フェイト~キアラがママっ?!   作:罪袋伝吉

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ティアマトさん、マジ強い。

あと、オカン力(ちから)最強。

あと、腕を解いたらおぱーい見えるから何か着て欲しい。


母の愛より強いものは無いらしい。

 カルデア内の召喚ルームの異変に、まず駆けつけたのはギルガメッシュであった。

 

 なにやらかつての古代メソポタミアで感じたのと同様の強大な魔力を感じ、今起こっている異変が並大抵の異変では無いと思って駆けつけたのだ。

 

 そして、カルデアの召喚の根幹を成す召喚システムを内包した召喚ルームの堅牢な壁に内側から何か爆発したと思われる幾多の亀裂が走っているのを見た。

 

「くっ、此はなんぞっ?!」

 

 またもや、カルデアに仇なさんとする不埒者がテロでも行ったか?!とギルガメッシュは思い、半壊した亀裂から部屋の内部を覗いた。

 

 そこで彼は聞いた。

 

 そう、ソロモン王に説教をかましているティアマトの声を。

 

 ギルガメッシュはビックウッ?!とした。

 

「なんだと?!この我が畏れているというのか……?!強大な魔力もさることながら、誰かを糾弾、否、この声は……?!」

 

 あたかも金縛りにあったかのように、ギルガメッシュの身体が硬直し動かなくなった。

 

「良いですか!王たるもの……云々……下僕(しもべ)の不始末は王の不始末……うんたらかんたら……そもそもあなたは……どうたらこうたら……ですから……なんたらかんたら……」

 

 その説教は、ウルクの王ギルガメッシュの心にもグサグサと突き刺さる。

 

「ぐぉっ、ぐふっ、ぐぁぁぁぁっ……、なんという説教……あたかも母上に叱られているかのような……!?」

 

 そう、ティアマトの声には様々なスキルやバフがある。むやみやたらに様々な効果が付くのである。しかも敵味方関係無しで無差別に効くのだ。さらにレジストもしにくく、いかなる生命体そしてサーヴァントにも効く。

 

 しかも叱られているのはソロモン『王』なのである。

 

 『王』に対して行われている説教であるため、同じ『王』属性であるギルガメッシュにもピンポイントでこれでもかっ!!というぐらいに効果を発揮していた。

 

 原初の母神、全生命体のおっかさんの説教は例え傲岸不遜なる王であってもレジスト不可能。人はやがて母親から離れて一人立ちするとか云々言っていたギルガメッシュであっても、それはグサグサと心と精神に突き刺さり、耐えきれずその場に崩れ落ちた。それはあたかも土下座をしているかの体勢になっていた。

 

「ぐはぁっ!」

 

 そう、闘う事もなにも出来ずに説教の余波だけで、金色の王ギルガメッシュ、ゴールドキングドゲザー。

 

「……あんた何やってんのよ?」

 

 やはり、古代メソポタミア由来の魔力を感じ取ったイシュタルがジャパニーズドゲザースタイルで突っ伏しているギルガメッシュに言った。

 

「ぐぅぅ、ぅ、イシュタルか。この扉の向うの存在は危険だ……。王殺しどころでないこの強制力、否、この『矯正力』は『オカン力(ちから)』!!まさしくこれはオカン・オブ・ザ・オカン力(ちから)っ!!……げふぅ……っ……」

 

 汝、金色の鎧をまとい半壊された部屋の前にてドゲザーすべし。

 

 そんな王のぶっ倒れ方にイシュタルは、きょとん、とした。

 

 確かに何か懐かしい魔力を感じるものの、王ではないイシュタルである。ギルガメッシュのような矯正力とやらは全く感じていない。

 

 さらにイシュタルが来た辺りでタイミングよく説教が終わったので、変な『矯正力』は途絶え、しかも激高していたためにダダ漏れだった魔力は急速に収束したため、やんわりと漂う優しげな魔力のみがドアの向こうから漂って来た。

 

「あら?この魔力は……げげっ、まさか母さん?」

 

 壁の亀裂から、ティアマトの姿が見え、イシュタルの目がまん丸に見開かれた。

 

「やばっ?!逃げ……」

 

 もちろん、イシュタルは逃げようとしたが、そこへやはり間の悪いもう一人のメソポタミア産冥界の女神が駆けつけて来て、イシュタルに声をかけた。

 

「イシュタル!これは一体何が?!……って……?!」

 

 エレシュキガルはイシュタルの名前を言ってしまい、ティアマトに気づかれてしまった!

