黄金の言霊 外伝 オーブの奇跡~希望と絶望の力、お借りします!~   作:マイン

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…約二ヶ月ぶりの投稿、大変お待たせしました
もたもたしている間にルーブ放送まで一ヶ月切っちゃったよ…。どうしてくれるんだよこの体たらくをよぉ!(逆ギレ)

…ところで皆さんルーブどう思います。個人的に期待は出来そうなんですが…ルーブジャイロ、過去最高にかさばりそうな変身アイテムだよね。ライダーもですが、変身アイテムはスマートであるべきだと個人的に思うんですよ。じゃないとヒーローものの基本の「正体を隠す」という趣旨に反しそうで。フォーゼドライバーとか弦太郎学ランのどこに仕舞ってたんだろうね?

ではどうぞ



覚醒する戦士

「はぁ…」

 日向達が天願と話し合っている頃、最原は自室のベランダからを外を…校外に広がる荒廃した街並みを眺めていた。

 

「まさか…本当に江ノ島先輩に滅ぼされた世界があるだなんて。苗木先輩達から話は聞いていたけど…こうして目の当たりにすると、江ノ島先輩って本当にとんでもない人なんだって思い知らされるなぁ…」

 

 最原達が希望ヶ峰学園に入学したのは、苗木と江ノ島、そして日向とカムクライズルにより学園に入り込んでいたプッチが倒され、そのついでにカムクラプロジェクトとその背後で糸を引いていた『希望ヶ峰学園評議委員』を始めとした政府関係者が叩き潰された後…すなわち『全てが終わった後』である。

 カムクラプロジェクトと予備学科の真実が明るみになったことにより希望ヶ峰学園は世間からバッシングを受けることになり、その多くは元凶である評議委員たちに向けられたが学園の看板も無傷では済まず、入学を予定していた生徒の多くが拒否することになり、新入生は最原達16人だけになってしまった。

 入学後、最原とドレスの事件を機にスタンド能力のことを知った最原達は苗木から学園で起きた事の真相を聞いたのだが、スタンド能力のことを知っても尚到底理解できるような話ではなく、正直言って半信半疑であった。特に最原に至っては、苗木達と共にドレス壊滅に協力してくれた江ノ島がまさかそのような危険人物であるとは思えず、疑う気持ちの方が強かった。

 …しかし、こうして江ノ島により滅ぼされた世界があり、別人だと分かっても尚江ノ島へと憎悪を向ける人々を目の当たりにしたことで、苗木の言っていたことが全て真実であると理解せざるを得なかった。

 

「江ノ島先輩は前に、僕に『苗木先輩や日向先輩と同じ才能がある』って言ってくれた。それってつまり…『超高校級の希望』ってことなんだろうけど、今にして思えば『万が一の時に江ノ島先輩を止められる』ってことでもあるんだろうな。…僕に、出来るのかな?こんなことをさらっと考えて、実行までしてしまう江ノ島先輩を止めることが…」

 自分には『バオ-』という人を超越した肉体がある。かつて苗木の父であるDIOのスタンドであった『ザ・ワ-ルド』もある。霧切には劣るものの、『超高校級の探偵』として認められた頭脳もある。…しかし、それら全てを用いても尚未だ江ノ島に勝てるビジョンが見えてこないのである。最原の目から見ても、江ノ島と苗木、そしてカムクライズルと日向の力は他の超高校級の才能を持つ生徒達と比べても一線を画すものがあった。

 

「はぁ…こんなことで悩んでると、王馬君あたりにからかわれそうだな。もう寝よう…」

 

 『にしし、最原ちゃんてばナイーヴ過ぎじゃ無い?先輩が死んだわけじゃ無いんだから気楽にやんなよー』

 

…などという王馬の幻聴が聞こえてきそうになった最原は考えるのを切り上げ寝床に就こうとする…その時であった。

 

キラッ…!

