……まぁ、相手がキアラさんでなければ、ね?
※誤字脱字修正いつもありがとうございますm(__)m
おっぱい!
何を言っているのかわからないだろうと思うが、目の前にあるものを言えば、おっぱいなのである。
俺はしこたまキアラから母乳を飲まされた後、一緒に何故か風呂に入っているわけなのだが、俺の方は何というか、ザ・タライ!という感じの赤ん坊用の入浴タライに漬けられている。
キアラは裸である。裸エプロンがまだ俺の精神衛生上で遥かにマシだったというのがわかったわけだが、そんなのわかりたくなかったよ。
「ほぅら、ちゃぷちゃぷ、良い湯でちゅねー?」
『だから赤ちゃん言葉やめい』
俺は今、心眼を閉じている。つまり何も見えていない状態である。なのに何故目の前におっぱいがあるとわかるのかと言えば、心眼を閉じる前に見ちゃったからだ。
いや、さっきさんざん見たのに今更、とか思われるかも知れない。あと、口で咥えてミルクを飲まされて今更とか言われるかも知れない。
だがね、それ以上の何かが見える可能性が大なのだ。だから……不安だけど目を閉じてんの!!つか見ちゃったらほら、ヤバいし!!
とはいえ、湯は暖かく気持ち良い。息を吐くと「ぷぁ~」と口から音が漏れる。しかし我が身体ながら赤ん坊の身体のなんと不便な事よ。言葉すら喋れぬ。……念話でカバーしてるけど。
だが、レッスンは必要だろう。声を出してみる。
「うぁー、うー、ぶぅ、」
……あいうえおすら喋れんのか。
「うぁー、うー♪ママも良い湯よ~?」
キアラの入っているのは普通の浴槽である。浴槽から、俺の入っているタライに手を伸ばして俺の身体をを支えてくれているのだが、その体勢だとおっぱいが風呂の縁から出ることになるため、見ないようにしている。
しかし人間だったならばまだあまり動いてはいけないはずなのだが、サーヴァントだからなのかキアラは特に不調などは見えない。それに出血もしただろうに、風呂なんぞ入って大丈夫なのか?とか思うが、マスターのスキルでキアラの状態を見てもなんの異常もなく、元のキアラの状態に……あれ?
『……なんか、スキルがやたら増えてないか?』
キアラの固有スキルが、通常のサーヴァントなら二つか三つほどなのになんか、10ほどになっていた。
【母子の絆A+〈ママン・ラ・マン〉】
マスターに危険が迫った時に、力が倍増する。ママ属性を持つ味方の宝具、バスターアップ。
【清らかなる児衣〈コス・チェンジ〉】
マスターのオムツの交換時期がわかる。また、大と小の区別がつく。また、強制的にマスターの服を着替えさせられる。
【慈母乳A+〈ミルク・アップ〉】
マスターがお腹が空いた場合、自動的に胸が張りミルクが溢れんばかりに満ちる。また、マスターに拒否を許さない。
【慈母の手A++〈ママ・ハンド〉】
マスターを抱く時に必ずとらえて落とさない。また、安心と安堵を与えられる。
【母の香りB〈パフューム・オブ・キアラ〉】
マスターに母親認識を与える。効果・精神依存、安心。体力回復。
【母の声〈コール・オブ・キアラ〉】
マスターに母親認識を与える。効果・精神依存、安心。魔力回復。
……ナニコレ。
俺は絶句した。
『な、なななな、なんつうスキルをつけとんじゃああああああああっ!?』
「はぁ、なんで御座いましょう?スキル……はて?」
キアラは自分に新たに付いたスキルをまだ知らなかったらしく、首を傾げ、そしてスキルチェックを始めて、そして。
「んふふふふ、ニヤリんぐ。なんという事でしょう、この身にマスターを宿した結果、このようなスキルを得るなんて……。もう、この身はマスターのママ、快楽天などではなく言わばママ楽天!」
『どんな楽天だよ、つか……全部効果が俺限定じゃねぇかよ?!』
「たーめるーならーらららママ天ぽいんとー♪」
などとキアラは歌いながら上機嫌である。
というか、ママ天ぽいんと、ってジャガースタンプの同類か?つか溜めたらどうなんだよ。
「はぁ~っ、でもマスター、本当に私、マスターのお母さんになってしまいましたねぇ。カルデアに来た頃は全く予想もしておりませんでしたわ。全く不思議なご縁で御座いますわね」
『あの頃は正直、冷や冷やしてたよ。というかポケットに入ってた召喚符を使ったのが、ねぇ』
そう、キアラを召喚した時に使った召喚符は、全く出所不明なものだった。そう、あのSE.RA.PHでの一件の後にBBがカルデアにやって来て、それでうやむやになっていたのだが、どう考えても俺は召喚符をポケットなどに入れた覚えは無いし、召喚符自体、このカルデアでは当時から厳重に管理されており、たとえダ・ヴィンチちゃんがうっかりしていたとしても持ち出せるものではなく、使用してサーヴァントを召喚する時にも書類を書いて持ち出さなければならなかった。
そう、あの召喚符はどこから出てきたものなのか。
「うふふっ、そうで御座いますわねぇ、どこかの誰かが最後の力を振り絞って僅かな縁を頼りに、誰かの服のポケットに忍ばせたラヴレターのようなものかも知れませんね?」
『……え?』
キアラは湯から俺を抱え上げ、抱き寄せた。むにっ、とした感触が俺の身体中に当たる。
「うふふっ、まぁ、甲斐有って来られてよう御座いましたが、とはいえマスター。魔性菩薩からは逃げられない、という事で御座います」
つまりあの召喚符は、どうやってもキアラを召喚するための……!?
「うふふふふ、まぁ、冗談で御座いますとも。ただの戯れ言、お気にならさず」
『いや、というか……。なんでもない』
考えてみれば、ものすごく有り得る話ではある。だが考えれば考えるほどそれは怖い話だ。
というか。
俺は背筋にゾクッと寒気にも似た、怖気を感じた。
「あらあら、マスター。お湯が冷めてしまいましたか?」
キアラは手桶で自分の浸かっている湯を掬うとゆっくりと俺の入っているタライに足した。
慣れてしまっているが、よくよく考えれば今、一緒に風呂に入っているのは、世界を滅ぼしかけた『殺生院キアラ』なのである。はっきり言ってとんでもないものと風呂に入っているわけで。
俺は何にも言えず、ただ『……うん、ありがと』とだけ言った。
「そうでちゅねー、もう少し大きくなったら、ママと同じお風呂に浸かれるんでちゅけどねー?」
『……いや、大きくなったら一人で入れるだろ』
ツッコミを入れるのも弱々しく、俺はこれから先を考えて、溜め息を吐くのだった。
世のオカーサン達が子育てするときにあったら便利かもしれませんね?キアラさんのニュースキル(ねつ造)。
大きくなったら、キアラさんと同じ風呂、とか書いてたら、それはきっと泡の……いえ、げふんげふん。
何かもおっきく……げふんげふん。いえ、なんでもないです。