黄金の言霊 外伝 オーブの奇跡~希望と絶望の力、お借りします!~   作:マイン

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今回は説明回になります。今作オリジナルの魔王獣の背景、そしてついに黒幕の名が明らかになります。

いよいよモンハンが今週末発売…!ドラクエ以来埃被ってたPS4がようやくフル稼働するぜ!…そして遅れる執筆。仕事と趣味は両立できるのに娯楽と娯楽はどうして両立できないのだろう…?

ではどうぞ。



元凶

「…っつー訳で、俺たち『UFZ』が遙々時空を超えてこの世界にやってきたって訳だ」

「……」

 

 マガイガン、そしてカラレスダークを倒した後。ウルトラマンオーブであることが明かされた苗木を皆で迎え、当然のように質問攻めになりそうだった空気をひとまず後回しにし、まずは情報整理ということで日向の体を借りたゼロから今回の件に関する経緯を説明されたのであった。

 …しかし、説明を聞く一同…特に『77期生』組はゼロの声と口調で話す日向を微妙な顔で見ていた。

 

「…んだよ、俺の顔に何か付いてるのか?」

 そんな視線にたじろぐ日向の瞳は、普段のものでもカムクラが表に出ているときの赤色でもなく、『青色の瞳』になっていた。どうやらこれがゼロが表に出ているときのサインらしい。また、腕にはゼロと同じ『ウルティメイトブレスレット』が填められている。

 

「いや、なんつーか…日向にカムクラが加わったときでも慣れんのに大分かかったってのによ。この上もう一人加わったらもう訳分かんねーっつーか…」

「『三重人格者』なんて初めてだしね…」

「しかもその内訳が『波紋使い』と『改造人間』と『宇宙人』だからね」

「カオスじゃのう…」

「んなこと言われてもなぁ…」

 どんどんおかしな方向に進化していく友人に、『77期生』の仲間たちは内心『その内慣れるだろう』とは思いつつも困惑せざるを得なかった。

 

「ま、まあそれは置いておこう。…とりあえず、今回僕たちの世界とこの世界の希望ヶ峰学園が入れ替わったのは、以前僕が落ちた『時空の歪み』と同じ現象が起こったということなんですね?」

「ああ。ウルトラの父が見ていたらしいから間違いねえ。だが、事がそれだけならオーブに解決を任せ、俺たちは可能な限り不干渉を貫く予定だった。…だが」

「私たちの世界から奪われた『魔王獣』…それを追っていった先がこの世界だった、ということね」

「魔王獣…俺たちの世界で十数年前にそんな化け物どもが暴れていたとはな」

「それをやっつけたのが、当時の光の国のウルトラマンたちと苗木誠殿なのですな。いやあ…あのウルトラ戦士たちと肩を並べて戦っていたとは羨ましい限りですぞ!」

「…で、その魔王獣とやらがなんで俺たちの世界に現れやがったんだよ?」

「ていうかさー、盗まれたとか言ってたけどそれって元はと言えば盗まれたアンタらが悪いんじゃないの?」

 未来機関側からの追求に、ゼロは思わず視線を逸らす。

 

「…それについては、返す言葉もねえ。だが、俺たちも魔王獣の警備を怠っていたつもりはねえ。言い訳するつもりはねえが、それだけ盗んだ奴が上手だった…としか言えない」

「やはり、あの『絶望の代行者』とやらがこの世界に持ち込んだのでしょうか?」

 

 

 

 

 

「「いいえ、魔王獣をこの世界に連れてきたのは絶望の代行者ではありません」」

『ッ!?』

 突如聞こえてきた聞き慣れぬ声に皆がどよめく。

 

「だ、誰だ!?」

「聞いたことない声だったけど…一体どこから…」

「「…ここです、ここにいます!」」

「え?ここ、って…」

 声のする方を探りながら辺りを見渡していると、部屋の換気口の奥から何かが部屋に入ってきた。

 

「え…!?」

「な、なに…あれ…?」

 それを見た一同は驚愕に目を剥く。

 

 