 

「このおバカーっ!!見つかったじゃないの!!」

 

 壁の向こうのティアマトと目と目が合って姉妹二人でビックウッ。

 

 蛇に睨まれた蛙の如し。二人ともあのバビロニアでの最終決戦でのティアマトのその恐ろしさと強大さを嫌と言うほどに思い知っている。もはやトラウマレベルでその恐怖と絶望を刻まれている。

 

 ティアマトは、すーっ、と足を使わず滑るようにドアへと向かって、普通に廊下から出て来た。

 

 その姿はファム・ファタール、つまり頭脳体の時の姿に酷似した姿で、身長約160~165センチ程のサイズである。

 

 だがそれでも、その存在は紛れもなくあのティアマト。霊基もそれそのものなのだ。

 

「「ひぃぃっ?!」」

 

 女神二人は思わず普段仲が悪いのに抱き合ってその身を竦める。

 

 しかし、ティアマトはにっこり笑って某蛇のコードネームを持つ伝説の傭兵よりも早く軽やかにCQC顔負けの滑るような動作でその二人をそっと抱きしめた。

 

 そう、これは伝説のオカンCQC!!

 

 二人の姉妹神は無論逃げられなかった。

 

「怖がることは無いのよー?大丈夫、大丈夫よー?おかーさんよー?あの時は怖がらせてごめんねー?」

 

「え?」「へ?」

 

 まさか抱きしめられるなどと思わなかったイシュタルとエレシュキガルは目を点にした。そりゃあそうだろう。二人は彼女を封印した神々の子孫であり、そしてあのバビロニアでは彼女の討伐に力を貸しただけでなく、やはり直接それに関わっている。

 

 恨まれていてもおかしくないのに、まさか抱きしめられるとは。

 

「ティアマト母さん?」

 

「ティアマトお母様?」

 

「そうよー?おかーさんよー?よしよし、よしよし」

 

 両手で二人を抱えつつ優しげな声でなでなで。

 

「ふにゃ……」「ふひゃ……」

 

 ぱたり。

 

 二人の女神はティアマトのそのなでなでによって倒れた。それはそれは安らかに。

 

 恐るべしオカンCQC!スキルでもなんでもない『おかーさんのなでなで』のみで二人の女神を撃破してしまった!!

 

 そう、それはあたかも某動物王国のムツゴ□ウ氏のスキル『よーしよしよし』に匹敵する、いや、それすらも超えるだろう効果を持っているのだ。

 

 そう、オカン・オブ・ザ・オカンの愛のこもったナデナデはもう非殺傷兵器レベル。撫でられただけで皆、気持ちよすぎて夢見心地に安堵し、寝てしまうのだ!!

 

 始祖の母神最強。何しろ母の愛こそが最大の強さなのだから(なんか違うような気もするが)。

 

「あらー、寝ちゃった」

 

 ぽてちん、と寝てしまった女神姉妹にティアマトも、「やりすぎちゃった失敗失敗」とペロリと舌を出しつつテヘリ。だが愛しすぎての意図せぬ犯行なのである。致し方なし。

 

「おふぅっ、貴様、ティアマトなのか……一体何をしにカルデアへと来たのだ?ゲフッ……」

 

 臥したギルガメッシュが、なんとかオカンの説教の効果に抵抗しつつ、ティアマトを睨む。非常に苦しそうだが、余波でこれである。ならば直接食らったソロモンはおそらくひとたまりもあるまい。

 

