黄金の言霊 外伝 オーブの奇跡~希望と絶望の力、お借りします!~ 作:マイン
今回はオリジナルスタンドが登場しますのでご注意を。ではどうぞ
搭和ヒルズ最上階、以前十神が捕らえられたときに収容されていた牢獄の中で、搭和灰慈は一人打ちひしがれていた。
「…どうして、どうしてこんなことに…俺達が一体、何をしたっていうんだよ…?」
ゼブブに捕まり閉じ込められた灰慈は、どこからともなく壁に映し出される街の様子を延々と見せ続けられていた。上空を我が物顔で飛び回るギャオスの群れに襲われる仲間達、そしてギャオスを放った元凶であるにも関わらず、まるで『救世主』のように自らの操る怪獣で人々を救い、信仰に近いレベルの畏敬を集めるゼブブとヤプール。
そんな光景をただ一人『安全な場所』から傍観させられている灰慈は、当初こそ届かぬ叫びを上げて仲間達に警鐘を鳴らしていたが、数時間としないうちにそれを諦め、今のようにただ呆然と虚空を眺め続けていた。天上にも床にも映像は映っているため今も人々の様子は見えているのだが、もう灰慈の心には何の思いも浮かんでこなかった。
『搭和』を失い、『大義』を失い、…そして『仲間』すらもはや失われつつある灰慈は、もはや何もかもを諦めようとしていた。
「…お、あそこじゃねえか?おーい、皆こっちだぜ!」
「…?」
ふと鉄格子の外から聞こえてきた声に顔を上げると、通路の向こうから見慣れない顔ぶれ…灰慈救出のために搭和ヒルズに乗り込んできた百田、東条、入間、キーボ、ゴズ、朝日奈らがやって来た。いち早く灰慈を見つけた百田が皆を呼び、人相を知る東条が本人かどうかを確かめ、頷く。
「間違いないわ、搭和灰慈さんよ。思っていたよりあっさり見つかったわね」
「…何がどうなってんのか分からねーけど、随分と悪趣味な所に閉じ込められてたもんだな…」
「……誰だ、お前ら?」
「我々は、未来機関の者です。搭和灰慈さん、貴方を救助しに来ました」
「み、未来機関ッ…!?」
未来機関の名を聞いた途端、戦慄して立ち上がった灰慈であったが…やがて薄ら笑いを浮かべるとそのままへたり込んだ。
「…ああ、そうだ。もうどうだっていいんじゃあねえか、今更だ…今更体裁気にしたって意味なんかねえ、もうなにもかも…終わりなんだからよ」
「…ちょっと、聞いてる?助けに来たから、早くここから逃げよう!」
「僕が扉を破壊します!もう少し離れて下さい!」
キャノン砲を扉に向けたキーボが灰慈に退避を求める。
しかし、灰慈はそれに従わず、むしろ扉の真ん前…キーボのキャノン砲の『射線上』に仁王立ちした。
「なッ…なにしてるんですか!?そこを離れて下さい、危ないですよ!」
「そうだぞロリコン豚野郎!言っとくがオモチャじゃねー、マジモンのキャノン砲なんだからな!」
「…ああ、そうだろうなぁ。だから『丁度良い』んじゃあねえか…どうせ同じ事なんだろ?だったらサクッとやってくれよ…」
「…おっしゃる意味が分かりませんが」
「惚けんなよ…お前ら、『絶望』の片棒担いだ搭和を、俺を捕まえに来たんだろ?街がこんな有様だってのにご苦労なこったな…。あの腐川って奴から俺らのやったことは聞いてるんだろ?どうせ捕まりゃロクな目に遭うわけがねえ…だったら、ひと思いにやってくれよ」
「は…ッ!?あ、アンタ!こんな時に何言ってんのよ!?こっちはこまるちゃんに頼まれてアンタを助けに来ただけなんだってば!」
「なんだ、苗木こまるに頼まれたのかよ?…だからってなあ、ハイそうですかで信じられるわけねえだろうがッ!そもそも、あのバケモノ共がウロウロしているこの街で、テメーらだけでどうやってここまで来た?テメエら、まさかあのバケモノ共と繋がってんじゃあねえのか?」
「んなッ…そんなわけねえだろうがッ!!我々未来機関は、例え死んでもあんな連中に寝返るような真似などせんわぁッ!!」
「はっ、どうだか…」
『自暴自棄』に加え『人間不信』まで拗らせてしまった灰慈は一向に言うことを聞かない。朝日奈やゴズがなんとか説得しようとしていると、後ろで灰慈をじっと見ていた百田がキーボに耳打ちする。
「おいキーボ、……」
「…!分かりました」
耳打ちを受けたキーボは下げていたキャノン砲を再び牢屋へと向ける。
「ちょ、キーボ君…!?」
ドォンッ!!
