黄金の言霊 外伝 オーブの奇跡~希望と絶望の力、お借りします!~   作:マイン

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皆さん、新年あけましておめでとうございます。今年も私の拙作の応援をよろしくおねがいします


今回、この作品オリジナルのオーブの新形態が登場します
本当なら挿絵を描いてどんな姿かイメージしてほしかったのですけど、画才がないので各自イメージで補完してください

ではどうぞ


New Legend

「こ…これは一体ッ!?」

 ディスペアーパレスにて代行者たちと共にスラン星人の戦いぶりを見物していたメフィラスは、スラン星人がライブしたカラレスの姿に思わず立ち上がった。

 

「うぷぷ…ついに使っちゃったねぇ~!あそこに置いておいて正解正解…予想通りホイホイ持って行ってくれたよ!」

「…代行者様、あれは一体…!?何故カラレスがあそこに?彼の肉体は既に…」

「ああ…キミの言うとおり、カラレスの肉体は既に無い。君も参加した星間連合と光の国の戦いで、宇宙の塵と化してしまったからね。…けれど、『カラレス自体』が消えた訳じゃあない。彼の魂は肉体が滅んでも尚、光の国の『ウルトラキー』の中に眠っていたのさ」

「ウルトラキー…!まさか、あなたはそれを使って…」

「…君も知っての通り、私も『それに近い状態』で永い時を過ごしたからね。それに、以前『私が作ったギガバトルナイザー』は『怪獣墓場』の魂だけになった怪獣に肉体を与えることすらできた。ならば、私が同じことをできない道理はないだろう?例え、ウルトラマンであろうとね…」

「…つまり、あのカラレスはあなたの『レイオニクス』の力によって仮初の肉体を与えられた姿…と言う訳ですか」

「そういうこと!スパークドールにしていたのは、その方が誰でも使えるのと…あと、可愛いじゃあないか。あのウルトラマンが、人間ですら容易く捻り潰せる姿になっているというのはさ…♡」

『フフフフフフ…!』

 恍惚とする代行者とそれに同調するように嗤う宇宙人軍団を余所に、メフィラスは思考を巡らせる。

 

(…まさか、この方にこれほどの力があったとは…!それに、カラレスの魂がウルトラキーの中に在ったというのであれば、キーにはあの闘いで散った他のウルトラ戦士の魂も…)

 

「…ドリューの事が気になるのかい?」

「ッ!」

 見透かされるような声音の問いに、メフィラスは驚き…瞬時に平静を保って答える。

 

「…そうですね。しかし、それ以上に魅力的ではあります。ドリューは私の尊敬に値する誇り高く、強い戦士。もし彼の力を使える時が来るのならば…この上ない楽しみに他なりませんよ」

「ふぅん…ま、そういうことにしてあげるよ。なら、望みどおりドリューのスパークドールは君に予約しておいてあげるよ。出番が来たら、存分にその力を振るうと良い。君の尊敬する誇り高い戦士の力をね…」

「…御意」

 再び黙り込んだメフィラスと愉悦の滲み出た笑みを浮かべる代行者の視線の先で、カラレスとゼロ、オーブの戦いが始まった。

 

 

 

『デェェェヤッ!!』

『うおッ!?』

『クッ…!』

 予想外の事態に戸惑いを隠せないゼロとオーブに、闇に染まったカラレス…カラレスダークは紅い目を光らせ襲いかかってくる。変身前のスラン星人ほどのスピードこそないが、タロウの動きに似た…否、さらに洗練された格闘で2対1のハンデを物ともせず二人を攻め立てる。

 

『…ッ、どうなってやがる!?奴がなんでスパークドールを…しかも、ダークダミースパークでウルトラマンにライブしやがった!』

『それだけじゃあありませんよ、ゼロさん…!奴がライブしたあの姿…先生から以前聞いた、タロウさんの師匠だったというカラレスさんそのものです…!』

『なッ…!?タロウの師匠だと!なんでそれがスパークドールになってあんな奴の手に…』

『分かりません。ですが…うわッ!?』

『スラッシュバインド!!』

 カラレスの腕から伸びた光の鞭をオーブはかろうじて躱す。鞭はオーブの背後にあったビルを切り裂き倒壊させる。

 

ガゴォォォンッ…!

