スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…? 作:トッキー
「ハアッ、ハアッ、ハアッ…!」
ファル・ムダーマ、ロロン・コロブ、そしてシャク・ティの一行は議長を守りながらコルサント市内を縦断し、道中の敵を倒しつつ、緊急避難用の掩蔽壕へと続くターボシャフトにたどり着く事に成功した。
しかし彼等はすぐそこにまで敵が迫っている事を察知していた。
「これは掩蔽壕まで直通です。早く行って下さい!!」
「しかしシャク・ティ、君はどうするのかね?」
「私はここで…敵を食い止めます!」
「だが、敵は大勢居るのだぞ。たった一人でなぞ…」
「私は大丈夫です。貴方達、議長を宜しくお願いね」
「「フォースと共に在らん事を」」
「貴方達も…さぁ、どうかお早く!」
「…分かった。お主の気高い自己犠牲の精神は、長くジェダイの歴史に刻まれるであろう」
パルパティーン議長はシャク・ティにその場を委ね、彼はターボシャフトへ乗り込み、出発させた。
そして不気味な足音を響かせながらこちらへ向かってくる軍勢に目を向けた。その軍勢は、赤い目を光らせながらシャク・ティに襲い掛かったのである。
彼女はフォースを使い壁を走りその身を翻しながら、フォースやライトセーバー等でマグナガード達のエレクトロ・スタッフを交わしていた。しかし、流石に一人で二十体近くの戦闘ドロイドを相手にするのは手こずるものがあった。
そしてマグナガードと戦っている内に手に攻撃を受け、ライトセイバーを恐るべき軍勢の中へ落としてしまったのだ。フォースを使って拾おうともしたが、すぐにマグナガード達によって阻まれてしまいそれも叶わなかった。
彼女は何とか奴らの攻撃を躱したが、その内にその身に何撃か受けてしまっている。普通ならば、一撃を食らっただけでもジェダイと言えども昏倒したりする。
だが彼女はそれを防ぎ切り、逆に一体のマグナガードの背に潜り込んだのだ。
その一体は自身の背に張り付くジェダイを燻り出そうとしたが、同胞からの攻撃を受けながらの行動だった為、思うような身動きが取れずにいた。
しかしシャク・ティは逆にそれを利用し、遂にはエレクトロ・スタッフを奪いその一体を破壊する事に成功したのである。
それを見た他のドロイド達は彼女に殺到したが、彼女が今使っているのはライトセーバーではなく彼等が振るうエレクトロ・スタッフだった。
この恐るべき戦闘ドロイド達は、ジェダイとの戦闘も経験していた為ライトセーバーの戦いには慣れていた。
しかしエレクトロ・スタッフを使ったジェダイとは、これまで一度も戦いを交えた事はなかった為に、どのように攻撃をいなせば良いのか分からなかったのだ。
その事が彼等の何体かの命運を分ける事となった。
彼等はライトセーバーよりも長いそれを振るう事で、それまで手こずっていた彼等を容易に昏倒させ、胴体や頭部を破壊させる事に成功したのだ。
更にフォースによってライトセーバーを取り戻し、一気にその形成を逆転させる事にも成功した。
今や彼女を仕留める事は不可能に思えた。しかし、攻撃を繰り出してきたドロイド達はその攻撃を止め、突如退却し始めた。
その恐るべき戦闘ドロイドがトンネルから姿を消した時、彼女は一瞬防ぎきる事に成功したのかとも思ったが、すぐに奴らの本当の目的に気付いた。
「?……っ議長!!」
彼女はグリーヴァスが他の三人の方へ向かう間、自分が足止めされていただけだった事に気付いたのである。彼女はすぐにフォース・スピードによって、掩蔽壕へ向かっていった。
パルパティーン最高議長を乗せたターボシャフトはコルサント地下奥に存在する掩蔽壕に到着し、ファル・ムダーマとロロン・コロブはパルパティーンをコルサント一安全な掩蔽壕に避難させていた。
そこは厳重な防御壁や防御扉によって何重にも守られており、一説ではそこはムスタファーの分離主義勢力の秘密基地に匹敵するものであると噂される程に強固な造りとなっていた。
そこに彼等は逃げ込み、内側から入り口をロックした。一瞬暗闇になるがすぐにブルーライトによって室内が暗く照らされる。
そこで彼等は何とか一息ついていたが、次の瞬間にはグリーヴァス将軍の持つライトセーバーによって、そのサイボーグ将軍の恐るべき姿が映し出されたのである。
「「「っ!?」」」