 視線の先で滞空していたのは、手のひら大ほどの大きさの美しい『蛾』にまたがった更に小さな二人の少女だったのだから。

 

「ちょ、あれって…!」

「『フェアリーモスラ』に『小美人』…嘘、本物…!?」

「わぁぁ…!綺麗な蛾さんだなぁ…こんな綺麗な蛾さん、ゴン太初めて見るよ!」

「注目するのそっち!?…いや、そっちもだけど」

「な、なんだこれは…俺は幻覚でも見ているのか?」

 

「いいえ、幻覚ではありませんよ」

「私たちはこういう種族なのです。以後お見知りおきを、希望を信じる人間の皆さん」

 小美人たちは皆の視線を集めながらテーブルの上でフェアリーモスラから降り立ち、優雅に一礼する。

 

「皆さん、初めまして。私たちはインファント島のエリアス族。私が姉のモルで…」

「私が妹のロラ。…この子はフェアリーと呼んであげてください」

『ピィー!』

「…ほ、本物だ…!平成モスラのエリアス姉妹だぜ…!」

「か、可愛い…超着せ換えさせたいんですけど!」

「白銀さんステイ、そういうのは後でね。…モルさんにロラさん、一つ確認させてください。あなた方は、この世界の住人でも僕らの世界の住人でもない、また『別の世界』から来たのですね?」

「何だって…!?」

「…流石の慧眼ですね、ウルトラマンオーブ。話が早くて助かります」

「あー…今はオーブじゃなくて『苗木誠』って呼んでもらっていいかな?一応、ウルトラマンとそうでないときで分別はつけているから」

「あらそう?じゃあ…苗木君って呼ぶわ!」

「ロラ!もう、この子は…」

 神秘的な雰囲気を纏っていた二人であったが、ロラをきっかけに徐々に素の性格が表れ始める。妹を窘める姉の様子は、普通の人間と何も変わらないものであり、それを見た皆も緊張感を和らげていった。

 

「ゲホン!…あー、モルにロラでいいんだよな?今の口ぶりだとお前ら、あの魔王獣を持ち込んだ奴を知ってるのか?」

「…はい。その通りです、ウルトラマンゼロ」

「私たちは、あの魔王獣をずっと見張り続けてきましたから」

 

「「それが私たちエリアスの…いえ、あの地球の『最後の生き残り』としての使命なのです」」

「ッ!?」

 モルとロラが言い放った言葉に苗木と日向は目を見開く。

 

「最後のって…まさか、君たちの世界は…」

「はい…。私たちの地球には、もう『生命は存在しません』。かろうじて星の形を保っているだけで、草木の一本すら残らぬ死の大地と化してしまいました」

「なんと…!?」

「馬鹿な、一体どうしてそんなことに…」

「…それをお聞かせするために、私たちはここに参りました。私たちの世界で起きた悲劇、そしてこの世界で今起きようとしている危機を伝えるために…!」

「…教えてください。この世界に、何が起きようとしているんですか?」

 苗木の問いに頷き、モルとロラは語り出した。

 

 

「…全ての始まりは、今より遙か1万年前。宇宙の果て…『多次元宇宙マルチバース』のどこかにあるという『モンスター銀河』からある怪獣が生まれました。それこそが、魔王獣の祖たる大魔王獣『マガオロチ』。星の命を己が糧とするマガオロチは、私たちの地球に狙いをつけ襲来してきました」

「お、おい待て!マガオロチだと!?そんなはずはねえ、だってマガオロチは俺たちとオーブが倒したはずだ!その後に生まれたマガタノオロチだって…」

「確かにそうです。…ですが、モンスター銀河より生まれたマガオロチは『一頭』ではないのです」

「何…!」

「『双子』だったのよ、マガオロチは…。その内の片方が貴方たちの世界に、もう片方が私たちの世界に来たの」

「…そうだったのか」

 自分の知らぬところでマガオロチがまだ残っていたと言うことに『苗木』は衝撃を受け、悔しさに唇をかむ。

 

