仮面ライダーリミット   作:甘々胡麻ざらし

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IS学園に入学!

朝のホームルームが終わると廊下には生徒たちが一目海を見ようと集まっていた。だが海はそんなことを気にせず周りをキョロキョロ見渡すと一人の女子生徒が近づいてきた。

 

「ちょっと兄ちゃん!いったいどういうことなの!?」

「お、七海か。久しぶり」

「そうじゃなくてなんでここに居るのよ!しかも特別編入生ってなに!?それに兄ちゃん整備士目指していたの!?」

「落ち着け七海。それについては昼飯の時くらいに簪たちにも話すから」

「はぁ…。わかった」

 

久しぶりに七海と会話をしていると周りの女子はまたヒソヒソと話し始める。

 

「あの二人って兄妹だったの!?」

「苗字が同じだからもしかしてって思ったけど…」

「天地さんって確か天地コーポレーションの社長の娘ってことは、あの特別編入生も天地コーポレーション社長の息子ってことだよね!?」

「うっそ!じゃあ玉の輿じゃない!」

「でも織斑君よりは微妙だよねー」

 

聴こえてるぞと思いながらも七海をチラリと見ると、こめかみの所に心なしか怒りマークが見えていた。

 

「おーい、七海落ち着けー」

「まったく!兄ちゃんは確かに顔と趣味は微妙だけど良い人だもん!」

「おいこら、お前が一番失礼だぞ」

「やっほ~あまみー」

「あ、本音。って本音もこのクラスだったな」

「そ~だよ~。それにしてもあまみーモテモテだねぇ~」

「玉の輿狙いのモテ期は勘弁だよ…」

「確かに~」

 

あははと笑いながら久しぶりの友人たちとの会話に花を咲かせていると休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴り、二人は席に戻っていった。その後一時間目を受けたあと、海は本音から簪のクラスを聴いて会いに行っていた。

 

「すみませーん。更識簪さんいますか?」

 

四組のドアを開けて簪を呼び出すと四組の生徒の一人が簪を呼びに行ってくれた。少しして奥の席から見慣れた水色の髪を揺らしながら簪がやってきた。

 

「更識簪ですけ…ど…」

「よっ!久しぶりだな。代表候補生で忙しかったから2ヶ月ぶりかな?」

「海!?どうしてここに!?」

「どうしてって特別編入生としてここに入学…というか編入してきたんだよ」

「あ、海がホームルームで言ってた特別編入生だったんだ」

「そういうこと。ってまだその眼鏡型の携帯用ディスプレイ使ってるのかよ…。いい加減投射型買ったらどうだ?」

「あれ高いの知ってるよね?」

 

実は簪の眼鏡は眼鏡型の携帯用ディスプレイであり、投射型が高価なのでこれを仕方なく使っているのであり、実際の視力は良い方なのだ。しかし投射型ディスプレイが高価といっても海の会社からの援助でそれ相応の報酬は貰っていて、買おうと思えば買えるのだ。しかしここで海はあることに気付いた。

 

「まさかまた古い玩具買ったのか!?」

「この間珍しく売ってたからつい…」

「はぁ…。まぁコレクターとしてわからなくもないから強く言えないけどさ…」

「それで話って?」

「あーそうそう。昼飯の食べてながら色々話そうぜって伝えに来たんだよ」

「皆も一緒?」

「そうだけど、駄目だった?」

「ううん。全然大丈夫だよ?じゃあそろそろ授業が始まるからまたね」

「おう!じゃーな!」

 

タタタと海が去っていくと簪はクラスメイトに囲まれる。

 

「ね、ねぇ今のどういうこと!?」

「中々良い雰囲気だったけど!?」

「あの特別編入生と付き合ってるの!?」

 

どうやらさっきの会話についての質問のようだ。だが簪は首を横に振った。

 