『チッ…!流石はタロウの師匠だ、油断してるとこっちがやられる!戦うしかねえぜ!』

『待ってください!…相手がスパークドールのライブ体なら、この力で…!』

 体勢を立て直すと、オーブは新たな姿に変じる。

 

 

「コスモスさん!」

『ウルトラマンコスモス!』

 

「エックスさん!」

『ウルトラマンエックス!』

 

「慈愛の心…お借りします!」

 

『フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ フルムーンザナディウム!』

 

 

『繋がる力は、心の光…!』

 オーブが変身した姿。他のフュージョンアップ形態に比べ物腰が柔らかく、シアンブルーと銀の体色が穏やかさすら感じさせる姿。肩や胸部に機械的なプロテクターこそあるものの、それは打撃戦の為ではなく相手の攻撃を受け流すための最小限のものである。それこそがフルムーンザナディウム、コスモスとエックス…怪獣との共存を願った二人のウルトラマンの力を借りた、慈愛の戦士である。

 

『…そうか!その力ならスパークドールズを無力化できる!』

『この一撃で…目を覚ましてください、カラレスさん!!』

 オーブは両手を挙げ、そのまま左足を引き摺る様に弧を描いて後ろに反らす。それに続くように上半身を捻ると、溜め込んだエネルギーを放出する。

 

 

『フルディウム光線!!』

 突き出されたオーブの手から放たれた青い光線。それはカラレスに命中すると、纏わりつくようにカラレスの全身を包み込む。この技に、物理的なダメージは皆無である。しかしこの光は、『カオスヘッダー』や『ダークサンダーエナジー』といった対象を凶暴化させるものを打ち消し、またライブ中のスパークドールを強制解除することもできる。いわば、邪なるものを弾きだす技なのである。

 

ズバババババババッ!!

『う、ぐ…ああああああッ!!』

 光に触れた場所から闇を噴き出しながら悶え苦しむカラレスダーク。すると、その背中からスラン星人の身体が飛び出してくる。だが…

 

『…?なんだ…奴の身体が、透けている?』

 カラレスダークから飛び出たスラン星人の身体は半透明に透けていた。オーブもフュージョンアップが切れかかると似たような状態になるが、その時出てくるのは力を借りているウルトラマンのパワーそのもの…『実体』がある筈のスラン星人の身体が透けているのは異常であった。それに、肝心のスラン星人はそんな状況にも関わらずピクリとも動かない。…と

 

…フッ

 突如、今にも分離しそうだったスラン星人の肉体が『掻き消えた』。

 

『何ッ!?』

 そのことにゼロやオーブが驚いていると

 

『…むぅぅぅんッ…!シュワッ!』

 

バシュゥゥンッ!!

 先ほどと一転して勢いを取り戻したカラレスダークは気合と共にフルディウム光線を弾き返してしまった。

 

『なッ…掻き消しただと!コスモスとエックスの力が通じないってのか!?』

『…いや、違う!今のスラン星人の消え方、それに今のカラレスさんから感じる生命エネルギーの数…これは、まさかッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「…『一体化』?」

「そう、彼は…あのスラン星人となった憐れな元地球人はもう居ない。彼はカラレスと一体化し、その命の礎となったのさ」

 状況を碌に理解しないままただ騒ぎ立てる宇宙人軍団を尻目に、代行者はメフィラスにだけ聴こえる声で今起こったことを説明する。

 

「どういうことですか…?ダークライブはあくまでスパークドールとなった存在の力を解放し、自らがそれを操れるようになるに過ぎない筈。存在そのものを一体化させるなど聞いたことがありません」

「確かに、それが普通のダークライブだ。…でも、その方法には『欠点』がある。それは、ライブ後の戦闘能力が『変身者の身体能力に左右される』ということだ。いくらウルトラマンやゼットンにライブしようと、変身している奴が雑魚ではその力は1割も引き出すことができない。故に私は、彼らのスパークドールズに少し『調整』を施したのだよ。…変身した後に、変身者の肉体と人格をライブした対象のそれに『置換』するようにね。つまり、今のカラレスはスラン星人がライブしているのではなく、正真正銘『本物のカラレス』が戦っているのだよ。…無論、私に逆らわない様に闇の力で魂を書き換えさせてもらったけどね。私の意のままに従うようにね…」

「……」

「…ああ、勿論君が使う時にはそんなことが無いようにしておくさ。ドリューの事をよく知る君なら、そんなことをしなくても十分に力を引き出せるはずだしね」

「…ええ、勿論…ですとも」

 

