マイクラの世界に来たので、とりあえず親方を殴ります 作:馬王
処女作である故、至らない点が多いかもしれませんが、
これからもどうぞよろしくお願いします。
マインクラフトの世界に、二人の人間がやってきた。もはや説明すればキリが無い状況ではあるものの、弟子である長谷川蓮と、親方の谷川裕也は世界に馴染んでいる様子だった。
――ただ一人、蓮のサイコパス染みた発言が無ければ。
「いやぁ、蓮がマインクラフト?とやらのことに詳しくて色々助かったぜ! おかげで夕暮れまでに木材を集めて、立派な一軒家ができたもんだ!」
「お疲れ様です、褒美にこれをあげます」
「えっ! なになに――。ぐほぉ!?」
四角形の物を置いて重ねていくだけの作業に汗を流した裕也が満足気に笑う中、蓮の右フックが頬に炸裂する。
「えぇ、ちょ、なんで!?」
「三度の飯より親方殴るのがたまらなくて」
「タチ悪いし、サイコ染みてるよ! てか今日一日で何回殴ったと思ってるの? 13回だよ!? 13回!」
「それは俺からの……愛です」
「頬を染めるな頬を! 弟子の愛は可愛げあるもんだと思ってたけど、これじゃ明日には俺の身体がもたないよ!」
ポッ、とわざとらしく頬を染めながら返事を返す蓮に、裕也は威嚇しながら涙目で訴える。
「雨が降ってきましたね、中に入りましょう」
「俺の容態を心配してくれよ……」
「大丈夫です、この世界で死んでもコンティニューがありますので」
「そういう問題じゃないからな!?」
「……これで親方を何度も殺せますね」
「ひぃぃ……、おちおち眠れたもんじゃないのが怖い!」
出来立ての家に入っていく蓮を追うように、裕也も渋々と言った形で中に入る。
「暗いなおい!?」
「
「明日の予定を教えてくれるのは嬉しいんだけど、暗いままで大丈夫なのか? なんか嫌な予感するんだけど……」
「安心してください、暗くてもゾンビやスケルトンが沸くだけですので」
「なにそれ怖い! ゾンビはわかるけど、スケルトンってなによそれ! 無理無理無理、俺怖いのだけは勘弁なんだよ!」
「まぁ元より、眠れないんですけどね。なにせベッドが無いのですから」
蓮の爆弾発言に、ピシッと裕也が固まる。そう、マインクラフトの世界ではベッドが無ければすぐに朝を迎えることができないのだ。
嘘でしょ? という顔をしながら蓮を見つめる裕也に、当の本人は大きな欠伸をしていた。
「帰りたい、現実世界に……」
「マインクラフトの世界で生きることも大切ですが、帰る道を探すのも目標ですね」
「それな。はぁ……飼い猫のみぃは大丈夫かな、ちゃんと生きててくれるかなぁ」
「心配するのは廃業じゃなくて飼い猫の心配ですか。随分とお花畑の思考で羨ましいですよ、童貞」
「おいコラァ!! 最後の台詞は見逃せんぞ!!」
「28歳にもなって彼女が居ないとか、プークスクス。あ、童貞だからと言って俺を襲うのはやめてくださいね、そういう趣味は残念ながら持ち合わせてないので」
「こんの野郎……好き勝手言いやがって……ッ」
握り拳を作り、青筋を浮かべて好きなだけ言う蓮に裕也は見る見るうちに血糖値を上昇させる。
「でも、ちょっとだけならいいんだからね……!」
「お前のキャラと思考が読めねえよ……」
半袖の肩部分をずらし、目を潤わせながら露出する蓮に裕也は死んだ魚の目でツッコミを入れる。
「そういうお前は彼女とか居ないのかよ? まぁ俺に童貞って言い切るからには居るんだろうけどなぁ」
「え、居ないですよ」
「えっ、うわぁ。プークスクス、人の事言えないじゃん、クソわろりっしゅ」
「彼氏は居たことありますけど」
「あー、彼氏ね。なるほど……って、ふぁ!?」
自分の事を童貞呼ばわりしてくる蓮に、ざまぁみろと言わんばかりに笑っていた裕也。
しかし更なる蓮の爆弾発言に目玉が飛び出す。
「ちょ、えっ……お前、えぇ!?」
「……冗談に決まってるじゃないですか、殺しますよ」
「さらっと殺人予告するのやめてくれない? てかお前の冗談はこの世界だとより脅威なんだけど!!」
「わー、嬉しいこと言ってくれますね。褒美に殺してあげますね」
「バーリア!!」
「フッ!!」
「ぐほぉ!?」
とっさに腕をクロスして子供がするようにバリアと叫ぶ裕也だが、蓮はそんなのお構いなしに右ストレートで防ぎ切れていない裕也の腹部を殴る。
なんだかんだとやってるうちに、初日は終え、二日目の朝を迎えることとなった。