「話を戻りましょう。…私たちの地球に降り立ったマガオロチですが、奴はそこで食事を始めずそのまま永い眠りに就きました。おそらく、一万年前の地球ではまだ奴が満足するほどの命が星に満ちては居なかったのでしょう。…そして、その時代の人間たちを見て同時に確信したのでしょう。『こいつらはまだまだ増える、もっと増えてから食べよう』…と」

「…人間を家畜扱いかよ、くそったれ…!」

「その後、奴の目論見通り人間は70億を超える勢いで数を増やし地上を統べるほどになったわ。それを見計らって、マガオロチはまず自分の分身である魔王獣の一体を地球に放ったの。人間がどれほどの力を持っているかを試そうとしたのでしょうね」

「その時に現れた魔王獣が、『毒の魔王獣 マガへドラ』。触れるもの全てを腐食させる猛毒の体を持つ魔王獣。その力はすさまじいものでした。…ですが、マガオロチが眠っている間人類は様々な『怪獣』の脅威に打ち勝ってきました。その人類の技術の結晶…『モゲラ』と私たちとモスラが力を合わせることで、どうにかマガへドラを倒すことは出来ました」

「モゲラって…あのスペゴジの映画に出てきたロボットか!…あり?ってことは…」

「…でも、マガオロチはモゲラとモスラが力を合わせてもまだ自分には敵わない、と確信したわ。それから間もない内に、今度はマガオロチ自身が地上に出現したの。モゲラとモスラは再び共闘して応戦したのだけど…マガオロチの予想通り、私たちは防戦一方を強いられたわ」

「モスラとモゲラでも勝てないほどに強いのでありますか、そのマガオロチというのは…!?」

 絶望的だったあの状況を悔しげに振り返るエリアス姉妹に、皆の表情にも動揺の色が浮かぶ。特に、マガオロチとの交戦経験のある苗木は同意するように神妙に頷いていた。

 

「…でも」

「でも…」

 と、その時…

 

「「そのすさまじい力が、『彼のもの』を呼び起こしたのです。私たちが畏れ、そして同時に禁忌としてきた地球を守る『破壊神にして守護神』であるあの怪獣を…!」」

 モルとロラの雰囲気が変わる。言葉の内容こそ悪くないものであるはずだが、その表情には『喜び』ではなく『畏怖』と『悲しみ』の色が浮かんでいた。

 

「その怪獣って、もしかして…!

「はい。その怪獣の名は…『ゴジラ』」

「…!や、やっぱりゴジラがいるのかよあんたたちの世界!」

 ゴジラの名が出ると共にその場に戦慄が走る。山田や百田のように特撮に詳しくなくとも、『ゴジラ』という言葉は日本人なら誰もが知っている。無論、それがどういう存在なのかも周知の事実であるため、どんな絶望的な状況であろうとそれが決して喜べる事態ではないと言うことも理解できた。

 

「マガオロチは星を喰らう怪物…人間を憎悪するゴジラですが、彼のものもまた地球に生きる命。自らの縄張りを荒らされたゴジラは怒り狂い、マガオロチに戦いを挑みます。二体は激しくぶつかり合いましたが、モスラと人間がゴジラを支援する形で『共闘』したことで形勢は傾き、マガオロチは致命傷を負って逃げ去りました」

「…しかし、死に逝こうとする肉体でマガオロチは誓ったのです。必ずゴジラを殺す、と。…そして同時に、恐ろしい『計画』を考えそれを実行に移したのです」

「計画…?ケダモノ風情に?」

「はい。…苗木さん、貴方はマガオロチが何故惑星を餌場にするのか知っていますね?」

「…はい」

 モルの質問に苗木は頷く。苗木にとって、これまで最も凄絶だったあの戦いを忘れらるはずがないのだから。

 

「…?単なる大食らいなだけじゃねーのか?」

「違います。マガオロチは自分が食べるためだけに惑星を餌場にするわけではありません。…生まれ来る『我が子』に、十分な食事を与えるために豊かな星を狙うんです」

「…我が、子?」

「マガオロチは、『単一生殖』で子孫を増やす怪獣なんだ。マガオロチとしての個体はどちらかと言えば『幼体』に近い存在…ある程度成長すると星の地下深くに自身の力の一部を『卵』として産み落とし、卵は星のエネルギーを吸収して成長し、やがて星そのものを『蛹』として羽化し、完全体である『超大魔王獣 マガタノオロチ』となってその星が更地になるまで喰らい尽くし、やがて死の星となった星から別の惑星に移動してまた同じ事を繰り返す。そうやってマガオロチは子孫を増やしていくんだ」