 

 

 

 

 

 

 

『…奴がカラレスと一体化しただと!?そんなことが…』

『…可能性としては十分にあり得ます。今のゼロさんのように双方の同意の上で一体化しているならともかく、ウルトラマンもその気になれば一体化した相手の人格を乗っ取ることができます。その力を悪用すればああもなるでしょう…!』

『…確かにな』

 現にゼロも、別宇宙から侵攻してきたベリアルを追った時、瀕死の重傷を負った現地の若者と一体化し、傷が癒えるまで肉体と人格の主導権を使っていたことがある。極論だが、もしゼロが彼の肉体を返さなければ同じようなことになっていただろう。それ故にゼロも納得するしかない。

 

『ダークライブにより強制的に闇の存在にされたのなら、フルディウム光線で元に戻せる。…でも、あのスラン星人と完全に一体化してしまった以上、カラレスさんはもう『闇の巨人』だ。コスモスさんでもカオスウルトラマンを救えなかったように、元より闇の存在はこの力では戻すことができません…!』

『けどよ、カラレスとヤツを引き剥がせないって言うんだったら…もう倒すしかねえってことかよ!』

『クッ…!』

 歯噛みするオーブとゼロに対し、カラレスダークはそんな二人の心境など知ったことではないと次なる攻撃に打って出る。

 

『ホァァァァァァッ…!』

 

ゴォォォォッ!!

 カラレスダークが膝を抱えて丸々と、その身体が炎に包まれ巨大な火球となる。その勢いはみるみるうちに大きくなり、周囲のビルや街頭が融解していくその様はまるで小さな『太陽』のようであった。

 

『ファイアーァァスフィアッ!!』

 カラレスはその状態のままオーブとゼロ目掛け突撃する。

 

『な、なんて熱さだ…!けど、こんなもんが当たると…』

『…ッ!駄目だゼロさん、僕等が避けたら…後ろにはッ!』

『ハッ!?』

 躱そうとしたゼロがオーブの声に振り返ると、いつの間にか自分たちは皆が避難している希望ヶ峰学園を背負う形になっていた。

 

『なッ…!?何時の間に…』

(まさか、誘導されていたのか!?)

『この距離じゃ間に合わない…受け止めます!!』

『チッ!』

 オーブとゼロは力を合わせて正面に強力なバリアーを展開し、迫るカラレスダークを受け止めた。

 

ガガガガガッ!!

『ぐっ…おおおおおおッ!!』

『うああああああああッ!!』

 突撃のパワーに加え、ウルトラマンの体皮を以てしても身を焦がすその熱量に体が悲鳴を上げる。しかし、守るべきものを背負っている今オーブとゼロはそれでもなお一歩も引かず踏み止まる。

 

 

「…熱ッ!?こんなに離れてるのに、なんて熱気だよ…!」

「窓を閉めろ!これ以上この熱気を浴びていたら熱中症どころか火傷するぞ!」

『室内の気温…な、70度以上でちゅ!?学園の敷地の外に至っては100度を超えてるでちゅよ!』

「と、溶ける…溶けるぅぅぅ…!」

「断熱性の窓と壁に仕切られてもこの暑さかよ…。マジで太陽が降って来たみたいじゃねえか」

「クソじゃあああッ!そんなとんでもないモンを堪えとる友人に、何もしてやれんとはッ…!」

「…祈るしかないのでしょうか?お二人が無事に戻って来てくれることを…」

「誠君ッ…!」

「日向君…」

 

 

…キュボォォォンッ!!

 自分たちを守る二人のウルトラマンの背を見守っていた皆の前で、熱気が頂点に達したカラレスダークの火球が爆ぜ、バリア諸共オーブとゼロを吹き飛ばす。

 

『ぐおぁッ!!』

『うわッ!』

 二人は受け身も儘ならず地面に叩きつけられた。

 

ピコーン、ピコーン…

 そしてそれに呼応するように、二人のカラータイマーも点滅し始める。

 

(ぐうッ…大丈夫か、ゼロ!?)

