フェイト~キアラがママっ?!   作:罪袋伝吉

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 イスカンダルとロード・エルメロイ二世が会社のトップを引退したよ?

例のチョコなイベントの『好き!!(挨拶)』のパロディがしたかっただけなのに、なんか良い話しになった。謎だ。

※誤字脱字訂正いつもありがとうございますm(__)m




エミヤの労い~征服王とウェイバー君

 ヴァレンタインデーである。

 

 マスターが老齢になってあまりその手の物を食べなくなったため、チョコが舞うようにあちこちから飛び出すというようなこともあまりなくなっていたカルデアである。また今年はマスターの赤ちゃん化(肉体が)によってやはり、新生児にチョコなど厳禁なのでサーヴァントの皆さんは普通にサーヴァント間で友チョコ交換などを行ったりするに留めていた。

 

 そんな時期である。

 

 今回の登場人物はと言えばチョコにこだわらなさそうなこのオヤジである。

 

「寿司!!(挨拶)」

 

 イスカンダルが、どアップでキラキラした目をしてエミヤに言った。

 

 なんというか、いつぞやのヴァレンタインの冒頭のパロディ感たっぷりなのは否めない。

 髭マッチョオヤジが目を輝かせてそんなことを言っている様は非常にアレであるが、それも仕方あるまい。

 なにしろ、この征服王はカルデアの統括理事として長期間日本本社に滞在していたのだが、その間にすっかり日本贔屓になってしまい、好物といえば日本食、その中でも寿司が特に大好物!という感じになっていたのである。

 

「れ、連絡してすぐ来るとは。早いな、征服王」

 

「ふはははは、寿司と聞いてはな!」

 

 今回、エミヤはカルデア財閥の統括理事を引退したイスカンダルとロード・エルメロイ二世をねぎらうために特別に食堂へと二人を呼んだのである。

 

 イスカンダルとロード・エルメロイ二世が引退するというのは最初から決まっていた事である。

 

 マスターが亡くなれば彼らは英霊の座に帰らねばならなくなる。そのために彼らは自分達が居なくとも次世代のカルデア財閥を担える人材を育て上げていた。

 

 確かにマスターは事実として死なずに赤ん坊として復活はしたものの、とはいえ今後何十年も老いない彼らが企業のトップにいたのでは怪しまれるというものである。故に彼らはマスターの偽装葬儀が終わり、数ヶ月経ってから引き継ぎを済ませて引退を表明して南極のカルデアに戻って来たのである。

 

 なお、新たな統括理事として引き継ぎした相手はヴラド三世(ランサー)である。彼は意外なことに(失礼だが)かなりの統率力と人心掌握力を持ち、柔剛を併せ持つ。

 

 平均的な部分で常識があり、またバーサーカーの彼にも共通する部分として社交力も高い。

 

 なお、補佐としては柳生但馬守、ミドラーシュのキャスターさんである。但馬守氏は徳川に仕えた経験があり、またミドラーシュのキャスターは商売的な才能が豊かである。その辺を考えての人事である。

 

 まぁ、他の王を推すには誰もがアクが強すぎたという問題もあった。

 

 黄金王、太陽王ならば尊大過ぎるし、第一そのような役職、思いっきり断られた。

 騎士王は南極から離れたがらなかったし、それに真面目過ぎて非常にストレスを溜めそうである。

 天下人であったノッブ……信長はめんどくさいと断り、ミドラーシュのキャスターは女王だが彼女は飽くまでも補佐ならば、と言って理事は辞退。

 ソロモンは南極のカルデアになくてはならない人材として除外、その父親のダビデ王は正直女性関連でスキャンダルを起こすだろうと除外。

 王でも発明王はトラブルを引き起こすだろう為に除外。つか借金とか多くなりそうだし。

 

 まぁ、そういうワケでそのようになったが、もうすでにヴラド三世(ランサー)達は本社である東京のカルデア本社で新たな体制を敷いて業務を始めている。

 

 順調に行っているならば、あと数日のうちに彼らはイスカンダルと補佐のロード・エルメロイ二世がわざと残していた他社との内通者達や不正に手を染めた連中を見せしめにクビを切り(物理的にではなく、会社を辞めさせる方)、その権限を強める、という手筈である。

 

 そう、会社や企業においてトップが代わるときには何かしらビシッとやらねばならぬもので、舐められては終わりなのである。信賞必罰、内通者や不届きものの処分は非常に分かりやすく内外にその威を示しやすいのである。

 

 これは『孔明の策』の中でも非常に分かりやすい部類であろう。

 

「……ところで、エルメロイ二世は?」

 

「む?小僧なら間もなく来る……と、うむ、来たようだ」

 

「はぁ、早すぎだよ、ライダー」

 

 ロード・エルメロイ二世は昔のウェイバーの姿で息を切らせつつやってきた。昔のヒネた大人の姿に比べると逆に弱体化しているように見えるが、今の姿こそが最終形態であり、その知略でマスターを世界有数の財閥の長へと導いた、正真正銘の大軍師なのである。

 

「ははは、すまんなぁ、寿司と聞かされれば居ても発ってもおられんかった!」

 

