フェイト~キアラがママっ?!   作:罪袋伝吉

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キアラさんのお腹の中で目覚めたマスター。

きわどいかもしれないけど、このぐらいなら大丈夫だよね?(汗)。




マスター語り。キアラの胎の中。

 気がつくと、私はなにやらピンク色の空間に浮かんでいた。

 

 キアラの宝具に吸い込まれたのだが、Se.Ra.Ph.で戦った時や味方として来てくれた際に見たあの魔神柱が犇めくような空間では無く、本当にきれいで優しげなピンク色の空間だ。

 

 視覚は少しぼやけて鮮明ではないがなんとか見える。最初は老眼のせいかとも思ったがそうではない。まるで目が退化したかのように視覚が鈍い。

 

 また、この空間には空気が無く、液体で満たされている。身体の感覚はある程度きちんとあるようだ。

 

 この液体を伝わって大きな心臓の拍動音も聞こえている。匂いは、少し。だが嗅覚も鈍い。いや、液体の中にいるせいなのか。

 

 身体は動きにくい。いや、そもそも。

 

 見れば私の手や足はかなり縮んでいる。いや、小さくなっているというべきか。

 

 身体をなんとか見回し、腹にはチューブというのか、これはまるで臍の緒、いや、そのものが着いていた。

 

 これは間違いようもなく、要するに。

 

 私は胎児になっている。

 

 目が覚めたら虫になっていたというのはなんかの小説であるが、目が覚めたらリアルで胎児になっていた。

 

 ナニコレ?!

 

 とか一瞬慌てたが、すぐに精神が不自然なほどに落ち着いて安定していく。慌てても焦っても、不自然な程な安堵感が無理矢理に私を包む。精神が沈静化してしまう。

 

 それにも心を乱してしまうが、鎮静作用がかなりつよいのか、すーっと心が冷静になって行くのだ。

 

 この空間は異常だ。

 

 危機感すらも押さえ込んでしまうのだ。

 

 おそらく、それはこの空間固有の作用なのだろう。結界か術かはわからないが、非常に強力な効果を持っているようだ。

 

 おかげで冷静にものを考えることは出来るが、だからといって何が出来るというわけでもない。

 

 なにしろ胎児になってしまっているのだ。

 

 とはいえ、何故こうなってしまったのかは考えねばならないだろう。

 

 そう、冷静に考えられるようになっているのは実に幸いだ。まずは考えないと何も始まるまい。

 

 私は考えに集中する事にした。そして今まであったことを思い出し、ここがキアラの宝具による空間であると推測した。

 

 なにしろキアラの例の胎蔵曼荼羅(ヘヴンズホール)に取り込まれたのだから、間違いあるまい。

 

 だが、彼女の通常の業ではないのはもうわかっている。なにしろ吸い込まれたとはいえ、彼女の内宇宙と同化はしていないし吸収もされてはいないのだ。

 

 それにここには魔神柱も無い。

 

 なにより彼女は吸い込む際に、いつもとは全く違った場所から私を吸い込んだのだ。そう、私は彼女の股間のアレなナニからアミデュられてしまった。

 

はぁ、抗うことすら出来ずキアラにアミデュられ、気がつけばこんな目にあうとは。

 

【※アミデュられる:キアラに吸い込まれる事、もしくは吸い込まれた、キアラの宝具が発動した結果(民明書房刊 殺生院キアラヌードグラビア『お曼荼羅・尼(アマ)ンデュー』より】

 

 そう、がっぱーと開いたアレな場所からすっぽりとずっぽりとやられてしまった。

 

 女体の神秘、というにはかなりえげつない攻撃(?)だったなぁ。というか妻以外の女性のなんて見たことなかったけど、あれはやはり宝具の力なのだろうなぁ。

 

 でも想像以上に……。

 

 いやいやいや、いやいやいやいや、げふんげふんげふん。

 

 液体の満ちたここでは咳払いは出来なかったが、脳内で咳払いした。

 

 それについて語っちゃいけない。そう、なんかダメだ。こう、R指定とかX指定とかそういうものに抵触してしまう気がするからっ!!

 

 私は見ちゃったアレを頭から追い出してまた思考を再開させた。このままでは話が止まっちゃうからね?