…キーボの放ったキャノン砲は、灰慈の立っている扉…ではなく、その『反対側』の鉄格子を破壊した。いきなりのことに唖然としている皆を余所に、百田が一人破壊された鉄格子を潜って灰慈の元へと歩み寄る。
ガシッ!
「ぐがッ…!?て、テメエ…何しやがる…!?」
戸惑う灰慈の胸元を掴み上げて壁に押しつけると、百田はいつにない『怒りの表情』で叫んだ。
「…おい、灰慈さんよ。俺は、アンタが俺達を信用してないとか、死にたがってることなんざ『どうだっていい』んだよ。俺が腹立ってんのはよ…テメエが『妥協』して死のうとしてるってことなんだよッ!!」
「だ、妥協だと…?」
「そうだろうがッ!この部屋見りゃ、アンタが今までどんな思いに晒されてたのかってことぐらい、大体想像がつく。…だがな、だったらなんだって『今になって』死のうとしやがった!?テメエは今、自分が苦しみから解放されるために俺達にテメエの命の『責任』を押しつけようとしたんじゃあねえのかッ!!」
「ど、どういうこと?」
「…成る程。確かに、この牢獄の中には多少の抵抗の痕跡こそありますが、『自殺』を図ったような形跡はありません。本当に死にたいのでしたら、自殺するのが最も簡単でしょう。それをしようとせず、わざわざキーボ君に撃たれて死のうとしたということは…貴方は『死にたいほど苦悩しつつも、自分で自分の命を絶つことを恐れている』。だから私たちにその始末をさせようとした…そういうことではありませんか?」
「ぐっ…」
東条の推測に、灰慈は図星とばかりに目を逸らした。
「何故そのようなことを…?」
「…んなもん、どうだっていいだろうがよッ!たった一人の女のせいで世界がめちゃくちゃになった上に、帰る場所もプライドも無くして…今度はテレビの中の怪獣が現実に出てきただぁ?…こんな世界、もうとっくに終わりなんだよ。これ以上生きてたって、良い事なんざ有るわけねえだろ。だったら最期くらい、楽にさせてくれよ…。もう疲れたんだ、勝手にやってくれよ…」
「…『妥協』ってこういうことかよ。ロリコンな上にヘタレとか最悪のフニャチン野郎じゃねーか。クソダセぇ…」
もはや投げ槍な灰慈に、百田は更に激昂して喝を飛ばす。
「ふっざけんじゃあねーぞッ!!正直な、アンタが死にたいってんならこっちはどうだっていいんだ!それがアンタの『選択』だってんなら、死ぬのも全部含めて『自己責任』なんだからな!俺が気に入らねえのは、その責任を他人に押しつけて楽になろうっていうその捻くれきった『根性』なんだよッ!そんな奴の言うことなんざ聞いてやる気はねえし、思い通りになんざしてたまるかよッ!!」
百田は灰慈の腕を掴むと、強引に檻の外に引き摺り出した。
「なッ、何する気だ!?」
「決まってんだろ…!アンタが勝手に『諦めた』世界を、アンタのその目で直に確かめさせてやるよ!死にたいってんなら、その後にしやがれ!」
「んなッ…冗談じゃあねえ!そんなもんに付き合ってなんか…」
百田の勝手な言い分にカチンときたのか抵抗しようとする灰慈であったが、その後ろからゴズが太い腕を灰慈の腰に伸ばして小脇に抱え上げる。
「うおッ!?な…なにしやがる!」
「失礼。…ですが、彼の言い分も尤もだと思いましてな。貴方がこの世界をどう思っていようが勝手ではありますが、我々未来機関としてはそう思われては沽券に関わるのです。ですので、死ぬのは少し延期して我々の『意地』に付き合って貰うとしましょう」