「はぁ、これだよ。しかしすまないねエミヤ。わざわざ気を使ってもらってさ?」

 

「いやいや、ちょうどカルデア水産部が育てた養殖魚の品質チェックがあったんだが、これがとても質が良くてな。煮付けとかもいいんだが、せっかくなら刺身や寿司がいい感じなんだ。で、二人がちょうど南極に戻って来たから、退職祝いと言うんじゃないけど労いにちょうどいいと思ってな」

 

 エミヤは二人にお茶、所謂『あがり』を出した。

 

 寿司屋の符丁で、何故お茶を『あがり』と言うのかと言えば、諸説様々あるが、昔で言う『お茶を引く』という言葉を使わない為に作られたのだという説がある。

 

 『お茶を引く』とは客の上がらない(客が居ない)芸者が客の上がった(客が居る)芸者の座敷でお茶汲みをしたことから、客の居ない様を指す言葉として使われたわけである。

 そこから仕事が暇な事を『茶引き芸者』の如し的に使うようになったのだが、しかし、いかにも客商売的にそれでは困るわけである。客に茶を出すにしても験が悪いと昔の様々な店屋は様々な言い回しを考えた。

 

 そこで、茶引き芸者の反対として『あがり花』という言葉を作り、それをお茶を出す符丁としたのである。つまり、客が良く上がる芸者(花)と言うわけである。

 

 しかし、ここで昔の寿司屋の場合を考えてみよう。昔は寿司屋の職人さんに女性はほとんど居なかったのである。つまりは『花』が居ないという事で、寿司屋の場合には『花』を取って単なる『あがり』になったらしい。

 

 ここまで来るとなにやらこじつけのような気もする。

 

 まぁ、別の説によればお茶を『お上がりくださいませ』という意味で客が『お上がり』なさるものだからというものもあるのだが。

 

 まぁこれは全くの余談。本編には関係はないのでこのくらいにしておくとしよう。

 

「さて、今日はお任せという形でいいだろうか?」

 

 エミヤはそういうと、きりりっと鉢巻きを頭に巻いた。

 

「うむ、エミヤが出す料理ならばそれが一番善いだろう。お前の料理を疑う者はおらんからな!」

 

「うん、僕もそう思う。それで頼むよ」

 

 二人は頷いて了承した。このカルデアでエミヤの出す料理にケチをつける者は居ない。そして、コース料理であろうと、懐石であろうと、如何なる料理であろうと裏切られた事は一度として無いのである。

 

 故に誰もが全面の信頼をおいて任せる。 

 

「では」

 

 エミヤはもうとっくに準備万端であった。舎利も完璧ならばネタも完璧、全てがとっくに握られるのを待つ状態に整えられていた。

 

 普通の、カウンターを備えた寿司屋がもはや高級過ぎる店ばかりとなり、回転する寿司屋ばかりになっている今の時代。機械で寿司を生産する時代。

 

 だが、エミヤはかつての人が握っていた寿司を誠心誠意込めて、確かな腕を持って握り仕上げる。

 

 素早く体温など移らぬ速さで、柳の木で出来た下駄と呼ばれる寿司台に二貫ずつそれを乗せると、二人に出した。

 

 玉子の握りである。

 

 下駄に乗っているのは二種類。寿司屋でよく見る関東風の厚焼き玉子の物2つと、もう一方の2つは確かに玉子であるが、その上に紅葉おろしが乗せられている。

 

「む?よほどの自信だな。まずは玉子からとは」

 

 イスカンダルは不敵に笑った。俗に、寿司職人の腕を見るならば玉子から頼むべし、という。その良し悪しでだいたい腕がわかるのである。

 

 イスカンダルは箸など使わず、手でそれをつまんだ。まずは普通の玉子の方である。一口で頬張り、咀嚼して味わう。

 

「むうっ、流石だ。玉子の風味もさることながら、程よい甘味、そしてこの舎利の硬すぎず柔らか過ぎず、そして口に入った途端に解けるこの甘さと酢のやわらかさ。銀座の一流店にも劣らぬ……」

 

「これは……美味しい!」

 

 うなる二人にエミヤは大袈裟な、と苦笑しつつまんざらでもないようだ。だが、今二人が食べたのは普通の玉子の寿司。玉子の本命はもう一つの方である。

 

 二人はほぼ同時にもう一方、紅葉おろしの乗った玉子の握りを頬張り、そして味を確かめるようにゆっくりと咀嚼する。

 

「これは……関西風の出汁巻き玉子か!」

 

「うん、薄い出汁の塩味と柔らかい甘さがして、紅葉おろしと合ってる。それにこの香味は……ゆず?」

 

「京都の名店の玉子の握りを再現したんだ。その店の玉子は関東の物と違って関西の出汁巻きでね。好き嫌いは有るかも知れないが……」

 

「いや、これもうまい!ふうむ、同じ玉子でもこのように変わるか。うむ、だから玉子を2つずつなのか。食べ比べてみても、どちらも甲乙つけがたく……うまい!!」

 

