スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…?   作:トッキー

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ようやく投稿…。少し厳しいものが…。


第四話 コルサント上空(2)

共和国全体にとってこの日程恐怖のどん底に陥った日はないだろう。

なにせ『いくら分離主義者達と戦争をしていようとも、まさかコルサントまでは来ないだろう』というのが共和国全体に流れていた暗黙の了解だったからだ。

 

しかしそれは根底から間違っている事に、コルサントの市民達は気付いていなかった。

                   

それは「攻めて来られない」のではなく、「攻めて来ない」だけなのである。

 

実を言うと、コルサントに攻め入る事自体は問題ない。ただの惑星ならば、一個艦隊あれば簡単に占領する事が可能である。

しかし普通の共和国に属する惑星でなく、共和国の首都となるとその意味合いは大きく異なってくる。

 

その理由は、もしコルサントに辿り着くにしても、幾つもの惑星を経由し行動しなければならず、またその途中の幾多もの共和国艦隊をも相手にしなければならないからである。例え十個艦隊を率いて攻め込んだとしても、コルサントに辿り着く時には僅か数隻程度しか残っていないだろう。

いやその内の一隻がたどり着けば御の字であり、最悪全滅も十分に考えられる。

 

だがその逆を言えば、犠牲を度外視すれば攻略する事も十分可能なのである。

しかしいくら戦争していると云えども、何も利益がなければ勝利してもなんら意味は無いのである。

勝利したにも関わらず、経済破綻等で破滅若しくは崩壊。笑うに笑えない冗談である。

 

 

 

またコルサントは銀河系の歴史において政治的にも最も重要な惑星だが、それ故警備も厳重であった。

それは言うなれば銀河一の『難攻不落の要塞』というように捉える事も出来た。

 

 

 

だから分離主義勢力は攻め入る事は出来ないというのが、凡その見解であった。

     ・・・・・     ・・・・・

だがそれが通常の航路ではなく、秘密の航路を通って行くとなれば一体どうなるか?

答えは簡単。容易に相手の司令官を奪取し、自分の思う通りに相手を降伏させる事も、叩きのめす事も可能となってくる。

 

その秘密の航路は『ネクサス・ルート』と謂われ、銀河共和国の中心地と分離主義勢力の拠点惑星との間を結ぶ重要なものであった。この航路の詳細を掴めば、双方共に敵陣営の領域へ簡単に侵入する事が可能な為、この情報は両陣営にとって大きな戦略的価値があったのだ。この航路によって、分離主義勢力は共和国軍の厳重な防衛網を迂回し、直接首都コルサントを攻撃する事が出来るようになる。

 

そしてこの航路は、独立星系連合が作戦会議の段階でどうやってか知らないが、シディアス卿から教えられた為に共和国軍の厳重な防衛網に探知される事なく、前例がない程の大兵力を送り込む事が可能となったのだ。

またその航路の詳細なデータは、グリーヴァスだけでなくTO-KK1にも教えられた為、それぞれ二方面から兵力を送り込んでいた。

 

それは撹乱が主な目的だったが、実を言うと保険の意味合いも含まれていた。

予定通りパルパティーンを奪取すれば良し。

だがもし奪取に失敗し、艦隊が大打撃を受けるような事態になったら、その時は片方を囮にしてもう片方を逃亡させる。そういう手筈になっていたのだ。

 

勿論どちらを逃亡させるのかは決まっている―――グリーヴァスである。

 

このサイボーグの将軍は、曲がりなりにも(表向きは)独立星系連合の総司令官であり、変えの効く戦術ドロイドと比べるまでもなかった。

しかし数々の兵器開発に携わり、将軍にまで上り詰めたTO-KK1の手腕を高く買っていた数人の経営幹部達は納得がいかなかった。その為、出発の直前に後続部隊として三個艦隊をTO-KK1の艦隊にねじ込んでいた。

 

その為、知らず知らずの内にTO-KK1は、独立星系連合始まって以来の大艦隊を率いる事になっていたのである。

 