 

 ただ、以外と綺麗な感じだったとは言っておこう!!←をい。

 

 しかし、まさか胎児にさせられるとは思わなかったが、私が吸い込まれる際にマーリンが『十月十日後にまた会おう』とか言っていた。それはつまり妊娠から出産するまでの期間、いわゆる『十月十日』の事だと推測して、また溜め息を脳内で吐く。

 

 今、何ヶ月目にあたるのか産婦人科的な知識をあまり持ち合わせていない私には検討はつかないが、つまりそれまでこの空間から出られないと言うことだ。

 

 そして出たからといってもおそらくは赤ん坊の姿であり、そして赤ん坊の未発達で不自由な状態で身体の成長するまでいなければならないのであろう。

 

 全く、死を待つばかりの老人がいきなり赤ん坊にまで戻ってしまうとは。

 

 最悪の終わり方まで思考する事はできたがそれは如何にも最低な結末だろう。それは、この腹に繋がった臍の緒を引きちぎる事だ。そうすれば容易に私は死ぬこととなるだろう。

 

 だが、自殺は御免だ。死を間近にしていた老人だったとは言え、死ぬのが怖くないわけはない。それに自殺なんて。

 

 私は人一倍に生きることに努力してきた。そうでなければあのグランドオーダーを生き残ることは出来なかったし、しぶといからこそ100まで生きたとも言えるのだ。生きてればなんとかなる。

 

 そう考えると私は生き汚い人間なのだろうかなぁ。

 

 うーむ、と悩んでしまう。なんともそれだけで自分が矮小で悪い人間のような気がしてきたぞ。

 

 ああ、動けず考えてばかりだと自己嫌悪まで湧くものなのだなぁ。はぁ、すっげぇ落ち込むわー、落ち込むわー。

 

 なんか気分が落ち込んで来た。つーか、だいたいカルデアにスカウトされなければ俺はただの三流の大卒のフリーターだったんだよなぁ。

 

 あのまんまじゃ、うだつの上がらない普通以下の人だったもんなぁ。はぁ。

 

 私は遥の昔、カルデアにスカウトされる前の自分を思い出し、落ち込んだ。

 

 その落ち込みもこの空間の作用ですぐに薄らぐがなんというかこの作用は自己嫌悪にまではそんなに強くは働かないらしい。

 

 はぁぁぁぁーっ。

 

『そのように自分を責めずとも宜しいのではないでしょうか?というか過度のストレスは生育に悪影響がありますので、その辺にしておいて下さいませ?』

 

 唐突に、声が聞こえてきた。

 

『うぉっ?!この声は……キアラか?』

 

『驚かせてしまいましたか?そう、キアラで御座います。今、私は私とマスターを繋ぐ臍帯、つまりお臍の緒を通じて話かけております』

 

 むぅ、やはりこれは臍の緒かよ。

 

『……なんでまたこんな事を?いや、なんとなくだが予想は付いてるけど』

 

『はい、予想通りかと思いますが、これはマスターの尽きかけた寿命を伸ばす為で御座いますわ。延命というよりは再生と申し上げた方が宜しいでしょうか』

 

 やっぱり、と思った。まぁマーリンがそんな事を言っていたからわかってはいたけどな。

 

 それに、死を受け入れようとは思っていたけど死にたかったわけではない。生きられるならそれに越したことはないのだ。

 

 ただ何か問題とか世界に悪影響が起こったり特異点的な災害とかそんな事に繋がったら、とかは思うのだが。

 

 つか、人理災害とか言われて世界を脅かす元凶とか認定されて新たなマスターに討ち滅ぼされるとか嫌だぞ?

 

『私を再生させて、問題はないのか?カルデアが特異点化するとか、世界に悪影響があるとか?』

 

『御座いませんわ?聖杯を使ったわけで無し、人類の未来を脅かすような事でも無し。宝具や魔術を使っておりますが、世界には何の影響も御座いませんわ。まぁパラレルワールドという点では未来は分岐はすると言う話ではありますけれど、それもとうに無数にパラレルワールドはございますし』

 

『……なら、良いけど。しかしずいぶんと強引というか力業というのかなぁ。胎児にまで退行させるとは。どうせならもう少し手前で、昔の青年期ぐらいで止めてくれれば良かったのに』

 

『それは私の宝具的に無理でございます。胎蔵曼荼羅、ですので。胎蔵とはつまりは胎(腹)に蔵(納)める、すなわち納めるのはやはり赤ちゃん、胎児でございますし?』

 

