黄金の言霊 外伝 オーブの奇跡~希望と絶望の力、お借りします!~   作:マイン

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お待たせしました、オーブ外伝の更新です
搭和シティ編とは銘打っていますが、前半はそれぞれの舞台に分かれる過程になっています。今作はアクション中心なので導入とかは大雑把にさせて頂きます。細かいことは気にするな

5部アニメで初めてのアリアリラッシュが炸裂しましたね!クールな櫻井ボイス、熱い杉山ボイスとも異なる、高いラッシュボイスに対しての低い決め台詞が格好いいですね。字幕で日本語訳が出るのも細かい演出で実にベネですね。さ~て、次回は5部きっての変態との戦いですが…戦闘までのやりとり、どこまでやってくれるんでしょうか?半分ぐらいヤバそうなんですが…ぶっちゃけやってることは托卵ですし。

ではどうぞ



搭和シティ編:破壊の化身

 バット星人の襲撃があった翌日、モルとロラは食堂にいる『苗木』を尋ねていた。

 

「苗木君、ちょっといいでしょうか?」

「ん…モルさんにロラさん、おはよう。どうしたんですか?」

「おはよう!…実はね、少しの間ここを離れようと思うの。一応伝えておこうと思って」

「…何か用事でも?もし必要でしたら僕たちが送りますが、万が一レイブラッドの手先が狙ってくる恐れもあるので」

「それは…どうかしら姉さん?」

「うん…この際だから、皆さんにも伝えておくべきかもしれないわ。皆さん、少しよろしいでしょうか?」

 しばし考えた後、モルとロラはフェアリーを食堂の中央へと移動させ、食堂に居る皆へと語りかける。

 

「ん?なんだ?」

「どうしたのモルちゃん、ロラちゃん?」

「実は…私たちはまだ皆さんにお伝えしていないことがあるのです。私たちはその為に一時ここを離れる必要があります。なので、その前に皆さんにお話ししておきたいのです」

「…何故今になってそんなことを話す?最初に話さなかったということは、『隠しておきたかったこと』なのだろう?わざわざ話す気になったのは何故だ?」

 『十神』の上から目線な…しかし非難するわけでも無い質問に、ロラたちは言い辛そうに答える。

 

「それは…私たちにとって、このことは私たちの『命以上に大切なこと』だからです。なので、その…言いづらいのですが、まだ私たちの味方になり得るかどうか分からない皆さんにそのことを話すのは、どうしても気が引けたのです」

「信用してなかった訳じゃ無いんだけど…私も姉さんも、インファントの民としての使命を全うするために、絶対に守らなくちゃならないことなの。だから…ごめんなさい」

「…そんなこと気にしなくてもいいよ!出会ってすぐの人をそう簡単に信用できる訳ないんだからさ!」

「その通りだとも!むしろ話してくれると言うことは、我々を信用してくれたということなのだろう?であれば喜ばしいことでは無いか。そう落ち込まなくても結構だとも!」

 朝日奈や石丸のフォローに、二人は不安が払拭されたのか笑みを浮かべた。

 

「あ、ありがとうございます皆さん!」

「どういたしまして。…それで、話って何なんですか?」

「はい。…実は私たちがこの世界に来る際、一緒に『あるもの』をこの世界に連れてきたのです」

「それは私たちにとって『彼女』の『忘れ形見』であり、またそのままだと人目に付いてしまうものだったので、この世界に来てすぐに人目に付きづらく、なおかつ『元あった場所に近い環境』のある『島』にそれを隠したの。でもあれからしばらく経つから、様子を見に行こうと思ってこうして掛け合おうとしたの」

「忘れ形見?…まさか、『生き物』なのか?」

「はい。…きっと、貴方がたもよく知っているものかと思います」

「もしかして、それって…」

 

「「私たちが守るべきもの…それは、私たちの世界で死んだモスラの遺した『卵』です」」

「モスラの、卵ッ!?」

 二人の口にしたとんでもない代物に一同は驚愕する。

 