「…あれ?」

 視界の端をかすめる輝きに振り返ると、蟲の軍勢で覆われたはずの空に『一筋の流星』が輝いていた。

 

「流れ星…!?でも、どうして…蟲の壁に穴は空いてないのに…」

 流星の軌跡をなぞった先のドビシの空に突き破られたらしき痕跡は無い。つまりアレは壁の向こう…宇宙から落ちてきたわけでは無い。ならばあれはなんなのか、まさかまたレイブラッドの策略なのか。…どういう訳かは分からないが、最原にはその流星がどうしようもなく気になっていた。

 

「…行くしかないか!」

 周囲を見渡し自分以外にあの流星に気づいている人物が居ないことを確認した最原は、突き動かされるように動き出す。危険の禍根を絶つ為でもあるが、それ以上に自分自身の理解できない『衝動』を抑えきれなかった。

 

ドルルン…!ブォォォォォ…!

 駐輪場に止めてあった大和田のお下がりを貰った自分のバイクに乗り、最原は流星の落ちた先へと向かって絶望の残党すらいない夜道を走り出していった。

 

 

 

 

 その背後にて、『もう一つの流星』が落ちてきていることには気づかぬまま。

 

キラキラキラ…

 人知れず落ちてきた流星…最原が見つけたのよりは遙かに小さなそれは、落下するというよりはまるで『舞い降りる』ように緩やかに希望ヶ峰学園へと落ちていく。

 

 そしてそのまま誰一人として気づかれること無く『校舎内』へとすり抜けるように入っていき…

 

スゥ…

「ん…むう…?」

 自室で眠っていた赤松の身体へと、吸い込まれるように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、学園の食堂には奇妙な空気が流れていた。原因は明白である。

 

「……」

「……」

 澄ました顔をしているもののどこか余所余所しくそっぽを向く霧切と、その向かいで顔を赤くして俯いたまま正面の霧切を直視できずにいる苗木。そしてその二人の周りは不自然に避けられたように空席になっていた。

 この二人は今朝、『二人揃って』食堂にやってきた。その時から苗木は顔を赤くしたまま霧切から目を逸らし、霧切はそれを気にした様子こそないがどこか動きがぎこちない。時折つんのめったようによろめき、それを苗木に支えられてふと目が合うと弾かれるようにお互い目を逸らし合っていた。

 その光景を見て、食堂にいた大半の者が気づいたのである。

 

『あ、こいつら…やっとそういう関係になったんだな』…と。

 

コトン…

「お二人さん、これサービス。遠慮せずに食べて」

「…結構です」

「は、花村さん!?」

 しれっと『赤飯』を差し出した花村にドギマギする苗木達を遠巻きに皆が笑っていると…

 

 

タタタタタタッ…!

「ハァ、ハァ…!な、苗木先輩!最原君来てませんか!?」

「赤松さん?…いや、今朝はまだ見てないけど」

 息を切らせて食堂に飛び込んできた赤松が厨房の『苗木』に最原の所在を尋ねるが『苗木』は首を振る。

 

「赤松さん、落ち着いて。…最原君がどうかしたのかしら?」

「えっと…朝起きてから、最原君を部屋まで呼びに行ったんだけど返事が無くて…。てっきり先に行ったのかと思ったんだけど、ドアノブ捻ったら鍵開いてて…それで、部屋にこんな書き置きが…」

「書き置きだと?」

 赤松が取り出した紙にはこう書かれていた。

 

『ちょっと調べることがあるからしばらく留守にします。心配しないで 最原終一』

 

「調べ物…?アイツ一人でか?」

「そりゃ探偵だし調べ物ぐらいはするだろうけど、今まで最原ちゃんが先輩や俺達に黙ってそんなことするの初めてだよね?」

「最原君がこんな風にいなくなるの初めてで…外があんな感じだし、私心配で…」

「…軽く探ってみたけど、校内には居ないみたいだ。どうやら学園の外…それもだいぶ遠くに行って居るみたいだね」

「そんなところにまで何しに行ってんだろ…?赤松に心配かけて…殺されたいのかしら?」

「ここ、殺すって…物騒なこと言うんじゃねえべ!」

「あー気にすんな、春川のそれは口癖みてーなもんだから。…てか、最原もだけどなんか今日人少なくね?」

「そういえば…」

 言われて食堂を見渡すと、昨日居なかった不二咲、左右田、入間、キーボと入れ替わるように宗方、逆蔵、雪染、そして天願の姿が無かった。

 