すぐに彼等は議長を守るべく、己の剣技の全てを使いそのサイボーグ将軍を倒そうとした。
その肝心の議長は、この危険な状況にも関わらずまるで他人事のように振る舞い、影の中へと隠れそして壁際まで下がったが、それを見る目はとても暗く冷たいものであり、今目の前で行われている戦い全てを見極めようとしていた。
ムダーマとコロブは何とか拮抗していたが、それも束の間の事であった。なんとグリーヴァスは隠していた 二本の腕を起動させたのである。
これを見た二人は驚愕した。これまでのグリーヴァスに関する報告の中で分離する腕の事も挙がっていたが、それにどう対抗するかについて彼等は策を編み出していなかったのだ。
『自分達はジェダイだ』
彼等はそれを誇りとしていたが、それはある意味で言えば慢心だったかもしれない。
バトル・ドロイド等とは比べようも無い力を持つ彼等にとって、グリーヴァスとの戦いはそれを目覚めさせるものであったろう。
しかし気付くのが遅すぎた。
彼等がそれを自覚したのは、この恐るべきサイボーグ将軍による四本のライトセーバーの斬撃をその身に受けてからだった。彼等はこのサイボーグ将軍に対する戦略だけでなく、次の戦いに対する戦略すら永遠に失ってしまったのである。
グリーヴァスはたった今倒した二人のジェダイを興味なさげに―ライトセーバーを奪った時を除いて―視線をずらし、銀河共和国最高議長へと向けた。
「さぁ残るは貴様だけだぞ、ジジイ!」
「ふん…もし儂を傷つけたりしてみろ。お主達の主人が一体どう言うかな…?」
「…っ!命令が生け捕りで幸運だったな、ジジイ」
「ぎ、議長…なっ!?」
「おお、シャク・ティ。助けに来てくれたか」
首元を掴んで脅したつもりが、予想外の反論を受け言葉に詰まったグリーヴァスは憎々しげにそう言い放った。そして外部に通ずる扉を開けパルパティーンを連れて行こうとしたが、丁度その時シャク・ティが部屋に飛び込んできた。
相変わらず他人事のように振る舞う彼だったが、彼女は仲間の死体を見て驚きグリーヴァスに襲い掛かった。
「よく…も、うあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!!」
「ふん、他愛も無い…」
皮肉にもファル・ムダーマとロロン・コロブ、そしてパルパティーンを救う為に懸命にここまでやって来たが、それが命取りとなってしまった。フォース・スピードを使う事によって疲れ切ってしまっていた彼女をグリーヴァスは軽くあしらい、首を絞めるように彼女を捕まえた。
「お疲れのようだな、ジェダイ。しかし、見上げた根性だ。貴様は…別の目的に使ってやるとしよう」
「ウグッ…う、ううううう……」
グリーヴァスはシャク・ティに対しそう言い放つと、腕からフォース・フィールド・ワイヤーを展開させ、彼女の目の前で電光を怪しく光らせたのである。
パルパティーンはトライ=ウィング・シャトルによって連れて行かれようとしていた。だが丁度その時、シャトルに乗っていたドロイドが第四区画から急いでやってきたメイス・ウィンドゥの搭乗するガンシップに集中砲火を行った。
ウィンドゥは急いで安全な場所へジャンプしようとし、シャトルの真後ろに飛び降りたのである。
グリーヴァスはすぐにライトセーバーを起動させ襲いかかろうとしたが、それよりも早くメイス・ウィンドゥはフォースを使う事で、グリーヴァスの内臓器官を保護する胸部プレートを締め付けたのである。
「ぐ、グオッ!?ゴホ、ゴホゴホッゴホッ!!」
グリーヴァスは激しく咳き込みならがシャトルの中へ離陸させ、ウィンドウはそれを追うとしたが、シャトルからのブラスターの集中砲火を受ける事で自衛を余儀なくされてしまった。そしてウィンドウはフォースに依る跳躍力を失い、グリーヴァスの船を宇宙へと逃がしてしまったのだった。
「ッ!?」
その時彼は不穏な空気を感じ取り掩蔽壕へ急いだ。だがそこで見たものは二人のジェダイの死体と、縛られたまま天井から吊り下げられたシャク・ティであった。
「シャク・ティ…!!」
「申し、わ、け…あり…ま…せん…マス、ター・ウィン…ドウ。ぎ、議長が…」
「もういい…もういいのだ、シャク・ティ…!!」
彼女は議長を守りきれなかった事を詫び、ウィンドウは職務を全う出来ずに苦しんでいる彼女に掛ける言葉が見つからなかった。
「ゴホッゴホゴホッ…グアアアアアアアアア、忌々しいジェダイめ!!!」
