スターウォーズ クローン・ウォーズ とある戦術ドロイドの一生…?   作:トッキー

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第五話 コルサント市内

「クソッ、冗談じゃないぞ!!」

 

 

一人のクローン兵がそう憎らしげに呟き、ブラスター・ライフルを撃ちまくっていた。

それもその筈、彼の目の前にはドロイドの大群がこちらに迫っていたのである。

 

 

 

アーヴィー特務曹長は、いつもと変わらぬ市内や市庁舎等の警備や哨戒任務、そして後は訓練といった事――要はクローン兵にとって他愛のないもの――をしながらその日一日を終える筈であった。

 

 

 

 

クローン兵にとってコルサントでの警備任務は名誉な事でもあり、クローン戦争末期ではこの任務は一種のステータスにもなりつつあった。

 

しかし彼はそれに満足せず、アナキン・スカイウォーカーを含むジェダイ騎士団や、軍上層部に最前線に配置するよう常日頃願い出ていた。

 

だが皮肉にも、ジオノーシス以降の様々な戦場での優れた戦果がそれを阻害してしまっていた。

彼は、自分がいた部隊が壊滅的被害を被っても生き残る事が多く、知らず知らずにキャプテン・レックスやコマンダー・コーディと同じように高名な存在となっていたのである。

 

普通ならば、如何に優れた兵士であろうともクローン兵ならば前線に投入する事は決して珍しくない。

しかし彼がコルサントの警備任務を命じられた時、パルパティーン最高議長の影響も少なからずあった。

彼だけでなく、キャプテン・レックスやコマンダー・コーディのようにジェダイと比較的親しい者でなく、あまり関わり合いがないような者をコルサントへ集中的に配置していたのである。

 

 

これは、ありえないかもしれないが、もしジェダイがクローン兵達と共に反乱を起こしてしまえば、いかにシスである彼でも厄介な事極まりなかったからだ。

そうならないためにも、敢えてパルパティーンはジェダイとあまり関わり合う事が少ない、若しくは全く顔を合わせた事がない優秀なクローン兵達をコルサントへ配置していたのである。

 

彼はそんな意味でも、パルパティーンの目に止まった一人だったのである。

 

 

 

 

そうして先述の警備任務に就いていた時、唐突にそれは起きた。

 

彼は、自分の担当する警備箇所に近づいた機影が猛スピードで上空を通り過ぎたと思ったと同時に、いきなり爆発が周囲を襲ったのだ。

爆風で吹き飛ばされた彼は朦朧とする意識の中、猛スピードで通り過ぎたその機影を知っていた。

 

それは分離主義勢力が使う爆撃機であり、その高い機動力攻撃力を買われ臨時の戦闘機としても使う事が出来た傑作機―――ハイエナ・ボマーであった。

 

 

「(何、故…こんな所に?ここはコルサントだぞ…!共和国の、本拠地とする…場ではなかったのか!?)」

 

 

混乱しつつも、何とか周囲の確認を行おうとし立ち上がったが、そこで彼が見たのは到底信じられない光景であった。

 

本来多くの民間機や共和国の軍用機が飛んでいる筈だが、その時だけは違った。

なんと分離主義勢力の爆撃機や戦闘機が空を乱舞して、上陸艇が着陸しドロイドの大群を吐き出していたのだ。

 

そしてあちこちで爆発が起き、多くの悲鳴が聞こえた。

先程まで自分がいた場所に目をやると、自先程の爆撃で分が担当していた警備箇所は粉々になっており、他の仲間は全員死んでいた。

 

 

「嘘だろ……クソッ、こちら第十区画、誰か聞こえるか!?応答してくれ!!」

 

『こちら第八区画!爆発らしき反応があったが、一体どうした!!何があった!?』

 

「敵の奇襲攻撃だ!!仲間は皆殺られた!!すぐそこまで敵が迫っている!!今すぐ増援を寄越してくれ!!!」

 

『敵の攻撃だぁ!?気は確かか…な、何だあれは?う、うわあああああぁぁぁ!!!!』

 

 

そしていきなり通信が切れ、その直後に何処からか爆発が聞こえた。

 

「クソッ!!」

 

そうして彼は落ちていたブラスター・ライフルや手榴弾を拾い上げ、迫り来るドロイド軍を相手に孤軍奮闘する羽目になってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生!畜生!!畜生!!!」

 

 

まさか、自分の部隊の目の前で上陸してくるなんて、一体誰が予想出来ただろうか。

 

 

「こちら第十区画、聞こえるか!?敵の攻撃を受けている!!仲間は皆殺られた!!誰か応答を!!」

 

 

そして、そうしている間にも敵の数は増え続けている。

 

 

「クソッ!聞こえるか、こちら第十区画!敵の猛攻撃を受けている!!誰でもいい、頼む!とにかく返事しろ!!」

 

『こちら第七区画!一体どうなっている!?状況を報告せよ!!』

 

「敵の爆撃機がいきなり現れたと思ったら、俺達がいた所吹き飛ばしやがった!!その後にいきなり上陸艇が着陸して、目の前でドロイドの部隊を展開させてやがる!!仲間は爆撃で皆死んだ!!生き残ったのは俺一人だけだ!!」

