仮面ライダーリミット   作:甘々胡麻ざらし
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何故こうも執筆が進むんだぁぁぁぁぁ!


姉妹の溝

ウンディーネの出現から数ヵ月の時が流れ現在は11月。海はアジトの中で設計図を見ながら何かを造っていた。

 

「ねぇ兄ちゃん。いったい何を造ってるの?あのウンディーネが現れて以来ずっとアジトでリミットに変身しては戦闘データを採っていたけど。それに今日は簪の代表候補生が決まるかどうかの日でしょ?よく作業に熱中できるね」

 

そう、今日は簪が日本代表候補生になれるかどうかという日なのである。七海は簪の努力を知っているため受かるとは思っているが、やはり心配なのである。しかし海はそんなことを気にしていないかのような雰囲気で作業を進めていた。

 

「簪は絶対に受かる。あいつの強さは俺が保証している。だからこうして"専用機"を造っているんだよ」

「え?専用機ってことは兄ちゃんIS造ってるの!?だとしても気が早いよ!?」

「受かれば日本代表候補生の専用機、アウトなら父さんの会社で企業代表として持たせる。父さんからの許可も貰ってるぞ?それにリミットのデータをベースに造っているからあとは外装だけなんだよ」

 

そう言って海がモニターを操作すると、一つの扉が開き中には全身装甲(フルスキン)のISが2台ISハンガーに掛けられていた。2台ともシルエットは同じだが、何故か頭部と左腕欠損していた。

 

「ねぇ兄ちゃん。このIS頭と左腕がないよ?」

「ああ、頭部は七海と簪のデザインに任せるよ。それと左腕がないのは」

 

そう言って海は造っていた機械にヒューマンTコアを挿し込むと2台の内1台にリミットがヒューマンTコアを使ったときに出現する左腕と同じものが出現した。

 

「こういうこと」

「つまりこのISはTコアの力を使うISってこと?」

「その通り。七海は企業代表としてIS学園に通うのはわかっているけど、トロポスが大量のISを所持しているIS学園を逃さないはずがない。それに一度に二体来る可能性もある。そこで対トロポス用のISが2台必要って訳だ。烏丸さんにトロポスの情報を教えたけど世界各国のほとんどは未だにISを全身装甲(フルスキン)に変える気はないってさ」

「アホだね。死にたいのかな?」

「だろ?烏丸さんもそう言っていたよ。と言っても事実を認めればIS絶対主義の自分達の立場が危うくなるからな」

「つまり自分達の地位が優先って訳ね。はぁ…。で、私と簪にIS学園の防衛をしてほしいって訳ね?」

「ああ。正直二人を戦わせるのは嫌だけどな」

「大丈夫よ。と言うよりむしろ感謝してるよ。これで兄ちゃんの負担が減るからね。きっと簪も同じ気持ちだよ」

「…そっか。よし!そうと決まったら作業を再開するとしますか」

「あ、私も手伝うよ。兄ちゃんより機械得意だし」

「あー、じゃあ頼む。そいつを纏って動作チェックとかしたいからさ」

 

 

「「出来たー!」」

 

数時間後、二人の目の前には大きめの変身ブレスが置かれていた。それと同時に海のスマホが鳴り画面を見ると簪と表示されていた。そして電話を出ると電話の向こうから泣いている声が聴こえてきた。

 

「ど、どうしたんだ簪!?」

『受かった…私…受かっていたよ!』

「うぉ…。うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「ど、どうしたの兄ちゃん!?」

「簪受かったって!」

「え…。やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「おめでとう簪!」

『うん…ありがと…!とりあえずそっち向かうね』

「おう!」

 

電話を切ると海はガッツポーズをして喜びを露にしていた。それを見ていた七海はやっぱり心配だったのかと少し呆れてその様子を見ていた。そして簪がアジトに入ってくると二人はクラッカーを鳴らして簪の代表候補生になったのを祝った。

しかし現実はそうではなかった。

後日彼等の元に届いたのは"更識簪の専用機は倉持技研が造る"という報告だった。

 

「「どういうこと(よ)だよ父さん!」」

 

報告が届いたその日、海と七海は社長室に飛び込んだ。そこには二人の父親である天地凪十(あまち なぎと)が眉間にシワを寄せて社長室の椅子に座っていた。

 

「とりあえず部屋に入るときはノックをしろ。それに俺も抗議したさ。だがIS委員会と女権が聞く耳を持たなくてね」

「あたしも抗議したけど無駄だったよ」

「あ、烏丸さん。ご無沙汰です」

「ああ。で、理由を聴いたところ天地コーポレーションが男女平等を掲げている会社だからそんな奴等に神聖なISを造らせるわけにはいかないってさ」

「「はぁ!?」」

 

あまりの暴論に海と七海は揃って呆れた顔をした。

 

「しかも専用機が打鉄の発展機だってさ。おまけに装甲はかなり薄いわ」

「つまり簪は倉持のネームバリューのために利用されるって訳かよ!」

「落ち着け海。起きてしまったことは仕方がないのだ」

「なんだよ父さん!このままで良いのかよ!