「未来期間のお偉い方が揃って欠席とはな。…あまり言いたくはねえが、よからぬ事を企んでなきゃいいんだがな」

「こら星君!そんなこと言っちゃ駄目でしょ?きょう…宗方君達は今朝早くに第5支部の方に行ったのよ。なんでも大切な打ち合わせがあるとかで…天願さんは知らないけど」

「打ち合わせ?外はまだあんななのにか?」

「うん…。一応、こっちに避難してた第1支部の機関員さんたちと一緒だったから大丈夫だとは思うんだけど…」

「…な~んか怪しいっすね。何がとは言えないっすけど」

 姿の見えない宗方達を気にかけつつ、皆は今日の鋭気を養うべく食事に勤しむのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 …そんな彼らの居る食堂から離れた生徒達の寄宿舎。そこに招かれざる客が忍び込んでいた。

 

「…どうやら、奴らは皆朝食中のようだな。ならば心置きなく動けるというものだ」

 廊下の天井に逆さまにぶら下がって周囲を警戒しているのは、絶望の代行者が送り込んだ第2の刺客『バット星人』である。本来なら希望ヶ峰学園は左右田や入間が面白半分で作ったものも含めガチガチの警備体制が敷かれており、そう簡単に侵入はできないのだが、次元移動の影響で現在警備システムの大半が機能不全に陥っており、最低限の警備こそしているが人外の力を持つ宇宙人ならば侵入することはそう難しくない状態なのでここまで忍び込むことができたのである。

 

「しかし、代行者様も無茶を言う…。あのウルトラマンオーブから力を奪ってこいとは…」

 圧倒的な力を手に入れた筈なのにこんなコソコソとしている自分に愚痴りながら、バット星人はここに来る前に代行者から言われたことを思い出していた。

 

 

 

 

 

「は…私に『頼み』、ですか?」

「うんうん。実は君の力を見込んで、是非頼みたいことがあるんだよ。聞いてもらえるかな?」

「無論、なんなりと。…で、頼みとは一体?」

「ああ…それはね、あのウルトラマンオーブ…正確には奴の正体である『別世界の苗木誠』からある物を奪ってきて欲しいんだ」

「ウルトラマンオーブから…!?な、何を奪えと…」

「…奴の持っている『ウルトラマンベリアル』のフュージョンカード。それを奪ってきてもらいたい。あの闇の力があれば、私の力を取り戻すのも容易になる。それに…少し『試してみたいこと』もあるからね。ついでに奴自身の力を削ぐことにもなる、まさに一石三鳥という奴さ」

「は、はぁ…。しかし、そうなると奴が変身する前にそれを奪わなければならないということですよね?ならば奴らの本拠地に忍び込まねばならないと…」

「…まあ無理ならいいんだよ?そん時は他の連中に頼むとするから…」

「い、いえッ!是非この私にお任せを…必ずや代行者様のご期待に応えてみせますとも!」

「あらそう?じゃ、よろしくね…うぷぷ」

「ははッ…!」

 

 

 

 

 

「…なんだか乗せられたような気がしないでもないが、代行者様に気に入られればもっと強い力を与えてくれるかもしれんからな。他の奴らに手柄をくれてやるものか…!」

 悲しいかな、元が地球人であったが故に人間臭い考えを抱いたままのバット星人は寄宿舎を徘徊しながら『苗木』の部屋を見つける。

 

「ここか…。さて…そういえば、何を取ってくるのか詳しく聞くのを忘れてしまったな。まあ『フュージョンカード』と言っていたからカードのようなものなのだろう。どこにあるのか…」

 こっそりを部屋に忍びこんだバット星人は物色を始める。…しかし、フュージョンカードは全て『苗木』が常にホルダーに入れて携帯しているためいくら探しても見つかるはずがなかった。

 

「ぐぬう…見つからない。まさか奴が持っているのか?となると面倒だな…」

 バット星人がぼやいていると、俄に部屋の外が騒がしくなってくる。どうやら朝食を終えた生徒達が部屋へと戻ってきたようだ。

 

「チッ、もう戻ってきたのか。仕方ない、ここは一旦…いや、待てよ。いくら奴がウルトラマンといえど、『変身前』はただの人間、俺の方が圧倒的に強いはず。ならば…」

 

 

 

 

 

ガチャリ

 しばらくして、食堂の片付けを済ませた『苗木』が部屋へと入ってくる。

 

「ふぅ…。流石にこの人数だと後片付けまで大変だったな。学園の食料も減ってきているし、早く事を終わらせないと…さて」

 最近すっかり慣れてきた厨房での仕事を終え、リラックスする『苗木』の背後から…

 

 

ガバッ!