『心配、すんな…これぐらい、どうってことねえッ…!』

『まだだ…まだ、倒れる訳には…いかないッ!』

 

『……』

 自爆の衝撃を受けている筈にも関わらずまるで機械のようにいち早く立ち直ったカラレスダークは、未だ戦意を失わないオーブとゼロを一瞥し…彼らの背後にある希望ヶ峰学園へと視線を移す。

 

『…ッ!やべぇ!!』

 その意図に気づいたゼロの前で、カラレスダークはそれを肯定するように構えを取る。

 

『…ストリウム光線!』

 全身が極彩色に発光した後、クロスさせた両腕から放たれた同じ色の光線…かつてタロウに教えたストリウム光線が、守るべきはずの人間がいる希望ヶ峰学園へと迫る。

 

「きゃあああッ!!?」

「も、もう駄目だぁッ!!」

 視界を埋め尽くす死の閃光に思わず目を瞑る。…しかし

 

 

 

ギュバババババッ!!

 

『…う、ぐあああああッ!!』

「…えッ!?」

 訪れぬ衝撃に目を開けると、学園と光線の間に割って入ったゼロが仁王立ちでストリウム光線を受け止めていた。

 

『ゼロさん!日向君!!』

『があぁぁッ…!』

 

ガシャァァァンッ!!

 死力を尽くしてどうにかストリウム光線を耐え切ったが、それと同時にゼロは後ろに倒れ込み…校舎に当たる寸前に変身が解け、戻った日向は窓ガラスを突き破って校内に放り込まれた。

 

「日向ッ!!」

「日向君ッ!!」

「ぐ…お前ら、無事か…?」

「ッ!お前…こんな時ぐらいテメーの心配しやがれッ!!」

「へへ…その口ぶりなら大丈夫そうだな…。良かった、ぜ…」

「ひ、日向さぁん!!」

 全身ボロボロの日向に七海や小泉、罪木が駆け寄る。日向はそんな皆の無事を確認すると、笑みを浮かべながら気を失った。

 

 

『日向君…クソォッ!!』

 親友の危機によろめきながらも立ち上がったオーブ。

 

『ホワァァ…』

『デュワァッ…』

 しかし、その身体からはみ出るコスモスとエックスの幻影が、オーブの限界をありありと示していた。

 

『……!』

 そんなオーブに、大技を連発し続けているカラレスダークは疲れた様子など全くないまま『次はお前だ』と言わんばかりに、再びストリウム光線の構えを取る。

 

「やべぇ!このままじゃ苗木まで…」

「誠!逃げてぇ!!」

「…ふざけんじゃあないよ苗木!アタシに勝ったアンタが、こんなところでくたばって良いワケないでしょうが!!」

 校舎からの悲鳴のような声も虚しく

 

『ストリウム…光線!!』

 カラレスダークのストリウム光線が放たれた。

 

 

「…負けないッ!!絶対に諦めてたまるか…人の希望は、未来はッ!!こんなところで終わらない、終わらせないッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ピカッ!!

「!?」

 突如、インナースペースの苗木のカードホルダーから光が溢れ、その光はインナースペースを飛び出しオーブの体から飛びだす。

 

バシュゥゥゥゥッ…!

『…!?』

 飛びだした光はストリウム光線を受け止め、掻き消してしまう。流石に動揺するカラレスダークを余所に、光は再びオーブの中へと戻っていく。

 

キュワァァァ…!

 インナースペースへと戻ってきた光は、苗木の前で止まると光を増し、やがてある存在へと変化する。

 

「…あ、貴方は!」

 

 

 

 

 頭頂部と耳の上にある3つの突起が特徴的な頭部。筋肉のように隆起した群青と銀の神々しさすら覚える落ち着いた体色。腹部には、意味は分からないがおそらく自身の存在を意味する文字がある。伝承にすらおぼろげにしかその存在が記されていない、その者の名は。

 

「ウルトラマン…レジェンド…!」

『……』

 全宇宙を見守る伝説の戦士、ウルトラマンレジェンド。かつてコスモスとジャスティスの二人が力を合わせた時に一度だけ姿を現したという巨人が、今苗木の前にいた。

 

「貴方が、助けてくれたのですか…!ではやはり、このカードは貴方が僕に託してくださったのですね」

『……』

 ホルダーから取り出された己のカードを持つ苗木に、レジェンドは何も答えない。しかし、苗木の頭には不思議と彼の言わんとすることが伝わって来ていた。

 