「ふ、ふざけんなッ!おい、降ろせ!この牛野郎ッ!!」
「はい、私はグレート・ゴズですので」
「サンキュー、ゴズ先輩!よっしゃ、んじゃ行くぜぇ!」
灰慈の抵抗など柳に風といった様子で、百田とゴズは悠々と元来た道を戻っていった。
「…あーあ、勝手に盛り上がって行っちゃった。男って皆こうなのかな?」
「ケッ、知るかよンナもん。ったく、相変わらず救えねー馬鹿だぜ」
「…でも、ああいうのが『人間らしさ』なんですよね。勉強になります!」
「…それより、私たちも早く脱出しましょう。これ以上最原君に負担をかけさせるわけにはいけませんわ」
「うん、そうだね。…ところで、最原君もだけどあの王馬君も何か『考え』があるみたいだったけど、どうなったのかな?」
「…それこそ知るかよ。あのショタガキの考えなんざ分かるわけねーんだからよ」
「でも、きっと王馬君なりに作戦があるはずです!王馬君は『嘘つき』ですけど、『裏切る』ことだけはしない人ですから…!」
(…なーんて、今頃キーボ辺りがノーテンキなこと言ってるかもねぇ)
一方その頃、王馬はゼブブとヤプールの2人を引き連れ、希望の戦士達の『秘密基地』へ向けて下水道を進んでいた。
『ホホホ…まさか下水道の奥にそんな隠れ家があるとは知りませんでしたよ。地下はレギオンを放って以来殆ど手つかずでしたからねえ、よく生き残っていたものです』
『フン、ガキどもに相応しく鼠のようだな。…尤も、これから文字通りの『袋の鼠』になるのだから滑稽な話だ』
「お、うまいこと言うねーヤプールさん。俺もアイツらの驚く顔が目に浮かぶよー!」
『いやいや、貴方も中々に悪いお人ですねえ王馬さん。ホホホホホホ!』
最初こそ王馬の『裏切り』に疑いを示していたゼブブとヤプールであったが、王馬から『道路が陥没してマガ光波から逃れた』こと、『今まで地下の子供達の隠れ家に匿われていた』こと、『ジードとカラレスが当面変身出来ないこと』など、彼らにとって致命的とも言える情報の数々を知らされたことで王馬を受け入れ、その案内の元で秘密基地へ乗り込もうとしていたのだ。
「しっかしさー、2人がいるからレギオンが襲ってこなくて助かったよー。俺じゃあアイツらに手も足も出ないからさ」
『ご安心を。現在地下のレギオンは『全て』あの最原終一の元に向かわせています。尤も、仮に出会ったとしても我々を襲うことなどあり得ませんがね』
「…気になってたんだけどさ、あのギャオスとかレギオンってどこから連れてきたの?ウルトラマンから聞いた話だと、メフィラスって奴がこの世界に連れてきた怪獣は『魔王獣』だけなんでしょ?」
『奴らは我が魔王獣『マガイリス』が生み出したのだ。マガイリスの能力である『マガ転輪』は、生命体を喰らうことで『新たな生命』として生まれ変わらせることができる。ギャオスもレギオンも、マガイリスが『この街の人間や動物』を喰って生み出したのだ。ギャオスは一体居れば勝手に増える、レギオンに至っては犬や猫でも喰わせてやれば生み出せたからな』
「ふ~ん…」
そんな会話をしながら進んでいく内に、妨害が無いためかあっさりと基地のあるシャッターの前まで辿り着いた。
「着いた着いた。このシャッターの奥が、ガキンチョ共の秘密基地だよー」
『ほう…こんなところにあったとは』
『クク…ではご挨拶と行こうか!ぬぅんッ!!』
ドガァンッ!!
