フェイト~キアラがママっ?!   作:罪袋伝吉

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ボスだった時のキアラの宝具はスカーバティ。サーヴァントのキアラの宝具はアミダアミデュラ。

どう違うのかな、とか考えたらこうなった。

あと、セラフのキアラはどうも無理矢理ゼパなんとかさんに変質させられて、それに恐怖しているような記述が出てきたので、私の頭の中のキアラさんはこんな感じになってます。

公式設定無視。


マスター語り。十月八日目。

 さて。

 

 順調にすくすくと俺は育ち、キアラも明後日には出産予定日を迎える。このキアラのお腹の中も今では狭く感じるように思えており、ああ、いよいよか、とか思ったりもしている。

 

……自分で言っていてなんだが、実におかしい事を言っている気がするがそれは仕方ない。この異常な状況こそが変なのであり、それを説明しようとするとやはりおかしくなってしまうのだ。

 

 とはいえこの変な状況も長く続くと慣れるものであり、意外とキアラのお腹の中というのは悪くなかったりする。それはキアラのかけている鎮静化の術式のせいでそう思うというのもあるが、安らぐのは確かなのである。

 

 それにキアラも非常に俺に気を使っているのか、かなり慎重に動いたり自身の精神状態を安定させたりしてくれているようでお腹の中にいてもわりと快適だったりする。

 

 うーむ、ジャック・ザ・リッパーの気持ちがわかってしまいそうなぐらいだ。いや、刃物持って解体したいと言うわけではなく、居心地がいいという意味で。

 

 だが、如何に快適で安らげてもいつまでもここにはいられないのは当たり前で、外に出たいか出たくないかと問われれば出たいと思うのである。たとえ赤ん坊の姿であっても娑婆(シャバ)の空気を吸いたいのである。シャバダバシャバダバ。

 

 しかし、キアラの腹の中に居るというのは、つまりいつもキアラと一緒なわけで、今まで知らなかったキアラの性格や意外な側面が見えてきたりするものである。それなりにキアラとの付き合いも長いが、いやはや、知らなかった事も多いのだなぁ、と思い知らされた。

 

 例えばキアラは意外にマメな性格をしている。

 

 整理整頓を怠らない。マタニティエクササイズも無理せずしかしキチンとこなし、ナイチンゲールの指示に従い、モリアーティ教授やホームズとの法務的な話や遺産相続の手続きなどもしっかりとする。

 

 頼もしい限りである。

 

……まぁ、書類上、名字が変わって俺の姓になってるのは突っ込まない方がいいのだろうか。

 そう、そこにモリアーティ教授の悪意を感じてしまうのは俺の気のせいだろうか。

 いや、ホームズが居て何も言わないので、これから先を考えればその方がなにかとすんなり行くのかも知れない。

 だがホームズの笑みにもかなりなんかこう……。やっぱり悪意あるよな、あの二人。

 

 正義の味方と悪のボスが手を組むとろくでもない結果になるのはあの新宿で学んだが、女装させられたり、ダ・ヴィンチちゃんフライヤーで飛ばされたり以上だぞ、おい。

 

……まぁ、それはさておき。

 

 話をしていても退屈はしない。というかキアラは話上手なのだ。しばしば下ネタがぽんぽん飛び出してくるけど。

 

 エロ魔神な側面は胎教に悪いと思うので出来ればもう少し自重して欲しいところなのだが、よくよく考えてみると、俺、中身は老人だった。元々赤ん坊じゃなかった。

 

 しかし、中身がジジィな赤ん坊というのはよく考えればかなり気味の悪いものではないか?とか思ってしまう。エマニエル坊やも青ざめるようなシロモンだ。

 

 見た目は赤ん坊!頭脳はジジィ!名マスタージジィ!