「…仲間と戦うことを、恐れるな?…でも、僕はカラレスさんを救いたいんです!先生の戦友を、光の国の偉大な先輩を、闇の力にいいように使われたままなんて僕には…」

『……』

「…闇を、受け入れろ…って、ベリアルさんの時のようにですか?」

『……』

「二つの力を、一つの想いに……そうか!今のカラレスさんが光の力を闇の力に書き換えられているのなら、『その逆』も可能な筈!闇の力を弾きだすのではなく、闇を受け入れ光に変えることができるのなら…!」

 レジェンドの意図を掴んだ苗木に、レジェンドは満足そうに頷くと再び光の粒子となり己のカードへと吸い込まれていく。

 

「力を、貸してくれるんですね。…ありがとうございます!偉大な力、お借りします!」

 

 

『覚醒せよ、オーブオリジン!』

 苗木はオーブオリジンへと変身する。そして、更にここから続ける。

 

「レジェンドさん!」

『ウルトラマンレジェンド!』

 苗木がレジェンドのカードをオーブリングにスキャンすると、カードから飛びだしたレジェンドのパワーが光となって分散し、オーブリングに纏わりつくとリングの表面を覆うようにレジェンドの頭部を模したようなカバーとなる。

 

「オーブリング・ヌーヴォ(新たな)!」

 進化したオーブリング『オーブリング・ヌーヴォ』に、苗木は再びオーブカリバーをスキャンする。

 

♪♪♪~♪♪~

 再び鳴り響くオーブニカ。しかしその音色はオーブオリジンの安らぎをもたらす音色とは異なり、何かの始まりを示す様な『プレリュード』のような音色であった。

 

『今より始まる、オーブの伝説!』

 

「二つの力が一つとなる時、伝説よ…今ここに!オーブレガシー!!」

 

 

 

キュォォォォォ…!

 

 

 光と共に、オーブは新たな姿へと変わった。

 

 頭部にはレジェンドのような突起があり、オリジンよりも精悍な目つきとなっている。体色も群青と銀を中心に赤、黒が差し色として入ったものに変化し、一回りがっしりとした体格になっている。そして腹部には、レジェンドと同じ文字が描かれている。

 

 その姿の名は『ウルトラマンオーブ オーブレガシー』。レジェンドの力を得たことでオーブ本来の姿であるオーブオリジンが進化した、フュージョンアップではないオーブの新たな力である。

 

『…!』

「オーブが、新しい姿に…!」

「あの姿…まるでウルトラマンレジェンドみたいだぜ!カッピョイィ~!!」

「ここにきてパワーアップキターッ!!これで勝つる!」

 

 

「あれは…!」

「ふん、性懲りもなくコロコロと姿を変える奴だ!しかしどんな姿であろうともう奴に勝ち目は…」

 

 

 

ドゴォンッ!!

『ッ!?』

 モニターに映るオーブレガシーの姿を見た途端、代行者は目を見開いて驚き、次いで苛立ちをぶつけるように自分の座っている椅子を叩き壊した。

 

「だ、代行者様…?」

「…貴様は、貴様はそんなザマになってでもまだ『希望』に縋るかぁッ!!」

「ひぃッ!?」

 宇宙人軍団やメフィラスは呼びかけようとしたが、噴火のような代行者の剣幕に慄いてしまう。

 

「20余万年経っても尚、私の邪魔をするかウルトラマンレジェンド!!脆弱な人間なぞに、私を倒せると本気で思っているのか!…いいだろう、ならば貴様の縋る人間の『希望』とやらを、打ち砕いてやろう!やれ、カラレス!希望の象徴たるウルトラマンである貴様の手で、人の希望に終止符を打ってやれッ!!」

 

 

 

 

 

『…ストリウム光線!』

 代行者の命を受けたカラレスダークは、オーブレガシーに問答無用でストリウム光線を放つ。

 

『ムンッ!』

 オーブは慌てることなく手にしたオーブカリバーで光線を受け止める。更にそれだけではない。

 

キュィィィィッ!!

 オーブカリバーからオーロラのような虹色の光が放たれ、そのまま旋回するオーブの動きにつられるようにストリウム光線が軌道を変えてオーブカリバーに吸い込まれていく。

 

『オーロラルリフレイン!』

 一回りしたオーブがオーブカリバーをカラレスダークに突き出すと、カリバーに吸収されたストリウム光線がさらに強力な光線となってカラレスダークに跳ね返された。

 

ギュバババババッ!!