「落ち着けと言っているだろ!」

「っ!…ごめん」

「お前はここ最近怒りで前が見えなくなっている。落ち着かなければ見えるものも見えないぞ」

「…」

「簪君の専用機の製作は倉持に任せる」

「っ!」

「だが、その専用機を使用するかは簪君の自由だ」

「え?」

 

凪十の言葉に海は頭に?を浮かべる。そしてしばらく考えると納得したかのように顔をあげた。その顔を見た凪十はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「つまり対トロポス用のISも簪に渡すって訳か!」

「そう言うことだ」

「え?ど、どういうのこと?」

 

七海は何のことだかさっぱりわからず二人に説明を求めた。

 

「つまり簪には表向きは倉持が造ったISが専用機として支給される。でもそれを使うかは本人が決めることだ。そこでこっちの対トロポス用のISも渡せばいいんだよ」

「なるほど!それなら簪がどちらを使うかは本人次第。仮に倉持のISが使われなくても本人の意思で使用するか決めているから横やりを入れられる心配もない!」

「そうと決まれば早速簪に…」

 

海は簪には連絡を入れようとしたとき腕に巻き付けていたサーチボードが鳴り響いた。それはトロポスの出現を意味していた。

 

「っ!とりあえずトロポスが先だな」

「ついでにこの"クロスブレス"の性能も確かめないとね!」

 

そう言って二人はトロポスが出現した場所。"IS学園"へと向かった。

 

 

「皆、早く避難して!」

 

IS学園では簪の姉、更識楯無が学園に突如現れたイーグルトロポスに苦戦していた。何故ならイーグルトロポスの目は赤く光っており、第二段階(ステージ2)を示していたからだ。

 

「あれが報告書にあったトロポスね。なかなか厄介ね…」

 

楯無はイーグルの攻撃をランスで防いだり、交わしたりしていた。何故なら楯無はトロポスの絶対防御貫通を警戒していたからだ。そのため絶対防御には頼らず暗部で培ってきた技術でかわしていた。しかしイーグルトロポスは鷲の力を持つトロポスであり、その機動力で楯無を的確に攻撃していた。

 

「このままじゃ殺られる!」

 

楯無が殺られることを覚悟したとき何処からか動物の鳴き声が聴こえ、イーグルトロポスに突進した。そして何かが戻っていくとそこにはサーチボードに乗った簪が居た。

 

「か、簪ちゃん!?どうして!?」

「…姉さんには関係ない」

 

そう言って簪はスラッシュライノスを操作してイーグルトロポスを攻撃した。現在簪はイライラしていた。理由は二つ。一つは倉持のことだった。あまりにもふざけたことを言っていた倉持に対して簪はイライラしていたのだ。そして二つ目はトロポスの反応があり現場に駆けつけると、そこには昔自分に無能の烙印を押し付けた姉が居たのだ。この二つのことから簪のイライラはピークに達していた。

 

「ハァァァァァ!」

 

簪は隙を見るとサーチボードでイーグルトロポスに突進などをしていたが、眼が良いイーグルトロポスにガードされ、弾き飛ばされた。近くの木にぶつかる直前、楯無によりなんとか怪我はなく済んだが、簪は楯無に助けられたということにまたしても苛立ちを覚えた。

 

「放して!」

「危険よ簪ちゃん!」

「うるさい!姉さんには関係ない!"無能"な私はどこで何をしようと関係ないでしょ!」

「っ!」

 

楯無は自分と簪の溝を作ってしまった言葉を思い出した。"あなたは何もしなくて大丈夫よ"と。その言葉は楯無にとっては危険な暗部の仕事に可愛い妹を巻き込みたくなかったからであった。しかし簪にとっては優秀な姉に追い付くために努力した自分を否定する言葉であった。結果簪には無能なままでいろと勘違いしてしまったのだ。こうして二人に溝が出来、さらに楯無が家を継いだことにより簪が周囲からも無能と呼ばれ二人の溝が深まってしまったのだ。

 

「…ごめんなさい」

 

楯無は自然とその言葉を口にした。

 

「え?」

「ごめんね簪ちゃん。今更何を言ってるのって思うけど、あのときは簪ちゃんを暗部なんて危険な仕事に巻き込みたくなかったのよ。でもそれが簪ちゃんの努力を否定していたわ…」

「今更…今更遅いよ!あのとき私がどれだけ傷ついたかわかる!?どれだけ悲しかったか!どれだけ辛かったか!」

「ごめんね…ごめんね…!今更仲直りしたいなんて都合の良いことは言わないわ。でもせめて、可愛い妹は守るわ!それが今の私に出来ること!それと、日本代表候補生おめでとう。流石、自慢の妹ね。これから頑張って」