「付き合ってはないよ?ただ、中学が一緒で仲が良いだけ」

「いや、でもさっきの顔はかなり良い笑顔だったよ?」

「うーん…。それはどうかな?」

 

簪は含みのある笑みを浮かべると教師が入ってきて、クラスメイトは頭に疑問を残しながら席に戻っていった。

 

 

時間は少し飛んで昼休み。二時間目は楯無の元へ行き、昼休みに屋上で集まってほしいと伝え、三時間目は虚の元へと大忙しだった。ちなみに虚に伝えて帰って来たとき七海からメール送ればよかったのでは?と言われorzの体勢になっていた。

 

「さてと。昼休みになったし行くと…」

「えっと、ちょっといいですか?」

「うん?」

 

くるりと振り替えるとそこには黒髪の少年"織斑 一夏"がいた。海は七海たちに先に行ってくれと言い一夏に目を合わせる。

 

「確かに織斑一夏君だったね」

「はい。天地さんのお兄さんですよね?」

「おう。って七海とは双子だから同じ年だぞ?」

「あ、そっか。じゃあ俺のことは一夏って呼んでくれ」

「じゃあ俺のことは海で良いぞ?七海と間違えやすいしな。それで何の用だ?」

「あーいや。同じ男同士仲良くしようぜってことを言いに来たんだよ。せっかく二人しか居ないしさ」

「まぁそれはそうだな」

 

海はチラリと時計を見てそろそろ全員集結しているかもしれないと思い席を立つ。

 

「そろそろ昼飯食べに行くからまた後でな」

「じゃあ一緒に食おうぜ?一人だと寂しいだろ?」

「あー、悪いけど七海たちと食べるんだよ」

「それなら七海さんたちも一緒に俺たちと食べようぜ。大勢で食べた方が旨いだろ?」

「えーっと…」

 

正直な話、こういった大勢で食べるという意見は海は肯定派だ。確かに会話も弾むし仲良くなるきっかけとしては良い方だ。しかし今は久しぶりの仲間たちだけで会話をしたいし、一夏のような一般人には話せない内容も話すつもりなのでどう断ろうか悩んでいると、ショートカットの女子生徒が一夏を止めた。

 

「えーっと君は?」

「私は日本代表候補生の篠ノ之(しののの) (ほうき)だ。よろしく頼む」

「あ、うん。よろしく」

「それと早く行ったらどうだ?七海たちが待っているのだろう?」

「おい、箒。仲間外れは良くないだろ」

「はぁ…。一夏、少しは察してやれ」

「悪いな篠ノ之さん」

「箒でいい。では一夏。私たちは食堂で食べるとしようか」

 

そう言って箒は一夏の手を引きながら去っていった。

 

「気を遣わせちゃったな…。ってやべ!そろそろ行かないと!」

 

 

「で、呼び出しておいて遅刻?」

「すみません…」

 

結局待ち合わせの屋上に着いたのは少し時間が経った後であり、海が着いたときには既に全員揃っていた。理由を説明するべきかと思ったが、それでは話しかけに来てくれた一夏に失礼だと判断して素直に謝罪だけにした。

 

「まぁまぁたっちゃんもそのくらいにしてお昼ご飯を食べよ~う」

「そうね。食べながらでも話は出来るし」

「あれ?兄ちゃん弁当持ってきてたんだ」

「一応初日に話をしようと思って作っておいたんだよ」

「海のお弁当炒飯でパンパン…」

「おかずすらありませんね…」

「何を言ってるんだ?炒飯には米、肉、卵、そして野菜が入った完全食だぞ?」

「野菜ってネギだけじゃん…」

 

海が持ってきた弁当には二段弁当なのに両方とも炒飯がぎっしりと詰まっていた。結局バランスが悪いとのことで皆からおかずを少しだけ分けてもらい、お礼に炒飯を分けた。

 

「それでどうして兄ちゃんがここに居るの?」

 

食べている途中で七海が海に聴くと、海は事の経緯を話した。

 