ヤプールが手から放ったエネルギー光弾がシャッターを貫き、その奥の広間に着弾して大爆発を引き起こした。
『ハハハハハ!少々手洗い挨拶になりすぎたかぁ?』
『やり過ぎですよヤプールさん。一息に殺してしまって面白く…?』
意気揚々と乗り込んだゼブブとヤプールであったが、やがてふと気がつく。これほど大きな爆発があったにも関わらず、『悲鳴』がまったく聞こえてこないことに。怪訝そうに辺りを見渡せば、確かに人が生活していた痕跡はあるものの、広間には『人っ子一人居なかった』。
「…あれ、どうしたの?」
『…おい小僧、これはどういうことだ?』
『王馬さん、確かにここは子供達の秘密基地のようですが…肝心の貴方の仲間や子供達は何処なのです?まさかとは思いますが、貴方の裏切りがバレていたのではありませんね?』
威圧的に王馬に問いかけると、王馬はあっけらかんとこう答えた。
「ん?そんなの『当たり前』じゃん。俺がここの場所をバラすって事、とっくに『伝えてあった』んだから」
『…はぁ?』
『どういうつもりだ…ッ!』
「どうもこうも、言わなきゃ分かんない?…アンタら俺に『嵌められた』んだよ。最原ちゃんや百田ちゃんたちの時間稼ぎの為にね」
してやったり、と言わんばかりの笑みで王馬は2人にそう言い放った。
『我々を、騙していたと言うわけですか…!となると、まさか先の情報も全て嘘…!』
「ああ、それは大体ホント。上手に嘘をつくコツってさ、『8割の真実に2割の嘘を混ぜる』ことなんだよね。人間ってさ、大体のことが合っていると『根本』の部分が嘘でもそれを信じちゃうもんなんだよね。おたくら、元々人間って聞いてたから上手くいくかどうか賭けだったけど、まんまと信じてくれて助かったよ。ホント、間抜けでありがとさん!」
『貴ッ様ぁ…!我らを謀ったこと、覚悟は出来ているのだろうなッ!』
怒りと殺気をぶつけてくるゼブブとヤプール。地球人の身には余りにも強いそれを受けた王馬の身体は微かに震え、頬を冷や汗が走る。しかし、それでも尚王馬は揺るがなかった。
「…『覚悟』?今更何言ってんのさ、無いのにこんなことするワケないじゃん。俺は秘密結社DICEのリーダー、『超高校級の総統』王馬小吉だよ。俺達のモットーは『悪を憎んで嘘を憎まず』…お前らみたいな『悪人』に一泡吹かせるためなら、いくらだって嘘をついてやるよ!」
『…大した度胸です。ならば死になさいッ!!』
『後悔しやがれーッ!!』
ゼブブとヤプールの怒りのエネルギー弾が、王馬目がけて放たれた。
「おーすっげ…あんなの『当たったら、俺死んじゃうんだろうなぁ』…」
『…自分たちを騙した王馬目がけて放たれた卑劣な宇宙人達の凶弾。しかしてそれは幸運にも王馬の命を奪うには至らなかったのであった…』
ガコッ…
ドガァァンッ!!
「うわッ!?」
『むッ!?』
『何ィ!』
王馬目がけて一直線に向かうエネルギー弾であったが、先の爆発の影響か『偶然』にも天上から落下した『瓦礫』がエネルギー弾と王馬の間に割り込み、瓦礫に当たったエネルギー弾はそこで爆発し、王馬は爆風で吹き飛ばされたが大した怪我には至らなかった。
「あ痛たた…もうちょっとなんとかならないのかなコレ?もっとスマートだと思ってたのに…」
『チッ…落ちてきた瓦礫に救われたようですね』
『悪運の強い奴め、だが二度はあるまい!今度こそ…』
「いいえ、もう王馬君は貴方たちには『殺せない』わ。だって、既に『私のスタンドは発動している』のだから」
「…へ?」
『誰です!?』
突如響き渡る声。やがて広間の奥から、その声の主が悠然と姿を現わした。
「し…『白銀ちゃん』!?」
声の正体は、子供達と共に避難していたはずの白銀であった。
「こんなことだろうと思っていたよ、王馬君。『ここのことがバレたから先に逃げて』なんて言って…バラしたのは王馬君じゃんか」
「あ、あれれー…なんでバレたの?悟られないようにゴン太に伝えたのに…」
「そう来ると思って、最原君が事前に私に伝えてくれたの。王馬君のことだから、きっと嘘だとバレない人にそう言ってくるだろうって」
「…にゃろう、最原ちゃんめ。これじゃ俺がピエロじゃんか…後でなんか奢らせてやる」
最原に思惑をまんまと見抜かれていたことに悪態を吐く王馬に苦笑しつつ、白銀はゼブブとヤプールの方へと顔を向ける。
『貴女は…最原終一と一緒に居た仲間の一人でしたね。よもやとは思いますが、貴女まで我々を相手に時間稼ぎをしようとでも言うのですか?』
「ん~…それはちょっと違うかな。時間稼ぎなんて言わず、いっそ貴方たちを『倒しちゃおうかな』って」
『…王馬といい貴様と言い、口だけは達者なものだな。ウルトラマンでも無い貴様らに、一体何が出来るというのだ?』
「…『何が出来る』?鈍いナァ…私の『攻撃』はもうとっくに『始まっている』んだよ!」
ズォッ…!