「うん、甘い玉子と薄味だけど香味のある玉子。どちらもありだよ!……もしや『エミヤーズ』の新メニューにするつもり……?」

 

「はは、それは難しいな、エルメロイ。ファミレスでこれを出すにしてもなかなかね。寿司マシーンを導入するにもそれだけで採算取れなくなる」

 

 エミヤはそう言って、次は白身の寿司を握った。

 

「ほう、これは……鯛か。上のものは……薄切りのカボスか」

 

「ああ、日本海で養殖した鯛だ。これがなかなか良い身の締まりと旨味をしていたんだ」

 

 寿司を出して、次に碗を出す。

 

 匂いからロード・エルメロイの顔が期待に満ちた表情になった。

 

「これは……」

 

 碗の蓋を開けて

 

「やっぱり。鯛の潮汁だね!」

 

 と綻ぶような笑顔を見せる。

 

「おお!やはり鯛だな!」

 

 イスカンダルもにぃぃぃっ、と笑った。

 

 ずずずっ、とまずは潮汁から啜り、瞳を閉じて「ううむ!」と唸り、そして寿司に手を伸ばす。パクリと一口で一貫平らげて、また「ううむ!」と唸る。

 

「良い鯛だ!これは良い鯛だ!売れるぞ!!水産部、なんという見事な鯛を育てるのだ!!」

 

「くぅぅぅっ、とても美味しい!」

 

 エミヤの料理の腕もさることながら、鯛の旨さに二人は思わず唸った。

 

「脂のノリがいい鯛だったからね。水産部の漁師さんもこの鯛は絶対の自信を持っていると言ってたぐらいだ。……是非とも統括理事と補佐のお二人に食べさせてくれってさ」

 

「ほう?水産部の漁師と言えば……」

 

 イスカンダルは碗の中の鯛の骨に付いた身を箸でせせりながら、はて?と首を傾げて考えるそぶりをした。

 

「……ああ、思い出した。昔に魚がとれなくなった漁村の漁師達を水産部門にスカウトしたことがあったな。しかし随分昔だぞ?それこそもう50年にもなるか?」

 

「……その、スカウトした漁師達の子、孫の世代だよ。未だに二人に感謝してるんだ、彼らは」

 

 イスカンダルは寿司の鯛と、潮汁を見つめた。彼らが50年かけて研鑽した養殖技術の結晶たる、鯛である。

 

「寿司と潮汁だけじゃ、なんだ。鯛の兜焼きも食べてみてくれ」

 

 大きな一皿に乗った、塩を振って焼かれた鯛の頭がドン、と二人の前に置かれた?そのお頭は非常に大きく、おそらくはかなりの大物だったと思わせた。

 

「これは見事な……。ここまで、育てるには並大抵の苦労では無いだろうに。そうか、あの時の漁師達の子孫が……」

 

 ほろり、とイスカンダルの厳めしい顔に、一筋の涙が流れた。ありとあらゆるマスターの事業の顔として彼は常に矢面に立って来た。無論、ロード・エルメロイ二世もである。

 

 時には恨まれ、時には歓迎され。様々な企業を買収し、様々な敵対企業を潰し。

 

「見果てぬ夢を遠きに見て未だ夢の途中、だが、これは……。なんと善き夢か。満足して消える、それ以外にこのように受け取るものがあったとはなぁ」

 

 征服王は、鯛の兜に箸を伸ばした。

 

 身をむしって口に運ぶ。

 

「うまい。だが……。これは塩が多くはないか?」

 

 滂沱の涙、男泣き。

 

「ああ、嬉し涙の分を引いとけば良かったかな?」

 

「はははは、抜かせぃ!ううっ、かように嬉しい事もあるとは。だからあの小僧のサーヴァントはやめられんのだ!」

 

 エミヤは苦笑し、冷やの冷酒を出してやった。

 

「まぁ、酒無しでは片手落ちだろう。今日は好きなだけ食って、飲んでくれ。あんたの引退祝いなんだからな」

 

「うむ、うむ!食うとも。飲むとも。ああ、良い労いよなぁ、ウェイバー!」

 

「ははは、まぁ、そうだね。ライダー」

 

 かつて第四次聖杯戦争で、『ライダー』と『ウェイバー』のコンビ、というかサーヴァントとかつてのマスター、王と臣下、まぁ、この二人の関係はさておき。

 

 カルデアに召喚された後も、聖杯戦争ではなく、人理修復後も、共に財閥運営の場で戦い続けた二人は、多いにエミヤの出す料理に舌鼓を打ち、楽しむのであった。

 

 




バレンタインピックアップ?

なかなか謎現象がありましたよ。

バレンタインの方を溜めてた石と召喚符でやったんですよ、石10連と召喚符四枚で。

……なんで節分大将がバレンタインの方で出るんだよ、しかも二人も。さらに金アサシンキタ!と思ったらカーミラさんで。

で、召喚符でまだ節分ピックアップ引いてなかったとやったら、セミラミスさん来た。

あれ?俺間違えたかな?と何度見ても、節分ピックアップ。バレンタインで節分大将来て、節分でセミラミスさん来た。

これって運営のミスなんでしょうかね?謎だ。
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