トライ=ウィング・シャトルの中では、自身の内臓を傷付けられたグリーヴァスはジェダイ―特にメイス・ウィンドゥに―対し怒りの声を迸っていた。
そして半ば八つ当たり気味に、自身の艦を護衛させている戦術ドロイドに連絡を入れた。
「ゴホッゴホッ…TO-KK1聞こえるか!!」
『ハイ閣下、聞コエテオリマス』
「今から儂は船に戻る!貴様の艦隊は、儂の船の邪魔にならぬよう軌道上に戻っていろ!!」
『ハッ!?デ、デスガ閣下!今軌道上ニ戻ルト、我々ノ艦隊ハ共和国艦隊ト後発艦隊トノ間ニ入ル事ニナリ、多大ナ被害ガ及ブト計算ガ出テイマス。ソレニ今我々ガ退避シタラ防衛網ニ大キナ穴ガ開ク事ガ予想サレマス。ソウナルト、閣下ノ艦モ何カシラノ被害ガ生ズルト思イマス。
ソレニ今閣下ノ船ト同ジ高度マデ降下シテイマス。今無理矢理高度ヲ上ゲテシマウト、全艦隊ノ金属疲労ガ多大ナモノトナリ、作戦行動ニ多大ナ支障ガ生ズルトノ計算モ…』
「喧しい!文句は受け付けん!!とにかく、これは命令だ!!!貴様らはさっさと失せろ!!ゴホッゴホッ!」
『リ、了解致シマシタ…。閣下…』
そしてグリーヴァスとパルパティーンの乗ったシャトルは、<インヴィジブル・ハンド>へ進路を取ったのである。
「し、司令官…?」
「…全艦、衛星軌道上マデ艦ヲ戻セ。邪魔ナ敵艦ヤ敵戦闘機、破片等ニ関シテハ、砲撃シテ進路ヲ確保セヨ」
「ラ、ラジャー、ラジャー」
先程グリーヴァス将軍から通信が入ったと思ったら、今度は「軌道上まで戻れ」との事だったが、今現在そんな簡単に事は運んでいなかった。
先に展開した地上部隊は、各所では予想外の抵抗に会い、一進一退の攻防を―――いやそれすらも、もはや希望的観測になりつつあった。
通信等はこの戦闘の混乱の中で全くといっていい程通じず、辛うじて地上部隊の様子が確認出来る程でしかなかったが、そこに映し出された光景は凄まじいものであった。
第十区画の戦闘部隊は、百メートル進むのに百体程の犠牲を生み、そして艦隊司令部を担当した部隊は、一部は屋内に雪崩れ込んだものの部隊の主力が未だ司令部正面で梃子摺っていた。
俺はというと、ヴィクトリー級スター・デストロイヤーをなんとか撃退し、将軍の船を守ったのはいいが今度はふと上に目をやると、上空の両艦隊の戦闘の凄まじさが目に入っていた。
両軍の戦艦や戦闘機の放つ光線が互いの船体や戦闘機に吸い込まれ、火花を散らす様はある種の感動を巻き起こすには十分かもしれなかったが、その火花が散る度に命が失われるのを見ると心が痛んだ。
多数の共和国艦や戦闘機を破壊し、無数の命を奪ってきた俺が今更こんな事を言うことすらおこがましいかもしれない。しかし転生する前は、平和な日本の一大学生に過ぎなかったのだ。
それをいきなりこんな戦争に参加させ指揮を取らせる事に対し、俺は逃げ出したい気持ちで一杯だった。
それは言い訳かもしれない。俺が「俺」でいる為の免罪符かもしれない。
しかし、今の俺の立場は「分離主義艦隊司令官」なのである。望んだ結果がこれなのである。
逃げる事は許されない。目を背けてならない。
これは「現実」なのだ。
そこで意識をやっていると艦長から悲鳴が聞こえた。
「…れ…官!!司令官!!」
「ッ!ナ、何ダ!?」
「あ、新たにハイパードライブを抜けた敵艦隊及び敵戦闘機が多数、本艦に向かってきています!!」
「!?全艦、レーザー拡散シテ撃テ!狙ッテ撃ッテモ、当テリハシナイ!!」
「ラ、ラジャーラジャー!!」
「アト敵艦隊ノブリッジ、モシクハ甲板カ、エンジンニプロトン魚雷ノ照準ヲセット!準備ガ出来次第、タダチニ発射シロ!!」
「ラジャーラジャー!!」
艦長からの報告でレーダーに目をやると、そこには埋め尽さんばかりの敵の姿が映し出されていた。恐らく将軍の旗艦、<インヴィジブル・ハンド>を囮か何かと間違えている為か、将軍の艦の方にはそれ程多くの敵が向かっていなかった。
これでは適当に撃った方がまだマシな為に拡散して撃つように命令を下したが、それでも多数の敵が殺到した。
このままでは、何れこの艦が何かしらの被害を受けるのは目に見えていた。
その時である。
「司令官!!!」
「何d」
対空砲火の嵐を物ともせずに、戦闘機中隊を率いた2機のイータ2・アクティス級ライト・インターセプターから放たれたプロトン魚雷が、左舷に命中し
突然俺の目の前で閃光が走った。