「ッ!?」

「動くな…!」

「…お前は、バット星人…!」

 天井で息を潜めていたバット星人が『苗木』を羽交い締めし、動きを封じる。

 

「油断したな、ウルトラマンオーブ。まさか俺達がここに直接攻め入ってこないとでも思っていたのか?」

「ぐぅッ…!な、何をする気だ…!?」

「ふん。…代行者様が貴様が持っている『ベリアル』とかいうカードをお求めでな。さっさと取ってくるつもりだったが、気が変わった。ここでお前を始末してからカードを奪っても同じ事だろうからな…!」

「ベリアルさんのカードを…?何のためにだ?」

「そんなものは知らん、どうせ死ぬお前が知る必要もないしな。…そう怯えることはないさ。俺はこう見えて紳士なんだ、苦しまないよう一瞬で終わらせてや…」

 

 

 

「…まあそうだろうね。お前如きに教えるわけもないか。…うん、もういいや」

「ハァ?お前何言って…」

 

ボギィッ!!

「ひぶッ!?」

 突然バット星人の頭にすさまじい衝撃が走り、バット星人は悲鳴をあげて壁に叩きつけられる。無論それは、『苗木』の『G・E・R』がバット星人の頭を殴りつけたからである。

 

「な、何が起きた…!?」

「…変身する前なら弱いとでも思ったか?生憎、こっちはウルトラマンになる前から修羅場潜ってるんだよ。僕を殺したかったら予告なしでヘッドショットでも撃ち込むんだな。…尤も、それでも死ぬ気は無いけどね」

「ぐ…」

 

「…おう、釣れたみてーだな苗木」

 倒れるバット星人と『苗木』が睨み合っていると、部屋の入り口にいつの間にか日向が立っていた。

 

「うん、思ったよりスムーズにいったよ。あんまり情報は持ってなかったけどね」

「お、お前は…ウルトラマンゼロ!?どういうことだ…?」

「へっ!全部お見通しだったってことだよ。お前は俺達に『泳がされてた』だけだって、まだ気づいてねーのか?」

「なんだと…!」

 『苗木』はバット星人が学園に忍び込んだ時点で、その存在に気づいていた。警備システムが不調な今、『苗木』はその穴を埋めるべく数分おきに『G・E・R』で学園一帯の生命エネルギーを探査していたため、その網に引っかかったのだ。

 『苗木』はバット星人が自分の部屋にいることから目的が自分であることに感づくと、ちょうど良いとばかりに敢えてそれを放置し、バット星人の思惑に乗ってやり情報を聞き出すことにした。部屋の外にあらかじめ打ち合わせしていた日向を待機させて何食わぬ顔で部屋に戻り、あっさり捕まって手も足も出ないという芝居を打ったのだ。羽交い締めにした程度で油断しきったバット星人に、まだ自分たちの『スタンド能力』のことが露呈していたと判断したからこその作戦であった。

 

「さあて…となると、もうお前に容赦する必要は無くなったって訳だ」

「殺しはしない…が、再起不能にはなってもらうぞ。『面倒ごと』を持ってこられる前にな…」

 拳をならしてにじり寄る『苗木』と日向に、バット星人はたじろぎながらも意を決して叫ぶ。

 

「ち、畜生…こんな形で使いたくはなかったが、やるしかねえ!…来い!俺の魔王獣、『マガキングギドラ』ァァァァ!!」

「何ッ!?」

 

 

ピシャァァァンッ!!

バリバリバリッ!