『ゴワァァァァ!』

 攻撃を受けたカラレスダークは耐えきれず吹っ飛ばされた。

 

 

『今度こそ、終わらせてやる!』

 カラレスダークが体勢を立て直す前に、オーブは最後の一撃を放つ。

 

 

 インナースペースの苗木が、オーブカリバーのリング部の真ん中にあるオーブのエレメントにオーブリング・ヌーヴォを翳す。

 

キュピン!ギュオオオオオ…!

 するとエレメントが輝きだし、それに呼応するようにオーブカリバーのリングが回転する。

 

 シュォォォォ…!

 同時にオーブが持っているオーブカリバーが光の粒子となり、オーブのカラータイマーに吸い込まれていく。そして…

 

 

『放て!希望の輝き!!』

 

『レジェンダリー・ストライク!!』

 

キュボォォォォッ!!

 オーブのカラータイマーから放たれた黄金の光線が、立ち上がったばかりのカラレスダークを捉える。

 

『ウォォォォォ!!?』

 

シュオォォォォォ…!

 光線を浴びたカラレスダークがもがいていると、その闇に染まった体の表面が鱗のように剥がれていく。

 

『貴方を構成する闇の力を、レジェンドさんからお借りしたこの光で浄化する!闇の力を引き剥がせないのなら、その闇を光に『書き換えて』やるッ!…貴方の居場所は、そこであってはいけないんだ!!オオオオオオッ!!』

『グワァァァァァ!!』

 

 

 

 

 

 

 

ピキッ…パキャァァァァンッ!!!

 カラレスダークを包む光が最高潮に達した時、ガラスの割れるような音と共にカラレスダークを覆う闇が砕け散った。そして

 

 

 

 

 

 

『ハァ…ハァ…!』

 そこに立っていたのは、もう暗黒の戦士カラレスダークではない。光の国を守った偉大な戦士、カラレスであった。

 

『わ、私は…一体…?』

『…カラレスさん、ですね』

『!』

 己の状況を飲み込めきれないカラレスに、オーブが声をかける。

 

『君は…いや、憶えているぞ。君が闇に堕ちた私を救ってくれたのだな。…礼を言わせてくれ』

『いえ、僕一人の力ではありませんから。…僕の名はウルトラマンオーブ。お会いできて光栄です、カラレスさん』

『オーブ、か。…ああ、思い出してきたぞ。私はウルトラキーの中で眠りに就いていた筈だった。…だが、突如恐ろしいほどの闇の力によって意識を奪われ…気がつけば、この身をスパークドールに変えられ、意識の底で闇に染まった自分と君たちが戦うところを見ているしかできなかったのだ』

『…そのことでお聞きしたいのですが、貴方にライブしていたあのスラン星人は…?』

『……残念だが、彼の意識と肉体は私の中に完全に溶けてしまった。もはや探り出すことも叶わん…そのおかげで、肉体を失った私がこうして蘇れたというのは皮肉だがな…』

『そう、ですか。…ともかく、貴方だけでも無事で良かった』

『ありがとう、オーブ。それに、君と共に闘っていたあの戦士もな』

『はい。後でゼロさんとも会ってあげてください』

『うむ…闇に染まっていたとはいえ、非礼を詫びねばならんしな…!』

 差し出されたオーブの手を掴んでカラレスは立ち上がった…が

 

ピコ、ピコ、ピコ…

『…む、う…!』

 カラレスのカラータイマーが点滅し出し、立ち上がって直ぐに膝を突いてしまう。

 

『だ、大丈夫ですか?』

『ぬう…我がことながらどうやら相当に無茶な戦いをしていたようだ。エネルギーもだが、肉体の負担も限界に近い…。君達の力になりたいが、このザマでは戦えそうにないか…』

『…ですが、この空の下では太陽のエネルギーを回復することは…。そうなると、ゼロさんのようにこの星の人間と体を一体化させないと…』

『…ならば、『彼』に助力を乞うとしよう』

『え?』

 カラレスはそう言ってなんとか立ち上がると、希望ヶ峰学園の方へと歩いて行く。敵意を感じないとはいえ先ほどまで自分たちを殺しにかかっていた存在が近づいて来ることに皆が警戒する中、カラレスは学園の前で立ち止まり……苗木の前で膝を突く。

 