 

そうして二人の将軍に率いられた艦隊は、コルサントへ進撃し、攻撃を敢行したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサー・ドルムントを一言で表すならば、それは「優秀」であった。

 

士官学校では常に上位の成績を収め、ジオノーシスの戦いの数年前に比較的若い段階で大佐としてアクラメーター級の艦長に就任。

本来ならば、そこから戦争における任務等で上に行ける事も十分可能の筈であった。

 

しかし彼の「戦争」はそこで止まってしまっていた。ジオノーシスの戦い以降は専ら後方勤務となり、偶に艦を動かしても、後方地域の警備や完全に共和国に属している惑星への輸送任務が主となっていたのだ。

クローン戦争の終わりが近づいてきている今では、提督としてヴェネター級の艦長となりコルサントの警備任務に付いているが、実を言うと長引く戦争によって艦長不足となり、繰り上げる形で提督の位に着いていたに過ぎなかったのだ。

 

彼自身は前線に立つ事を望んでいたが、コルサント星系軍と強いコネを持つ彼の父親によって、いつも後方に留め置かれているのが現状であった。

 

 

今日も自身の愛艦であるヴェネター級スター・デストロイヤー<ジャスティス>に乗り、衛星軌道上でのパトロールの為に艦を航行させていた。

 

また今日もこんな調子で一日が終わるのかと思うと、彼は悲しくなった。

彼の友人達は最前線で戦い、何人かは命を落としていた。葬儀に向かうと、遺族から『何故お前が生き残っているのか』という非難の目を向けられるのが常であった。

 

そんな思いに駆られていた丁度その時、信じられない事が起こった。突如目の前に十隻余りの艦隊が現れたのだ。

彼は目の前で起きた事に暫し呆然としてしまった。だが目の前の艦隊に描かれている独立星系連合のシンボルである六角形のマークを見て大いに慌てた。

 

何故コルサントに?ここは『難攻不落の要塞』ではなかったのか?

 

だが彼はすぐに持ち直し、最寄りの艦艇に連絡を取る事で臨時の艦隊を編成したのである。

 

 

「数には劣る。だが所詮相手はドロイドだ!頭を潰せば打ち破るのは容易い筈だ!全艦敵の旗艦に砲火を集中させろ!!」

 

 

そして彼は部下達に命令を下したが、それは自身に言い聞かせるようなものでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

臨時編成された共和国艦隊の攻撃も、中々なものだった。

 

数は少ないといえども、ヴェネター級とアクラメーター級のそれぞれの火力は計り知れない。

いくら偏光シールドを展開させているからと言って、絶対ではないのだ。

 

事実、映画の中ではグリーヴァス将軍の<インヴィジブル・ハンド>もヴェネター級からの至近距離における連続攻撃によって、その艦体に致命的な損傷を被った。

そしてその損傷が遠因となり、<インヴィジブル・ハンド>は沈没しているのである。

 

 

「司令官!敵艦隊、まっすぐこの艦に向かってきます!!」

 

「分カッテイル。全艦、敵艦隊ニ砲火ヲ集中サセロ!」

 

「ラジャー、ラジャー!」

 

 

しかしやられてばかりという訳ではなく、こちらも向かってくる共和国艦隊にありったけの火力を浴びせた。

 

あちらの砲火も凄かったが、こちらの十二隻からの砲火は更に凄まじい物があり、集中砲火によって簡単に共和国艦隊を引き裂いていったのである。

 

まず二隻のアクラメーター級アサルト・シップが被弾、炎上し隊列から落脱していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督、アサルト・シップ二隻が被弾!隊列を離れます!」

 

「くそっ…!!」

 

<ジャスティス>の艦橋から指揮を執っていたドルムントは、クローンからの報告を聞いて苦々しく顔を歪めた。

 

彼にとっては困惑の——そして同時に最悪の——事態の連続であった。

 

 