「モスラの卵って…よくそんなもんを持って来れたな。向こうで魔王獣に狙われたりとかしなかったのか?」

「はい。勿論、ゴジラ亡き後地上で猛威を振るった魔王獣たちにとって、モスラの卵は格好の餌でしかありません。なので、以前お話しした『肉体の時間を止める結界』を卵にかけ、成長を止める代わりに魔王獣が見つけられないように隠したのです。そして魔王獣達が去った後に、フェアリーの力で卵を一時的にフェアリーの体内に封印していたのです」

「それからすぐに私たちも魔王獣を見張るために結界を張って眠りに就いていたんだけど、こっちの世界に来た頃にフェアリーの力が限界になってさ。卵を成長させるためにもできるだけ『インファント島に似ている島』を探してたらちょうど良い島を見つけて、その島の地中奥深くに今まで隠していたの」

「そうだったんですか…大変でしたね」

「…でもよ、モスラの卵ってことはその卵が孵ったらモスラが生まれるんだろ?流石に幼虫を戦わせるのは気が引けるけど、大人に成長したらものスゲー味方になってくれるんじゃあねえか?」

「いやいや百田解斗殿、モスラは幼虫の時の方が勝率が高いですぞ?」

「ちょっとアンタ達!モルちゃんとロラちゃんが大切に守ってあげてるのに、いきなり戦わせようとかあんまりじゃないの!」

「う…それは、確かに…済まねえ」

 モスラという予想外の戦力に百田や山田が浮き足立つが、朝日奈の尤もな指摘に自省して二人に謝る。

 

「…いいえ、気にしないで下さい。今やレイブラッドの手駒となっているあの魔王獣達を倒すことは、本来私たちがなすべき使命。戦う覚悟は出来ています」

「モスラもきっと、本能的にそれを分かっているはずよ。代々のモスラも、生まれてすぐに戦うこともあったって聞いたわ。だからきっと、例え私たちが望まなくともモスラは戦う。…だからお願い!勝手なことだとは分かってるけど、モスラが戦うときに力になってあげて欲しいの。止められないと分かっていても…それでも私たちは、モスラに死んで欲しくは無いから…」

「…んなもん当たり前だろ!一緒に戦ってくれる仲間を、俺達は決して見殺しになんかさせねーよ」

「はい、その通りです。…ですが、ならば尚更お二人だけというのは危険ですね。この辺り一帯のドビシは殲滅しましたが、それ以外の空は未だにドビシで覆われています。奴のレイオニクス能力を考えれば、ドビシの居るところは全て奴の監視下にあると言って良いでしょう。そんな中で貴女方2人だけで行動していれば怪しまれるかも知れません。やはり、僕たちの誰かが万が一に備えて護衛に就くべきでしょう。ちなみに、卵を隠した島はなんという島なのですか?」

「はい、その島の名は…」

 

 

 と、言いかけた時であった。

 

『ピンポンパンポーン!』

ブォンッ!

 

『Good morning!まだ生き残っているカワイソーなモブ共としつこい未来機関の皆さ~ん!皆大好き、絶望の代行者ちゃんの登場だよー!!』

「ッ!こ、これはッ!?」

 再びのアナウンスと共に学園中…否、『世界中のモニター画面』が点灯し、ローブに身を包んだいつになくハイテンションな絶望の代行者が映る。

 

「またこのパターンかよ…!今度は何するつもりだ…?」

『うぷぷ…ワンパターンだって思った?そりゃそうだよ、パターンってのは使われないと意味が無いんだからね!…まあその内飽きるから忘れるだろうけど!さて、そんなことより…今日は皆さんにちょっとした『報告』があります!』

「報告…?」

『いやねぇ、今まで未来機関に小出し小出しにちょっかいをかけてたんだけど、どうにもこうにもうまくいかなくってさぁ。だから…今回はちょっと趣向を変えて『未来機関以外の場所』から侵略していくことにしましたー!』

「ここ以外の場所…?一体どこを狙う気だ?」

『うぷぷ~、どこを侵略するのか気になる?気になる?その場所はぁ…ドゥルルルルルルル、ドン!『搭和シティ』と、『ジャバウォック島』なのですー!!』

「なッ…!?」

 代行者の口にしたその場所に、苗木達は思わず声を失う。

 

