スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…?   作:トッキー

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ようやく、ようやく書けた…。



第十六話 

 グリーヴァスは、急いでムスタファーに向かう経営幹部首脳陣のシャトルが、離着陸プラットホームから出発するのを、苛立たし気に見下ろしていた。

 慌てて自分の宇宙船に乗り込んでいった様は、まるで黒光りする油虫か、路地裏のドブネズミのようであった。

 だがその内の一匹と、邪魔な一体は別である。グリーヴァスはガンレイ総督と、改造された戦術ドロイドの姿をとらえている。

 総督は怒りに肩を震わせながら、指令室の入り口に立っていた。戦術ドロイドはその背後で、端末から様々な指示を出している。

 

 「総督。それにTO-KK1。貴様らは何故まだここにいるのだ?」

 「誰もいないところで、尋ねた方が良いこともあるのだ。将軍」

 

 総督は廊下の左右を確認した。そこには自分達以外の有機生命体の姿はなかった。いるのは、警備しているバトル・ドロイドだけであった。

 

 「この展開に私は驚いておる。それと同時に怒ってもいる。ウータパウは安全だと、貴様はそう言ったな?では何故、我々はムスタファーに移されるのかね?将軍」

 

 グリーヴァスはため息をついた。長々と、このニモーディアンに説明している暇はない。もうすぐ、シディアス卿からの新たな極秘命令が来る手筈になっている。

 こいつらがいたのでは、その通信を受けることもできない。かといって―――非常に残念なことであるが―――衝動に任せ、この厄介者たちを、この手で切り裂くこともできなかった。

 グリーヴァスは常日頃、この総督と配下のルーン・ハーコ、そして戦術ドロイドのTO-KK1を、シディアス卿が処分して構わないという命令を下すことを願っていた。総督とその部下のおべっか使いは、とんでもない守銭奴だ。他の経営幹部首脳陣も、同じくらい不愉快極まる者達ばかりときている。

 それにこの戦術ドロイドも、コルサント侵攻から帰還してから、経営幹部首脳陣の信用を買っていた。そのせいで、自分の今の地位が脅かされているのも事実だ。早急に手を打つ必要がある。

 だが今は誠意ある対応をしなければならない。グリーヴァスは子供に言い聞かせるように告げた。

 

 「ウータパウは、軍事作戦のための臨時の基地だ。間に合わせでしかない。しかしムスタファーは違う。あそこの防衛網は完成しておる。銀河一堅固な要塞だ。共和国の総攻撃をもってしても、決して落ちん」

 「当たり前だ!あそこの防衛網には、我が通商連合が破産しかける程の金(カネ)を費やしたのだぞ!!」

 「私に金の問題で愚痴をこぼすのは止めろ。私は金のことに全く興味はないのだ。総督」

 「…ならば、今、この時から興味を持った方がいいぞ、将軍。私の金が、我々の技術が、この戦争を支えているのだ!貴様のその体も、我々が提供したものだ!配下のマグナガードや、他のバトル・ドロイドも、皆そうだぞ!我々の力が、ドロイド軍団を作り上げているのだ!!」

 

 グリーヴァスはまるで瞬間移動したかのように総督の目の前に立ち、ライトセーバーを突きつけるかのように指を総督に押し当てた。

 

 「今、その金がどれほど役に立つ?」

 

 ガンレイはそれに臆することはなく、厳しい目を向けていた。

 

 「いいか、はっきり言うぞ。将軍、私は貴様の能力に、色々と不安を抱いている。この状態で、独立星系連合がうまく機能できると、本当に思っているのか?それに、ジェダイはどうするつもりだ?」

 「彼奴らのことなど忘れろ。奴らがここに来ることなど、あり得んわい」

 「向こうの基地には、間もなく来るだろうな!そうなったら、一体どうなる!?あそこは文字通り、我々の最後の砦なのだぞ!そこがもし落とされでもしたら」

 「あそこは堅固なのだ!千人のジェダイ、いや一万のジェダイが来たとて、持ちこたえられる」

 「ふざけているのか?グリーヴァス、貴様、今何を口走ったか分かっているのか!」

 「…総督、私は命令に背かれることには慣れていないのだ」

 「…我々は評議会のメンバーで、経営幹部首脳陣だ。貴様の命令は受け付けん。命令を下すのは、我々だ!」

 「ならば、それに賭けてみるか?貴様の命を」

 

 グリーヴァスは、総督の目に、自分のマスクが映り込むほど顔を近づけた。ガンレイは思わず一歩引いたが、それ以上は下がらなかった。

 

 「将軍。貴様はムスタファーが安全だと言ったな。だがその前に貴様は、ここにパルパティーンを連れてくるとも、確かに言ったぞ。しかしあの議長はどこにいる?不思議なことに、わしの目には映っていないぞ?それに、ドゥークー伯爵のことはどうするつもりだ?我々はあの方がいたからこそ、今まで何とかなってきたのだ。あの方がいないと、我々は烏合の衆に成りかねないのだぞ!」