「と、言うわけでこの学園は俺。日本は悪いけど誠也に任せてるよ」

「なるほどねぇ。海くんがここに来るのは私と虚ちゃん、それに本音ちゃんも知ってたけどそんな理由だったのねぇ」

「え!?お姉ちゃん知ってたの!?じゃあどうして教えてくれなかったの!?」

 

楯無の言葉に簪は反応して肩を掴んで揺する。

 

「それ、は、サプ、ライ、ズで」

「言ってくれたら海のお昼ご飯作ったのに!」

「簪ー。その辺にしといてやれ。話してなかった俺も悪いし。それに弁当なら今度作ってくれよ」

「あ、うん!」

 

簪がニッコリと笑うと楯無と本音はニヤニヤした。

 

「おやおや~?これは私たちはお邪魔かしら?」

「あまみーとかんちゃんラブラブ~」

 

二人の言葉に海たちはため息を吐いた。

 

「楯無さん、俺はともかく自分の妹にそう言うのは良くないですよ?」

「うん。海が困ってる」

「いやいや、二人とも他の人から見たらりムグッ!」

「お嬢様、ここは静かに見守るべきですよ」

「えー!いやよ!海くんにはお義姉ちゃんって呼んでもらいたいもん!そしてあわよくば将来の二人の子供をこの腕に抱くのよ!絶対可愛いもん!」

 

楯無はいやいやと駄々をこねるが虚から拳骨を喰らい収まった。

 

「ではお嬢様が屍…もとい沈黙したのでそろそろ本題に入りましょう」

「今屍って言った!?言ったよね!?」

「その前に楯無さん。この付近に誰も居ませんよね?」

「え?ええ、この屋上付近には誰も居ないわ」

「よし。ではまず俺たちの戦力把握から」

 

海は腕時計状態のサーチボードを操作してホログラムを出現させた。

 

「まずIS学園にクロスライダーの俺、そしてクロスブレスを所持している七海と簪。あとはISを所持している楯無さんと、情報収集並びに整備の本音と虚さん。次に全国にはクロスライダーの誠也が居ます」

「これだけ見ると誠也くん一人で大丈夫なの?」

「今のところトロポスの出現率は半々で、片方はIS学園、そしてもう片方は全国と言っても関東地方が大半を占めています」

「つまりトロポス側の狙いはIS学園並びにその周辺の制圧ということでしょうか?」

「確かに攻めるところとしては利になってるわね。コアを世界で一番多く所有しているIS学園を落とせば、それだけ第三段階(ステージ3)のトロポスが生まれやすい」

「そして次は着々と世界を落としていく…」

「かなり恐ろしいねぇ~」

 

女性陣はどうするべきか悩みはじめる。

 

第三段階(ステージ3)は今のところ三人わかっているけどあとどのくらい居るのか検討もつかないね」

「…これはあくまで予想に過ぎないけど、最低でも第三段階(ステージ3)はあと一人居ると思う」

「どうして?」

第三段階(ステージ3)はシルフ、ノーム、ウンディーネの三人。このことから推測するに…」

第三段階(ステージ3)は四大精霊に基づいているって訳ね」

 

楯無の言葉に海は頷く。しかし神話などに詳しくない七海と本音は首を傾げた。

 

「四大精霊ってのは風、土、水、火の四つの四大元素の中に住んでいる精霊たちのことだ。そして名称は風はシルフ、土はノーム、水はウンディーネ、そして火はサラマンダー」

第三段階(ステージ3)と同じだ!」

「ただ、この予想が正しいと仮定すると1つおかしな点が出てくるんだよ」

「おかしな点?」

「今までのトロポスをざっくり分類すると空、大地、海の三つに分かれる。これがシルフ、ノーム、ウンディーネが造り出しているとすればサラマンダーの造り出すトロポスがわからないんだよ」

「ノームが飛行型を造っているとかはないの?」

「それはないんだよ」

「どうして?」

 

