転生者が斬る!   作:草バエル

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プトラ遠征 二日目

プトラのキャンプ地は意外にも食べれるものが多くていい。

……それがこんなことになるなんて。

 

 

 

 

「……大丈夫か?」

「……だ、大丈夫、じゃない、かも……」

「マジかよ……」

 

クロメがお腹を壊した。

原因は昨日のシマウマみたいな危険種が原因だろう。

中々焼けるのが遅いからってちゃんと焼けてないの食べるからそうなるとは思っていた。

いるんだよな、ぱっと見焼けてるからって中まで焼けてるか確認せずに食べるやつ。

もしかしたら別の理由があるかもしれないけど、これもいい教訓にしてもらおう。

 

援軍はもう少し時間がかかるそうだが、それはそれで特訓の時間を設けられるから問題はない。

生き残りの投薬派も今は侵攻をやめて情報収集と訓練に集中しているらしい。

 

「仕方ない、今日は丸一日休日にしてゆっくり休むとしますかねー」

 

本音を言うと今日はかなり眠い。

毎日毎日任務と訓練ばかりじゃモチベの問題もあるし一日ゆっくりしても誰も何も言うまい。

 

「休める時に休んでおくのも重要ですからね」

「……それじゃ、私は素振りしてくる」

 

そう言うとギンは一人そそくさとどこかに行ってしまった。

臣具を使いこなすための練習だろうけど、やっぱりあれが使いこなすのに一番時間がかかりそうだな。

皆も心配そうな顔しちゃって……よし、何か話題ふってやるか。

 

「そーいやよーナタラは臣具の使い心地はどうなんだ?」

「え?あ、あぁ……伸縮自由っていうのは驚いたよ。慣れていけば遠距離戦の敵とも戦えそうだ」

「私も臣具欲しかったな〜。出来れば可愛いのとか〜」

 

レムスが心底羨ましそうに見ている。

可愛いの……たしか帝具の話になるけど大きなハサミの帝具にパンダが付いてたような……名前なんだっけ?

 

「私も、トリシュラがよかった、かも」

 

クロメも倒れながら羨ましそうにトリシュラを見るが、現在クロメの周りは羊の群れでモフモフ天国と化している。

凄く気持ちよさそうだ。

 

「お前は玉梓があるだろ?玉梓がないとそのモフモフは出来なくなるぞ」

「……やっぱり玉梓が一番いい。使わなくなったら食料にしちゃえばいいし」

 

さりげなくとんでもねえこと言ったなこいつ。

……てか、人と死体以外を操れる玉梓ってかなり強いのにこれより性能が上らしい帝具八房ってどんな武器なんだよ。

ここの帝具とかって頑張りゃ宝具化も有り得る性能だよな、普通に考えて。

 

「……私は、はっちゃんの使う宝具でしたか?あれを使ってみたいです」

「宝具を?」

「はい。……初任務の時に使っていたあの槍、出来ることならもう一度見てみたいですし、使ってみたいです」

「たしかにゲイ・ボルグはカッコイイし何回も使えるなら使いたいけど……何が出るかはランダムだからなー」

 

何ページか飛ばして読んだから見落としがあるかもしれないけど、読んだページにはランダムって書かれてたし諦めるしかないか。

 

「沢山の宝具を持つことは出来ないのですか?」

「それはねえけど……あ、バカみたいに宝具持ってるのいたな」

 

英雄王とか賢王とか贋作者とか。

……あれ、俺って英雄王とかになれたとして宝物庫から宝具取り出せるのか?

乖離剣とか天の鎖とか大丈夫?

天の鎖とか使える気がしないのだが。

 

「……投影魔術も使いこなせる気がしないし……むむむ……」

「はっちゃん〜?おーい、はっちゃーん」

 

今のうちに投影魔術を学んでおいたほうが良さそうだな。

難しいのは分かるが、ウーミンが珍しく使ってみたいって嬉しいこと言ってくれたからここはやってやらんと男が廃るってもんだ!

 

「……!?は、はっちゃん!はっちゃんってばー!!」

「もう……どうした?レムスも子供じゃないんだからそんな駄々こねたみたいに大声出すな……よ……」

 

振り返った先にいたのは、いやあったのは二つのデカいモノだ。

即ちパイオツ、極上のパイオツだ。

ギンのも凄まじかったけど、目の前のパイオツは色気がある。

もうなんか……やばい。

 

「――ハッ!?だ、誰だあんた!!」

 

皆が距離をとっている中、俺だけ遅れて後に下がる。

青髪でパイオツ……じゃなかった。胸に変な紋章があり、歳は俺たちより少し上か同じくらい、なのかな。

そして、あの服装は以前帝都で見たことがあるから敵ではないのか?

 

「ほぅ、さっきまで胸を凝視していた男の目ではなくなったな」

「うるせーやい、見たところ帝国軍人だとして……」

 

そういえば、帝都には最凶の将軍がいたはずだ。

まだ若いのに帝国最強に相応しい実力を持ち、タチの悪いことにオネスト大臣側につく将軍。

 

「……まさか、エスデス将軍か?」

「よく分かったな。革命軍の人間だと偽って少しだけ遊んでやろうと思っていたが、残念だ」

 

エスデス将軍の後ろを見てみると馬がいる。

……たった一人で馬に乗ってきたのか。

 

「将軍を援軍で呼ぶとは、余程のモノがここにある……盗まれてるってことですね」

「……なるほど、貴様が例のハチか」

 

え、なんで将軍クラスの人がただの暗部の俺を知っているんだ?