 バット星人の呼び声に呼応するように、雲一つ無い筈の空に突如雷鳴が迸る。

 

「…な、何!?急に雷なんて…」

「お、おい!アレ見ろ!」

 前触れもなく轟いた雷に驚く皆の見る先で、信じがたいことが起き始める。

 

 虚空より出現した雷は稲妻の形を保ったまま幾重にも重なり合い、それはやがて巨大な物体へと変化していく。

 

 稲妻の色をそのまま宿したような黄金の鱗に覆われた巨躯。腕は無く、代わりに身体の半分ほどもある大きな翼があり、脚は巨体を支えるに十分なほどに太い。何よりの特徴は二叉に別れた尻尾と、『三本の長い首』。首の先端にはまさしく『龍』そのものの頭がそれぞれついており、その角は紅く輝く『マガクリスタル』になっている。

 

『キュワォォォォンッ!!』

 三つの首からそれぞれ異なるイントネーションの金属音のような鳴き声を響かせるその怪獣こそ、バット星人の使役する『天の魔王獣 マガキングギドラ』であった。

 

「げっ!?魔王獣かよ!」

「しかもキングギドラの魔王獣…!しまった、まさかもう連れてきていたとは…」

「ハハハハハー!そら、放っておけば大事な学園がぶっ壊されるぞ?…ではさらばだ!」

 

ガシャーン!

 『苗木』たちの注意が魔王獣に逸れた隙に、バット星人は窓を突き破って逃げていった。

 

「あッ、待てコラ!…チィッ、おい苗木!お前は奴を追え、俺はあの魔王獣をなんとかする!」

「…分かった。頼む、日向君!ゼロさん!」

 バット星人を追いかける『苗木』を見送り、日向は腕の『ウルティメイトブレスレット』から『ウルトラゼロアイ』を出現させる。

 

「頼むぜ、ゼロ!」

『おう!』

 

「デュワッ!」

 

 

 

 

 一方その頃…

 

「…き、きき…キングギドラァァァァ~!!?」

「オイオイオイオイ…昨日のガイガンより遙かにヤベー奴じゃねーか!」

「あ、あの怪獣は私でも見たことがあるぞ…!詳しくは知らないが、強いということは知っている!」

 辺小山の言うとおり、キングギドラはゴジラシリーズでも屈指の強さを持つ怪獣であり、それ故に特撮に疎くともその名と姿ぐらいは知っている者も多い。更に『苗木』曰く、魔王獣となった怪獣は通常の個体より遙かに強力な力を持っているという。ただでさえ強いキングギドラが魔王獣となったとなれば…それがどれほど厄介なことかは容易に想像がつく。

 

『ピーッ!』

 そこに、植物園で異変に気づいたモルとロラがフェアリーに乗って飛んできた。

 

「あれは…マガキングギドラ!私たちの世界を滅ぼした魔王獣の一体!」

「モルちゃん、ロラちゃん!…じゃあ、やっぱりアイツも絶望の代行者の手下なの?」

「多分ね。…気をつけて、キングギドラはかつてはゴジラとも何度も死闘を繰り広げた強敵よ!」

「こんな時に日向も苗木もどこに居るんだよ…!?」

 

「…へっへっへ、おいおい忘れてねえべか?そっちの苗木っちはいねえけど、『こっちの苗木っち』はここに居るんだべよ!」

 葉隠に応えるように、苗木が『カラレスバッジ』を手にマガキングギドラへと向き合う。

 

「…うん。ここは、僕が戦う…!」

「苗木君…」

「霧切さん。…絶対、生きて帰ってくるから。皆を守るために、僕は戦うよ」

「…信じてるわ。頑張って…!」

「うん!」

 隣の霧切にそう告げ、苗木はカラレスバッジを掲げて叫ぶ。

 

 

「カラレースッ!!」

 

ギュワァァァァッ!!

 

『…タァーッ!』

 悠然と学園に飛来するマガキングギドラの行く手を、カラレスとなった苗木が立ち塞がる。

 

ドズゥンッ!

『シェア!』

 それと同時に、日向もゼロへと変身しカラレスの隣に並び立つ。

 

『ゼロ…!』

『カラレス!あの魔王獣を操っているのはバット星人だ。奴は今俺達の世界の苗木が追ってる、俺達はこいつを倒すぞ!』

『承知した!』

 

…ドズゥゥゥンッ…!