『ということはキアラの本来の宝具はそう考えると創生系って事なのか?』

 

『まぁ、このような使い方も出来る、というだけで使った事はこれが初めてです。うふふふふ、でも意識がお戻りになってようございました。本当ならもう少し早く自我と記憶が戻るはずだったのですが……よほど私のお胎が心地良かったのですね、ずっと落ち着いて眠っておられたようで……』

 

 キアラはなんというか、いつもの優しげだが胡散臭い感じではなく、声の感じがいつもと何か違う。その何かはわからないが、いつもならば多少の警戒感が伴うのに、今は全く警戒感が湧かない。これもこの空間の作用なのか。

 

『はぁ……っ、女の幸せ、というものを実感しておりますわ。それも存分に。愛するマスターそのものを身ごもっているというのも、倒錯感があって良いものです。最初の悪阻の酷さもまた苦しみと喜びを伴って、ああ、私は妊娠したのだと感じ、大きくなっていくお腹をさすりながら、どんどんお腹の中で育っていく我が子を感じ……。はぁん……』

 

 いや、私の気のせいだった。胡散臭いどころではない。彼女はむしろ通常運転だった。つまり何でもいやらしく感じちゃうよおねぇさん(おばさんと言ったらどうなるかわかんない)だった。

 

 というか。

 

『え゛?』

 

 そう、キアラの言葉で私はハタッと悟った。

 

 私は今まで、ここは宝具的に別の宇宙的な空間で、そこで胎児にまで逆行させられていたと思っていた。だがキアラのその口振りだと、本当にここはキアラの……?!

 

『……うふふふふ、マスターは私の子宮を犯した初めてのお方ですわ』

 

『いや、犯したとか言うな人聞き悪いっ!!つか何それっ?!』

 

『人は我一人、と言っておりましたが、ああ我が子もまた人なりや。もう独りではないと思うと愛しくて嬉しくて、はぁん。御陰様でこれが母の悦楽、母の幸福にずっとずっと満ち足りておりますわ。ああ、マスターが私の赤ちゃん。うふふふふ、うふふふふふふ……』

 

 なんてこったい!!

 

 つまり、本当にキアラは私を妊娠したのだ。私を胎児にまで逆行して、自らの子宮で育成しているのだ!!

 

 もう一度言う。

 

『なんてこったい!!』

 

 叫ばずに居られなかった。そんな私にお構いなくキアラはスルーしてなおも続ける。いや、スルーしているとも思っていないのだろう、そう、彼女はそれがデフォなのだ。

 

『妊婦になってわかったのですが……』

 

『な、何を?』

 

『世の妊婦の皆様は、つまりは私は男性と交わっていやらしい事をいたしました、と見せびらかしているのも同然ですわよねぇ。公然猥褻、ですわよねぇ』

 

 だーっ!!なんて事を言いやがるかなこの人はっ!!

 

『違うっ!!それは違うっ!!世の妊婦さん達に謝れっ!!てか、そんな目で見てはいけない!!もっと妊婦さんは崇高かつ尊ばれるべき存在だよ!!』

 

 というかこの女の頭の中はどうなってんだ。いや、確かにそういう事をしなければ赤ちゃんは出来ないのは確かなんだが、それも大切な事で、けしてそんな目で見てはいけないんである。

 

『ええい、そのなんでもいやらしく思考するの禁止っ!!』

 

『うふふふふ』

 

 キアラはなんかやたらと上機嫌で笑った。少し雰囲気が変わったのを感じて、私はハテ?と思った。

 

『……なんか嬉しそうだな?』

 

『いえ、久しくマスターとこのようにお話も出来なかったので。それに口調が若返られましたわ。これで『私』ではなく『俺』でしたら、本当に昔のマスターですわ』

 

『あ~、まぁ、そういえば口調、戻ってるな。つか、キアラは私が伏せってからはギルガメッシュ達から面会を制限されてたんだっけか?』

 

『はい。ですがギルガメッシュも私がマスターに害意を持って接するということは考えておりません。あえて申しましたら、入り浸ってマスターに甘えてしまいそうになるから、と』

 

『……私に、か?』

 

『はい。こう見えて私はマスターの事をお慕いしてました。信じられないかも知れませんけれど』

 

『……そう、なのか?』

 