「…な、なんつー迷惑極まりない化け物だよ。好き勝手食い散らかしておさらばとか、終里の方がずっと行儀良いぜ…」

「ひ、ひどいよ…!どんな虫さんだってそこまでひどいことはしないのに!」

「もはや生態系を守る気すらない…正真正銘の『侵略者』と言う訳か」

「…で、そのはた迷惑な生態と計画とやらがどう関係してくるんだ?」

「…自分がもう助からないと理解したマガオロチは、あろうことか自分の体を…子であるマガタノオロチに『喰わせた』のです」

「と、共食い!?」

「共食いというよりは…親蜘蛛が生まれた子蜘蛛に自分を食べさせるそれに近いだろうね」

「ええ。そして親を喰らったマガタノオロチは急速に成長し、本来よりも遙かに早く羽化し地上に現れたわ。そして再びモゲラ、モスラ、ゴジラが共闘しマガタノオロチと戦ったのだけど…」

「…マガタノオロチは、あまりにも強すぎました。全てを破壊する『マガタノ迅雷』に加え、マガへドラやマガイガンをはじめとした『全ての魔王獣の力』を兼ね備え、更に地球とマガオロチから吸収したエネルギーでどれほど傷つけようと即座に再生してしまう。モスラは羽を奪われ地に墜ち、モゲラも半壊し、ゴジラですらも圧倒されるほどでした」

「ゴジラでも勝てねえのかよ…つか苗木、お前そのマガタノオロチに勝ったんだろ?どうやって倒したんだよ?」

 桑田の質問に苗木は些か困ったように答える。

 

「倒したと言っても、僕一人で倒した訳じゃあないんだよ。あのときは光の国の『宇宙警備隊』や『勇士司令部』、ティガさんやネクサスさんのような別世界のウルトラ戦士まで結集して挑んだ決戦で倒すことができたんだ。何しろタロウさんの『コスモミラクル光線』でやっとダメージを与えられるほどの耐久力を持っていたからね…」

「宇宙最強光線が即死じゃないとかどんだけ鬼耐久なのですかな…」

「…私たちも、一度は諦めかけました。しかし、絶望的な状況に活路を見いだしたのは『人間』だったのです。彼らはマガオロチを徹底的に分析し、その耐久力と再生力にある『起点』があることを見つけたのです。モスラはそれを知ると、瀕死の体を突き動かしその命を擲ってマガタノオロチの再生力の源を断ち切ったのです」

「無敵の力を失ったマガタノオロチに、ゴジラは最後の攻撃を仕掛けました。体内の核融合炉が焼け付く勢いで熱線を吹き付け、半ば相打ちの形でマガタノオロチを倒したのです」

「や、やったじゃあないか!じゃあ、君たちの世界は救われたんだね?」

「…そんな訳があるか。そうなら何故わざわざこいつらはこんなところにまで来たというのだ?」

 喜ぶ花村に冷たい一喝する『十神』に、モルとロラは力なく頷く。

 

「…私たちが迂闊でした。マガタノオロチが使っていた全ての魔王獣の能力…それはマガへドラの能力を含めて『6つ』ありました。ならば、それ以外の『5つの能力を持った魔王獣』はどこへ行ったのか…少し考えれば、警戒できたはずだったのに」

「マガタノオロチが倒された歓喜もつかの間…瀕死のゴジラに突然飛来した『5体の魔王獣』が襲いかかりました。…そう、全てはマガオロチの計画通りだったのです。マガオロチは自分のみならず、自らの子すら囮にしてゴジラを限界まで疲弊させ、その瞬間が来るまで残りの魔王獣達を宇宙空間に待機させていたのです。…いかにゴジラといえど、瀕死の状態で5体の魔王獣を相手にするのはあまりにも無謀でした。ゴジラは倒され、人間達の最後の抵抗もむなしく我々は敗れたのです…」