『キュロロロロロロ…!』

 進行方向に立ち塞がった2体のウルトラマンに地上へと降り立ったマガキングギドラに、ゼロとカラレスは戦いの構えを取る。

 

『行くぜ…!』

 

 

『…待て、ゼロ!』

『っと!あん?なんだよカラレス…?』

 マガキングギドラに仕掛けようとしたゼロをカラレスが制止した次の瞬間

 

 

ドガァァァンッ!!

『キュロロロロッ!?』

『何ッ!?』

 マガキングギドラの『頭上』から落下してきた『爆弾』がマガキングギドラに着弾し、爆発する。予想外の事態にゼロが驚いていると、次々と爆弾が落下してマガキングギドラを飲み込んでいく。

 

ドガァン!ドガァァンッ!!

「な、何?空襲!?」

「空襲と言うより、空爆だねこれは…」

「空爆って…一体誰が?」

「…む!皆さん、あれを!」

 ゴズが指さした先には、マガキングギドラの上空を旋回する『未来機関の戦闘機』が飛んでいた。

 

「あれは未来機関の…!あんなのまだ残ってたの?」

「いえ…少なくとも、私の知る限り第一支部にあのような戦闘機はありません。ですが、それを『保有しているであろう支部』に心当たりはあります」

「…『第六支部』、逆蔵さんの支部ね」

「ってことは、宗方さん達が朝から居なかったのって…」

 

 

 

 

 

 

「…どうやら、間に合ったようだな」

 学園へと向かう一機のヘリ、その中で宗方は遠くから聞こえてくる爆撃の音に後手に回らずに済んだことを微かに安堵する。

 

『…宗方!空挺部隊は全機学園周辺に展開した。地上部隊もあと数分で砲撃地点に着く、こっちの首尾は上々だぜ』

「分かった。速やかに作戦を遂行してくれ、…くれぐれも学園やウルトラマンに被害を出すなよ」

『分かってるぜ。…流石にこの状況でんな馬鹿な真似はさせねーよ。じゃ、また後でな』

「ああ…」

 無線で逆蔵と通信を終えた宗方に、隣の雪染が声をかける。

 

「やったね京助。これで私たちも戦えるよね…!」

「ああ…とはいえ、油断はできん。相手は我々にとっては空想の存在、我々の武装でどれだけ渡り合えるのかも見当がつかん。そもそも現代の兵器では相手にならないからこその『怪獣』なのだからな」

「……」

「だが、我々もそう簡単に負ける気は無い。絶望の残党共と戦ってきた『経験』と、『超高校級の才能』を持つ技術者により我々の兵器は『人類史上最大最悪の絶望的事件』以前より遙かに性能を増している。それら全てを『結集』させた今なら…必ず奴らと戦える!この世界は、我々の世界だ。この世界の平和は、我々未来機関が守る…守らねばならんのだ!」

 力強く前方を見据える宗方に、雪染は微笑みつつ…見えないように口元を歪ませる。

 

(そう…今あそこには未来機関の全てが集まっている。もしその全てを以てしても怪獣に太刀打ちできなかったら、私たちがどんなに無力な存在なのかを知らしめられたら…京助、貴方はどんな『絶望』を見せてくれるのかしらね?)

 内に潜んだ『絶望』に気づかぬまま、宗方達を乗せたヘリは希望ヶ峰学園へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 …その頃、一人バイクを走らせていた最原も来た道の向こうから聞こえてくる爆音に足を止めていた。

 

「この音…爆撃でもしているのか?それに音が聞こえてくるのは学園の方角から…まさか、また魔王獣が襲ってきたのか!?こうしちゃいられない…気がかりではあるけれど、僕も戻って戦わなくちゃ…!」

 『流れ星』の正体に後ろ髪を引かれながらも、仲間と帰る場所を守るべく来た道を引き返そうとした…その時。

 

 

 

『…行かないで…!』

「ッ!?」

 頭の中に直接響いてきた『謎の声』に、最原はバイクを急停止させる。

 