白銀の身体から抜け出るように、その背後に異形のビジョンが現れる。大型の『ハープ』に『マリオネット』を無理矢理組み合わせたような奇妙な姿をしたそれは、ハープの弦に当たる部分にピアノ線の代わりに『本』が存在し、人形がその本を抱え込んでいた。
「ッ!白銀ちゃん、それってまさか…」
「そう、これが『私のスタンド』よ。こっちの世界に来る少し前に、会長にお願いして『矢』の試練を受けさせて貰ったのよ。皆には内緒に…」
『それがスタンドとやらかッ!だがその力のことは既に知っている!本体である貴様が死ねば、スタンドも消滅するのだろう。余計なことなどさせんわぁッ!!』
不意打ちで放たれたヤプールのエネルギー弾が白銀に迫る…が。
ガララッ…!
ドガァァンッ!!
なんと、またしても天上から落ちてきた瓦礫が先んじて着弾し、白銀の遙か手前で爆散してしまった。
『なッ…!?そんな馬鹿な、2度もこんな偶然が…』
「偶然?…それは違うわよ。言ったでしょう、既に私の攻撃は始まっているって…」
そう言って白銀がスタンドの持つ本のページをめくると、そこにはこう書かれていた。
『現れた白銀の未知のスタンドに脅威を抱いたヤプールが不意打ちを試みるが、その一撃が白銀に届くことは無かったのであった』
『…なんですかそれは?』
「見て分からないの?これは『今起きた出来事』よ。私がついさっき『書き上げたばかり』のね…」
『どういうことだ…!?』
「教えてあげるわ。私のスタンドの能力、それは『未来を決定する』ことよ。この本に私が『これから起きる出来事』を『脚本』として書き記すことで、その内容を現実に『反映する』ことが出来るのよ。私が死ぬ人間を決めてしまえば、その人物は例えどんな状況下であろうと『絶対に死ぬことになる』。そして今みたいに、『必ず助かる』と書いてしまえば、どんな不自然な偶然であっても私たちが死ぬことは無いのよ。言うなれば、世界を私の都合の良いように『コスプレさせる』能力とでも言うべきかしら?」
『……は?そ、そんな馬鹿な力が存在する筈が…』
「現実にこうしてあるんだからしょうがないじゃあない?そういうわけだから…もう貴方たちが何をしたところで、私の決めた『運命』は変わらない。貴方たちがわたしたちを殺すことなんてもうとっくの昔に不可能になっているのよ!」
『ふ…巫山戯るなぁッ!!そんな理屈が通じるものかッ!!』
いつになく強気な白銀と、彼女の語る自身のスタンドのとんでもない能力に、信じがたいと思いつつもその態度にゼブブとヤプールは思わずたじろぐ。
「なーんだ、『白銀ちゃんも』フライングしてたのか。会長も知ってたのなら教えてくれたも良かったのに」
「王馬く…?」
ズオッ!