七海がそう聴くと海は懐からイーグル、ライノス、スクイッドの三つのTコアを取り出した。

 

「七海たちがIS学園に通っていたときに誠也と互いのTコアやSコアが使えるか試してみたんだよ。そして意外なことが起きた」

「意外なこと?」

「誠也が変身するクロスライダーセバスにはライノスやスネークなどの肺呼吸をする生物は使えたが、スクイッドなどのエラ呼吸のコアは使えなかった。さらにイーグルなどの飛行する生物も駄目だったよ。そして色々と試している内にどうやらクロスライダーには属性が存在し、その属性をSコア、つまり武器に纏わせることができるんだ。そしてシールドSコアなら土の壁、ウィップSコアなら岩石を纏った鞭という形で性質変化が生じた。これらから考えてクロスライダーセバスの性質は土、つまりノームに近いものだと考えられる」

「でもそれだけじゃ確信とまではいかなくない?」

「まぁ普通はそうだよな。でもこれを見てくれ」

 

そう言って海はサーチボードを切り、スマホを取り出してある画像を見せる。どうやらネットアイドルのホームページみたいだ。

 

「バトルアイドル…マジカルちゃん?」

「何これ?海くんの趣味?」

「…兄ちゃんこんなの好きなの?」

「違うよ!肝心なのはここ!」

 

海がスマホをスクロールし、とある動画をタップした。そこにはフリフリのどこか魔法少女と思わしきコスプレをした女の子がクロスドライバーを持ってカメラに向かって手を振っていた。

 

「あれってクロスドライバー!?」

 

七海が驚きを露にしていると女の子は腰にクロスドライバーを巻き付け、左腕の肩にはイルカの頭の形をしたアーマーを装着し、右腕には青いメカメカしい杖を持ち、腰にスカートを履いたまさに魔法少女と呼べる全身装甲(フルスキン)に変身した。

 

「見ての通りこのネットアイドルのマジカルちゃんと呼ばれている女は自分のホームページで自撮りを上げてたらしいけど、ここ最近はトロポスと戦う動画を上げている。他にもいくつか動画がアップされていたけど使うコアは全部海に関係のあるコアだった。それにさっきの杖から水を産み出せていたしな」

「と言うことはどこかにシルフに近い性質、つまり飛行系のコアを専門とするクロスライダーが居る可能性がありますね」

「じゃあ兄ちゃんはどうして全部使えるの?」

「そこは俺も疑問なんだよ。もしかしたらサラマンダーに近い性質かもしれないし、そうだとすればサラマンダーは全種類の動物を造れるって仮定できる。でも俺は今まで属性が出てきたことなんてないし、試してみたけど火の壁なんて出てこなかったんだよなぁ」

「「「「「「うーん…」」」」」」

「まぁ今は考えていても仕方ないわ。それにサラマンダーが既に居るとは限らないし、そろそろお昼休みも終わっちゃうしね。それじゃあ解散」

 

全員が考え込むなか楯無が手を叩きそれぞれクラスへと戻っていった。途中海は七海を呼んで歩きながら明に言われたことを話した。

 

「白騎士に気をつけろって本当に言われたの?」

「ああ、ゲームのイベントの話かなって思ったけど今回はなんか違和感があったんだよ…。だから白騎士に心当たりがないかなって思ったけど」

「白騎士かぁ。まさか白騎士がこの学園に居るのかな?それともあいつか…」

「あいつ?」

「織斑一夏よ。あいつの使っているISも白いし剣を使ってるから可能性としてはあるかもね」

「一夏か…。見たところそこまで脅威とは感じられなかったし大丈夫かな?」

「とりあえず頭の片隅にでも置いておいたら良いんじゃない?」

「そうだな」

 

とりあえず事が起きれば対処しようと思った海であった。




うわぁ…。海の部屋まで書こうと思ったのにこれだけで5000越えたよ…。
次回こそは書いてみせる!

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