「な、何…誰なんだ!?君は一体…」

『落ち着いて…下さい。今、貴方が戻っても…貴方にできることはありません。私の話を、聞いて下さい…そのまま、こちらに…』

「…なんなんだ一体…?」

 声に導かれるまま最原が進んでいくと、やがて廃墟となったビル街の一際建物が倒壊している場所へとやってくる。

 そこで最原は、驚くべきものを目にする。

 

「これ、は…!?」

 

 

 

 

 何かの『輪郭』をなぞるように不自然に崩れた瓦礫。…その上には半透明の全長50メートル近くはあろうかという『巨人』が横たわっていた。人の形をしていることは分かるが、顔や外観は霞が掛かったように見えず、どんな姿をしているのかは分からない。

 

『ウァ…ァ…』

 その巨人の顔に当たるであろう場所から、弱々しい呻き声が聞こえてくる。

 

「声が…まだ生きているのか?でも、まともに見ることも触ることもできないんじゃどうしようも…」

『いいえ、そんなことはありません』

「わあッ!?」

 いきなり耳元から聞こえた声に飛び退くと、今し方自分の顔があった場所のすぐ隣に球場の謎の物体が浮遊していた。

 

「これは…君が、僕をここに呼んだのか?」

『はい、そうです。私の名前は『レム』、星雲荘の報告管理プログラムです。今は貴方の見ている球体偵察機『ユートム』に機能の一部を移し、こうして会話をしています』

「せ、星雲荘?ユートム?それにプログラムって…アルターエゴみたいなものかな?」

『その例えについては情報不足なので判断しかねますが、貴方の想像にお任せします。…貴方が来るのを待っていました、『この世界の最原終一』』

「!僕の名前を…どうして?」

『それに関しては後ほどお答えします。それより貴方に…いえ、貴方にしかできない頼みがあるのです』

「頼み?…聞いてあげたいのは山々だけど、悪いけれど今はそれどころじゃ」

『これは、貴方にとっても大事なことです。…あの先で暴れる怪獣と戦うためにも』

「ッ!…話を聞かせて貰えるかい?」

 最原の同意を得たレムは瓦礫の中に倒れる巨人の方へとユートムを向ける。

 

『…今ここに倒れているのは、私の本来の主である存在です。しかし、彼はワームホールの中で受けたダメージと墜落の衝撃でこのような状態になってしまいました。本来なら、彼は地球人と同じ肉体に戻ることができるのですが、ダメージが大きすぎてそれすらままなりません。このままでは、彼はやがて実体化するエネルギーすら失い消滅してしまいます』

「…それで、僕は何をすれば良いんだ?」

『貴方には、彼と一時的に『同化』して貰いたいのです。同化すれば、彼は貴方の中でエネルギーを回復させ、いずれ本来の力を取り戻すことが出来ます。彼の一族は他者と肉体を一体化させ傷を癒やすことが出来ますが、今回はそれを応用し彼の治療の為に一体化して欲しいのです』

「同化!?それって…大丈夫なのか?どちらか消えたりとかしないよね?」

『その心配はありません。彼の意識が希薄な今、意識の主導権は貴方に委ねられます。彼の意識はエネルギーの回復に伴いいずれ復活しますが、その場合でも貴方との共存は可能です。…それに、同化することで貴方は『彼の肉体』を使用することが出来ます。それは貴方にとって、決して悪い話では無い筈です』

「…それは、僕がこの巨人になって怪獣と戦えるってことかい?」

『その通りです』

 

 最原は考える。これまでの会話から、目の前の巨人の『正体』に関しては見当がついている。レムの言動もはぐらかすような物言いはあるが嘘を言っているようには思えない。なのでレムの頼みを聞くこと自体は最原にとって利はあっても損は無いことなのは確かだ。…それ故に、確信を得るべく最原はずっと気になっていたことをレムに尋ねる。

 

「レム、一つだけ聞かせてくれ。…どうして『僕』なんだ?彼が落ちてきた時から、君は僕だけをここに呼んでいたように思う。これだけ切羽詰まった状況で、どうして僕を選んだんだ?」