『くくく、モブ共からすれば搭和シティはともかく元リゾート地なんか狙ってどうするんだ?って思うよね?でも…『知っている人』にとってはヤバいんじゃあないかなぁ~?ここを狙われるのは、すっごくマズイんじゃないかなぁ~?…ま、もうとっくに刺客を送り込んだ後なんだけどね!』

「何ッ!?」

『さーて、今から向かって間に合うかな~?私はその様子をここからのんびり見物させて貰うよ。人間共が絶望し、微かな希望に縋る惨めな様をね…ではでは皆さん、また来週~♪』

 

 そう言い遺した代行者を最後に、モニターはまた一斉に消灯した。

 

「野郎ッ…舐めやがって!」

「でも、何故搭和シティとジャバウォック島を…?戦力を裂ける余裕があるのならこっちに集中するほうが効果的なのに…」

 戦刃の軍人としての疑問に答えたのは、珍しく冷や汗を流していた霧切であった。

 

「…その答えは簡単よ。搭和シティには、『苗木君の妹と腐川さん』がいるわ。そしてジャバウォック島には…私たちが保護したかつての『超高校級の絶望』、この世界の『希望ヶ峰学園77期生』の人たちがいるからよ…!」

「こ、こまるちゃんが搭和シティに!?」

「ていうか、アタシも!?」

「俺達がジャバウォック島に…!話に聞いていた、『新世界プログラム』とかいう奴か…」

「…成る程、確かにそれはそっちの先輩たちにとっては見過ごせる話じゃないよね」

 告げられた事実に学園側も事態の重さを痛感していると、モルとロラもまたお互いに顔を見合わせて焦燥の色を浮かべていた。

 

「姉さん、これってまさか…!」

「大変だわ…!」

「ど、どうしたんですか2人とも?」

「…先ほど言った、モスラの卵を隠した島…。それこそが、今奴の言った『ジャバウォック島』なのです…ッ!」

「な、なんだって!?」

「なんつー悪い偶然だよ…!」

「…果たして、本当に『偶然』なのか…」

「ん?なんか言ったっすか先輩?」

「…いや、きっと考えすぎだろう、なんでもないよ。それより、想像以上に事態は深刻みたいだ。一刻も早く現地に向かわなくちゃ…!」

「けど、順繰り出回ってたらどっちかが手遅れになるかもしれないよ?」

「となると…やっぱり『3つ』に分かれるしかねーな」

「3つ?」

「搭和シティとジャバウォック島に向かっている間に、この学園を狙われたらひとたまりもねーからだろ。…今の奴がこいつなら、それくらいしでかしてもおかしくねーしな」

「やだー、私ったら信頼感抜群ね!」

「悪い信頼なら胸張るんじゃあねーよ!」

「…だが『移動手段』はどうする?搭和シティはともかく、ジャバウォック島まではかなり距離がある。ヘリでは到底辿り着かんぞ」

「うえっ、マジすか…」

 十神の意見に若干雲行きが怪しくなるが、そこに宗方が助け船を出す。

 

「そのことなら心配するな。先日の戦いでほぼ全滅したが、かろうじて1隻だけ足の速い船が無事だったと聞いている。まだこの辺りに停泊している筈だ、その船で行けば一日もあれば着くだろう」

「おおっ!ナイスだぜ宗方さんよぉ!」

「…とはいえ、あれは未来機関の艦艇だ。責任者として、ジャバウォック島には俺が同行しよう。他の人員はお前達が…」

「…宗方君!お願い、私も連れて行って…!」

 人選を『苗木』たちに任せようとした宗方に、『未来機関の雪染』が待ったをかける。

 

「雪染…しかし、あの島に居るのはお前の…」

「分かってる…でも、だからこそなの!私は『絶望』に恐怖して、あの子達を絶望の中に置いてきてしまったから…だから、今度はもう目を背けたくないの!苗木君たちが未来機関に背いてまで守ってくれたあの子たちを、見殺しになんて…もうできないわッ…!」