彼自身、士官学校では優秀な成績を残したかもしれないが戦争の様子は刻一刻と変わってきているのだ。

目の前の艦隊も学校では攻略法を習っていても、装甲や火力の増大、様々なプログラムの変更によってそれも大きく異なってきている。

 

更に新型艦も加わり、どう対処すれば良いのか困惑していた。

後方にいる事で情報には不自由しなかったが、どう対処すれば良いのかという戦略を大きく欠いてしまっていたのだ。

 

彼は模範解答のように、急いで最寄りの艦艇群に招集を呼び掛け臨時の艦隊を編成、目の前の敵に戦いを挑んだ訳だが、その結果は手痛いものとなってしまっていたのだ。

 

 

敵旗艦を目指し、砲撃を加えつつ艦隊に近づいていったのだが、瞬く間に僚艦が沈められてしまったのである。

しかしそうやって驚いている間にも、敵艦隊からの砲火は止む事はない。

 

 

「全艦、急速回頭!あの敵艦隊から離れるんだ!!マッギャバン!急いでこの事態をジェダイや他の艦艇、地上部隊にも知らせろ!!」

 

「イ、イエス・サー!!」

 

 

瀕死の艦隊の指揮をとる彼は全艦に回頭命令を発しつつ、先程報告してきたクローンにこの事態を報告しようと懸命に命令を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ここでも神は彼を見放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駄目です、提督!通信が妨害されています!!」

 

「何だと!?」

 

(相手はただのドロイドではなかったのか!?何故こんな…!!)

 

「提督、シールド減退!本艦はもう駄目です!!」

 

「くそおぉぉぉっ…!!」

 

 

彼はその叫ぶような報告を聞き、自らの最期を悟った。

 

そして次の瞬間、目の前のフリゲート艦の砲台が光り<ジャスティス>の艦橋にいた全ての存在をこの世から消し去ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アサルト・シップが沈められる様を見た臨時編成の艦隊は、瞬時に先程の状況を判断し離脱しようと試みていた。

 

しかし、その隙を逃すはずもない。

敵艦隊の通信を妨害し、すれ違いざまに離脱しようとしていたのに対し、その土手っ腹に全艦からのターボ・レーザーを浴びせるように食らわせたのである。

 

瞬く間に残っていた三隻も砲火の餌食となった。

 

 

「司令官。敵艦から脱出ポッドの射出を多数確認。どうしますか?」

 

「…放ッテオケ。負ケ犬ニハ用ガナイ。ソレニ今、艦隊ニハ捕虜ヲ載セル場所モ、食料モ無イ」

 

「ラジャー、ラジャー」

 

 

嘘である。いや食料が無いというのは本当だが、それだけではない。

捕虜を捕まえる事は戦争において何ら不思議ではない。

 

しかしこの艦は、いやこれから現れるであろう全ての艦隊は、「奇襲」が目的である。

 

もし、捕虜を捉え艦に載せたとしても、共和国側が捕虜の存在を知らず沈めてしまったら元も子もない。

味方に殺される——最悪以外の何物でもない。

 

 

 

そしてもう一つ、「無事に生き残って欲しい」ただこれだけが念頭にあった。

 

 

 

だから敢えて脱出ポッドを回収せず、見逃したのである。

 

そうすればコルサントの何処か、空港や味方の基地、場合によっては味方の艦が拾ってくれる筈だからである。

 

 

 

しかし今の攻撃で、こちらも無傷という訳ではない。

 

「あのー、司令官。ご報告したい事が…」

 

「何ダ」

 

「は、はい。先程の攻撃でフリゲート艦<7388>と<5387>、それにデストロイヤー艦<8392>に被害が出ています。」

 

「艦長、被害ノ詳細ヲ」

 

「はい。<7388>は被害が甚大で、隊列から外れつつあります。艦隊の一番外側にいた為、最初の一撃でフラックガン付近に被弾し、火災が発生。手が付けられなくなったと。それとどうも航行システムに問題が発生し艦首を敵艦隊に向けた事が原因らしいです」