 

 シャレにならん。

 

 それにエマニエルと言えば、母胎はエマニエル夫人以上にエロにかけては命張ってるような殺生院キアラなのである。いや、エロの為なら世界を滅ぼしかけた女なのだ。

 今はそういう事は考えて居ないようだが、本来は取り扱い厳重注意なサーヴァントなのである。

 

 SE.RA.PH.の一件は思い出すだけで未だにゾーッとするほどだ。それにギルガメッシュの話では別の世界軸でもキアラという存在は世界を滅ぼし掛けたと言う。

 

 究極エロテロリスト、地球で恥丘を擦っちゃうぞおねぇさん(間違っても黒髭のようにBBAなどと呼んではならない)なのである。なんでも子宮にしまっちゃうおねぇさんなのである(なお、黒髭さんは物理でボコられた。さすがのキアラでもアレをしまうのは嫌だった模様)。

 

 そういう存在の中に俺はしまわれちゃったわけだが、そのように思うとやはりちょびっとだけは怖い。だが、どのみちここまでその腹の中で成長したのだ。四の五のは言う気は無い。出産予定日も近いのだし。

 

『……本当、キアラは怖いよなぁ』

 

「あら?うふふふふふ、今さらにお気付きになったのですか?私は恐ろしい女なのですよ?魔性菩薩で御座いますもの」

 

『……いや、あの事件を思い出してね。というかラスボス率高いよなぁ、このカルデアは』

 

 そう、様々な特異点でラスボスだったサーヴァント達は大抵事件終了後の召喚でやたらと来たりしていた。

 

 ジルドレさんやらニコラ・テスラ、他にもモリアーティ教授もそうだっけ。

 

 キアラもその一人なのだが、あの時はめちゃくちゃビビった。

 

 そりゃそうだろう。あれほどギリギリな戦いを繰り広げて、最後なんてもうダメだと思ったぐらいなのだ。

 

 BBちゃんやメルトリリス、パッションリップ達、あとエミヤオルタのおかげでなんとかなったようなものだ。実際、他の小特異点の事件よりもSE.RA.PH.の一件はエゲツなかったと思う。

 

 そんな事件が終わって、BBがカルデアに居座ってちょっとしてからの事だ。

 

 召喚符が何故か自分の懐に入っていたので使ってみるかと呼んでみたら、いきなりキアラはやってきたのである。

 

 カルデア内は総パニック状態になった。

 

 マシュもダ・ヴィンチちゃんもマジでビビったし、アンデルセンなんてダッシュで逃げ出そうとし、事件後にすぐに来たBBなんかはフリーズして固まってしまっていた。

 

 あの時は本当にカルデアの終わりがやってきたのかと思ってビビった。職員の中には本当にチビった人も出たぐらいだ。

 

「くすくすくす、あの時は本当、私、少し笑ってしまいましたわ。皆様本当に非常事態モードに入られましたもの。たかがサーヴァントが出たぐらいで」

 

 いや、あんた普通のサーヴァントちゃうからな?あの地球に隕石ぶち込もうとしたモリアーティ教授でもあんなに警戒されなかったからな?

 

『あんたからしたら笑えたかも知れないけど、俺らマジで絶望しかけたから。ホラー映画のラストで殺人鬼からようやく逃げてたどり着いた安全な場所で『ああ、助かった』と思った主人公の後ろに殺人鬼が立っていたってぐらいシャレにならんかったからな?』

 

「まあっ、こんなか弱いママに向かってホラー映画の殺人鬼なんて……ああ、我が子にそんな事を言われて、ママショック……』

 

 よよよよよ、とわざとらしくキアラは嘆くふりをした。つかあんたは頼光さんかよ。

 

『誰がママやねん。いや、つか自分で恐ろしい女とかいってたやん』

 

「あら、ではあなたはその恐ろしい女の子供?怖いわ~あら、怖いわー、まるで昔の小説の『悪魔の赤ちゃん』みたい!」

 

 悪魔の赤ちゃんと言うのは古いホラー小説であり、悪魔の子供を身ごもった女性が出てくる話である。海外の小説であり、原題はまた違った名前だったと思う。確か映画にもなってたっけ。

 

『……いや、恐ろしい女本人が言わないで欲しいと思うよ。つか俺普通の一般人だったし?』

 

 そう、カルデアにスカウトされる前は平々凡々なフリーターだったしな。

 

