フェイト~キアラがママっ?!   作:罪袋伝吉

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 お葬式回です。

 カルデアによる社(?)葬です。

 というかカルデアはものすごく変な事になってますが、まぁ、コメディですので多目に見て下されば幸いです。


お葬式。

 カルデアのマスターが逝った。

 

 その報はカルデア内だけではなく、様々な提携していた魔導組織や魔術師協会、聖堂教会等の様々な組織、魔術師の名門の各家々にもたらされた。

 

 葬儀はカルデアで行われたが、現在のカルデアの状態に葬儀に参列した他の組織の代表者達を非常に困惑させた。

 

 まず、カルデアの敷地にある様々な建造物群のその異様さが問題であった。

 

 いや、カルデア本部そのものは昔から変化はなく問題はない。問題はカルデア本部の周囲にある様々に増えた建造物が異様であったのだ。

 

 まず、どう見てもカルデアの門はキャメロット城。カルデアの敷地をぐるりと高くそびえ立つ城壁に取り囲まれている。

 

 これはマーリンの仕業である。

 

 マスターとマシュの結婚式の時に引き出物として、どうやったのかは解らないが目の前でずっどぉぉぉん!!とぶっ建てやがった。

 

 どこの城塞都市だよ?!

 

 それを見た他のサーヴァント達がああ、それなら私も俺も我もと競うように様々な建造物を勝手に建てて行った結果が今のカルデア周辺であったりする。

 

 神社、寺、天守閣、神殿、モスク、教会、大劇場、砦、ピラミッドと、ありとあらゆるものが、サーヴァント達の能力やら術やら財力やらで造られて行ったのである。 

 

 カオス!あまりにもカオス!!

 

 他国的に奇妙な共存がカルデアにおいては成されているようである。

 

 さらに最近になって山頂にそびえ立つピラミッドの隣に新たに建造された。オジマンディアスの大ピラミッドよりもやや小さめのピラミッドが。

 

 それがマスターの墳墓である。

 

 おそらくはそんな大それた物を作ってしまう辺りオジマンディアスはわりかしマスターを気に入っているという事なのだろうが、しかし作られた本人が嬉しいかどうかは不明である。

 

 また、オジマンディアスがマスター用のピラミッドを造っているのを見た者達も触発され、マスターの像や石碑やらをやたらと敷地内に建てたりしている。

 

 正直、なんじゃこりゃああああああっ!!である。

 

 それを目撃した葬儀の参列者達は、その荘厳さとか芸術的な価値とかではなく。

 

 どんだけ成金主義なんだよ、とか。どんだけ自分大好きなんだよ、とか。普通はそんな事を考えるよね?というかだいたいはそう思っちゃうもんであり、概ねそうだった。

 

 なお、一番の目玉はダ・ヴィンチちゃん作『若き日のグランドマスターと愛妻マシュの図』。

 

 玄関に飾られてます。

 

……やーめーてー。

 

 まぁ、それはさておき。

 

 葬式なんである。

 

 葬儀は故人であるマスターの遺言に乗っ取り、日本式で行われる事になった。すなわち仏式(フランスの仏ではなく仏教の仏である。念の為)である。

 

 これには葬儀に集まった魔術師達をかなり戸惑わせたが、珍しいというほどのことはない。魔術師達は西洋の者達が大半であり、仏式の葬式の礼儀とかそういったものを知っている者などあまり居なかったが事前にそのように伝えられていたので、皆、キチンと調べた上で来ている。

 

 内心、マスターは少し舌打ちをした。

 

『……うーむ、もっと嫌ゲな事を仕掛けといても良かったかも知れん』

 

 今、マスターはキアラの視点で外を見ている。もちろん臍の緒を通じてである。

  

 なお、キアラが座っているのは家族席である。その隣には何故か頼光が座っていたりするが、どうして頼光が家族席なのかと言えば、皆さんおわかりの通り『元祖ママ』だからである(私がマスターの母ですもの、と言って一歩も引かなかった為)。

 

 また、ナイチンゲールがそのすぐ隣に座っているのは『母胎』に何かあってはいけないという理由であり、さらにナイチンゲールの隣にはドクターロマニ(ソロモン)、パラケルススが付いている。

 

『……嫌がらせにもなってませんわ』

 

 何故、仏式で葬儀をやることが嫌がらせなのかと言えば。

 

『……主に聖堂教会の連中に対する嫌味のつもりだったんだ』

 

 聖堂教会の人達に対してこのグランドマスターには反発心があった。その他の組織に対してもあるにはあったが、第一次グランドオーダーの後に散々カマされ、一時はこのカルデアが崩壊、そして破棄するという事態になったのである。

 

 二期のネタバレとかはするつもりはないが、あの皇女ってのもロシアで皇女ってのはどうせアナ……げふんげふん。

 

 あん時の恨みは忘れてねーからなぁっ!!つかダ・ヴィンチちゃんの乳が減ったのはてめーらのせいだからなぁっ!!

 

 とはいえ当時からすでに数十年が経っている。

 

 何度も何度も人類の歴史を取り戻す戦いを繰り返し繰り返し。

 

 気づいたら当時の者は一人として残ってはいないという感じだ。マスターが長生きをしている間に皆さん寿命やら事故やらでとっくにお亡くなりになっている。

 

『ま、どうでも良いと言えばどうでもいいんだけどな』

 

 壇上では玄奘三蔵ちゃんが張り切って木魚や御鈴などの鳴り物を叩き、お経を詠んでいる。

 

「ガテガテパラスァニガテ、ガテガテパラスァニガテ、ボシソゥアカ……」

 

 インドの天竺の直輸入なネイティブ般若心経である。発音がもう日本のそれではない。しかも唄うような読経である。

 

『原典の般若心経で御座いますわね、これ』

 

「バーディサットゥアーイェールォウ……♪」

 

『……鳴り物も駆使してなんか民族音楽のライヴみたいだよな、これ』

 

 お経には思えない、美しい唱和である。

 

『意味を違えず直接に詠唱するという事では原典が至高と言えますので、宜しいのでは無いかと。それに三蔵法師は英霊になるほどの功徳を積んだ高僧ですもの、これは有り得ない程に素晴らしいお葬式では無いかと思われますわ』

 

 そういえばあまりそんな感じはしなかったが、キアラもそういえば尼さんだったのをマスターは思い出した。そう、仏教系のサーヴァントだったっけ?