 

 グリーヴァスはスムーズに動く自分の指を、まるで捕食動物の手のように、ガンレイの目の前で動かした。

 

 「感謝することだな、総督。今、この手が、貴様の首を、へし折っていないことを」

 

 将軍は窓の近くまで戻り、背中で手を組んだ。これ以上ニモーディアンの総督の顔を見ていたら、何をするか分からないからだ。

 

 「貴様の船が待っているぞ?」

 「…くそっ!」

 「ソ、総督!オ待チヲ!」

 

 これ以上話すことは何もないという調子で、彼が告げる。すぐに聴覚センサーが、苛立たし気に廊下を歩く音を捉えた。戦術ドロイドも一緒だ。

 それを待っていたかのように、ホロコロムが動き始めた。グリーヴァスは通信機に向き直り、跪いた。

 

 『分離主義者共を、ムスタファーに移したか?』

 「はい、マスター。今最後の一人が出ていったところです。間もなく出発するでしょう」

 『よし、グリーヴァス。今度は貴様がいる場所に罠を仕掛けるのだ。ジェダイが貴様を捕まえにやってくる。奴らの攻撃に備えよ』

 「ご安心下さい。ここには既に、十分な火力がございます。ここに降り立った者達は、たちどころに屍を晒すでしょう」

 『油断するでないぞ。よいか、将軍。これは二度目のチャンスなのだ。ただしお主を捕まえに来るのは、スカイウォーカーではない。ケノービだ』

 「ケノービですか。ですが、スカイウォーカーは何故やって来ないのですか?マスター」

 『奴は…他にやってもらうことがある』

 

 グリーヴァスはさらに深く頭を下げた。

 

 「これ以上ご期待に背くことはありません。マスター、奴は必ず殺します」

 『それでよい』

 「マスター。思い切ってお尋ねしたいのですが、何故パルパティーンをこの手で殺させてくれなかったのですか?あのようなチャンスは、恐らくもう二度と」

 『機が熟しておらん。焦るでない、将軍。勝利は…我らのものよ。もうじきこの戦争に終止符が打たれるのだ』

 「ドゥークー伯爵は、如何されるおつもりですか?まだ捜索が十分ではありませんが」

 『構わぬ。放っておけ。戦略的な犠牲となったのだ。デジャリックと同様。有利に進めるために、コマを捨てただけのことよ。安心するがよい。私が必ず見つけ出す』

 「デジャリックは得意ではありません。実戦が私にはあっています」

 『その願いはもうすぐ叶えられるぞ、将軍』

 「ですが、マスター。有利に進めるとは?」

 『それは間もなく明らかになる』

 

 グリーヴァスは見ることはなかったが、シディアス卿はとても暗い笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 離着陸プラットホームでは、ガンレイが苛立たし気にシャトルに乗り込もうとしていた。TO-KK1もそれに続く。乗り込む直前に、ガンレイは<アンリミテッド・プロジェクション>にある、グリーヴァスがいるはずの指令室を睨みつけていた。

 この戦争で、どれ程の金が動いているか。どれ程の技術が戦争に転用されるか。どれ程の兵力が投入されているのか。

 それらを生み出しているのは、他でもない。自分達のはずだ。しかし奴は何も分かっていない。戦争の結末がどちらに転ぼうとも、金がなければどうにもならない。

 ニモーディアンの総督は、TO-KK1に向き直った。

 

 「TO-KK1。貴様はここに残って、グリーヴァスの補佐に付け。奴のことだ。恐らくいたずらに兵力を損耗しかねん」

 「了解シマシタ」

 「だがもし、少しでも押されてきたと思ったら、すぐにムスタファーの要塞まで撤退しろ。その場合、機密事項はすべて破壊しろ」

 「宜シイノデスカ?」

 「構わん。下手に何かしらの証拠が残っては、ムスタファーの基地にまで手が及ぶ。そうなったら、今度こそおしまいだ」

 「グリーヴァス将軍ハ…」

 「とりあえずは補佐をしろ。敵が来たら、最低限援護に回れ。だが、いざとなったら…奴は放っておけ。あ奴がいたのでは、戦後の話すらできん。グリーヴァスがどうなろうが、知ったことではない」

 「了解シマシタ」

 「ではTO-KK1。私は先に向かっている」

 

 シャトルが飛び立つと、すぐに見えなくなった。残されたTO-KK1は、指令室近くの戦闘状況を知らせるホログラムに、新たな指示を送るために室内に戻っていった。

 そして共和国軍が来るまでの間、グリーヴァスに、多くの軍事作戦における許可を得るために合わねばならいのかと考えると、足が重く感じたのは錯覚だろうか。

 どちらにしろ、この戦術ドロイドもグリーヴァスに振り回される被害者の一人ともいえる。

 彼はそのようなこと思いながら、端末で指示を出していた。

 

 

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