さて、清涼祭も終わり新学期になって二か月が経過した時期。
気温も程よくなりとても筋トレにいい気温になってきたこの頃。
筋トレを早めに切り上げ、朝早くに登校してきていた。
強化合宿を控えている今、無意識のうちに気が早くなっていたのかもしれない。
玄関に着いてみると、秀吉と明久が話していた。
「おはよう!明久、秀吉。今日は早いようだがどうした?」
「おはよう雷夜。いやー僕は明日からの強化合宿が楽しみでつい早く来ちゃったんだよ」
「おはようなのじゃ。ワシも似たような理由じゃよ」
「いや、実は俺もでさ。四泊五日なんて修学旅行みたいでさ。楽しみだよ!」
「学力強化とはいえ、みんなで泊りがけじゃからのう。楽しみになるのは仕方ないじゃろうな。無論わしとてとても胸が躍っておるしの」
「やだなあ秀吉。躍るほどの胸なんてないくせに」
「あったらあったで困るのじゃが……」
と、そんな感じで二人と他愛のない会話をしながら、カバンの中身をロッカーに移す。
するとその時、明久のほうから、カサ、という音がした。ロッカーの中に何か入っているのか、
覗き込んでみている。すると、あたりを見回した後に、手紙らしきものをカバンにしまっていた。
秀吉も見ていたのか、明久に話しかけていた。
「どうしたのじゃ?明久よ」
「What`s up,Hideyosi? Everything goes so well……」
ああ、これはまさに、
「「異常事態だな(じゃな)」」
「流石は秀吉と雷夜……。僕の完璧な演技を見破るなんて……」
「いや、演技以前に言語の問題なのじゃが」
「演技なんてしてたのか?」
「とにかく大したことじゃないから、見なかったことにしてくれない?」
「そういうことなら構わないが……」
というと、明久は礼を言ってから屋上のほうへと走って行った。
SIDE 明久
「ありがとう!助かるよ!」
僕はダッシュで屋上へと向かった。
もしかすると僕にも春が……なんていう逸る気持ちを抑え、早足で階段を上る。
幸い屋上には誰もいなく、空にはどこまでも澄み渡る青空が広がっていた。
そして僕は差出人不明のその手紙を開封した。
今日は最高の日だ。こんなにも僕を幸せにしてくれるものに溢れているのだから。
僕にそそぐ気持ちのいい日差し。
広く、大きく、澄み渡る青空。
涼しく吹き込む爽やかな微風。
そして、
「あなたの秘密を握っています」
僕を脅かす脅迫文。
「最悪じゃあーーーーー!!」
僕にとっての春は訪れるのだろうか?
SIDE OUT
◇ ◇ ◇
何分かすると明久がさっきよりも元気のない状態で帰ってきた。
さっきの絶叫と関係あるのだろうか?
「明久。どうかしたのか?」
「べ、別に何でもないよ。あははっ」
「嘘ばっかり。さっき窓から妙な叫び声が聞こえてきたし、何か隠してるでしょ?」
ちなみにこのセリフは島田だ。
「やだなあ美波。本当に何も隠してなんか」
「まさか、ラブレター何てことは」
「落ちつけ島田、ラブレターという単語に反応したみんなが明久を亡き者にしようとしている」
「そうよね、アキがそんなものもらうわけないわよね」
「ふふん!そのまさかさ!今朝僕の靴箱にラブr」
ドスッ!!(カッターが畳に刺さる音)
「次は耳よ」
「心の底からごめんなさい」
「それじゃ何を隠してたの?」
「実は、今朝脅迫文が届いていたんだ」
「あ、なんだ。よかったぁ……」
このクラスはなぜ、脅迫文よりもラブレターのほうが優先度が高いのか、
疑問に思わなくもない。
「して、その脅迫状にはなんと書いてあったのじゃ?」
「これには、『あなたのそばにいる異性にこれ以上近づかないこと』って書いてあるんだ」
「てことは、大方嫉妬に狂った男子からか、明久の近くにいる女性に好意を寄せている奴だな」
「うん、そうなるね」
「ところで何をネタに脅迫されておるのじゃ?」
「それが、僕にとってとても恥ずかしいものが、ばら撒かれるんだ」
「それはなんなのじゃ?」
「それは絶対に言えない!」
「それならそれでいいが、そういうことならムッツリーニに事情を説明してな…」
「ムッツリーニに笑われる?」
「違うじゃろ!?事情を説明して、犯人を見つけてもらうのじゃ!」
「おお、なるほど!それじゃ、さっそく行ってくるよ」
そしてムッツリーニのところへ行ってみると、雄二も何か話しているようだ。
そこからの会話の内容を要約すると、
・雄二も霧島さんが持っていた音源(明久が捏造したものが盗聴されたもの)によって脅迫まがいなことをされているということ。
・明久も雄二もムッツリーニに犯人捜しを依頼したということ。
こんな感じである。二人が事情を説明し終わると鉄人が教室に入ってきた。
「遅くなってすまないな。強化合宿のしおりのせいで手間取ってしまった」
HRが始まるらしい。
「……とにかく調べておく」
「すまん、報酬に今度お前の気に入りそうな本を持ってくる」
「僕も秘蔵コレクションその2をもってくるよ」
「……必ず調べ上げておく」
そう言うムッツリーニの瞳はさっきよりも輝いていた気がする。
「さて、明日から始まる強化合宿についてだが、大体のことはそのしおりに乗っているので確認しておくように。まあ旅行に行くわけではないので、最低限、勉強道具と着替えさえあれば問題ないはずだが、集合の時間と場所だけはくれぐれも間違えないように」
と、言っていたので調べてみると。
「いいか、他のクラスと違って我々Fクラスは、現地集合だからな」
『『案内すらないのかよっ!!??』』
全級友が涙した。
よし決めた。雷夜は別行動でどうだ!
いや、やっぱりどうしようかな?