コロンブスはfgoのアガルタ編ではなんか、うわぁ、と言うようなキャラでしたが、さてはて。胡散臭いが商才は確かに優れたものを持っていたのは確かなようで。
まぁ、シェヘラザードには嫌われてるのは確かですが。いや、多分ほとんどの女性サーヴァントには嫌われているような気も……。
いつも誤字脱字の訂正修正、ありがとうございます。もはや誤字とはお友達のような……。
アメリカ大陸発見はだれにでもできると評されたコロンブスは、卵を立てることを試みさせ、一人もできなかった後に卵の尻をつぶして立てて見せ、だれでもできそうなことでも、最初に行うことはむずかしい、と、したり顔で言ったそうな。
『コロンブスの卵』として有名な逸話だが、そのような逸話を残したとしても、コロンブスはろくでなしである事には違いあるまい。
だいたい、アメリカ大陸発見というが、ネイティヴアメリカンのジェロニモからすればアメリカ大陸、いや、彼らの大地はそもそもからして、彼らが住まう場所にあり、ただ勝手に白人達がやってきただけの事なのだ。
未知のフロンティア、とか言うが、そこに住む人間からすれば未知でも何でも無く普通に自分達が住んでいる土地なのである。
正直、ネイティヴ・アメリカンの彼らにとっては白人とは大地を奪い、虐殺を行い、彼らの秩序もなにも考慮しない、ろくでなしの群れであったのである。
とはいえ、英霊となった上は歴史上の出来事であり、もはや過去の話なのである。大いなる大地のシャーマンであったジェロニモもそれはもはや受け入れている。
しかしながら人の好き嫌いというものはどうしようもない。ジェロニモにとってコロンブスは、白人の白人たる愚かさの塊という認識であり、その性質は正直なところ忌み嫌うものであった。
まぁ、嫌う者には関わらねばいいのであり、ジェロニモはコロンブスに対してはそのようなスタンスで無視していたのだが、とはいえ、同じカルデアにいるのだ。完全に関わら無いというのは不可能である。
と、言うかジェロニモは現在南極のカルデアの警備部のアドバイザーという立場にあるのだが、久方ぶりにコロンブスがろくでもない事をしでかし、そして逃げ出そうとした、という事から駆り出され、捕まえたのだが、そのコロンブスのやった事はと言えば、ジェロニモからすれば赤ん坊の服を盗んだ、という何とも下らない窃盗だった。
ある意味、平和は人を落ちぶれさせるのかも知れないとジェロニモは溜め息をつき、散々悪態吐きまくるコロンブスをエレナ・ブラヴァッキー女史やエジソン、テスラに引き渡したのだが、あとの事は彼女らが裁くだろうとそれ以上介入はしなかった。
彼にとって、卵が立とうが転がろうが特に興味は無い。その卵がある意味も。卵が卵であるならばそれが卵なのである。最初に誰が立てようが意味は無く、そのことで大地も海も変わりは無い。
罪が罪であるように、罰が罰であるように。
報いは必ず何事にもあるが、今回の件で誰か被害者はいるのだろうか?とジェロニモは多少思う。
なんとなくマスターに被害が及ぶような予感はしたが、どのみち些細な事なのだ、そう対して大事にはなるまい。
ジェロニモは肩をすくめて自分の部屋へと帰っていった。
現在、カルデアでは着ぐるみベビー服の先行大増産が行われていた。
ベビー服を大量生産せねばならなくなった発端はコロンブスが小遣い稼ぎに黒髭が作った着ぐるみベビー服を盗み、ネット販売サイトで売った事による。
何が厄介だったのか?と言えばこのコロンブスという男は、物を売るときに必ずその性質や性能をきちんと把握し、その上でそれに見合った値段をつけ、最大の利益を得る努力を惜しまないという、商人としての才能を多分に発揮する所である。
用意周到に商品の価値を上げるために、世のお母さん達に信用のある、カルデアブランドの名前を出し、そのベビー用品部門の、リサーチ用の商品だと偽って販売したのである。
可愛さと機能性を両立させた黒髭の着ぐるみベビー服は飛ぶように売れ、事が露見した時にはもう回収を諦めるしかなかった。
購入したお母さん達が非常に気に入ってしまって返却に応じなかったためである。
世界中の赤ちゃんを持つお母さん達から、カルデアのベビー用品部門に商品のリクエストのメールや電話が殺到し、その対応に部門の責任者であるアタランテがてんやわんやになるという事態に発展したのだった。