「あら?あの時の金色のやんちゃ坊や?えーと、どうしたのかしら、なんでそんなところでうずくまってるのかしらぁ?ぽんぽんぺいん?」

 

 動けないギルガメッシュに歩み寄りティアマトはよいしょっとドゲザーなギルガメッシュを表返し、その腹を撫でてよーしよしよーしよし。

 

「ほーら、痛いの痛いのトンデケー」

 

「や、やめろっ、おい?!……あふん……」

 

 ぱたっ。

 

 ギルガメッシュ、ハイパーオカン力(ちから)により、安堵の敗北。とどめをさされてしまったようだ。

 

「あ、寝ちゃった。まぁ、疲れてそうだったから良いわよねぇ。うん」

 

「良くない気がするよ?ティアマト」

 

 いつの間にか来ていたエルキドゥが、なんか(ーー;)という感じの表情でそれを見ていた。

 

「あら、エルキドゥ……だったかしら?まぁ……息子達の創造物だけど、そうね、あのとき以来だから久し振りになるのかしら。ちょっと違うような気もするけれども。はぁ、ちょうど良かった。なんか撫でたらこの子達寝ちゃったのよ。しょうがない子達よねぇ?」

 

「……はぁ、あなたに理性があって良かったけど、もう少し力を制御しなよ。危害を加えるつもりが無かったのはわかってるけど、あなたの雰囲気だけで並みのスキル以上に効いてしまうんだからね」

 

「うっ……やっぱり力漏れすぎ?単に愛でてあげようと思っただけなのだけれど……」

 

「だだ漏れ。サーヴァント化してるけどそれでもまだ強すぎるんだよ。後でギルガメッシュの宝物庫から力を制御するようなものを借りて渡すから、不用意な事はそれまで控えとくんだね」

 

 エルキドゥはそう言ってギルガメッシュを肩に担いだ。

 

「まぁ、とりあえずギルは部屋に寝かせればいいか。男寝りに寝てるだけだし」

 

 ぐわーっ、ぐわーっ、ギルガメッシュは豪快にも鼾をかいて寝ている。普段寝ている時もスタイリッシュな黄金王がここまでリラックスして寝ているのはその友であるエルキドゥもはっきり言って見たことがない。(※男寝りに寝る:男らしく豪快に寝ている様)

 

 ふむ、とエルキドゥはイシュタルとエレシュキガルを一瞥したが迷うことなく無視した。

 

 彼とイシュタルは犬猿の仲であり、はっきり言って運んでやる謂われなどないとばかりに、エルキドゥはすたすたとその場を離れてギルガメッシュを運んで行った。

 

 とはいえイシュタルに攻撃をかまさないだけでも少し丸くなっているのだと好意的に解釈する事もできるだろうが、もしくは始祖母神であるティアマトを怒らせるような事を避けただけなのかも知れない。何しろイシュタルはティアマトの直系の女神であり、娘のようなものなのだ。実際には曾孫、いやもっと世代が離れているかもしれないがティアマトに向かってババァなどとも言えない。怖いしね?

 

「なんか被害甚大だよね。いや、危害とか加えるつもりじゃないというのはわかってるんだけど」

 

 ダ・ヴィンチ(大)がドアから出てきてそういう。その肩には説教を喰らって気絶したソロモンが担がれている。

 

『……つか、どうすんだよこの召還ルーム。あと、イシュタルとかエレシュキガルとか』

 

「異変に駆けつけてくれたんだろうねぇ。しかし、なでなでされただけで轟沈とは。原初の母恐るべし、だねぇ」

 

『はぁ……。というか、産まれたてなのに胃潰瘍にでもなったらどうしてくれるんだよ……』

 

 マスターはキアラに抱っこされながら、「バブゥ……」とため息を吐いた。

 

 

 

 

 




オカンCQC。それは最強の近接甘やかし術。

一撫ででもう、すんげーリラックスしちゃうぞ?怪我も病気も疲れもとんでけー。

まぁ、ティアマトさんが本気でオカン力発揮したらカルデアの機能の大半が落ちちゃうけどね?
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