱してしまった。それは彼が『生前』目にした映画の中では、この船は一切登場しておらず、ゲームの中でしか登場していなかったからだ。

 しかしこの考えが、如何に愚かだったのかを今思い知る事となった。設定の中では『クローン戦争末期に開発された』とある。

 つまり最新鋭とも言えるこの船がコルサントに配備されていても可笑しくはない。いや、配備されている事が当然なのである。

 

 そして対艦攻撃が優れているこの船は、ヴェネター級よりも厄介な代物であった。

 

 我に返った彼は、迷わず命令を下した。

 

 

 「他ノ艦ハ無視シテモ構ワン!!全艦、アノ艦隊ニ狙イヲ定メロ!!」

 「ハッ、し、しかし…」

 「良イカラヤルンダ!!」

 「ラ、ラジャー、ラジャー!!」

 

 

 すぐに行動を起こした60隻から放たれた光線は9隻の艦隊に襲い掛かった。ヴェネター級は瞬く間に沈んでいったが、残りは新造艦という事もあり、残骸を盾にしつつ、何とか持ち堪えているのが見えた。

 

 反撃してきた新鋭艦隊は、対艦攻撃が優れているという事もありその攻撃力の高さは凄まじく、外側にいた数隻のミューニフィセント級を瞬く間に撃沈せしめたのである。

 

 

 「クソ…」

 「司令官、“レベル・フリート”より連絡!もう間もなく到着するとの事です!!」

 

 

 彼はその報告を聞き、ようやく待ち望んでいたものが来た事に、内心安堵した。

 

 

 「“レベル・フリート”ニ、ハイパードライブヲ抜ケ次第、直チニ攻撃ヲ開始スルヨウ伝達シロ!」

 「ラジャー、ラジャー!」

 

 

 ドロイドからの報告の後、ハイパードライブを抜けた援軍の姿が写り込んできた。

 40隻以上からなるそれは、一見するとただのルクレハルク級バトルシップにしか見えない。

 これを見た共和国の艦艇や戦闘機の多くが、今出現したばかりの援軍の上下から板挟みとなって襲いかかろうとしていた。

 

 しかし、その予想は裏切られる事となった。

 

 これ等共和国の攻撃隊を、外周部の頂点部と底辺部に隠されていた砲塔によって、何隻かを撃破する事に成功したのだ。

 

 通常、このルクレハルク・シリーズは従来の戦艦にはない重大な欠点を抱えていた。

 実はクワッド・レーザー砲塔が外周部の赤道帯部分にしか取り付ける事が出来ず、攻撃可能範囲が限定されてしまうのだ。

 この死角は戦闘機や、他の独立星系連合の戦艦に近接して飛ぶ勇敢な宇宙船に利用されてしまう可能性が高い。事実ナブーから脱出したロイヤル・スターシップを簡単に取り逃してしまっている。このような状況の際には、攻撃補助および防御のためにドロイド・スターファイターを展開しなければならなかったのだ。

 

 

 だがこの“レベル・フリート”の戦艦は違った。

 この艦隊は恐るべき改造を受けているのだ。

 

 

 TO-KK1はコルサント侵攻以前にガンレイ総督に掛け合い、独自にこのバトルシップを改良する事に成功した。

 弱点でもある外周部の頂点部と底辺部に、無数のレーザー砲を増設したのである。

 元々貨物船という事もあり、この増設の為に貨物室の半分近くを潰したが、そこにレーザー砲に必要な機械を全て詰め込んだ為に、結果として純粋な戦艦へと生まれ変わったのだ。

 

 

 これ等の艦隊は試験運用する暇もなく、このコルサントでの戦いが初陣であった。この戦いは新型艦の性能を計る意味合いをもっていたのである。

 そして現時点では、その性能から設計段階における不安は要らぬ杞憂であった事が分かった。

 

 

 だがこの戦艦を改造する折、グリーヴァス将軍を筆頭に他の分離主義勢力の幹部の何人かが、ガンレイ総督やドゥークー伯爵に口々に不満を漏らしていた。

 それは『何故たかが一介の戦術ドロイドに、そこまで許可するのか』というものである。

 