もはや事態の収集には、実際に着ぐるみベビー服を商品化して発売する以外に道は無い、と判断した統括理事のヴラド三世(ランサー)はその生産ラインを確保しようと思ったわけだが、そんなに早くに確保出来るわけもない。
故に生産ラインが確保されるまで先行注文分をこうして南極はカルデアの服飾室にてサーヴァント達で家内産業的に作るしかなかったのである。
ちくちく、ちくちく、ちくちく。
「とほほ、なぁんで俺が縫い物なんてしなきゃならねぇんだよ?!」
コロンブスがちくちくと布を縫いながらぼやいた。
黒髭の作ったベビー服を売り払った罰は、ベビー服を縫って償うべし、とエレナ・ブラヴァッキー女史が強制的にここに連れてきたのである。
故にコロンブスは自分が売り払ってしまった数の数百倍のベビー服を縫わねばならず、もうその作業に数日間も従事させられといたのである。
しかし、コロンブスがそうやって作業させられるのは自業自得であるのだが、その作業をしているのは何もコロンブスだけではない。
「うるせぇ!口よりも手を動かしやがれ!ノルマ上げるまでは許さねぇからな!!」
黒髭もちくちくやりながら、いつもの口調ではなく、素の海賊の本性丸出しで怒鳴った。
「こっちゃあお前のとばっちりで何日も何日もこうして針仕事だ!つか、いい加減な仕事してみろ、ぶっ放すぞおらぁ!!」
そう、黒髭もこの作業に駆り出されていた。
オリジナルの制作者故に、であるが、はっきり言ってとばっちりとも言える。
黒髭もかなりストレスが溜まっているようである。正直なところ、黒髭はこのコロンブスという男に対して、あまりいい感情は持ち合わせていない。
「あんたらねぇ、赤ちゃんの服を縫ってんだよ?もう少し優しく心入れて縫いな!」
ドレイクも駆り出されてちくちく、ちくちく。
彼女も作業に駆り出されているが、彼女の場合はカルデアに来てからの友人であるエレナ・ブラヴァッキー女史に頼まれて付き合っているのである。
黒髭とコロンブスだけだと喧嘩になるのは目に見えていたからである。
ドレイクは黒髭にもコロンブスにも一目置かれており、抑えにも非常に頼りになる人物である。また、コロンブスはジェノヴァの出身であるが、彼が新大陸を発見する際に使った船はスペインの船である。故にドレイクとは相性が悪い。
何しろドレイクはかつてアルマダの海戦においてスペインの無敵艦隊を破っており、スペインにおいては悪魔とすら称された事がある人物である。
また、彼女は生前とにかくスペインが気にくわなかったようであり、スペイン海軍をとにかく徹底的に叩いた事でも有名だったりする。
英霊となった今ではさほどそのような感じは無いが、ブーディカがローマ特攻を持っているのと同様に彼女もおそらくはスペイン特攻を持っているはずであるし、持っていなくてもスペイン相手に彼女は一歩も退くことはなかろう。
エレナにとってはこの男臭くなった服飾室に誰か女性で手伝ってくれる人がいれば、と思っていたのでドレイクが快諾してくれて非常に助かった。
なにより、作業においてもドレイクの仕事は細かく丁寧であり、そして作業が早いのだ。
エレナはドレイクにだけ伝えたが、今回の作業にはコロンブス以外はお給金が出る事になっている。
無論、このベビー服の基本構造を作った黒髭にはそのパテント料やその他が入る事になっているが、エレナはまだそれを伝えてはいない。ドレイクがまだ伏せとけと言ったためである。
ドレイク曰わく、要らんコミケだかパイケだかで散財するだろうし、黒髭がいつもの調子でニヤニヤしていたら金の匂いに敏感なコロンブスが気づかぬ訳は無いからだ。
騙し騙され、が海賊稼業というものである。儲けは儲けた奴が後でパーッと使えば良いのだ。
「海賊ってのは盗った盗られたは当たり前、そいつぁ、盗られたモンが悪い!メンツ潰されたってんなら、これ全部縫い上げた後でケジメつけてやんな!つーか、シェヘラザードはコロンブスがいると出てこないし、ブーディカと頼光はベビー服のパンフの撮影だし、アンとメアリーは逃げてったし!!」
とは言え、こういう家内製造的な作業で貰える給金というのはささやかなものである。ドカンと一発やってどっさり、というのが好きなドレイクとしては、やはり性に合わないのは確かである。