「雪染…」

 雪染の懇願に迷う宗方に、今度は『学園の雪染』が声をかける。

 

「…宗方君、行かせてあげてくれないかな?私も彼女だから、彼女の気持ちは痛いほど分かるわ。…私だって、皆の先生だなんて偉そうに言っておいて、あの戦いでは全部苗木君達に任せて見ているだけしか出来なかった。あの悔しさは、決して忘れないわ。…きっと彼女も同じような思いをしたんだんだと思う。それが『取り返しが付かなく』なる前に、出来る限りのことをしたいのは当然でしょう?」

「…そうだな。お前も、その覚悟は出来ているのだろう。なら、一緒に行こう…雪染」

「…!うん!」

「…だったら、ジャバウォック島には俺達が行こうじゃあねえか。別世界とはいえ先生を放っては置けねえし、絶望しちまったっていう俺達の面ぐらい拝んでおきたいからな」

「うん…行こう、皆で!」

「当然じゃああああッ!!」

 こうして、ジャバウォック島には宗方と雪染、『学園の雪染』を含めた77期生組、更に詐欺師に引っ張ってこさせられた御手洗と本人達の意向により安藤ら76期生トリオが向かうこととなった。

 

「よし…ジャバウォック島の方はそれでいいとして、搭和シティまでは『学園のヘリ』を使おう。格納庫に財団から預かっている貨物用のヘリが2機駐めてあるはずだ」

「…だったら、僕たちが行くよ。こまるや腐川さんが危ない目に遭ってるかも知れないのに、黙って待ってるなんて出来ないよ…!」

「あったり前だよ!アタシ達、一蓮托生!誰かが危ないときは、皆で助けないとね!」

「ふん、腐川なぞどうでもいいが…俺が関わっておきながら滅ぼされるというのも癪だ。付き合ってやろう」

 苗木を中心にこまると腐川の救出に盛り上がる未来機関78期生組であったが…

 

「…苗木君、張り切るのはいいけれど、私たちの中に『ヘリコプターの操縦』が出来る人は居ないわよ」

「え、あ…そ、そうだった…」

「…でしたら、私がその役目を務めさせて貰いますわ。ヘリの操縦程度、メイドの嗜みとして修めていますから」

「お、そういうことなら俺も操縦できるぜ!…まだちょっと危なっかしいって言われるけどよ」

「本当け!?助かるべ!」

「…なら、僕たちも一緒に行くよ。百田君達を放ってはおけないから」

「アンタみたいなの、1人にしとくとどこかで野垂れ死にそうだからね…」

「酷えなお前ら!…けど、サンキューな」

 そして搭和シティ行きの面々は、78期生組に加えヘリの操縦手を務める東条と百田を含めた79期生、更にお目付役としてゴズと万代、月光ヶ原が同行することとなった。

 

「よし…なら善は急げだ!皆さん、お願いします!」

「おう、お前らも学園の方は任せたぜ!」

「皆気をつけて…いってきます!」

 

 こうして学園居残りの78期生と学園長らを残し、皆はそれぞれの地へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …数時間後、最も早く目的地へと辿り着いたのはやはり『搭和シティ組』の面々であった。

 

「ふう…やっと着いたぜ。ひとまずここに来るまでは怪獣とかには遭わずに済んだな」

「しかし油断はできねえぜ…。ヘリの中で聞いた話じゃこの街じゃ未だに『大人の子供の抗争』とやらが続いてるらしいが、それにしちゃどうも静かすぎるぜ…」

「…でも、あちこち建物とかが壊されてはいるみたいよ。それも最近みたいな…」

「『戦闘の形跡』はあるのに、『争いの気配』はしない…妙だネ、もの凄く怪しいヨ…」

 ヘリから降り立った79期生たちは、想像以上に荒廃した街並みに驚き…しかし、それ以上にそんな状態であるのに異様なまでに静かな街の様子に首を傾げていた。そこに、先ほどからずっとこまるたちへ通信を試みていた苗木達がやってくる。

 