「え…?な、何…」

『私の声が聴こえるか?』

「ッ!?え…まさか、あなたが話しかけているんですか?」

『ああ。私の名はカラレス。光の国から来たウルトラ戦士だ』

「カラレス…さん?」

 先ほどと同じように頭に語りかけてくるテレパシーに戸惑いつつも、苗木はカラレスとしかと向き合い話を聴く。

 

『先ほどの君の行動、見させてもらった。…無謀としか言えぬ行動ではあったがな』

「あ…はい」

『…だが、それ以上に私は君に感心した。君は愛する者を守るために、例え無謀と分かってても尚迷うことなく行動に移した。その勇気と決断は、誰もができることではない。私はこの宇宙に生きるものとして、君の心に敬意を表したい』

「え、あ…ありがとう、ございます?」

『…その君にこんなことを頼むのは心苦しいのだが、君を見込んで頼みがある。…私と共に戦ってくれないか?』

「え…!?」

「…おい苗木!何をボソボソと話している!そいつは危険だ、離れろ!!」

「あ…その、この人…ていうかウルトラマン、カラレスさんって言うんだけど。僕と一緒に戦ってほしいって…」

「なんですって…!?」

 苗木を通してカラレスの意図を知った皆は驚愕する。

 

『空を覆うあの無数の蟲…奴らが居る限り、我々ウルトラマンはこの星では自力でエネルギーを補充できない。戦うためには、この星の環境に順応した肉体が必要になる。…君と一体化することで、君は私の力を使うことができるようになるのだ』

「一体化って…あの、そうなったら僕はどうなるんですか?消えちゃったり、するんでしょうか…?」

『心配はいらない。我々は協力してくれる者達を蔑ろにするようなことはしない。君は君のままだ、私は君の奥底で君が必要とする時まで眠りに就く。プライバシーには最大限考慮するし、戦いの負担は私が一手に担う。君の体は必ず無事で返すと約束しよう』

「…僕は」

「な、苗木っち!やめとくべ、絶対危ないべよ!」

「そいつが本当に味方だと決まった訳ではない。そんな奴に力を貸したところで、裏切らないという保証は…」

「…二人とも、黙って」

 止めようとした葉隠と十神を霧切が制する。

 

「響子ちゃん!?」

「霧切!貴様、どういうつもりだ!?」

「見ての通りよ。…彼を信じるにしろ信じないにしろ、それは苗木君の意志で決めるべきことよ。当人同士の話に私たちが口を挟むべきじゃあないわ」

「…じゃが霧切君、もしそれで彼が危険に晒される…あるいは我々の敵になった時、その時はどうするつもりじゃ?」

「…その時は、彼の上司として私が責任を取るわ。苗木君が危険になれば、私が命を懸けて助けてみせる。彼が未来機関に害成す存在になれば…その時は、私が彼を『殺す』わ」

「ちょッ!?」

「本気かよ…?」

 天願の問いに毅然とそう返答する霧切。その冷たい物言いに宗方や逆蔵ですら驚きの表情を見せる中、自分を見る苗木に霧切が語りかける。

 

「苗木君。貴方は、貴方が正しいと思うことを成すべきよ。そこに誰かの思惑なんて関係ないわ、あの学級裁判の時もそう…江ノ島盾子の言葉に惑わされることなく、自分の信じる希望を貫いた貴方だから、江ノ島盾子の絶望を打ち倒すことができた。そんな貴方を信じれたから、私はここにいることができる。…だから、最後まで貴方は貴方を貫きなさい。私は、そんな貴方を最後まで信じるわ」

「霧切さん…」

 真っ直ぐに自分を見つめる霧切に頷き、苗木はカラレスに向き直る。

 

 

「カラレスさん!僕は、この世界を守りたい…絶望に覆われた世界でも、今も沢山の人たちが苦しんでいる世界でも…この世界は、僕たちが生きる世界だ!僕は信じたい…この世界に、また『希望』が戻る日が来ることを!その為に、僕たちは江ノ島盾子と戦ったんだ!それを無駄にしない為にも、あんな奴らにこの世界を好きにさせる訳にはいかないッ!だから…僕の方から頼みます。僕と一緒に…戦ってくださいッ!!」

『…感謝する。その想い…確かに受け取った!』

 苗木の意志を受けたカラレスは、自ら光の粒子となり苗木を包み込む。やがて光は苗木の胸元に吸い込まれるように収束していき、治まったそこにはまるで太陽を模したような銀色の『バッジ』があった。カラレスに変身するためのアイテム『カラレスバッジ』である。

 

『これから、よろしく頼む。誠…!』

「は、はい…!こちらこそ、よろしくお願いします…」

 自身と一体となったカラレスに苗木が挨拶していると、カラレスバッジの中央の宝石から光が飛び出し、その様子を見ていたオーブのカラータイマーに入っていった。

 

キュォォォ…!