 

 

ふと外に目をやると、あちこちから爆発が起こり炎上しながら、隊列を離れていく<7388>の姿があった。

 

一般的に「コマース・ギルド支援船」と呼ばれるレキュザント級ライト・デストロイヤーは、分離主義勢力の艦船開発プログラムによって生み出された典型的な船である。比較的製造コストの低いこの艦は、堅牢で使い勝手も良く、信頼性もあった。

 

 

 

だがミューニフィセント級である<7388>と<5387>、<2635>は別である。

 

 

 

「銀行グループ・フリゲート」と呼ばれる事の多いミューニフィセント級スター・フリゲートは、その性能に正直一長一短なものがある。

火力は申し分ないが、動きが遅い上に防御力にも問題があった。

艦隊を編成し更にシールドを起動させておきながらも、スター・デストロイヤー一隻に全滅させられたという報告もある程である。

 

しかし逆にスター・デストロイヤーを相手にしても、数隻で当たれば勝利できるだけの戦闘力をも持つのも事実である。

 

 

つまり指揮する者によって、その結果が左右される事を如実に表している艦とも言える。

 

 

元々インター・ギャラクティック銀行グループにおける専用の秘密通信ネットワークの防衛や、多額の負債を抱える惑星への威嚇、あと顧客や銀行グループ幹部の重要な資産の輸送、または高価な財宝の護送等を行う際に使用していた艦である。

 

要は銀行グループ専用の輸送船とも言える艦であり、戦争目的で作られた物ではなかったのだ。

 

 

 

 

話を元に戻すが、出来る事なら<7388>を救ってやりたかった。

 

しかし誰がどう見ても、<7388>は手の施しようがなく、例え修理ドロイドを総動員させたとしても、もう助からないであろう事は明白であった。

 

だから、俺は決断を下す事にした。

 

 

 

「他ノ艦ハ?」

 

「はい。<5387>は中破、また<8392>も小破ですが、両艦共に航行及び攻撃を行うには問題ないそうです。ハイパードライブも、あと少しで修理完了との事です」

 

「ソウカ。ナラバ、コノママ航行ヲ続ケロ」

 

「ラジャー、ラジャー」

 

 

俺は敢えて、見捨てるという選択肢を選んだ。

 

 

救出しようとして近づいても、大爆発で味方が巻き込まれる可能性もあったからだ。

 

それにもし、共和国が鹵獲し何か重要な情報を引き出そうとしても、あれだけ爆発が起きていればデータどころか全てが吹っ飛んでいる筈である。

 

また介錯とまでは行かないが、<7388>を砲撃・自沈処分させようとも考えたが、それも止めておいた。

敵の本拠地にいる以上、補給は望めない。だから弾薬に余裕を持たせたかったというのもある。

 

 

 

「司令官、大変です!!」

 

「何ダ、一体ドウシタ!!」

 

 

航行システムのコンソールを操作していたバトル・ドロイドから、突然の報告が挙がった。

 

 

「先程の攻撃を見て、他の共和国艦艇が続々とこちらに向かってきています!」

 

「何ダト!?」

 

 

まずいな…。こちらは既にたった一回の戦いで戦艦一隻を失っている。

しかも、いくらこちらが十一隻だとはいえ、向こうは膨大な数である。また首都防衛艦隊の存在も無視出来ない。

 

 

 

「コチラノ艦隊ハ、後ドレ位デ到着スル?」

 

「はっ。ええと、もう間もなく到着するとの事です」

 

その報告の直後に、そう遠くない所から後続の艦隊が姿を表した。

 

えーと、プロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーが一隻に…ミューニフィセント級スター・フリゲートが二隻だな。

 

「モシ可能ナラ、アノ艦隊ニ上陸部隊ヲ送リ込ンダラ、コチラノ編成ニ加ワルヨウ伝達シロ」

 

「ラ、ラジャー、ラジャー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いはまだ、始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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