 

そう言って楯無はランスを構えてイーグルトロポスに向かっていった。イーグルトロポスは楯無を殺そうと襲いかかったが、楯無の動きが先程よりも動きが鋭くなっており、イーグルトロポスは驚きを露にした。今の楯無の中にあるのは妹を守りたい。ただ、その思いだけが楯無を強くしていた。

 

「お姉ちゃん…」

 

簪は自分のために戦っている姉の姿を見ていた。そして一筋の涙を溢していた。

 

「私バカだ…。お姉ちゃんの気持ちを理解しようとしないで、ただ恨んでいた…。今も私のために…。危険なのに戦って…」

『じゃあお姉さんを簪が守れば良いんじゃないかな?』

 

簪が横を向くとそこにはリミットに変身した海とサーチジェットを背負った七海が居た。

 

「でも私には専用機が…」

「じゃじゃーん!これ使ってみて」

 

七海が大きめのトランクケースを簪に渡し、中身を開くとそこには大きめのブレスが入っていた。

 

「これって?」

「新アイテム!変身ブレス クロスブレスだ。対トロポス用に造ったIS。これを使ってお姉さんを助けてあげたら?」

「うん、ありがとう。海。七海ちゃん。私も逃げるのは止めた!正面からぶち当たる!来て!ライちゃん!」

 

簪がクロスブレスを腕に当て、グリップを握るとベルトが射出され腕に固定された。そしてスラッシュライノスからライノスTコアを抜き出しブレスのカバーを開け、下側が欠けているひし形の窪みにセットし、カバーを閉じる。

 

《ライノス!》

 

「展開!」

 

《トロポスアップ!》

 

ライノスTコアが左側に来るように真ん中のひし形を回転させるとブレスから音が鳴り、簪の体を銀色の装甲が包み込んだ。そして左腕にはライノスアーマーが装着され、最後に簪の顔を銀色の仮面が覆った。

 

『凄い…!これならいける!』

 

簪はサーチボードから降り、足のブースターを飛ばして薙刀を出現させてイーグルトロポスを切り裂いた。

 

『お姉ちゃん大丈夫?』

「その声簪ちゃん!?」

『うん。お姉ちゃんが私を守るなら、私がお姉ちゃんを守る!』

「簪ちゃん…。ええ、任せるね」

『うん!』

『「ハァァァァァァ!」』

 

簪と楯無は絶妙なコンビネーションでイーグルトロポスにダメージを与えていく。イーグルトロポスが翼から羽を飛ばして攻撃するが、楯無が水をナノマシンで操り、水の壁を作り防ぐ。そしてその壁から簪が飛び出しイーグルトロポスにライノスシールドで突進する。イーグルトロポスは空を飛んで逃げようとするが、思うように飛べず地面に落下した。何故なら楯無が水を操りイーグルトロポスの羽を濡らして重くしたからだ。

 

「とどめよ!」

『うん!』

 

楯無はランスに水を纏わせ、簪はクロスブレスに手をかざす。

 

《ライノスエンド!》

 

『「ハァァァァァァ!」』

 

二人はそのままイーグルトロポスに向かって行き、慌てて逃げようと背を向けたイーグルトロポスの背中をランスと薙刀が貫いた。そしてそのままイーグルトロポスは地面に倒れ爆発した。そして自動的に簪のクロスブレスにデータが回収され、中から男性が出てきた。

 

「中から人が。報告書通りね」

「あ、あれ?ここは?」

 

眼が覚めた男は辺りをキョロキョロ見渡す。

 

「ここはIS学園よ。あなた酔っぱらっていて間違って入ってきたみたいね。今の内に早く出た方がいいわよ?」

「あ、はい」

 

そう言って男はそそくさと帰っていった。

 

「簪ちゃん…」

「お姉ちゃん…」

 

二人はISを解除してお互いに近づくと抱き締めあった。そしてお互いに泣きじゃくり海と七海はその光景を優しく見守った。

 

 

そしてその週の土曜日。

 

「で、なんで簪のお姉さんが居るんですか!?」

「あら、せっかくの休日に可愛い妹と居て何か問題でも?」

「ごめんね。お姉ちゃんにバレちゃったみたい…」

「これから私も君たちに協力するわね。じゃあ早速生身の戦闘訓練しましょうか!」

「か、勘弁してくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「頑張って、海…」

 

こうして簪と楯無の溝は少しは埋まり、新たに仲間が一人増えたのであった。




はい、という訳で原作介入前に簪と楯無先輩の溝を少しだけ埋めました。
ちなみに簪のあれは"変身"ではありません。ISを展開しただけです。
では次回もお楽しみにー


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