『はい。信じなくてもようございます。いえ、それは他のサーヴァント達も同様。本当にあなた様は不思議なお方でございますわ。どのように凶悪な者もいかに凶暴な者も、善悪男女関係無しに惹きつけて止みません。あなたの為なら、信条も何もかも投げ出して働きたくなる。本当に天性のマスターと言うべきお方』

 

『……そんなに大それた者じゃないよ、俺は』

 

 なにせカルデアに来てなかったらフリーターだったんだから。

 

『うふふ、大それておりますとも、マスター。お知りですか?あのパラケルススがあなたを生き長らえさせる為に生命の霊薬を精製しようとしていた事を。あの傲慢なギルガメッシュがエレシュキガルと交渉し不死の薬草を得ようとしたことを。殺人鬼メフィストフェレスも冷酷な犯罪界のナポレオン、モリアーティも。皆、あなた様と別れたくないと動いておりましたのを』

 

 薄々は気づいていた。どれも無駄で徒労だった事も。

 

『……霊的なものも、延命出来るものも何も効かなくなってたからね。みんなには本当に悪かったと思ってるんだよ』

 

『いいえ?全ては勝手に皆さんやっていた事。マスターは気に病む必要はございません。ですので私もマスターには謝罪など致しません。そもそも私は欲望の為にマスターを生き長らえさせる悪い女なのですから』

 

 キアラはわざとらしく自分を悪い女だと自重した。だが俺は否定出来ない。何しろ欲望の為に世界を滅ぼしかけて、その一歩手前までやらかした女だったからだ。

 

 それにその欲望が如何なるものか、というのも気になる。私が再生して叶う欲望がどのようなものかわからない。そう、それいかんによっては私は死を選ばねばならないだろう。

 

 世界の破滅が待っているならば、私は阻止せねばならない。世界を成り行きだが救った身として。

 

 カルデアのグランドマスターとして。

 

『……俺を生き長らえさせても果たせるかどうかわからないぞ?それが昔にやろうとした人理災害みたいなものならなおさらな』

 

『いいえ?それよりも私は一度、母としての女の幸せというものを味わってみたいのです。生前はまったくそのような事もございませんでしたし?』

 

 だがキアラはあっけらかんとそう言った。

 

 え?女の幸せ?

 

『……えーと、それってつまり俺を産んで育てるって事か?』

 

『はい、その通りでございます。妊娠の悪阻はもう味わいました。あの時は辛くとも命が宿ったと胸が熱くなりましたわ。そう、お腹が膨らむにつれてお腹のマスターに母性愛がどんどん湧いて、言葉に出来ぬほど今、幸せを噛みしめております。ええ、そして次に待っているのは産みの苦しみ。陣痛から出産の痛み、産まれた時の感動、母乳を出す快感、吸われる喜び、成長する我が子を見て幸せに浸る。今からとても楽しみで仕方ありません、ああ、待ち遠しい!』

 

 なんとっ?!

 

『……その、あー、俺、臍の緒切って自害してもいいか?なんつーか、未来の黒歴史が見えてきたから』

 

 そう、キアラから産まれる俺とかキアラからおっぱいを吸わせてもらうとか、キアラからオムツを替えてもらうとか。

 

 考えただけでとてつもなくイヤだった。つか母親がキアラってよくよく考えたらものすごいなんかこう、苦労どころではない十字架を背負って生きなければならない気がする。いや、絶対そうなる。

 

『無理、でございます。仮にもビーストの臍の緒でございます。その強度は魔神柱並みとお知りなさいませ?』

 

『…………そんなもんから栄養もらって大丈夫なのか?!』

 

『……まぁ、魔力等、ある種人類最強クラスになるかも知れませんが問題はございませんわ?マスターはマスターですもの』

 

『いーやぁぁぁぁぁっ!!』

 

 思いっきり絶叫し、それならばと臍の緒で首を吊ろうとかその後いろいろとやってみたが。

 

 全くの無駄だった。

 

 お釈迦様の掌の上、いや殺生院キアラの胎の中、俺は何も出来ずにすくすくと、魔人の赤ん坊としてどんどん育って行くしか出来なかった。

 

 俺、人類の災いになっちまうのか?!




 グランドオーダー、一章終わって、また二章始まりますねー。

 ロマンさんが居ないのが寂しいなぁ、とか思うので、この作品ではロマンさんはサーヴァントとして居ます。

 福袋の為に初めて課金しようと思ってます。

 何しろアルテラさんしか星五の方いませんし。エレちゃん逃したし。

 
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