仮面ライダーリミット   作:甘々胡麻ざらし

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今回ちゃんと伝わっているか心配…


進む物語

IS学園の教師たちに捕らえられた海は現在IS学園の尋問室で椅子に縛られ両手には手錠をかけられていた。海の両脇には銃を携帯した女性教師がおり、下手な抵抗をすれば銃で鎮圧しようとしている。そしてドアが開かれ中に入ってきたのは黒髪の凛とした女性。世界最強のIS操縦者"織斑(おりむら) 千冬(ちふゆ)"である。千冬は椅子に座ると海の両脇に居た教師に海の身体の自由を命令した。

 

「手荒な真似をしてすまない。私の名前は織斑千冬だ。この学園で教師をしている。君が天地海だな」

「ええ、確かにあなたは七海の担任でしたね。妹がお世話になってます。何か迷惑になるようなことしてませんか?」

「いや、彼女はクラスの中でも明るく周りを楽しませている人だ」

「そうですか」

「…さて、話の本題に入りたい。君がトロポスと戦っているリミットで間違いないな?」

「はい」

「助けてもらっておいてこう言うのはおこがましいが、一つ頼みがある」

 

千冬は懐からクロスドライバーとライダーコア、Sコア、Tコアを机の上に置いた。

 

「これらを我々に提供してほしい」

「お断りします」

 

まさかの即答に海の両脇に居た教師たちは銃を突きつけるが千冬に止められ下ろした。

 

「理由を聴かせてほしい」

「単純にあなたたちでは使えないからです」

「使えないとは?」

「まず、このクロスドライバーはIS適正が無いものにしか装着することが出来ません。適正が大きい者ほどこいつから電撃が流れ、装着を拒絶されます。次にこのライダーコアと呼ばれるクリスタルには変身者の個人情報、つまりDNAが入っており、例えドライバーを装着出来ても自分のライダーコアを使用しないと変身できません」

「なるほど…」

 

千冬は顎に手を当て何かを考えると周りの教師たちに海と二人きりにさせて欲しいと言い、周りに居た教師たちは部屋から出ていった。

 

「今は私と二人だけだ。リラックスしても構わないぞ」

「ではお言葉に甘えて。ふぅ~」

 

正直な所海は後ろに居た教師たちに内心ビビっていた。数々の戦いをしてきた海だがそれはリミットの装甲があってこそ。生身の今では銃弾一発で死んでもおかしくはないのだ。楯無直伝の武術の心得があるものの、ぶっつけ本番で銃を持った相手に通用するかわからないところだ。

 

「ところであの土竜のトロポスは今どうしていますか?」

「彼は天地が…あー、妹さんがデータを抜いたことで人間の姿に戻っている。今は保健室で眠らせているがな」

「それで俺はどうなるのですか?首を縦に降るまで拷問されるのですか?」

「いや、そこ心配はない。恩を仇で返すほど私は腐ってはない」

「いやはや、お待たせしました」

 

ドアが再び開けられ中に入ってきたのは初老の男性であった。何故男性がIS学園に居るのか疑問に思っていると、千冬が席を立ち男性に頭を下げる。

 

「わざわざありがとうございます。学園長」

「学園長!?」

「はい、私はこのIS学園の学園長である轡木(くわつぎ) 十蔵(じゅうぞう)です」

「え?でも学園長って女性なのでは?」

「それは表向きですよ。なにぶんこの時代ですからねぇ」

「あー、なるほど」

 

海が納得すると千冬は十蔵に席を譲り、十蔵は椅子に座ると真剣な表情で海を見る。

 

「それでやはり提供することは無理なのでしょうか?」

「はい。さっき織斑先生に言った通り適正が無いものにしか使えず、DNAが入ったコアの二重ロックで不可能です」

「では設計図を我々に渡してもらうことは?」

「それも無理です。それに設計図はこれを一つ造ったときに完全に削除したのでもう造れませんよ」

「何故削除したのですか?それにあなたが考えたのでしたらまた造れるのでは?」

「まぁ普通はそうですよね。でもこのドライバーを考えたのは俺じゃないんです」

「どういうことですか?」

「このドライバーは設計図として俺の元に送られてきました」

 

海は十蔵と千冬に設計図が送られてきた経緯を話し、各コアについても話した。

 

「…なるほど。あなたの眼は嘘を言っているわけではないですね。しかしやはり設計図を削除したことには疑問を感じます。わざわざ設計図を削除する必要があったのですか?」

 

海はギクリと思いシラを切るが少ししてため息を吐き本音を話すことにした。

 

「正直なことを言います。俺はこのドライバーを造った瞬間に感じてしまったんです。これは造るべき物じゃないと」

「どういうことですか?」

「このドライバーはIS適正が無いものにしか使えない。つまり男とIS適正の無い女性しか使えないということです。もし仮にこのデータが流出すれば女尊男卑で苦しむ男たちが反旗を翻します。それにISを動かせない女たちもこれを使い男対女の戦争が起こる可能性もあります」

「それは…」

「無いとは言えませんよね?白騎士事件によりISは兵器として扱われ女尊男卑が生まれた。アラスカ条約で兵器利用されてなくても抜け道なんて沢山あります。このドライバーだって本当にトロポスと戦う手段として使われるかなんて疑問です。だったら最悪のことが起こるかもしれない前にデータを消したんですよ。それにドライバーを解析されないために解析されたときは爆発するように仕組みましたしね」

 