 

『何だって!?…分かった、状況を確認した!今すぐに増援を送る!そこで何とか持ちこたえてくれ!!』

 

「早く来てくれ!もう弾が無くなりそうなんだ!!」

 

『分かった!!』

 

 

そうやって通信を切り、ようやく目の前の敵に集中し、狙い撃ち始める事が出来た。

 

彼はブラスター・ライフルを撃ちつつ、最も近づいてきたバトル・ドロイドの部隊に手榴弾を数発お見舞いさせた。

 

しかし敵の数は更に増え、そして先程の通信にあったように弾薬も尽きかけていた。

味方の増援が来るのが先か、彼のブラスター・ライフルの弾が尽きるのが先か、それは誰にも分からなかった。

 

 

だが次の瞬間、彼のすぐ後ろで爆発が起こり、空中に投げ出されたと思ったら地面に叩きつけられた。

 

 

最悪な事に彼が爆風で飛ばされた所は、なんと先程まで自分が銃口を向けていたバトル・ドロイド達のど真ん中であった。

朦朧とする意識の中、彼が見たものは無数のバトル・ドロイド達が、自分にブラスターを向けている姿だった。

 

「ク…ソ…」

 

そうして彼は意識を失った。

 

 

 

 

「なぁ、こいつどうする?殺すか?」

 

「待て。司令官から『今回は陽動作戦であり、民間区画や公共施設、退却する敵、及び敵の負傷兵には攻撃せず、場合によっては降伏させろ』って命令だ。あと『余計な戦いはするな』とも言われてる」

 

「あ?司令官って、グリーヴァス将軍か?そんな事言う人だっけ?あの人」

 

「バカ、違う。もう一人いるだろ、あの戦術ドロイドの…」

 

「あー、あの…。じゃあ納得」

 

「で、どうする?」

 

「捕虜にでもするか?」

 

「そうしよう、そうしよう」

 

 

 

そうして彼は、ドロイド軍が乗ってきた上陸艇に乗せられようとしていた。

 

 

 

『曹長ーーーーーーーーーー!!!!』

 

「!!??」

 

 

 

 

 

しかし、その危機を救う者達が現れた。

 

 

 

 

 

先程の通信を聞いた第七区画のクローン・コマンダーの率いる兵士達が、増援にやってきたのだ。

ドロイド軍の数は膨大である。その上無慈悲な敵戦闘機もその空を乱舞している。

 

それにも関わらず、自分達の兄弟を救うべく、己の身の危険を顧みずにやってきたのだ。

 

 

「ファイターは敵を牽制しながら、ガンシップを援護!ガンシップは伍長を囲むように着陸しろ!曹長を救出した後、ファイター及びガンシップは周囲を警戒しつつ、直ちに退却しろ!」

 

『サー、イエス・サー!!』

 

 

クローン・コマンダーに率いられた部隊は、ドロイドの大群に襲いかかった。

 

ファイターは敵戦闘機や敵の地上部隊に伍長に当たらないように攻撃を加えつつ、ガンシップを援護していた。

ガンシップは乗っていた兵が曹長を引き摺っているドロイドを狙撃しつつ、周囲を取り囲むように着陸した。

 

曹長を救出したガンシップは、バトル・ドロイドからの一斉射撃を受けながらも急いでその場から離陸した。

それを追撃しようとしていた敵戦闘機も数体いたが、瞬く間にARC-170スターファイターの餌食となった。

 

 

電光石火の早技だったが、曹長を救出した彼等は自分達の兄弟を助ける事が出来て安堵していた。しかし、次の瞬間には信じられない思いが彼等の胸中にあった。

 

曹長である彼を除いて、彼の部隊は全滅。

 

しかも、自分達がカミーノと同じ位に守らなければならないような場所へ、バトル・ドロイドの大群の侵攻を許してしまったのだ。

 

 

 

 

 

兵士達を乗せたガンシップやファイターは、分離主義勢力の軍隊が自分達が守るべき場所を行進する光景を尻目に、急いで退却していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれは第八区画だけに限った話ではなく、艦艇が集結しているドックにいたトルーパー達にとっても、最悪の日の始まりであった。

 

ドックには数多くの作戦に参加し、傷だらけになって帰って来た多くの艦艇が修理を受け、その羽根を休めながらも次の出撃に備えていた。

また、クローン兵達が次に与えられるであろう新たな作戦の為に必要な多くの武器や燃料、それに食料もそこに集められていた。

 

そして、先の戦闘での穴埋めの為に集められた新兵達も例外ではなかった。

 

 

「しかし、次の任務があるまでここで足止めなんて、つまらないものだな」

 

「しょうがないだろ。出撃直前にまさかの不具合で、緊急修理で出航出来ないなんて誰が予想出来た?そんな事よりここで不満を口にする暇があるなら、傷ついた兄弟達に見舞いでもしに行ったらどうだ?」

 

