スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…?   作:トッキー

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やっと・・・やっと書けました!


第十五話 思い

 空を遮るくさび型のスター・デストロイヤーの中に、最後の戦車が唸りを上げて格納されていった。その後に、大隊毎に並んだクローン・トルーパーの部隊が続く。

 アナキンは離着床デッキに立ち、オビワンのそばでそれらを見守っていた。

 自らが共に行けないことが、とても信じられなかった。

 実際に彼とウータパウに行きたいわけではない。しかしグリーヴァスを捕らえ、この戦争に終止符を打ち、ジェダイ聖堂と議会の政治的駆け引きを終わらせることについて何ら不満等はない。

 

 しかしどうして彼女――パドメを置いていけるだろう。

 

 自分があのサイボーグ将軍を捕らえるジェダイになれないことなど、もはやどうでもよかった。ジェダイマスターになれないことも、必要性が感じられなくなってしまっている。

 

 昨夜からの瞑想――実際は半分くよくよ悩んでいただけだが――彼は自らのフォースの中にある、より深い何かの真実を感じ始めていた。

 そのどこかに、今彼に必要なものがあるであろうことを、感じ始めていた。

 しかし同時に、それを感じ取ろうとすると、警鐘が鳴り響いていた。

 それに触れてはいけない。まだ引き返せる。そちらに行ってはいけない。それはまるで、母が我が子をたしなめるかのような、そんな感じであった。

 だからこそ、オビワンと一緒に行きたいわけではない。そうではなく、オビワンにここにいてもらいたかった。

 アナキンの胸の中には冷たい空洞がある。いくら暖かなものを感じても、それが後悔と悲しみで満たされてしまうかのような気がしてならない。

 

 だがオビワンがここに留まることなどありえない。カウンシルの命令に背くことなどありえないからだ。こういう時、オビワンが亡くなったクワイ=ガンのようだったら、と願わずにはいられなかった。彼のオビワンを嗜める声が聞こえてくるようだった。

 

 

 『生けるフォースの流れを大切にするのだ。義務を果たすことが必ずしも正しいことではないぞ。正しい行動を取れ。そうすれば義務も自然に果たされる』

 

 

 しかしアナキンの口から、それを声に出すことはできない。何ヶ月も前にジェダイになったとは言え、オビワンからすればまだ弟子である。

 だから彼はこう言うしかなかった。

 

 

 「何か嫌な予感がします」

 

 

 オビワンは、クローンの一人が戦闘機をハンガーに入れるのを確認しながら、顔をしかめた。

 

 

 「何か言ったか?」

 「僕が必要になるかもしれません」

 

 

 そう言った途端、その言葉の中に。あらゆる真実が含まれている気がした。とにかく、コルサントにあるすべてのものから抜け出せれば、まだ全てがうまく行くかもしれない。

 もしそれができれば。

 

 

 「今回は空振りになるかもしれない。お前の方の仕事がずっと重要だ。アナキン」

 「分かります。シスでしょう?」

 

 

 しかし、それを口にした瞬間口の中になにか苦いものを感じた。

 今ではカウンシルも政治家のようになってしまっている。

 

 

 「僕はただ、あなたが僕なしで行くのが心配なんです。いい考えとは・・・。この前のようになってしまいそうな気がして」

 「・・・ああ。よく分かる。だがな、アナキン」

 

 

 オビワンは微笑みながら言った。

 

 

 「心配はいらん。ウータパウよりも倍以上の星系でも奪還できる戦力を連れて行くんだ。なんとかなるだろう」

 「・・・まぁ何事も最初がありますからね」

 「何も別々になったわけじゃない。バラバラで動いたことも何度もあるじゃないか。お前がパドメをナブーに連れて行った時、私はカミーノからジオノーシスへと趣いた」

 「・・・それで大変な目にあったでしょ?」

 「・・・ああ、今のは悪い例だったな」

 

 

 オビワンは沈んだ笑いを浮かべた。

 

 

 「あれから何年も経った。我々はまだ生きている。そして友人であり、家族だ。言いたいのはそれだけだ。別々に動こうとも、常に一緒だ。戦争を終結させ、シスを捕らえるという目標を持っている。私たちが同じ側に居る限り、全てがうまくいく。きっとそうなる」

 「まぁ・・・そうでしょうね。あなたは上手くやることもあります。ほんのたまにですが」

 「ははは。では行ってくるとしよう」

 「マスター、待ってください」

 

 

 アナキンはオビワンを呼び止めた。このまま行かせてはいけない。何か言わなければ・・・。

 そして彼は躊躇いがちに思いを口にした。

 

 「マスター。僕は・・・ここしばらくの間、あなたをがっかりさせてしまっていました。傲慢で・・・あなたの教えや訓練を蔑ろにしてきました。それにあなたの友情も。言い訳はしません。カウンシルへの不満は、あなたのせいではありません。あなたへの友情は、かけがえのないものなんです」

 

 

 オビワンはアナキンの機械の手を取り、もう一方の手を肉体の狭間に添えた。

 

 

 「アナキン、お前は強く、そして賢い。重要な人間だ。実際、私の努力をはるかに超え、成長してくれた」

 「・・・ついこの間まで、僕の強さはあまり足しにならないといったのでは?」

 「私が言う強さは力ではない。心のことだ、アナキン。お前はどんなことにもへこたれない。勇敢であり寛大で、思いやりのあるも若者だ。これがお前の徳だ」

 

 

 オビワンはそこで言葉を切った。

 アナキンはそんな師を、怪訝な目で見つめた。

 

 

 「オビワン?」

 「・・・正直に言えばな、アナキン。今回は、私も離れたくはないと思っている。何か、嫌なことが起こりそうな気がするんだ。だが行かないわけにはならん」

 