王馬が立ち上がるのと同時に、白銀と同じようにその身体から異形のビジョンが現れる。白銀のソレと比べると人間とほぼ同じ体格をしており、ガスマスクを被ったような顔はアメリカの都市伝説に出てくる『マッドガッサー』のようであり、右手と左手の甲にはそれぞれ『Liar』と『Truth』という文字が刻まれている。
「ッ!?王馬君、もしかして君も…」
「そ、これが俺のスタンド『U2』。能力は『俺が言った嘘を本当にする』能力。さっき俺、『あれが当たったら死ぬ』って言ったでしょ?白銀ちゃんのスタンドも関わったことになったけど、結果的には『俺には当たらなくて、死んでもいない』。俺の嘘は俺の意思一つで『嘘にも本当にも出来る』んだよ…!」
『き、貴様までもかッ…!?』
『…成る程、どうやら口だけではなさそうですね。ならば…ハァァァァァッ!!』
グニャァァァァッ!
ゼブブの叫び声と共に、その姿がみるみるうちに変貌していく。仏像のようだった見た目は、『蠅と人間を融合させた』ような姿へと変わり、右手は鋭い『刀』へと変わる。『死神』としての姿を捨て、真の姿である『破滅魔人ゼブブ』へと変身したゼブブは、ヤプールと共に大きな複眼で白銀と王馬をにらみつける。
『もうただの人間だなどと侮りはせん!我らの計画の為に、ここで貴様らは確実に排除する!ファァァァァッ!!』
『所詮は地球人如きが、生まれ変わった俺達に勝てる筈がないッ!』
「やれるもんならやってみなよ!行くよ、白銀ちゃん!」
「オッケー!さあ…『
ウルトラダンガンナビ!…と言う名の解説
今回は白銀と王馬のスタンドについて
ショー・マスト・ゴー・オン
破壊力:D スピード:E 持続力:A 射程距離:A 精密動作性:A 成長性:A
白銀つむぎのスタンド。マネキンのようなスタンドが本を抱え込んだ姿をしている。スタンドが持つ本に本体が直接これから先の出来事を書き記すことで、それを現実に反映させることが出来る。射程距離は文章の量に比例して広くなり、世界中を舞台にしようとするなら10年がかりで脚本を書き続けなければならない。
射程距離内にある物体は全て白銀の書いた脚本の「登場人物」となり、どんな末路を辿るかは白銀の思うがままである。仮に能力のことを自覚していたとしても、発動してしまえば何をしたところで白銀にとっては全てが「予定調和」でしかなく、どんな抵抗をしようと必ず脚本通りの結末を迎える。当然、白銀も登場人物の一人として扱われるが、白銀がシナリオ通りの人物を「コスプレ」して演じきってしまえば、自らに害が及ぶことは無い
一度能力が発動してしまえば、時を止めようが時間を消し飛ばそうが時を加速させようが、逃れることは絶対に出来ない。岸辺露伴の「ヘブンズ・ドアー」の対象を「人物」から「世界」レベルに引き上げたのがこのスタンドと言っても良い。…ただし、「ページをめくる瞬間」だけは影響が無くなるため、しっかりと流れを読み切ることさえ出来れば攻略することは可能である
元ネタはQueenの「The show must go on」。原作に於いて何が何でも「ダンガンロンパ」という劇中劇を終わらせまいとした白銀にちなんだ名前である
U2
破壊力:B スピード:B 持続力:D 射程距離:C 精密動作性:C 成長性:B
王馬小吉のスタンド。アメリカ都市伝説の「マッドガッサー」のような風貌をしている。近接パワー型スタンドとして十分な性能に加え、王馬の口にした嘘を「本当」に出来る能力がある。
本当に出来る嘘には条件があり、「物理的、並びに科学的に不可能な事象」や「過去の出来事」を本当には出来ない。既に死んでしまった人を生き返らせたり、嘘をつく前に受けたダメージを無かったことには出来ないのだ。だが使い方次第では、他人を不慮の事故に陥れたり、死にかけの人間の命を繋ぎ止めたりと、ほんの僅かな可能性さえあることなら全てを本当のことに出来る。例えるなら、ドラえもんの秘密道具の「ウソ800」や「ソノウソホント」と同じ性能である
この能力の肝は、嘘にするか本当にするかを王馬の「任意」で決められることである。王馬の言葉全てを鵜呑みにしていれば逆をつかれ、全部嘘だと思っていると本当にそうなってしまう。王馬の思考を読み切れない限り、この能力の攻略は難しいであろう
元ネタはアイルランドのロックバンド「U2」。
今回はここまで。ではまた次回