鏡とはそのものを映し出すもの   作:西じゃない東(斎藤 隆)

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頭ハ?正常コソガ危険?

最初は、俺の頭がおかしくなったのかと思った。

だってそうだろう。

いきなり、鏡の向こうによく見知ったアニメ、ゲームのキャラクターがいるんだぞ?そう思わないほうがどうかしている。

しかし、違いといったら―――立っている場所たたずまい(女の子らしいが)は同じだ。

ちがうところは・・・姿?いやちがう。そんなことはもう分かっている。

そうだ、荷物。俺は荷物を持っているが向こうの彼女は何も持っていない。

 

だからどうした。

 

今、俺の顔はさぞ驚愕で彩られているだろう。鏡には彼女が映っているために自分がどんな表情をしているかは分からないが。

 

ん?

俺はその思考にいたったところで少し違和感を感じた。

何だ?今俺は何に・・・

 

「サスガ?」

 

その声に驚き俺の思考は中断された。邪魔をされたといってもいいかもしれない。

 

「なんだよ?いきなり話しかけてきて」

「いや、ちょっと前から声はかけてたけど今まで何の反応もなかったし・・・」

 

何ということだろうか?人に話しかけられて気づかないなんて、そこまで深刻な放心状態におちいっていたのだろうか?

 

「あのショーウインドウの方を見てたみたいだけど、どうしたの?」

 

まずい、これは非常にまずい。俺の脳内の非常警報はいままさに危険を訴えようとビービーなっている。

これが、人に見られたらまずい。いくら仲がいい奴だったとしても知られたらまずいものもある。

俺が従姉妹の部屋に行ったときに見つけたBL本みたいにな。

 

「いや、別に・・・何も・・・」

 

くそ!こんな時にはっきり物がいえないとは、これが人並み以上と言われる由縁か?それとも実は俺は自分でも気づいていないだけで、コミュ障だったのか?・・・それはそれで重要な問題だが。

 

そうしている間にもカノンの目線はショーウインドウの方へと向かっていく。

 

―――万事休すか。

せめて散り際(精神的な)こそはかっこよくしようと思っていた俺だが、カノンが言った言葉によって余計に混乱してしまうことになる。

 

「なに?ギターとかやり始めたいの?」

「ギター?」

 

そう思い、ショーウインドウの中を見てみると鏡の手前にはカノンが言ったとおりにギターが並べられていた。

 

「ちがうの?」

「いや、そうそう。やっぱ、ギターってかっこいいなと思っててつい、な」

 

どういうことだろうか?何故カノンは鏡に映ったブラック★ロックシューターではなくギターの方に目がいったのだろうか?まさか、俺以外には見えないとかそんな都合のいい現象なのか?これは。

 

そう思いもう一度鏡を見たことで違和感の正体に気づいた。

表情が動いていないのだ。動きを真似るだけの只の人形のように・・・。

 

おいおい、原作の方の彼女はもう少しは感情と言うものがあったぞ。ゲーム版でも、映像版でもだ。

 

「二人ともいちゃつくなよー。僕が浮いて見えるだろうが」

「「いちゃついてねえよ!」」

 

まあ、他人に見えないのなら構うまい。日常生活は不便になるだろうが社会的地位を失ったりはしないわけだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ●

ようやく、本当にようやく無事に家に帰ってきたことに安堵した。

もしかしたら、おれのこの病気(名義上そう呼ぶ事にした)から考えると無事とはいいがたいのかもしれないが。

 

そう思い、制服から普段着・・・というかパーカーに着替えようとして気がついた。

このときほど自分に対してナイスと思ったことはない。

衣装ダンスがあるではないか。これでは自分のものではない、・・(ごにょごにょ)・・が見えてしまうじゃないか。

 

そして、パーカーを持ちながら衣装ダンスを移動させようとしたのだが・・・

 

まさか、鏡に映った着替えが全部あの服になっているとは思わなかった。

 

 

 

「ふう」

そして、着替えて数時間後。夕食もすっかり食べ終わった頃、俺はテレビを見ていた。

もう、風呂にも入ってある。(チキンな俺は洗面台と風呂場の鏡を湯気で隠すと言うやや強引な手にでたのだ。俺はやましい事はしていない)

 

《本日××市で起こった集団催眠の被害者はほとんどが取り押さえられましたが、何人かは逃げてしまったようです。》

 

被害者を取り押さえるって何かおかしいよな。

そう思いながらテレビの電源を消し、洗面台で歯を磨く時に歯ブラシを取るときに前に重心をかけ過ぎてしまった俺は体勢を整える為に必然的に前の鏡にてをついた、ついてしまった。

 

瞬間、文字でも、もちろん言葉ででも言い表す事ができない不快といってもいいその感覚がし、

 

俺の意識はブラックアウトした。

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