スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…? 作:トッキー
「司令官。上陸部隊の準備、完了致しました」
「分カッタ。別命ガアルマデ、全部隊待機サセテオケ」
「ラジャー、ラジャー」
戦艦<ワーカーズ・ボエジ>の艦長を務めるOOMコマンド・バトル・ドロイドの報告を聞きながら、TO-KK1は艦橋の窓から流れるハイパースペースを眺めていた。
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クローン戦争の始まりから3年、戦局は共和国側に大きく傾いていた。
それを打開する為に、多くの部隊が「特別任務」——コルサントへの侵攻作戦——をグリーヴァス将軍から与えられていた。
今回参戦する事になったTO-KK1が今率いている部隊も例に漏れなかった。
これら艦隊の多くは、命令の発信元であるシディアス卿から、グリーヴァス将軍の率いる上陸部隊を展開させたらそのまま敵を引きつける為に遊撃部隊として———つまりは、体の良い囮として———展開させるという命令を受けていた。
最初にこの命令が下された時、会議の場が紛糾した。
『いくらシディアス卿の命令でも、艦隊の殆どを、しかも敵の本拠地に向けて侵攻させる等正気の沙汰ではないぞ!』
『そんな規模を引き連れていたら、共和国側に探知されてしまう!』
『それ程の艦隊を一つの惑星に向けて進撃させる位なら、他の星に割り当てた方がマシだ!!』
ヌート・ガンレイ総督や、他の分離主義者の多くが述べる意見が、会議場を埋め尽くしていたのである。
そしてこの物語の主人公であるTO-KK1も、一介の戦術ドロイドとして、同様の意見を口にしていた。
しかし、最終的な決定権はグリーヴァス将軍やドゥークー伯爵が握っており、またシディアス卿の命令には逆らう事が出来ずに、結果コルサント侵攻が決まった。
余談だが、会議が紛糾している時に、グリーヴァス将軍が意見を述べようとした他の戦術ドロイドをライトセイバーで切り裂き、脅して決定させたという訳ではないという事を述べておくべきなのかもしれない。
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そうしてTO-KK1は今、自分が率いる事になった艦隊の旗艦を務める、戦艦<ワーカーズ・ボエジ>の艦橋にいた。
この艦も、コルサントへの奇襲作戦の為に数多く編成された艦隊の一つ、つまりは俺に割り当てられた艦隊の旗艦を任されている。
そして、今回の奇襲作戦の為に、全体に特別な改造が施されていたのである。
この戦艦は、プロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーをベースとして、グリーヴァス将軍の旗艦である<インヴィジブル・ハンド>と同様に、戦闘機の母船・侵略艦としても十分に役立たせる為に艦尾のリアクター・ベイを大幅に再整理させ、広大なハンガー・ベイを確保させていた。
また船体後方のヒレのような尖塔の内部は、戦略ディスプレイ、ブリーフィング・テーブル、周辺の宇宙空間を広く見渡せる観測デッキ等を備えた中央司令センターとして機能させていた。
他にも、この尖塔に当初からある通信およびセンサー・ポッドはそのままにしており、これまでの司令部としての機能も損ねることなく、十分に有していたのである。
そして大きな特徴として艦首のブリッジとは別に、艦体の中央部にもう一つ艦橋を設けさせている点が挙げられる。
これは、ボサウイ星系での艦隊戦や、惑星クリフトフシスの封鎖作戦によるものが大きい。
ボサウイ星系では、グリーヴァス将軍が艦隊を率いたにも関わらず共和国艦隊に敗北したのだが、この時率いていた艦隊の内の一隻が、アナキン・スカイウォーカーによって艦橋を破壊され撃沈されている。
惑星クリフトフシスでは、惑星の封鎖を指揮していたトレンチ提督の乗る<インヴィンシブル>が、これまたアナキン・スカイウォーカーの機転によって、シールドを再充填させている間に自らが放った魚雷によって<インヴィンシブル>の艦橋を直撃し、大破させてしまった。
この爆発で艦橋は完全に破壊され、艦橋に通じる通路を経由して連鎖爆発を起こし、船の背面が引き裂かれたのだ。
トレンチ提督は戦死し、<インヴィンシブル>も航行不能となってしまったのである。
これらの反省を踏まえ、もう一つ艦橋を設けた次第である。
これは他のプロヴィデンス級や、あの<インヴィジブル・ハンド>にはないこの艦独自の仕様となっている。
TO-KK1が今いるのはこの増設した方の艦橋、いわゆる第二艦橋の方である。
