真・恋姫†無双 魏伝『鄧艾の章』   作:雪虎

12 / 24
第十二話:戦後処理

「以上が此度の論功行賞の全てだ!昇格の辞令は後日各自に通達する、人事異動、再編もそれにともなって行われる。現時点で異動が決定しているものは前任者から、或いは後任者に引き継ぎを、万事抜かりなく済ませるように!」

 

張角、張梁、張宝の三姉妹を捕縛。黄巾軍の殆どは散り散りになり、また適当に討った賊将の首級を朝廷には張角、張梁、張宝であると報告。華琳と三姉妹との話し合いの末、三姉妹は曹操軍の庇護下にて旅芸人としての活動を続ける事になった。喜雨は、少々思うところがあったようだが。

 

大まかな人事だが俺が元帥の地位なのは変わらずだが、定陶が俺の直轄領として拝領された。今後は定陶を『飛雷騎』の活動拠点とする事が決定した。また、『飛雷騎』所属、と言う事で俺の下に四人の部下が固定で配属される事になった。犹、真桜、由空、趙儼の四人だ。華琳の話では今後、勢力を拡大し人材が増えれば兵数と共に増員をする、との話だ。

 

他にも一刀の下に立夏、凪、沙和の三人が部下として配属され、『北郷隊』が正式始動する事になった。通常時は陳留の治安維持と新兵訓練を主業務とし、非常時に陳留を護るための備えとしての色合いを強くするとの事だ。そのため、今後は隣接している定陶との連携を密にする必要性があるので必然的に一刀と共に仕事をする事も多くなるわけだ。字の一つも満足に読めなかった一刀が今では曹操軍の基幹を担う要職に就いている、純粋に短期間でここまで成長してくれたのが嬉しくもあるわけだ。

 

また戦時中の暫定処分で秋蘭の下に配属されていた迅が正式に秋蘭の部下となった。と言うのも、秋蘭は曹操軍内でも指折りの優秀さを持ち、今は一軍の将だが何れは一方の長を、と言う話を華琳から直接したらしい。それで自らの戦術や武将としての在り方を継いでくれる後継を育成する、と指名されたのが迅だったと言うワケだ。迅もそれを応諾、現在は秋蘭の副官として仕事をしつつかなり厳しめに鍛えられている日々だ。

 

他にも春蘭の下に季衣、華侖の下に緋那がそれぞれ部下として配属される事になった。

 

文官側だが桂花が筆頭として纏め上げる事が決定した。沛から経験豊富で中央に顔が効く燈を呼び寄せ常駐させる事になった。喜雨も、本格的に陳留での農業政策に従事するとの事で、親子揃っての異動になった。人手が足りない事に変わりは無いので、まぁ暫くの間は武官も総出で書類仕事を手伝って貰うことになるだろう。・・・・・・・・と言ったら春蘭と華侖、季衣、緋那の四人が顔を真っ青にしていた。

 

「と言う訳で、定陶の住民への説明も犹様のご協力があり恙無く済ませる事が出来ました。以前の事もあり吼狼様の赴任に関しても好意的に受け入れて頂けたようです」

「進捗状況は?」

「商業組合と各区長とは話がついています、現在由空と真桜が先行し兵舎の建造を進めています」

「そのまま話し合いは任せる、必要があればすぐに俺を呼べ」

 

それと趙儼から景の真名を預けられた、「正式に配下となるからには」との事だ。ちなみに俺と犹が様で、由空と真桜が呼び捨てなのは人間として尊敬出来るかどうか、が基準となっているらしい。

 

「ああ、それと向こうに行ったら真桜に伝言を二つ。防備の強化を優先させろ、あと全自動竹籠編み装置に予算は出さない、以上だ」

「承知しました」

「あと由空にも伝言が二つ。兵舎の建造が終わり次第北郷隊に協力を仰ぎ警備態勢を整えろ、あと柳琳に会うためだけに休暇を与えてやる程暇は無い、以上だ」

「そちらも、承知しました」

 

真桜も由空も優秀だ、優秀なんだが色々と残念なところがあるのが困りものだ。

 

―――――――――

 

各地に放っていた密偵から送られてきた報告書へと眼を通していた。今回の乱で勢力を伸ばした者、際立った活躍を見せた者、そしてそれとは真逆に沈黙を保った者。

 

義勇軍を率いた劉備は平原の相に、その支援者として動いていた公孫賛も幾つか領地を加増し幽州の大半を獲得した。またこちらと一悶着あった孫策を抱えている袁術も淮南一帯に加えて揚州北部の一部を領地に加えたようだ。他にも涼州の馬騰、併州の丁原、擁州の董卓、徐州の陶謙らの諸侯が各地で戦果を挙げ、何れも領地や爵位、金などによる報奨を受け取っている。

 

逆に全くの静観を貫いたのは荊州の劉表、益州の劉焉、漢中の張魯らだ。州境の防衛を徹底させ、黄巾の侵入を阻止する事だけに全力を注いでいた。劉表あたりはこのあとの『流れ』を読んで静観していたのだろう。張魯は漢中で流行り始めた宗教の教主を勤めている、教義だなんだと縛られて外へ打って出る事が出来なかったのだろう。劉焉は近頃では体調を崩しがちで子の劉璋が実権を握りつつあるという。その地固めで動けなかったか、或いは・・・・だ。