「嗚呼…なんという惨い結末、必死に抗いようやく終わったと思った矢先に希望を打ち砕かれるなんて…超、超~絶望的ぃ~!!」

「ちょッ…江ノ島先輩、何もこんな時にいつものビョーキ出さなくても…」

「無駄だよ天海君。言われて止める盾子ちゃんじゃないから…」

「ですよね~…」

 絶望的な内容に興奮した江ノ島を尻目に、モルは話を続ける。

 

「…ゴジラと人間が敗れた後、魔王獣たちは地上を蹂躙しあらゆる生命を喰らいました。そして、そうして得たエナジーをゴジラに倒された『マガタノオロチの死骸』へと与え続けました。マガオロチ亡き今、自分たちでは次世代のマガタノオロチを産み出すことは出来ない。奴らはなんとしてでもマガタノオロチを蘇らせようとしたのでしょう。…しかし、激しい戦いで疲弊しきった地球に残された命では、マガタノオロチを復活させるほどのエネルギーを賄うことは出来ませんでした」

「奴らは地球を死の星に変えた後、マガタノオロチの死骸を5つに分けそれぞれの体に取り込んだ。そして、集めたエネルギーで次元を超えてもう一体のマガオロチの元へと助力を乞いに向かったわ。…かろうじて生き延びた私たちは、モスラから託された力と私たちの姉『ベルベラ』の協力を得て魔王獣達を追って次元を超えました。戦うことはできなくとも、あの悲劇を繰り返さないようその世界の人々に警鐘を鳴らすために。…けれど、そんな私たちの不安は思いがけず杞憂に終わりました。貴方たち、ウルトラ戦士のおかげで…」

「…80先生が言っていました。マガオロチから生まれた魔王獣は、マガオロチの持つ『6つのエレメント』に対応していると。なので一体のマガオロチからは『6体しか』魔王獣は生まれないはずなのに、あのとき暴れていた魔王獣はそれより多かった。突然変異だとしても明らかに異常だった…と。封印してしまった後だったので確かめることは出来ませんでしたけど、そういうことだったのですね」

「で、あんたらは封印された魔王獣をそれからずっと見張ってたって訳か?」

「はい。あなた方の警備を軽んじていた訳ではありませんが、それでも…不安だったのです。私たちの故郷を滅ぼしたあの悪魔が、本当に目覚めることはないのかが…」

「私たちはフェアリーの力で結界を作り、それを封印された魔王獣とリンクさせた状態で肉体と精神の時間を停止させたわ。もし何者かが封印を解こうとすれば、すぐにそれに気づけるように…そして先日、その結界が突如消失したの。それは、魔王獣の封印が解かれた証。すぐさま駆けつけた私たちが見たのは、魔王獣と共に別の次元に向かおうとする『宇宙船』だったわ。私たちはその宇宙船が転移したワームホールを通ってこの世界までやってきたの」

「その宇宙船とやらが、この世界に魔王獣を持ち込んだ犯人か…!」

「…何者なのだ、そいつは!?」

「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ブォンッ…!

『私ですよ』

「ッ!?」

 部屋の中央に突如、半透明の異形の存在が現出する。その姿に皆は当然驚き、特にゼロとオーブは顕著な反応を見せる。

 

「め、メフィラス星人!?」

 現れたのは魔王獣を連れ去った張本人であり、絶望の代行者の元にいるはずのメフィラスであった。

 

『ご機嫌よう、地球人の皆さん。そして若きウルトラマンたちよ』

「いつの間にここに…警備はどうなっている!?」

『そう焦らずとも大丈夫ですよ。これはただのホログラム映像…私がこの場に居るわけではありません』

「…確かに、生命エネルギーを感じない。ただの映像のようですね」

「な、なんだそうか…」

「…ッ!皆さん、油断してはなりません!!」

「も、モルちゃん?どうしたの…?」

「こいつよ…こいつが魔王獣を盗み出した犯人なのよッ!!」

「何ッ!?」

 モルとロラの警告に緊張感が一気に増す。しかし数多の敵意の視線を受けても、メフィラス星人は一向に焦らず話し出す。

 