 

 宗派はアレな密教系だけど。

 

『まぁ、偽装葬式で無きゃ有り得ないほど豪華な葬式だろうけど……。絶対に何でサーヴァントが退去してないんだとか怪しまれるぞ、これ』

 

 そう、高位の魔術師ならば壇上でお経を唱えている三蔵ちゃんがサーヴァントであるというのはすぐに見破るだろう。

 

『それについてもダ・ヴィンチさんがもう事前に説明して下さいましたので、一応は大丈夫かと。それに他のサーヴァント達はソロモンの結界の中に隠れております。大丈夫……だと思います、多分』

 

 多分、というのがものすごく不安である。

 

 ダ・ヴィンチちゃんが関係組織に対してした説明を簡単に言うと。

 

『マスターが居なくても私のように存在しているサーヴァントも居るのだから、特に不思議な現象ではない』

 

 である。

 

 これはかなりの詭弁ではある。

 

 それにサーヴァントである殺生院キアラが妊娠したという前代未聞の事件に関しても。

 

『古今東西、亡霊が子供を産み育てた話は世界中にあり、言わんや英霊も出来るときは出来る!!』

 

 と言う説明がなされた。

 

 はっきり言って詭弁ですらなく、勢いだけで押し切ったようなもんである。

 

 (無理がありすぎなんだよなぁ、ホント)

 

『というか何アレ。なんかノブナガちゃんが滅茶苦茶派手な衣装着てスタンバってるんだが。しかもその後ろで茶々もワクワクしてるし。あれ絶対に焼香ぶちまける気満々だよなぁ』

 

『……織田信長の例のアレで御座いますか。はぁ、結界から出るなと言われていたというのに、仕方の無い方で御座いますねぇ』

 

 と、見れば後ろからキングハサンがすぅっと顕れ、ノブナガちゃんを後ろから掴み、首は斬らなかったがどこかへ連れて行った。また、茶々は百貌さんが大勢で担ぎ上げて連れ去っていった。

 

『あ、連れてかれた』

 

 幸い、ノブナガちゃんや茶々達は葬儀の参列者達にはバレなかったようだ。

 

『本当、ハサンさん達はいい仕事をいたしますわねぇ』

 

 呪腕さんがぺこりとこちらにだけ分かるように頭を下げて、すっと消えた。流石、カルデア一の良識人と言われるだけはある。

 

 まぁ、周りでぐだぐだした何かはいろいろあったが読経が終わった。

 

 なんかかなり長かったように思うが、三蔵ちゃんは般若心経だけではなくいろいろと有り難いお経の数々を続けて読んでいたようだ。

 

 原典のお経だからわけわかんなかったが、日本で読まれるお経も本職のお坊さんでもなければわけわからないものである。

 

 まぁ、葬儀というものは当事者やその家族、そしてかなり親しい者達以外にはとても退屈なものである。

 

 特に本人にとっては。

 

 死んでいないわ、お腹の中で、キアラの視点で見ているとは言え、いや、だからこそなのかも知れない。

 

 つつがなく式は順調に終わり、そして遺体は荼毘に伏される事となった。

 

 荼毘というのは荼吉尼天の事であるとされる。元はダーキニというインドの女神であるカーリー神の侍女であったとされる女神だとか。ダーキニは死と炎を司るという。故に荼毘に伏す、つまりは火葬を意味する言葉としてそう言うのだ、とキアラはマスターに語った。

 

 そう言えばキアラは密教立川流の流れをくむ存在だった、とマスターは思い出した。密教立川流の本尊は荼吉尼天である。なるほど、詳しいはずだと納得する。

 

『ああ、俺的なものが焼かれて行くなぁ。まぁ俺じゃないけど』

 

 葬儀に使われた遺体……の、ようなものは、医療用に作られたマスターのクローンである。

 

 マスターが何らかの病気や事故などで身体を欠損したり臓器の移植などを必要としたときのためにパラケルススがホムンクルス精製技術を応用して作ったもので、今まで全くその用途に使われる事が無く保存されていたものである。

 

 初めて見たときははっきり言って気味が悪かったが、そのクローンは役目を終えたと言える。

 

 脳も無く魂も無い移植用の臓器や器官を生かすだけの肉塊だったものが、焼かれて逝く。

 

『……今までありがとうな。本当に』

 

 自分の細胞で造られたものだが、なんというか悲しみすら感じてマスターはそう言った。

 

 お骨は普通の墓に入れられる事になっている。

 

 オジマンディアスの創ったピラミッドではなく。

 

 クローンを入れるなど以ての外!!とオジマンディアスとニトクリスが拒否したからだ。

 

 まぁ、何にせよ。

 

 これで葬儀はお終い。

 

 この後は、自分は自分の子供としての生を生きねばならないのか、とマスターは思い、なんとも言えない気持ちになって、またため息を一つ吐いた。




 葬儀は終わり。

 誕生が待っています。

 なお、誕生までにもう一つ話を挟もうかと。

 出産を書いているとキアラさんだからなんか際どく(エロ的に)なりそうなのでもう少し自重しつつ……σ(^_^;

 

 
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