十蔵と千冬は海を見ながら彼はどこまで先を見据えているのかと驚きを露にしていた。しかし突然海は机に頭をぶつけた。いや、厳密に言えばふらりと体が倒れ頭を打ったのだ。何事かと思い十蔵と千冬は海に心配の言葉をかけるが、海はユラリと体を起こし少し息を荒くしながら顔をあげた。

 

「すみません…。今のはこのヒューマンTコアの能力で脳の回転を上げて話していたので疲労が来ただけです…」

 

そう言って海はいつの間にか回収していたヒューマンTコアを見せる。千冬は海からヒューマンTコアを取り上げ体を支えた。

 

「無茶をするな。お前の言いたいことはよく理解した」

「ありがとうございます…。あまり長く使ってないので話はつづけれます」

「…わかりました」

「このドライバーは先程言った通りもう量産が不可能で、手に入れるには俺に設計図を送った人物に会う以外ないでしょう。でも俺も差出人は知りません。そしてもう一つ理由があります。どちらかと言えばこっちの方が造るのを止めた理由です」

 

海は口を開きその理由について述べた瞬間、十蔵と千冬は驚愕の表情を露にした。それはあまりにも恐ろしく15歳の子供には過酷すぎると感じたからだ。

 

「何故君は危険を犯してまで戦うのですか?」

「…守りたい人が居るからですよ。家族や友達。あとは目の前で助けられる人を助けたい。そんなわがままで戦っているんですよ」

「…そうですか」

 

十蔵は少し沈黙し、海を真っ直ぐ見つめ口を重く開いた。

 

「…君にこういうのは酷な話ですが、もしよろしければIS学園でトロポスから我々と共に戦ってもらえませんかね?」

「学園長!いったい何を!」

「わかってますよ千冬くん。どれほどおこがましいかよくわかってます。しかし彼が戦うことを止めない以上、少しでも危険を下げるべきなのでは?」

「しかし彼のドライバーを狙う者たちがきっと現れます!」

「それは彼がここに来なくても同じなのでは?ならば彼を全力を持って安全を保護する方が最適だと思います」

「しかし…」

 

十蔵と千冬は海の方を見る。来るか来ないかは海が決めることである。

 

「少しだけ時間をください…」

 

海はそう言うしかなかった。

 

 

「IS学園かぁ…」

 

その日の夜、海はアジトで椅子に座りながら考えていた。ここ最近トロポスの出現は中学のときより何故か何倍も多くなり、その半数はIS学園を中心に狙いを定めていた。そして第三段階(ステージ3)のシルフ、ノーム、ウンディーネはいずれも日本におり、寄生させる人物を選べることから恐らくまずは日本を手中に納めるのだろう。それを裏付けるように海外でのトロポが出現したとの情報はない。正直な所今後また第三段階(ステージ3)がIS学園に現れないとは限らない。海ですら苦戦しているのに七海たちで倒せるかと聴かれたら無理に等しい。ならば自分が在学することですぐに対応できることになる。しかし他の場所はどうなるのかと聴かれると答えづらい。もしかすればそっちにトロポスが出現する可能性もあるからだ。

 

「どうすればいいんだよ…」

「IS学園に行けば良いんじゃないですか?」

「誠也…」

 

紅茶を飲んでいた誠也は海に紅茶を注ぎながらそう言った。

 

「私は高校に在学してませんし、比較的自由に動けます。高速系のコアもありますし全国くらい守れますよ」

「でも…」

「シャキッとしなさい!」

 

海は渚に背中を蹴られ地面に倒れる。

 

「何すんだよ!」

「顔に書いてるわよ、IS学園に行きたいって。心配なんでしょ?七海ちゃんたちが」

「母さん…」

「男ならウジウジ考えないで自分のしたいことをしなさい!あんたはまだまだ子供なんだから!」

「そうですよ。こっちは私でなんとかしますから海様は安心して七海様たちを守ってください」

「…なんかあったらすぐに駆けつけるからな」

「その前に片付けておきますよ」

「言ってろ」

 

少しだけ気分が軽くなった気がした。

 

 

「今日はお前たちに転校生を紹介する」

 

IS学園の一年一組では昨日二組に転校生が来たということでまた転校生なのかと騒がしくなるが千冬の一喝で静かになった。

 

「よし、入ってくれ」

 

扉が開くとそこには白を基調としたIS学園の制服とは対になるように、白い生地は暗めのグレーになっており、赤いラインは青緑のラインへと変化した制服を着た男子であった。

 

「今日から特別編入生として君たちと共に学ぶ者だ。IS適正はないが、今後男女共学を考えた整備科を作るための被験者だと覚えておいてほしい。では自己紹介を頼む」

「はい。今日から皆さんと一緒に学ぶことになった天地海です。被験者と言われていますが気軽に接してくれるとありがたいです。これからよろしくお願いします」

「「「き、」」」

「き?」

「「「キャアアアアアアアアアアアアアア!」」」

「うおっ!」

「織斑君以外の男子だ!」

「しかも黒い制服格好いい!」

「これは一×海ね!」

「いや、海×一よ!」

「今年の夏は捗るわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

海が女子の歓喜(ソニックブーム)に耳を塞ぎながら転校することをクラスメイトに伝えたとき、中学からの親友の明に耳元で言われた言葉を思い出していた。

 

「(そう言えば"白騎士"に気を付けろってどういうことだ?)」

 

しかしその疑問は千冬の一渇により消えていった。




はい、という訳で海はIS学園に入学することになりました。
適正が無いのにどうやったら入学出来るのか悩んでいたら「あ、そう言えばフォーゼのメテオも交換留学だったな。それなら似た感じにしてみよう!」と思いこんな感じになりました。
入学した時期は簡潔に言えば鈴が転入してきた翌日です。

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