また、艦首の第一艦橋に通じる通路全てに隔壁の大幅な増設が行なわれた。
この処置は、第一艦橋が破壊され連鎖爆発を起こしたとしても、数多くの隔壁で防ぐ事が出来るからである。
またTO-KK1が今いる第二艦橋は、当初船体後方の尖塔に設けられるはずだったのだが、この戦術ドロイドの要請によって撤回された。
それは、もし戦いの最中に流れ弾等で、尖塔と艦体を繋ぐメイン・コミュニケーション及びセンサー・ポッドが破壊されてしまったら、忽ち共和国艦隊の餌食になってしまうからである。
艦自体もだが、流れ弾で切り離されてしまった尖塔もだ。
そうなった場合、<ワーカーズ・ボエジ>を指揮するのが艦首の第一艦橋になり、その際の指揮官が先程の艦長とは別のOOMコマンド・バトル・ドロイドとなる訳だが、これには不安定要素でしかなかった。
TO-KK1のその認識は、図らずも分離主義のリーダー達の考えと一致した為、要請が通ったのである
こうして、コルサント侵攻に向け大幅に改良された戦艦に、TO-KK1は乗艦していたのである。
しかし彼の胸中では未だ不安が残っていた。
それは「艦隊を率いるのは良いとして、初陣にも関わらず旗艦を改造してお咎めなしで本当に良いのか」等という事であった。
本来ならば主人公は、自分が既に将軍の地位にいてもおかしくない程の地位にいるのだが、グリーヴァスや他の戦術ドロイドの妨害によって、TO-KK1はそれを知らなかったのである。
そして準備が完了した事をグリーヴァス将軍に報告しなければならなかった事を思い出し、通信を繋げた。
「将軍。コチラ戦艦<ワーカージ・ボエズ>。上陸部隊ノ準備ガ、全テ完了致シマシタ」
『よし!ならばハイパースペースを出たら、直ちに部隊を上陸させろ!その後、貴様の艦隊は共和国艦隊に攻撃を加えるのだ!!』
「了解シマシタ、将軍」
こうして報告を終え、後はハイパースペースを出るのを待つだけとなった。
その後しばらくしてから、艦長からの報告が艦橋に響き渡った。
「司令官、間もなくハイパースペースを抜けます!」
「分カッタ。ハイパースペースヲ抜ケタラ、コルサントニ向ケテ直チニ上陸部隊ニ進撃ヲ開始サセロ」
「ラジャー、ラジャー!全部隊に告ぐ、全部隊に告ぐ!!ハイパースペースを抜けたら、直ちにコルサントへ向けて、上陸を開始せよ!!繰り返す、ハイパースペースを抜けたら直ちに全部隊はコルサントへ向けて出撃せよ!!」
クローン戦争終結への第一歩が、今当に踏み出されようとしていた。
因みにこれが主人公が手掛けた戦艦のスペックデータです。
・戦艦<ワーカーズ・ボエジ>
TO-KK1が、コルサント侵攻作戦の折に旗艦として与えられた戦艦。
この艦は、ミューニフィセント級フリゲートやレキュザント級デストロイヤーによく似た艦橋区画を持っている。主人公であるTO-KK1は、この艦を標準的なプロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーと思っているが、実はこの艦は大型の亜種であり、そしてあのトレンチ提督の<インヴィンシブル>の姉妹艦でもあった。
また主人公が保身の為にこの艦に様々な改良を行なっていく内に、皮肉にもその性能が分離主義評議会の目に止まり、主人公の知らぬ間に分離主義評議会の緊急移動司令部と認定されている。
○スペック
全長1,580 m
○武装
•ヘヴィ・イオン・キャノン 4基
方向:前方
•クワッド・ターボレーサー・キャノン 28基
方向:前方 8基、左舷 10基、右舷 10基
•デュアル・レーザー・キャノン 42基
方向: タレット砲塔18基、前方砲塔 4基、左舷砲塔10基、右舷砲塔10基、後方砲塔2基
•重点防御用イオン・キャノン 12基
方向:左舷砲塔 6基、右舷砲塔 6基
•プロトン魚雷発射管 118門
方向:タレット 弾薬:各19発
•トラクター・ビーム発射装置 8基
方向: 左舷 4基、右舷 4基
•フラック・ガン 24基
方向:タレット(左舷 12基、右舷 12基)
○補助装備
•ドロイド・トライ=ファイター 100機
•ヴァルチャー・ドロイド 140機
•大型兵員トランスポート 160台
•各種ドロイド車両(AAT、ヘイルファイヤー・ドロイド、OG-9スパイダー・ドロイド、LM-432クラブ・ドロイドなど) 280機
・ハイエナ・ボマー 60機
・ヘヴィ・ミサイル・プラットフォーム(HMP)・ドロイド・ガンシップ 50機
○操縦要員 800名
○乗客定員 バトル・ドロイド 1,800,000体
○積載重量80,000 t
○航続期間 4年間
○役割
•空母
•戦艦
•司令船(旗艦)
○所属
•通商連合
•独立星系連合
○主な所有者
・TO-KK1