『…確かに、魔王獣をこの世界に持ち込みあの絶望の代行者に引き渡したのは私です。ついでに言うなら、私自身も今絶望の代行者の傘下に入っています』

「や、やっぱり敵じゃないのこいつッ!!」

「貴様が、この世界に厄災をもたらした元凶かッ…!」

『…あなた方にご迷惑をおかけしたことは申し訳ないと思っています。しかし、こんなことを言っても言い訳にしかならないでしょうが…私があの者に魔王獣を渡さずとも、絶望の代行者ならばこの世界を滅ぼす手段などいくらでも持ち合わせていたでしょう』

「ふざけたこと抜かしやがって…!」

 いきり立った逆蔵が映像と分かって尚メフィラスに殴りかかろうとした時…

 

「…待て、逆蔵君!」

「あぁッ!?…苗木誠?」

「さ、逆蔵…君?」

 いきなり君付けで自分を呼んだ苗木に面食らって思わず足を止めてしまう。逆蔵のみならず周りの皆もぽかんとしてしまう中、普段と異なる雰囲気を纏った苗木に霧切がある推測に至った。

 

「まさか…貴方は、『カラレス』なの?」

「えッ!?」

「…その通りだ、霧切君。よく気づいたな」

「ええ。…貴方の口調は知らないけれど、今の貴方が『苗木君じゃない』ことはすぐに分かったもの」

 苗木と人格を入れ替わったカラレスがメフィラスに向き合う。メフィラスはそれに対し懐かしさを憶えた声で応える。

 

『…お久しぶりですね、カラレス。あなた方と最後にあったのは惑星ディープ・シー以来でしょうか…』

「…!やはりお前は、あのときのメフィラス星人か」

「カラレス、知り合いなのか?」

「…もしかして、先生が以前言っていた星間連合との戦いで生き残ったというメフィラス星人…?」

「ああ、その通りだ。…というか、よく知っていたな。誰かから聞いたのかい?」

「こいつはゴライアンのおっさんの弟子だよ。だから当時のことはおっさんから聞いてたんだろ」

「なんと!?君がゴライアンの弟子…?」

「あ、はい」

『…これはこれは。あのゴライアンが君ほど聡明な弟子を育てるとは、いやはや…人間、というよりウルトラマンもどうなるか分かりませんね』

(…先生酷い言われ様だな。やっぱりゾフィーさんが言ってたとおり、昔の先生って荒れてたのか…)

 師の散々な言われように苗木は苦笑するしかない。

 

『…おっと、昔話をするのはまたの機会にしましょう。それより…未来機関、そして希望ヶ峰学園、エリアスのお二人と光の国のウルトラマン達。あなた方にまず知ってもらいたいのは、私はこの世界を滅ぼすために魔王獣を奪ったのではありません。…私は、この世界に蘇ったあの絶望の代行者…彼のものの存在を光の国に知らせるために、あなた方をこの世界に『導いた』のです』

「ッ!?ま、待て!まさか、学園が入れ替わったのも…」

『はい。別の宇宙で生じた次元を巻き込むほどの衝撃、そしてあの代行者の復活により生じた空間の歪みを利用し、この世界とあなた方の世界の希望ヶ峰学園を時空の歪みで入れ替えたのも、エリアス姉妹が入るまでワームホールを維持しておいたのも、光の国が私の足取りを辿れるよう魔王獣のマイナスエネルギーを垂れ流しにしておいたのも…全て、私の仕業ですよ』

「…じゃあやっぱりテメーが悪いんじゃねーかッ!!」

『確かに、諸悪の根源呼ばわりされるのも仕方ありません。しかし、勘違いしないでもらいたい。私がここまで回りくどい真似をして皆さんをこの世界に集めたのは、偏にあの絶望の代行者と戦うためなのです』

「…どういうことだい?アンタは代行者とやらの手下なんだろ?それがどうして奴を倒そうとする?」

 要領を得ないメフィラスの物言いに『黄桜』が問うと、メフィラスはその質問を想定していたのか言い淀むことなく答える。

 