「ハハッ、冗談じゃない!そんな事、あの艦がこのドックに入ってきた時に真っ先にやってるよ。皆、治療を受けて元気になったのを見て安心したよ」

 

「そうか…。良かった…」

 

「ああ…」

 

彼等の目の前には、撃沈寸前になりながらも激闘を生き残り、彼等の兄弟達をコルサントに連れて来てくれた巨艦が、修理を受けていた。

そして現状に不満を持っていた彼であるが、その心底には他の兄弟達を想いやる心で満ちていた。

 

 

「なぁ、暇つぶしにデジャリックでもどうだ?」

 

「俺は遠慮しておく。まだ他にやる事があるしな」

 

「そうか、じゃあ誰かとやる事にするよ。じゃあ、また後でな」

 

「ああ」

 

 

そうして自らの暇つぶしの相手を探し始めた時、急に周囲が騒がしくなっている事に気が付いた彼は、通りかかった一人のクローン兵に事態を尋ねたが、そこで驚くべき内容を聞かされた。

 

 

「何だ、一体どうしたんだ?」

 

「はっ、我が軍のものとは思えない正体不明の機影が多数、高速でまっすぐこちらに向かっているとの情報がありました!民間のものとも思えない為、対空警戒体制をとれとの命令を受けています!」

 

「何だって!?そうか…。呼び止めて悪かった、早く行け!」

 

「イエス・サー!」

 

 

「どういう事だ?ここはコルサントだぞ…。一体どうなっているんだ?」

 

 

彼は疑念に駆られ、思わずそう呟いたが、次の瞬間にはそんな思いも吹き飛ばされた。

 

 

「ハイエナ・ボマーだ!!」

 

「!?」

 

 

クローン兵の誰かがそう叫んだと同時に、周囲を爆風が襲った。そしてその爆風は、彼がいた場所をも呑み込んでいったのである。

 

 

「(何故…だ…。なん、で…こんな…所に…)」

 

 

爆風で吹き飛ばされた彼は、そこで意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市内の各所でドロイド軍が侵攻を開始した時、コルサントにある艦隊司令部でも騒乱が起きていた。

 

 

「おい、市内からあちこちで爆発が起きてるぞ!!しかもあそこは、部隊が駐屯している所じゃないのか!?」

 

「コルサント市内の駐屯部隊から何か連絡はあったか!?」

 

「駄目です!第八区画、第十区画の駐屯部隊からの通信が途絶!また情報が錯綜し、混乱が起きています!!」

 

「衛星軌道上の艦艇から何か情報は!?」

 

「こちらも駄目です!通信が妨害されている様です。レーダーもジャミングが掛かっているらしく、はっきりと写りません!」

 

「何だと!?そんな馬鹿な!もう一度通信を試みろ!!」

 

「イ、イエス・サー!…駄目です!やはり、通信が妨害されています!」

 

「まさか…分離主義者の奴らが、このコルサントに奇襲を?」

 

「馬鹿な、あり得るものか!ここはコルサントだ!銀河系の中枢とも言える場所だぞ!!奇襲なぞ出来る筈が…」

 

 

そこに、レーダーの復旧に取り組んでいたクローン兵から歓声のような声で報告が入った。しかし、その声色も直ぐに驚愕のものへと変わった。

 

 

「やった、やったぞ!将軍、レーダーが復活しました!…な、何だこれは!?」

 

「何だ、一体どうした!」

 

「大変です、将軍!衛星軌道上に分離主義者の大艦隊が!!」

 

「何だと!?」

 

「今、五隻の艦艇が迎撃を行っていますが…ああっクソッ!艦艇がやられました!!一隻を沈めた模様ですが、他は…」

 

一瞬その報告に、騒然となっていた司令部は沈黙に包まれた。そして更に、そこに追い打ちをかけるかの様な報告が舞い込んできた。。

 

 

「大変です!正体不明の謎の機影が、まっすぐこちらに向かって来ています!!その数は膨大で数えきれません!!」

 

「何!?」

 

「通信を無視して、定められた進路も無視しています!明らかに、我が軍や民間の物ではありません!!」

 

「やはり、奇襲では…」

 

「そんな事、言われなくても分かってる!!」

 

「機影、進路変わらずまっすぐ向かってきます!!」

 

「クソッ、迎撃だ!全ファイターを出撃させろ!」

 

「イエス・サー!!…いえ、待って下さい!半数近くが進路を変更!これは…」

 

「どうした!?はっきり報告しろ!」

 

「そんな、まさか…大変です!進路を変えた敵の半数が、艦隊ドックに向かっています!」

 

「何だと!?まずい…今あそこには、多くの武器弾薬や燃料、それに修理でドック入りしている艦が多くいるんだぞ!」

 

「ドックとの通信は!?」

 

「駄目です!こちらも通信が妨害されていて、連絡の取りようがありません!」

 

「だったらファイターを数機連絡に回せ!急げ!!」

 

「イ、イエス・サー!!」

 

「敵、間もなく上空に現れます!!」

 

「クソッ、全ファイターは迎撃に当たれ!対空戦闘用意!!」

 

「イエス・サー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼等共和国軍にとって、とても長い一日が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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