てか、例のって何?俺なにかやらかした覚えはないぞ。

 

「エスデス将軍、その、例のっていうのはどういう……」

「貴様の変身能力は私を超える力を秘めていると聞いたぞ」

 

誰だそんなこと言った野郎。

今すぐ出てこいぶっ殺してやる。

 

「……そう言われるのは強さを求める身としてはとても嬉しいのですが、帝国最強を超えられるとは思っていません」

「なら、試してみるか?」

 

あまりに一瞬だった。

突然俺の視界からエスデス将軍が消えたかと思えば、次の瞬間には目の前にその顔があった。

 

「うおっ……!?」

 

あと少しというところで回避し、距離を取る。

その間に全身に強化をかけ、戦闘モードに切り替える。

エスデス将軍は変身することを望んでいるが、明日まで令呪が一画消費されるから出来れば無駄使いはしたくない。

 

「……なんだ、使わないのか?」

「訓練で令呪は使わないって決めてるんです。それに、ランダムですから常に最強が出るとは限りませんし」

「なんだつまらん。お前と一戦交えれると期待したのだが……」

 

エスデス将軍の放つオーラが変わる。

……これは、殺気だ!!

 

「殺す気なら貴様も本気を出すか?」

「……あぁもう!外れが出た時はその話は無しですからね!!」

 

本当は無闇に力を使うべきじゃないのだが、あっちが殺す気で来ると俺も全力じゃなきゃ大怪我をする。

頼むから強いのこい!!

 

「令呪を以て我が肉体に命ずる!!」

 

強いの強いの強いの強いの……!!!

キャスター以外でそう、願うなら……

 

――円卓の騎士!!

 

 

 

 

「……それが変身とやらか。たしかに、これほど恐ろしいと感じたのは初めてだ」

 

見てみると武器はないが服装と後ろの装飾品で分かる。

うん、間違っている。

これ円卓の騎士やない。けど、本気の出し方も分からなければ俺にどうしろと?と思わせる規格外サーヴァント。

 

……どうみても、覚者です分かります。

 

「エスデス将軍、ハズレです。ですから今回は一旦戦闘をやめて」

「そう言うな、一撃入れてみれば分かる」

 

どんだけ戦闘意欲高いんだこの人は!?

し、仕方ない!とにかく強くなく無理もなくこう、ソフトな感じの一撃を!!

 

「来ないというなら、こちらからいかせてもらうぞ!!」

 

先程より速くこちらに近寄ってくるが、容赦なく顔面を蹴り上げて吹っ飛ばしてしまう。

……スキルの一つにあったとはいえ、何故か頭の中に流れ込んできた。

なんだこれ、これがパ、パ……古代インド武術なのか。

てか、無意識だったとはいえ将軍の顔面キックはまずい気が……。

 

「……面白い!ここまで戦闘が面白いと感じたのは久しぶりだ!!」

 

と思ったが元気そうに空中からこちら目掛けて落ちてくる。

落下の勢いに乗って氷の弾丸と共に蹴りを入れてくるが、飛んできた氷の弾丸を壊しつつ蹴りを受け流した。

 

エスデス将軍の攻撃を一撃も喰らうことなく攻撃を的確に当てていく。

こんなに凄いのなら宝具である転輪聖王はどれほどのものか……。

 

「――はっ!!」

 

ゲームではかなり使われていたビームを惜しみなく放出する。

エスデス将軍はそれを危険だと察したのかこれを回避。

当たった場所は……吹き飛んだ。

それはもう文字通り綺麗に自然が消し飛んだ。

……やっべー、こんな暴れたら墓守とかにバレるよ絶対。

 

「……」

 

あとさっきからエスデス将軍の表情がヤバい。

愉悦の笑みから捕食者の表情になっているのが怖すぎてもう帰りたい。

 

 

 

「……なんの騒ぎだと思えば、エスデス将軍か」

 

こんな状況で出てくるなんて度胸あるなと思いつつ人の声のする方を見る。

 

「状況は把握したが、奇襲前に人を使い物にならなくするような行為はやめて頂きたい」

 

責任者とギンがいた。

ギンは俺に何か言いたげな表情をしているが、それどころじゃない。

本当にこれはまずい。転輪聖王使ったのは俺だけどこのままじゃ殺し合いになれかねん。

 

 

 

「……いや、すまなかった。明日には任務を開始するのだな?」

「先程連絡がありまして、明日には到着するとのことです」

 

エスデス将軍はくるっと振り返ると冷気を放つ。

誰も近付いてくるなといわんばかりの冷たいものだ。

 

 

 

「……私を超えるなんてレベルではなかった」

 

 

なにか、聞こえたような気がしたがこれ以上追うのはよくない気がしてやめた。

 

 

……同時に、二度とセイヴァーは出てほしくないと思った。

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