『…それは、あの方が宇宙にもたらす者は私にとって決してよいものではないからです。私が欲するのは、この宇宙に生きる者達が紡ぐ世界。すでに『過去の存在』であるあの方が作る宇宙に、私はなんの興味もありませんので』

「…その口ぶりだと、貴方は知っているの?あの絶望の代行者の『正体』を…」

『…ええ、知っています』

「ッ!…教えろ、奴は何者なんだ!?」

 ゼロに促され、メフィラスは口にする。この世界に恐怖と絶望をもたらそうとするその者の名を。

 

 

 

 

 

 

 

 

『敵の名は…『レイブラッド』ッ…!!』

 




ウルトラダンガンナビ!…と言う名の解説。

今回はエリアス姉妹、本編出損なったマガへドラ、そして黒幕のレイブラッド星人について

エリアス姉妹…平成モスラ3部作に登場したモスラを守護する妖精の一族「エリアス」の姉妹。姉のモルが人間換算で18歳、妹のロラが16歳に当たる。更に二人の上にベルベラという長女が居る。精神的にまだ子どもなロラをしっかり者のモルが窘めるという関係だが、地球での絶望を体験したことでそうした本来の性格はあまり表に出てこなくなってしまった。
エリアス族はモスラと意思疎通ができ、更に自身も特殊な超能力を使うことが出来る。モスラが人間を守るべき対象としているのでエリアスも基本的に人間の味方であるが、ベルベラを始めとした一部のエリアス族は人間を憎んでいる。理由は様々であるがこれは大昔からずっとそうであったようで、当時のエリアスの長老曰く『人間と地球とのバランスを保つため』らしい。その中でも力のある者は、モスラと対を成す「もう一体の守護神」と心を通わすことができるらしいが…

マガへドラ…別世界のマガオロチが地球侵略の先兵として送り込んだ魔王獣。全身から異常なまでの悪臭と放射線を放っており、その体表は触れるもの全てを腐らせ溶かす『マガ溶解液』であり、更に魔王獣の弱点であるマガクリスタルがその汚泥の奥底に隠されているため、物理攻撃で倒すことは困難である。
それに対し人類は対ゴジラ用に開発していた「冷凍兵器」を用いてマガへドラの体表を凍らせ、それが溶ける前にモゲラの全火力を以て凍った状態のまま体表のマガ溶解液を粉砕、露わになったマガクリスタルにモスラの「エクセル・ダッシュ」が炸裂しどうにか勝利することが出来た。…しかし、それが絶望の予兆であることをこのときの彼らは知るよしもなかったのである。

レイブラッド星人…かつて何万年もの間全宇宙を支配していたという謎の存在。またの名を「究極生命体」。肉体自体はすでに滅んでおり、現在は精神だけの状態となっているが、それでも世界に与える影響は強く、光の国を始め多くの宇宙人から今なお恐れられている。
怪獣を操る「レイオニクス能力」のオリジナルであり、自らの遺伝子を与えることで他者にその能力を譲渡することができる。大怪獣バトルのレイやベリアルもその一例である。
肉体が無いため全盛期の力がどれほどであったかは未だ不明であるが、精神体の状態でもウルトラマンを封印できた辺り並大抵ではないことが分かる。
今作の世界では、遙か20数万年前に光の国のプラズマスパークエネルギーに自身を脅かしかねない可能性を見いだし、未だ発展途中のウルトラの星に攻め入った。あと一歩のところまで詰め寄るも、光の国を守る為に集った「光の3英雄」の前に敗北し、肉体を失う。光の国の神話によれば3英雄の内の一人は若きウルトラマンキングだったと言うが、本人は何も語ろうとしない。
現在は誰かの肉体に憑依し仮初めの復活を遂げている。レイブラッド星人を受け入れられるほどの肉体…一体誰の体なんだ(棒)

長々と説明、失礼しました。正体バレした苗木と周囲の話はまた次回。目つきの悪い新人の登場もまたいずれね…
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