 

 アナキンはそれ以上何も言えなかった。オビワンが自分と同じような事を思ってくれたのは、とてつもなく嬉しかった。しかし、それでも止めることはできなかった。

 

 

 「・・・グリーヴァスが私を呼んでいるようだ。じゃあ、アナキン。フォースが共にあらんことを」

 

 

 他に何か口にすべきことがあっただろう。しかし、それよりも万感の思いを込めてアナキンは同じことを口にした。

 

 

 「あなたも、オビワン。フォースが共にあらんことを」

 

 

 アナキンはしばらくそこに立ち尽くし、オビワンの乗った戦艦が宇宙空間に出発するのを見送った。

 そこでようやく自分のスピーダーに戻っていた。

 ―――まだなんとかなるかも知れない。

 そのような想いを抱いて。

 

 

 

 

 

 

 グリーヴァスは、強化されたビューポートから、すぐ目の前にある<アンリミテッド・プロジェクション>の外壁の一部や、景色を見ていた。

 ルクレハルク級コア・シップは巨大なものだが、それでも広大な穴の中では小さく見える。

 

 ウータパウはアウター・リムのはずれに近く、辺境の星でもあった。その地表は絶え間なく吹き続ける強風によってあらゆる物がこそぎ取られ岩だらけの荒地になってしまっている。

 だが衛星軌道上から見れば、多くの大きなすり鉢状の穴が見える。そしてその穴の中には都市や工場、宇宙港が存在する。つまりこの星のすり鉢状の穴には数え切れないほどの都市が存在しているのだ。

 そしてその都市の多くが、グリーヴァスの指揮下にあるドロイド軍によってカバーされている。

 この惑星も中立を守ってきたが、もはや中立は一種のジョークに成り果てている。

 そしてその光景を見ているグリーヴァスの背後に、分離主義勢力の指導者たちが集結したことを知らせに来たバトルドロイドがいた。

 

 

 「閣下、皆様方が集合いたしました。只今、ロビーの会議室でお待ちになられています」

 「分かっておる!今向かおうとしたのだ!!」

 

 

 グリーヴァスはエレベーターで会議室まで降り、分離主義勢力の指導者達を見回した。

 多くは青白い顔色を浮かべていたが、ニモイディアンの総督は、怒りに顔を赤くしていた。グリーヴァスは構わず、シディアス卿の指示を彼らに伝えた。

 

 

 「ここに共和国軍が迫っているとの情報が入った。あんたたちにはムスタファーに行ってもらう。あそこならば、安全だ」

 「安全?安全だと!?ドゥークー伯爵は行方不明!それにパルパティーンにまんまと逃げられたくせに、よう言うわ!!」

 「黙れ、総督!その首、ねじ切られたいか?」

 「なんだと!!」

 「総督落ち着いてください!」

 「とにかく、我々はムスタファーに行けばいいのだな。そこなら安全が確保されているのだな?グリーヴァス将軍」

 「ああ。それならば保証しよう」

 「で、では皆も、急いで向かいましょう」

 「そ、そうですな」

 

 そうして分離主義勢力の指導者たちは、蜘蛛の子を散らすように各々のシャトルでムスタファーに向かった。

 その後ろ姿を見ていたグリーヴァスは、悪態をついていた。

 

 

 「まったく」

 「閣下、失礼シマス」

 

 

 一体の戦術ドロイドが、グリーヴァスのいる部屋にやってきた。

 このドロイドも、グリーヴァスが経営幹部陣に悪態をつかせる原因の一つだった。

 

 自分の頭越しにドゥークー伯爵に意見し、戦艦を建造した。それだけならまだ許せるが、あろうことかコルサント侵攻でも艦隊を連れ帰った。

 その一件以来、自分の地位が脅かされているのも事実だ。

 

 このドロイドの戦艦が攻撃を受けた時、そのまま解体されてしまえばどれほど良かったか。

 グリーヴァスはこの戦術ドロイドを目にするたび、そのような考えを抱いていた。

 

 

 「一体なんだ!TO―KK1!!」

 「イエ、閣下。コノウータパウニ、共和国艦隊ガ近ヅイテイルトノ情報ガ」

 「だったら貴様がどうにかしろ!儂は今忙しいのだ!!」

 「デ、デスガ、最高司令官ノ許可ガナケレバ艦隊ヲ動カスドコロカ、部隊ノ指揮サエモ」

 

 

 戦術ドロイドの音声はそこで途切れた。正確には、グリーヴァスのライトセイバーの切っ先が戦術ドロイドの顎の部分のすぐ目の前にちらついていた為TO-KK1は口を閉じたのだ。

 

 

 「儂は、今、とても腹が立っているのだ。それくらい貴様でどうにかしろ!分かったな?」

 「ハ、ハ―――」

 「他に言いたいことがあるか?」

 「イ、イイエ・・・」

 「よろしい。ならばすぐに遂行しろ」

 

 

 グリーヴァスは落ち着き払った抑揚のない声で言った。

 すぐに将軍は部屋を出ると、入れ違いでB1バトル・ドロイドがデータパッドを手に入ってきた。

 

 

 「司令官!ネクサス・ルートの侵攻艦隊からの報告で、あと少しでコルサントに到達するとのことです」

 「ヨシワカッタ。ソレト、ウータパウノ全駐屯部隊ニ、警戒レベルヲ最大ニ上ゲルヨウニ通達シロ」

 「ラジャー、ラジャー!」

 

 

 命令を受けたバトルドロイドは、すぐに部屋を出て全軍に命令を下した。

 そして、あちこちで据えつけられ、隠匿された重砲が、軋みながら来るべき敵に照準を合わせていった。

 

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