ドレイクも愚痴の一つや二つこぼしてしまうのは仕方なかろう。
「あたしだってマスターを見に行きたいってのにさ」
彼女の場合、作業云々よりもやはりマスターの見物に行きたかったようである。
「ごめんねぇ、ドレイク。こんな事に付き合わせちゃって」
エレナは済まなさそうに頭を下げたが、ドレイクもこのむさ苦しい野郎二人の中にエレナを置いておくのは可哀想だと思ったので手伝っている。
「いやぁ、どうせここじゃ暇を弄ばせてたんだ。構いやしないよ。どうせしばらくすればマスターにはいつでも会えるようになんのさ」
現在、マスターには面会規制がされている。何しろ精神はともかく、身体は生まれたばかりの赤ん坊なのだ。まぁ、大抵のサーヴァント達の面会は大丈夫であろうが、一部のサーヴァントの中には少々、会わせて良いものかどうか迷うような者もいる。
例を言えば、清姫、静謐のハサン、オペラ座の怪人、ネロ、エリちゃん、メカエリちゃんシリーズ、などである。
清姫は行動的なヤンデレである。何かあればまだ赤子のマスターでは対処は難しい。まぁ、普段は理性的ではあるのだが、老齢のマスターが病床に伏せった頃に「いっそ、自分の手で……」などと発言していた事により、その当時から面会規制をかけられていた。
静謐のハサンはその毒姫の体質により、自主的に面会を控えているのでまだ安心である。ただ、細心の注意をせねばなるまい。
オペラ座の怪人は、どうも最愛のクリスティーヌとマスターを重ねているらしく、好意を抱く=クリスティーヌ、という厄介さを持っている。無論、彼もなんとか理性を振り絞ってはいるものの、やはり危険であると判断された。
ネロとエリちゃんは子守歌の練習をしていた為、面会規制である。
メカエリちゃんシリーズは危険極まりなさすぎなので同上。
しかしマスターを慕っているのは皆同じであり、誰もが会いたいと思っているため、故に全体的な規制となったのである。
だが、今回のベビー服の撮影はスタジオになっている部屋の窓からの見学は誰でもOKとなっている。
故に、ドレイクも見に行きたかったわけである。
「エジソン達が自動ベビー服作製機を急ピッチで作ってて、あと1日で完成だ、って言ってたから……変な所で喧嘩してなきゃ、だけど」
「……エレナ氏、そりはエジソンとテスラの所に監督に行った方がいいのでは?というか、喧嘩をしていないわけはないで御座る故」
黒髭はいつものオタク口調でエレナに言った。
エジソンとテスラは犬猿の仲である。電気の直流と交流だけでも喧嘩をする。それだけでなく、細かい機械の構造や様々な方式などでもやはり喧嘩をする。とにかく何かにつけて喧嘩を始めるのである。
「バベッジ博士が付いているから、大丈夫だと思うけど……。まぁ、一段落したら見に行くわ」
いつも二人の喧嘩をエレナが止める、というのがいつものパターンである。
エレナは二人の共通の友人なのではあるが、オカルトの世界の一任者と科学の天才達が友人というのも奇妙なものである。
だが、英霊というものはある種、魔術によって現界しているわけであり、サーヴァントは充分オカルトその物と言えよう。それが生前、現実主義者だった者でも、オカルトを信じる者でも、神職者、悪魔崇拝者、善人悪人問わず、何らかの人々の願いや想いを受けて、英霊の座についているのだ。
「あー、あんたも大変だねぇ」
ドレイクが苦笑する。
「仕方ないわ。いつもの事だもの」
エレナはカタカタカタ、カタカタカタ、と昔の黒い足踏み式ミシンでベビー服のパーツを縫い長らく溜め息を吐いた。
なんだかんだ言っても彼女は面倒見が良く、また彼女と交友関係は広い。彼女を嫌うようなサーヴァントはおらず頼りにされているのだが、それ故に気苦労もまた多い。
「はぁーっ、今日のノルマ、あとどれだけかしら?」
「……俺ぁ、あと十着だな」
「拙者、あと九で御座るよ」
「あたしは、あと六かね」
「……もうちょっとね。はぁ、私で十二着か。ミシンよりも早い手縫いって、どんだけなのよみんな」
「んー?そりゃあ早くないとな。さっさと済ませたい仕事ではあるわなぁ、針仕事ってのは」