「…ダメだ、全然応答しない。多分依然と同じように、この街一帯に強力な『ジャミング』がかけられてるみたいだ」

「しかしそれでは、我々がここまで乗ってきたヘリコプターもジャミングの影響を受けるはずなのですが…」

「俺達は『何の問題も無く』ここまで来れた。これはどういうことだ…?」

「それなんですが、今入間さんと調べてみたんですが…この街に掛かっているジャミングには『指向性』、というか『通信機器』の類いにだけ意図的に阻害するようになっているみたいです。僕も他の機能は正常に使えるんですが、通信機能だけは全く使い物にならないんです」

「ふーん…キーボがポンコツになったわけじゃ無くて?」

「王馬君!僕は『超高校級のロボット』ですよ、ポンコツじゃありませんッ!」

「…でも、なんでそんなことを?他の機械とかは使えるのに、通信だけ使えなくするって…」

「何かの『罠』…でも、一体なんの意味が…」

 

 その時であった。

 

…キャアアア…ッ!

「…ッ!皆、向こうから悲鳴が聞こえるよ!!」

 桁外れの身体能力を持つゴン太の耳が、遠く離れた場所から響く悲鳴を捉えた。

 

「くっ、やっぱりまだ暴動が起きているのか…とにかく止めよう!案内して獄原君!」

「うん、皆ゴン太についてきて!」

 ゴン太を先導に皆は悲鳴の元へと向かって走り出した。

 

 

 

 …しかし、辿り着いた先で彼らが目の当たりにしたのは想像とは全く異なる光景であった。

 

「キャアアアアッ!!」

「た、助けッ…ひぎゃあああッ!」

「あ、あ…ああああああッ!?」

 

『ギュリィィィァァァァァッ!!』

 

 街の大通りに出た彼らが見たのは暴動によって苦しむ人々…ではなく、空を飛行する体長5メートルほどの無数の『翼竜』のような怪獣が逃げ惑う人々を大人、子供の差別無く襲っている光景であった。

 

「な、な…何コレェェェェッ!!?」

「街の人々を襲っているのは…まさか、『恐竜』!?」

「ち、違う…!俺の知ってるやつよりだいぶ小せぇけど、あれは…『ギャオス』だッ!ガメラに出てきた怪獣だぜッ!」

「あれも怪獣…じゃあ、あれが代行者の言っていた『刺客』…!?」

「そう考えるのが妥当だろうね…。けど、考えるのは後だッ!まずは街の人たちを助ける!」

 言うが早いか、最原は人々とギャオスの方へ向けて駆け出した。

 

『ギュワァァァッ!!』

 新たな獲物の出現にギャオス達は歓喜して最原へと狙いを定めて襲いかかってくるが、最原の顔に怯えの色は無い。

 

「BARRUUUUUUッ!!」

 雄叫びを上げると共に最原の筋肉が膨張、硬質化し、顔の皮膚が砕けてその下から『バオー』の顔が現れる。そんな最原の変貌など知ったことではないとギャオス達は大口を開けて食らいつこうとし…その前に、最原の『能力』が発動する。

 

「ウォォォォォォムッ!!」

チリ、チリ…

 最原の叫び声を共に最原の周囲から弾けるような『音』が鳴り…次の瞬間、それは『爆発』した。

 

バババババババッ!!

『ギャアアアアッ!!』

 最原の身体から放出された『稲妻』がギャオスの群れを貫き、当てられたギャオスは全身からスパークを光らせ、まるで内側から弾け飛ぶようにして断末魔と共に四散する。これこそ、バオーとしての最原の『必殺技』。本来なら1ボルトにも満たない『生体電気』を細胞をコントロールすることでその『向き』を統一、直列化させたことで『約6万ボルト』にまで高まった電気を放出するその技の名は、『バオー・ブレイク・ダークサンダー・フェノメノン』ッ!!