 キアラはくすくすくすと笑っている。

 

 そう、彼女は普通にしていると非常に話しやすく話し好きな人格をしている。

 

 かつてのSE.RA.PH.の時の彼女は全く人の話を聞かず、話をするのも人を煙に巻いたりする為のような感じで間違ってもこんなに人好きのするような感じではなかった。

 

 いや、見舞いに来た他のサーヴァント達に対しても気さくに友好的に話していたのを見るにこれが彼女の素なのかもしれない。

 

 BB曰わく、彼女は他の世界軸の殺生院キアラからすれば特殊なケースであり、元々はビーストにならなかったというのか、本来魔神柱の介入さえ無ければ、なるはず無かったケースだったらしい。

 そのキアラに無理矢理、ゼパ……なんとかという魔神柱が他の世界の殺生院キアラの記録情報を彼女に埋め込んだり善性を封印したが為に彼女はビーストIIIとして覚醒し、本来の彼女は大きく変質してしまったとの事だ。

 

 ビーストIIIにされる前の彼女は真面目で、いたって職務に忠実な教団から派遣されたセラピストだったという。当時の資料はBBから見せてもらって覚えているが、その写真の映像は、尼装束を着てはいるが普通の人という印象だった。 

 

「……まぁ、縁というものは本当に奇な事。あの時のあなたと出会い、結果としてこうしてサーヴァントになり、封印された記憶や良心というものを幾らか取り戻し。当時の願望の一端を思い出して。本当、こうしてマスターを孕む事になるとは思いませんでしたわ」

 

『……魔神柱にビーストにされる前の自分を取り戻したって事?』

 

「はい。幾多の世界の私の記憶を持ち合わせているが故にあのSE.RA.PH.にいた私の記憶もまた持ち合わせる事になったと言うのでしょうか。サーヴァントになったから変貌する前の自分の精神や、魔神柱に破棄され封印された善性を取り戻せたとも言えますわね」

 

『ということは、カルデアに来たキアラは善人になった……わけでは無いよなぁ』

 

「魔性菩薩、ですから」

 

 涼しい顔をしてそう言う。

 

 とはいえ、もしも彼女が魔神柱に遭遇していなかったら、と考える。メルトリリスが言っていたが、彼女はその気になれば救世主にもなれた存在なのだそうだ。

 

 そういえば、彼女の宝具は快楽天・胎蔵曼荼羅だが、敵だったときの読みはスカーバティ・ヘヴンズホールだったが、今の読みはアミダアミデュラ・ヘヴンズホールになっている。

 

 サンスクリット語でスカーバティはたしか極楽を指す言葉だが、アミダアミデュラのアミダは数多、無量、量り知れない、無限、という意味、アミデュラは、施し、恵み、を指す。つまり無限の施しという意味である。

 

 つまり、無限の慈愛という意味にとらえると、今の彼女の本性はそういうものになってるんでは無いかとか思ってしまう。

 

 そう考えると、どこかの世界軸には正しい救世主としての殺生院キアラもいるんじゃないかと思ったりもする。

 

『……想像出来ないけど』

 

「私にも無理ですわね。どこかには居るかも知れませんが私が知る限り、大抵は快楽天・魔性菩薩な私か普通の人でしたもの。魔性菩薩になれば世界に災いをなして滅ぼされ、普通の人ならば不幸な目にあって早死に。どちらにせよ難儀な存在なのですね、私は」

 

『……カルデアのキアラさんは、どう?』

 

「……そうですね、なかなかに幸せであるかと。いえ、今、とても幸せで御座いますわね。うふふふっ、そう、幸せで満ち足りておりますわ」

 

 キアラはお腹をさすってそう言った。

 

 このカルデアのキアラは、キアラの中でも特殊なキアラなのだろうと俺は思い。

 

『幸せならいいさ』

 

 そういってキアラの腹の中で笑った。 





 出産?そうですね、やっぱり書いてるとめちゃめちゃ18禁に抵触しそうで書き直し書き直し書き直し……。

 たしけてアンデルセン。

 出産ショーみたいになっちゃうよぉ!!
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