コロンブスは頭を掻きつつエレナに答えた。この男は細かい作業をあまり好んでやるような男ではないが、それでもそれがやらねばならないことならばとっとと片付けたがるような所がある。めんどくさがりだが、やるときはキチンとこなす。
「……お前と意見が合うのは癪に障るが、たしかにそうだわな」
黒髭もコロンブスに同意するが、黒髭はだいたい細かい作業は好きな方である。しかし、趣味でやるのと作業としてやるのとではやはり違うのだ。
「ま、年期かねぇ。……年増って意味じゃないからね?」
ドレイクの言葉に黒髭がBA…と言いかけたが、ドレイクに睨まれ押し黙る。言ったが最後、どうなるか分かっているからである。
「ま、お嬢ちゃんの分はこっちに廻して、エジソン達ん所行けよ。あっちの機械が出来なけりゃ、いつまで経っても俺ぁお針子さんの真似事をしなきゃならねぇからな」
コロンブスは苦笑しつつそういい、「ほれ、寄越せ」と手でクイクイとそうするようにエレナに促した。
「え?いいの?」
「仕方ねぇだろう?完成してくれなきゃ、明日もこれだ。いい加減飽きてきたからなぁ」
「ああ、BA……ドレイクもマスターの所に行くといいで御座るよ。後の分は拙者がやっとくで御座るし。まだ撮影見学には間に合うで御座ろうし?」
黒髭もそう言ってニマッと笑う。
「大丈夫かい?あんたら二人だけで?」
喧嘩しないだろうね?とドレイクは訝しんだが、しかしマスターを見に行きたいという欲求には抗えないようで、迷っている素振りを見せた。
「「大丈夫さ(でござるよ)」」
二人はそういい、片や信用出来そうにない笑みを浮かべ、片やどうにも少し気持ち悪い感じと無邪気な笑みを浮かべて言った。はっきり言って大丈夫な気がしない。
「……喧嘩したら、マハトマの天罰が落ちるからね?」
「やらかしたら、ぶっ放すからね?」
だが、エレナは確かにエジソンとテスラが心配であり、ドレイクはマスターを見に行きたい。
こちらも心配ではあるが……。
彼女達は、二人の好意……なのか?を受ける事にして、服飾室を出て行った。
二人が出て行った、その後。
「ところでよぉ、エドワード・ティーチさんよぉ。この着ぐるみは『良い商品』だよなぁ」
「うん?そりゃあマスターん為に熟考を重ねて作ったからな。悪いわきゃねぇ」
「だが、新商品だろ?着ぐるみだけじゃちぃぃっと商品としてラインナップが足りねえと思わねぇか?」
「ふむ?足りねえってどういうこった?」
「いや、あるだろ?遊び心でこう、統一感みたいなのでよ、例えばこれはクマだよな?じゃあ、ほ乳瓶もクマ、抱っこベルト?って言うのか、それもクマで合わせられるような、そういうグッズも併せて売れば、より商売の幅が広がるんじゃねぇか?」
「……なるほどなぁ。しかし、手間がかかるっつーか、テメェ、何考えてやがる?」
「いや、タダ働きじゃ割に合わねーからよ。プラスアルファでなんか金を稼ぎたいんだよ。だから、次のラインナップ考えて、発案俺で設計お前、でなんとかならねぇか?とな』
「そいつぁ虫が良過ぎじゃねぇか?」
「いや、アタランテのねぇちゃんにはもう話を持ってってるし、それに、もう案は考えてるんだ。これを見てくれねぇか?」
コロンブスは懐から何やら紙の束を出してきた。
それは、ほ乳瓶やら抱っこベルトやら、乳母車やらの基本設計図である。
「ファッションなんてものは統一感が大事だろ?」
ニマリ、とコロンブスはほくそ笑んで黒髭にそう言った。転んでもタダでは起きないその性格に黒髭は少しゲンナリしたが、確かにコロンブスの言うことには一理ある。
二人はちくちくちく、とベビー服を縫う手を休ませず、しかし、コロンブスと黒髭はこの儲け話をノルマが終わるまでみっちりと話合う。
それは、やがて様々なサーヴァント達の構想を取り入れ、今までに無かった新機軸のベビー用品として生み出される事になる。
コロンブスの卵とは、こうして生まれるのかも知れない。
子育て便利グッズが出来るよ!キアラさん!
カルデア児童用品部門のアタランテさん、大感激。
なお、商品の試験は、マスターがやらされるわけなのだが……。
召喚符でコロンブス出ましたので、コロンブス出してみました。
あと、デオン。プーサーかとぬか喜びしたら、デオン。ナニコレ?まぁデオンは持って無かったので。
逃げる振りしてそっと兵を伏せる私コーメイ♪いや、来ないなぁ。つかロードエルメロイ来ねぇ……。