 

「す…凄い…!なんなのアレ…!?」

「おお!いきなりダークサンダーとは張り切っておるの最原!」

「それだけ余裕が無えってこったろ…さて、俺もちょっとばかし手伝うか。あまり思い出したくはねえが、また『鉄球テニス』と洒落込もうじゃねえか…!」

「僕も行きます!あれぐらいの大きさなら僕でもなんとか倒せるはずです!」

 バオーの能力に唖然とする未来機関組に対し、もはや慣れた様子の79期生たちはキーボや星、茶柱など戦闘力の高い面々が人々の救助へと動こうとしていた。

 

「…ハッ!呆けている場合ではありませんでした!怪物共め、このグレート・ゴズが相手だぁぁッ!!」

「…苗木君、この場でウルトラマンに変身するのはあまり得策では無いわ。ここは最原君達に怪獣の相手を任せて、私たちは街の人たちの避難誘導に努めるべきよ」

「…うん、分かったよ霧切さん。皆も…」

 

 

 

 

『ほ~ほっほっほ!お待たせしましたね搭和シティの皆さん!』

「ッ!?」

 突如響き渡った嫌みな声に辺りを見渡すと、大通りのちょうど真ん中辺りの空中に『紫の袈裟』を纏い、豪奢なアクセサリーで着飾ったまるで『仏像のような男』が現れる。

 

「な、なんだべあのオッサン!?」

「キモッ!?てか浮いてるし…」

「…あの姿、どっかで見たことがあるような…」

 謎の男の出現に皆が戸惑っていると、バオーへと変貌した最原のことすら気づかないほどに恐慌状態にあった街の人々の様子が変わり始める。

 

「…あ、『ゼブブ様』だッ!」

「ゼブブ様が助けに来て下さったぞッ!」

「ゼブブ様ァァァァッ!!」

 謎の男…『ゼブブ』の姿を見るや否や、人々は狂喜乱舞してゼブブの元へと走り、中にはゼブブを拝む者までいた。

 

「こ、これは…何がどうなっているんだ!?」

「ゼブブって…そういえば、最初に絶望の代行者が現れた時にそんな名前を聞いたような…」

「…!お、思い出したぜッ!アイツはゼブブの『人間体』だ!あの時の映像に出てた『蠅』みてーなのが奴の正体で、普段は『死神』っていう人間に近い姿でいたんだ!」

「じゃあ、アイツが代行者の『刺客』…?でもそれだと、あの怪獣たちは…」

 目の前の事態に困惑を隠せずにいる一同の前で、ゼブブは眼下の人々とギャオスの群れへと視線を向けて大仰に叫ぶ。

 

『ほほほほほほッ!過分な歓待、誠にありがとうございます!…それではそのご期待にお応えして、我が『魔王獣』を再びお目にかけるといたしましょう!』

「バルッ!?」

「魔王獣だと!」

 

 ゼブブは天を仰ぐように両手を広げ、叫んだ。

 

『来いッ!『絶望』より解放されし我が僕、『マガデストロイア』ァァァッ!!』

 

 

キュボォォォンッ!!

 その声に呼応するように、ゼブブの後方にあったビルが轟音を立てて崩れ落ちる。そして…

 

 

『コァァァァァッ!!』

 瓦礫と土煙、爆煙の中から咆哮と共に現れたのは元あったビルを凌駕する巨体を持った怪獣。血のような赤い身体と『蝙蝠』のような翼は『悪魔』を連想させ、指先や口だけで無く膝や翼膜、肩からも鋭い『棘』が生えている。全身を固い甲殻に覆われ、特に腹部はまるで何かを閉じているかのように頑強な棘に覆われている。そしてその顔は頬に至るまでぞろりと生えた牙と禍々しい鶏冠、感情を感じさせない目がその恐怖をなお増幅させ、額には赤く輝く『マガクリスタル』が天を突く。

 これこそ、かつてゴジラすら滅した人類禁断の兵器『オキシジェン・デストロイヤー』が生み出した怪物『(つい)の魔王獣 マガデストロイア』であった。

 

「な、あ…ああッ…!」

「で、デストロイア…だとぉッ!?」

「…ヤバい、あれはマジでヤバいよ…!」

「あ、アンジーが真面目なしゃべり方になっておる!これは洒落にならんぞッ!」

 マガデストロイアの恐ろしい見た目に竦み上がる皆を守るように、最原と苗木がそれぞれの変身アイテムを手に前に出る。

 

「魔王獣が相手なら、躊躇っている場合なんかじゃあないッ!行こう、最原君!」

「バルルッ!」

 人々と仲間を守るためにウルトラマンへと変身しようとする2人。…だがその前に、マガデストロイアが動いた。

 

キュィィィィッ…!