『それは…貴方が『最原終一』だからです』

「…どういうこと?」

『今はそうとしか言えません。ですが、これだけは信じて下さい。私は、決して貴方を裏切りはしません。必ず、絶対に…!』

「…分かった。君を信じるよ、レム!」

『感謝します。では、そのまま彼に触れて下さい。それで同化が実行されます』

 レムに従い、最原は巨人の身体に手を触れる。

パァァァァ…

 すると、巨人の半透明だった身体が光の粒となって最原の手を伝って流れ込んでくる。

 

「これは…!?」

 未知の体験に目をぱちくりしていると、最原の頭に声が響く。

 

 

『ありがとう…。僕の力、好きに使ってくれ。君が最原終一なら、君のやりたいことが…僕の望むことなんだから』

「!」

 レムの声では無い…しかし、聞き覚えのあるその声と共に、巨人は最原と完全に同化した。

 

「……」

『シュウイチ、気分はどうですか?』

「…ああ、レム。よく分かったよ、君が僕を呼んだのは『こういうこと』だったんだね」

『はい。…黙っていてごめんなさい。先に知ってしまえば、貴方を動揺させてしまうと思ったので』

「いいさ、ありがとうレム。…じゃあ、僕は行くよ」

『はい、行ってらっしゃいシュウイチ』

 

 レムに見守られる中、最原はいつの間にか腰に装備していた機械…『ジードライザー』を手に取る。

 

「…確か、こう言うんだったよね。…ジーッとしてても、ドーにもならねえ!」

 

 

「融合!」

 

「I GO!」

 

「Here we GO!」

 

『フュージョンライズ!』

 

「決めるぜ、覚悟!!ハァッ…ハッ!!」

 

 

「ジ――――ドッ!!」

 

『ウルトラマン!』

『ウルトラマンベリアル!』

 

『ウルトラマンジード! プリミティブ!』

 

 

『シュワッ!』

 ライザーに装填されたウルトラマンとベリアルの力が籠もった『ウルトラカプセル』の力を合わせ、最原は完全な姿の巨人へと変身した。

 ウルトラマンと同じ赤と銀の体色の中にベリアルの黒のラインが走り、肘や頭頂部は鋭利に尖っている。そしてその眼はベリアルのように禍々しく歪んでこそいるが、そこに宿る光は内面の純朴さを示すかのような青い輝きを放っている。

 

 その戦士の名は、ウルトラマンジード。父である巨悪ベリアルから地球を守った若きウルトラマンが、世界を超えてこの地に降り立った。

 

『先輩…今行きます!』

 力強く大地を蹴り、ジードは学園を目指して飛び立っていった。

 




ウルトラダンガンナビ!…という名の解説

今回はマガキングギドラ…は能力も含めて次回するのでバット星人について

バット星人…初登場は帰ってきたウルトラマン最終回。ジャックを倒すべく初代マンを倒したゼットンを引き連れ地球にやってくる…が、作戦そのものはともかく本人はおろか自慢のゼットンですら微妙な強さしかなく、2人がかりで追い詰めたはいいが最後はウルトラクロスに串刺しにされて敗北した。ゼットンもその後ウルトラハリケーンで無防備なところにスペシウム光線を撃たれて爆散した。
 このときのゼットンの着ぐるみの残念なクオリティや初代に比べて絶望感が薄かったことからバット星人のゼットンは「養殖」という不名誉な渾名をつけられてしまう。

 しかし、それから40年後に汚名返上とばかりに映画ウルトラマンサーガの黒幕を務める。今回は気合いを入れて育てたのか巨大な幼体「ギガント」を経て完全体の「ハイパーゼットン・イマーゴ」を生み出す。それまでの過程や地球征服をほぼ成し遂げたことから過去の汚名を完全に返上したと言えるだろう。また、このときにイメチェンして格好良くなった。今作のバット星人の見た目も平成版である。
 …ただ今回は本人は直接は戦っておらず、その後登場した仲間も人質を取って戦ったことから種族としてはあまり強くないのは変わらないのだろう。多分条件が同じなら大神や辺子山なら勝てるかもしれない

同時更新のSAO×エグゼイドの新作の方もよろしく!ではまた次回
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