 だが最終的に他の幹部や総督、ドゥークー伯爵、更にはシディアス卿が許可を出した事から、彼等は何も言えなくなってしまったのだ。

 

 ただこの時のグリーヴァス将軍の怒り具合を見て、TO‐KK1は暫く将軍に背中を見せたくなかったのは記憶に新しい。

 とにかく双方の艦船が続々とコルサントに集結しており、戦況は今までよりも膠着状態になりつつあった。

 

 更には舐めてかかった相手が、実は新型の戦艦であった事もあり、それが拍車を掛けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 今やコルサントの戦場の殆どが、狂気や混乱に包まれていると言っても。過言ではなかった。

 

 

 




少し説明入ります。

・オルトラント級バトルシップ(改良型ルクレハルク級バトルシップ)
主人公のTO-KK1がコルサント侵攻の際、自身の艦<ワーカーズ・ボエジ>と同様に大幅な改良を施し、純粋な戦艦へと生まれ変わらせた。

通商連合が戦争に向けて軍隊を組織し始めていた時、上層部は戦争に使用する武器を銀河系全域に運ぶ為の星間クルーザーや、戦闘機からの攻撃に対抗する為の防衛用戦艦等の必要性を認識していた。そこで通商連合は、艦隊を構築する為に必要なクレジットを節約する為に、既存のルクレハルク級LH-3210貨物船を多目的戦艦へと転用する方法を選んだ。

この大型貨物船を戦艦へと改造する事はコスト的には効率的な事が立証された。
だがこの大型戦闘用兵器には従来の戦艦にはない重大な欠点があった。

本文中でも述べられているが、この艦はクワッド・レーザー砲塔を貨物船の赤道帯部分にしか取り付けられず、攻撃可能範囲が限定されてしまうという欠点があった。
この死角に対し、本艦が様々な状況に対応する為に、攻撃補助及び防御の為のドロイド・スターファイターを常に展開させなければならなかった理由がこれである。

だが、TO-KK1はこの欠点を克服する為にコア・シップや、それを取り囲む外周部の多くを占めているハンガー・ベイ及び貨物室を再整理させ、外周部の頂点部と底辺部に無数のレーザー砲塔を増設した。
これにより貨物船としての能力は大幅に失われたが、輸送船も兼ねていた為に中途半端な性能だった船は、恐るべき戦艦へと変貌を遂げた。
そしてこの改良された戦艦は、旗艦としての運用も可能であった。

またこの時の改造で砲塔だけでなく、装甲も新たに増設されており敵船に対し体当たりして破壊する事すら可能となった。
しかしTO-KK1は砲塔だけを増設するつもりでおり、部下のバトル・ドロイド達が勝手に増設した為にこの装甲の事は全く知らない。

○スペック
全長 3,170 m

武装
大戦中の装備:
リング・キャリアー
・ヘヴィイオン・キャノン 20基
・重点防御用クワッド・レーザー砲塔546基
・アサルト・レーザー・キャノン872基
・ターボレーザー 118基
・プロトン魚雷発射管 46門
 弾薬:各60発

コア・シップ
・重点防御用クワッド・レーザー砲塔56基
・アサルト・レーザー・キャノン 86基
・ターボレーザー 12基


補助装備
・C-9979上陸艇 23機
・ドロイド・トライ=ファイター:800機
・ヴァルチャー・ドロイ:700機
・兵員キャリアー:800機
・大型兵員トランスポー:230機
・装甲型強襲用戦車:2,150機
・B1バトル・ドロイド:127.500体以上
・各種ドロイド車両(AAT、ヘイルファイヤー・ドロイド、OG-9スパイダー・ドロイド、LM-432クラブ・ドロイド等):810機

操縦要員
150〜350名

乗客定員
70,000名以上

航続期間
5年間

役割
・空母
・戦艦
・司令船(旗艦)

所属
・独立星系連合・連合宇宙軍

主な所有者
TO-KK1



・“レベル・フリート”
48隻からなるオルトラント級バトルシップによって編成された艦隊。
正式名称等はなく、それぞれ「レベル1」から「レベル48」の数字の名称を与えられている。
総旗艦は「レベル1」(旧艦名:<セント・ロー>)
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