 マガデストロイアの口内に妖しげな光が収束する。自身のエネルギー源である『ミクロオキシゲン』という微細な酸素原子を収束し、命中した生物の細胞にミクロオキシゲンが入り込むことでその構造を破壊、内部より『融解』させる必殺光線『オキシジェン・デストロイヤー・レイ』の予兆である。

 

『ヘイッ!楓、危ねえぞッ!』

「ハッ!?み、皆伏せてッ!」

 いち早く危機を告げた『ヘイ・ヤー』に従い、赤松が皆を伏せさせる。そして

 

キュバァァァッ!!

 放たれた破滅の光が最原たちへと迫り…

 

 

 

 

 その『遙か頭上』を通過し、後方にいた『ギャオスの群れ』へと命中し、生きた黒雲に風穴を穿った。

 

『ギャアアッ…!!』

 光に触れたギャオスは悲鳴をあげることすらままならずに塵へと還り、かろうじて躱した個体もその余波により身体のあちこちが分解され肉体を欠けたまま地へと墜ちる。

 直撃に備えていた赤松たちはなんの反応も無いことに恐る恐る顔を上げ、次いで後ろから聞こえてきたギャオスの墜落音に振り返り、その事実を知る。

 

「え…な、なんで…?」

「怪獣が、怪獣を…『倒した』?」

「仲間割れ…?」

 

「オオオオオオッ!」

「流石はゼブブ様のマガデストロイアだ!怪獣共をやっつけてくれたぜーッ!!」

 混乱する赤松達と歓喜する街の人々。相反する2つの反応に笑みを浮かべながら、ゼブブはマガデストロイアへと命ずる。

 

『ハッハッハッハ!さあ、魔王獣…否、『希望獣マガデストロイア』よ!か弱き人々を傷つける悪しき怪獣共に、鉄槌を下せ!我らの信じる『希望』の名の下に…正義、執行ッ!!』

『ガァァァァッ!!』

 




ウルトラダンガンナビ!…と言う名の解説。

今回は新たな魔王獣マガデストロイアについて。ネタバレも若干含みます

終の魔王獣マガデストロイア…ゴジラVSシリーズの最後に登場した怪獣デストロイアが魔王獣の力を得た姿。「完全生命体」とも呼ばれるほどに怪獣としての欠点が殆ど無く、唯一低温に弱いという弱点こそあるがそれもマイナス196℃以下という「ホワイトアルバム」でも無ければ生み出せない絶対零度が必要であるため、東宝自衛隊並の技術力が無ければ現実的では無い。余りも強いためシリーズ最強との声もあるが…相手が余りにも悪すぎた。両断された瞬間に再生してくっつくってどんなチートだってばよ…。
額の角がマガクリスタルになっている。

マガ光波…マガデストロイアの魔王獣としての能力。体内に収束したミクロオキシゲンを腹部の棘が開いた箇所から光波熱線のように放出する技。「オキシジェン・デストロイヤー・レイ」を超える濃度のミクロオキシゲンは生物のみならず無機質すらも原子レベルに分解し、射線上にある物質は全て完全に消滅する。それだけでなく、被害を受けた一帯はオゾンすら超える超高濃度の酸素に汚染されるため、人間であれば1分と経たずに酸素中毒を起こして死ぬ。元いた世界ではこれにより地球は「酸素濃度99%」というバクテリアすら存在しない完全な「無」の星と成り果てた
元ネタは原作でカットされた通称「腹ビーム」。


チーム分けに関しては適当なのもありますがちゃんと意味がある人選もあります。また、名前の出てないキャラに関しては学園組、あるいは理由があって出していません。そのへんはまた後々になってから…

ではまた次回
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