 

後は洛陽の動きだが・・・・

 

「何進か十常侍か、どちらかが痺れを切らして動くだろうな」

 

何進は俗物の塊だ、この乱の間とて密偵から入ってきた何進の動きと言えば各討伐軍の将に使者を出し賄賂を要求。要求に応じれば戦果が上がらずとも戦後の報奨と地位を約束し、応じなければ更迭、最悪の場合領地や私財まで没収。これにより黄巾本隊を相手に半分以下の兵力で徐々に優位を確保し、押し返す寸前まで戦局を作り上げた盧植が更迭。他にも各地で戦果を挙げていたが要求を拒否したがために、先述のような扱いを受けた者も多かった。

 

十常侍はその筆頭である趙忠があくまで帝至上主義。それ以外はどうでもいい、と言う立ち位置を貫いており。僅かなりとも帝の心中を騒がせれば自分たちが殺される、それが分かっているから他の九人も大っぴらに動く事はしない。

 

なので事を起こすなら、何進側だろう。ただ・・・・何進にはビックリする程人望が無い。何進の事を調べに洛陽に潜入させた密偵から、わざとやっているのかと聞き返したくなる程不評悪評しか送られてこなかった。何度送っても同じだった、華琳に聞いても似たような返答しか帰ってこなかったのでそこで確信した事だが。

 

「そこからの動きを見てから、だろうなァ。賢者の熟慮した動きなら読むのは容易いが、愚者の短慮な動き程読めないモノは無いからな」

 

賢い、小狡い、抜け目がない、そこからの考え抜かれた動きには必ず理由がある、だからこそ読む事は可能だ。だがバカが突発的、短絡的に起こした動きは読めない。そこに理由も、意思も存在しないからだ。

 

「吼狼様、少々宜しいでしょうか?」

「あぁ、入れ」

 

扉の外から聞こえてきたのは犹の声、すぐさま返答を返せば扉が開く。と、犹と共に由空、景、真桜が入室して来た。

 

「どうした?ゾロゾロと」

「いえ、本日の業務も終わり頃だと思いまして・・・・コレを」

 

そう言って犹が酒壺と盃を五つ、取り出す。

 

「珍しい事もあるもんだ、お前からそういう誘いが来るとはな」

 

差し出された盃を受け取り、犹がその盃へと酒を注ぐ。

 

「固めの杯、ですよ。なので皆で一杯づつ飲む分しかありません」

 

全員への杯へと、酒を注いでから酒壺を逆さまにして振る。確かに一滴も落ちてこない。

 

「ったく、古風な事しやがって。そもそもだ、俺がお前らに求めるのは『働き』であって『忠誠』じゃねぇんだぞ?」

 

臣下が臣下を持つ事は、古来より不和の切欠となる事が多い。殷の紂王と文王姫昌、秦王嬴政と相国呂不韋。その結末は様々だが、ロクな事にならない事の方が多い。

 

「無論、『忠誠』は華琳様へと捧げます。ですがそれは『曹孟徳の家臣』として、『飛雷騎の将』として我ら四名、『背を預ける仲間』として戦いたいのです」

 

犹が杯を掲げれば、由空も、景も、真桜も、その言葉に同意するように杯を掲げている。

 

「・・・・本当、俺には勿体ねぇ連中だ」

 

杯を手に取り、俺も合わせるように掲げる。

 

「遠くねぇ未来、確実に乱は起きる。『飛雷騎』と言う括りには入ってるが、ばらけて動く事もまぁあるだろう」

 

『飛雷騎』の役割は元帥直属の独立遊軍。俺の指示で魏領各地へと動き回ると言う運用方法のため、全員が集まる、と言うのはほぼほぼ無くなると言ってもいいだろう。

 

「だが俺らは仲間だ。私情を前面に出す事は出来ねぇが、誰かが危なくなったら俺は状況が許す限り助ける。だから俺が危なくなったら状況が許す限り、助けてくれ」

「無論」

「当然です」

「御意に」

「あったりまえやん!」

 

四人が笑いながら答えるのを聞いて、俺も笑みを浮かべながら・・・・

 

「俺たちのこれからに・・・・乾杯!!」

「「「「乾杯!」」」」

 

これからの事に、思いを馳せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

この数ヵ月後、漢王朝の終幕を告げる戦いが始まった。




第十二話でした。

かなり投稿が遅れて申し訳ありませんでした。もう先週までひたすら残業だらけで・・・・三月に至っては二日しか休んでいないと言う超超過労働。

取り敢えず黄巾編はこれで終わりになります。

以前から要望があったキャラマテリアルと数話、日常編みたいなのを投稿してから反董卓連合に入ると思います。

キャラマテリアルは簡単なプロフィール、KOEI風能力値、それと容姿に関しては上手く説明出来る程文章力が無いので、イメージが近いキャラクターで表記させて頂きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。