「これは…!」

 思わずいつもの調子でその光にオーブリング・ヌーヴォを翳すと、リングを通った光が先ほどと同じように『フュージョンカード』へと変わる。

 

『シュワッ!』

 当然、それはカラレスのカードであった。

 

『君にも、私の力を託そう。どうか役に立ててくれ…!』

「…はい。お疲れ様です…!」

 

 

 

 こうして、絶望の代行者による二度目の危機は去った。新たな力と蘇った英雄により、絶望に抗おうとする希望の力は強く、大きくなっていく。

 

 

 

 

 

 …しかし彼らを脅かさんとする絶望は、絶望の代行者だけではない。

 

 

 

 

「…頃合い、かの。これ以上、『不確定要素』に介入される訳にはいかん。我々の…未来機関の希望は、何者にも屈せぬ盤石なものでなければならん。今の君ならば、分かってくれるよの…カムクライズル」

 オーブの変身を解き、学園に帰還する苗木を左右田と狛枝に支えられながら迎えに行く日向の背を、天願が淀んだ瞳で見つめる。

 

 

(…俺は、何をやっている?この世界は、我々が守るべきものの筈だ。それを、よその世界から来た連中にばかり戦わせて…何故、『奴』なのだ?何故いつも『そこにいる』のはあの男…苗木誠なのだ。俺達の、未来機関の存在意義は…どこへ行ったというのだ、宗方京介ッ…!)

 

「…うぷぷ♡」

 底知れぬ激情を秘めた目で学園に戻る『苗木』、そしてウルトラマンに選ばれた苗木を見る宗方を、天願と同じ目をした雪染が口元を歪めて見つめる。

 

 

 

 新たな火種は、すぐそこで燻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 …そんな彼らを、学園の物陰から観察する者達が居た。

 

 

 

「…見ていた?モル」

「ええ、ロラ」

「彼らが、地球を守る希望…ウルトラマン」

「私たちと同じ、異なる世界より来たりし来訪者…」

 

 

 

「「ならば、伝えなければ。今この世界に蔓延る危機の全貌を…!」」

『ピィーッ!』

 

 

 




ウルトラダンガンナビ!…という名の解説

今回は今作オリジナルの新形態、オーブレガシーについて


ウルトラマンオーブ オーブレガシー

身長 51メートル
体重 5万トン
必殺技 オーロラルリフレイン、レジェンダリー・ストライク

 オーブオリジンがウルトラマンレジェンドの力により変化した「オーブリング・ヌーヴォ」を使うことで至ったオーブの新形態。フュージョンアップではなく、ギンガの「ギンガストリウム」のようなオーブオリジンの強化形態である。身体能力が全体的に強化されているほか、オーブとレジェンドに共通する「2つの力を合わせる」という能力に特化し、相反する2つの力をコントロールし「善なるものを悪に、悪である存在を善なるものに」変えることができる。ただし、その強力な力故に「一分間」しか変身を維持できず、時間が来ると変身を強制解除されしばらく変身できなくなってしまうデメリットがある。
 得意技の受けた攻撃エネルギーを倍にして跳ね返す「オーロラルリフレイン」のほか、オーブカリバーを用いた技もオーブリング・ヌーヴォを使うことで更に強化することができる。必殺技はオーブカリバーを光子エネルギーそのものに変換し、カラータイマーより放出する「レジェンダリー・ストライク」だ。
 見た目は、頭部はレジェンドに似ており、体はオーブオリジンの肩と胸元、胴回りに群青色が入り黒と赤が控えめな体色。


 という訳で、未来編苗木君がカラレスの相棒になりました。自分の世界は自分で守らなきゃだからね、見てるだけじゃ始まらないからね。

 今回で黒幕の正体が分かった人がたくさんいるかも。黒幕とレジェンドの関係は今作オリジナルの設定なのであしからず。最後に登場した彼らのことはまた次回で

 次回、今作の魔王獣たちの経緯が明らかに。そして、あのニューカマーがついにやってくる…?
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