□ノズ森林 【戦王】カルキ・ライトロット
「俺に喧嘩を売ったんだ。後悔させてやる」
口にしていくと自然にいたつげ名言葉使いになっていく。しかし今はそんな事気にせず、ラクシュミーの第四形態である大棍棒を肩に担ぎ目の前のPKに向け走り出す。彼女は此方が駆けだしてくる様子を眺め一瞬だけ踊ろう多様な表情を浮べたがすぐに気持ちを切り替えたのか、感情を一切殺しおもむろに後退を始める、何を為るのか興味は持ったが、速度的には此方が圧倒的に早く彼女との距離は最早振れば当る所まで近づいている。そのタイミングで肩に担いでいたラクシュミーを掲げ上げ、勢い良く彼女の体を砕かんと振り抜く。その際自分の体を一瞬だけ中に浮かせることでこの打撃は威力を増す。
「っ!」
しかし、間一髪のところでその攻撃はよけられた。彼女の体を砕くはずだったラクシュミーは吸い込まれるように地面に叩き付け、その場を土煙を上げて軽く抉る。再び攻撃を仕掛けようとし、一度持ち上げようと試みるも彼女から急激な重みを感じられた。何事だと思っても今は土煙が視界を阻んでよく見えない状況だ。おもむろにラクシュミーに目をやるとその場だけぼんやりと見え始め。しかし見えるのはそれだけではない。彼女の上に足をのっけている人影も同時に見えたのだ。その人影は腕を此方に向け、手に持った銃の引き金に手を掛ける。
「ふんっ!」
引き金は引かれ、至近距離より銃声が成る。咄嗟に俺は銃を蹴り上げて弾の射出角度を変える。狙い通り角度を変えられた俺は僅かに的外れな場所に飛ぶモンスター型の弾丸に一瞬だけ目をやり、蹴り上げた足で人影の腹部目がけキックを入れる。
「うっ!」
当った後退する感触と彼女のうめき声が耳に届く。いざ目の前の人影があったところに目をやると最早そこにはそれらしき影は見当たらない。俺はに持ったラクシュミーを引きずりその土煙から抜け出すため、足を進める。物の数歩でそこから抜け出すと腹部に手をやるPKが苦笑いしている姿が目に見えた。
「女性相手に腹部を狙うとか、あり得ませんよ」
苦笑いをしているPKは苦笑いを為ると、おもむろに腹部から手を離してもう一度此方に銃口を向ける。
「戦いに男も女も。堂々だろうが卑怯だろうが関係無いだろ? それに軽口をたたけるくらいしかダメージを食らってないくせに文句言うんじゃねえ」
視線はそのままにそっと頭を掻く。その隙を流さない彼女は再び数回引き金を引く。今度は邪魔する者はいないため真っ直ぐと銃弾は向ってくる。俺は引きずっていたラクシュミーを持ち上げ、横一閃に振り抜く。モンスター型の銃弾はその一閃で全て打ち落とされた。俺からしたら全く重さを感じないラクシュミーであるが他の物からしたらそれは超重量を持つ立派な武器。証拠に落とされたそれらは最早原型を留めていなかった。
「ったく。お前も人のこと言えねえな」
苦々しく思い、呆れた様な言葉が自然と出る。すると彼女はあっけらかんとした表情を浮べる。
「このくらい、なんとも思っていないのによく言えますね」
「・・・・・・。まあ、そうだ」
『カルキ、後ろです!』
言葉を言い終える前にラクシュミーが不意に後ろから襲いかかるような気配を感じ取る。彼女の指示に従い、体を反転させると、そこには彼女が先程使用したスキルによる三体の分身が今まさに襲いかかろうとしていた。軸を乱さずに反転していたお陰ですぐにラクシュミーを動かす事ができ、おれはその不意打ちを仕掛けてきた三体の分身を纏めて吹き飛ばす。
「きゃっ!」
「ぐっ!」
「おふっ!」
襲ったつもりが逆に返り討ちに遭い、おまけにその攻撃をもろに食らった分身達はそれぞれ苦悶な声を上げながら暗闇に消えていく。その間に背後からの銃声が耳に響く。さすがにこの攻撃を打ち落とせない。
「っと!」
その場でジャンプして大木の枝に乗り移ることで攻撃を回避したおれはおもむろに彼女が居た場所にに目をやる。しかしその場には誰の姿もなかった。一瞬逃げられたかと思ったが、顔を上げた先で何かが光るのが見えた。あれは金属の輝きだ。それが勢い良く額目がけて向ってくる。それが当る直前でそれを掴み、金属部分に目をやる。それはまるで鏡のように透き通った代物であった。不意にその刃に人影が映り込む。
「ぐっ!」
反射的にその刃で映り込む人影を切りつけると、それは痛がるような声を上げてまた暗闇に消えていく。それを確認して、掴んだ刃を投げ捨てる。
「分身か。本当に厄介なスキルだな」
『第四形態じゃさすがに分が悪いんじゃないでしょうか?』
「そうかもな。悪いが第一形態に成ってくれ」
『分かりました」
指示にすぐに従い、彼女は第一形態である片刃剣に姿を変える。その間に反対側の手でアイテムボックスに手を突っ込んで片刃の短剣を取り出して、首に掛けていたソニックカイザーを耳に当てる。
「全部探せ」
おもむろに呟くと、ソニックカイザーは一秒も待たずに本体分身関係無く、全ての位置をおしえてくれる。
「数は十二か。どれが本物かは今は良いな。全部倒せばいいわけだからな」
口にして、俺は両手にしている刃をどちらも木に深く差し込む。ラクシュミーは今乗っている枝に。短剣は木の幹に。容易には抜けないよう。両手が開くと二つともアイテムボックスに手を突っ込んである物を取り出す。
「じゃあ、いろいろと驚いて貰おうか!」
俺が今取り出した物。それは二丁の長身の銃だ。言葉にすると共に分身が居る方向にそれぞれ銃口を向ける。それを目にして驚いているような声も聞える。俺はそれぞれ三発ずつ撃つ。それは真っ直ぐに彼女らに進んでいく。二発は分身を貫き、その気配は消えさる。残りの四発は迎撃されてしまい当ることもなかった。しかしめげずに俺は銃に残った残りの四発。合計八発を撃ち尽くす。予想通りというかそれら全ては当らずじまいに終わる。しかしそれでいい。役目を終えた銃をアイテムボックスに戻し、再び両手を剣の柄に戻し、それを引き抜く。ゆっくりとした動きで顔を上げる。
「分かってんだよ!」
顔を上げた直後、襲いかかってくる彼女。又は彼女の分身が目に入る。手には鈍色に光る短剣が握れらており、斬りかかってくる。 素早い動きで短剣を持っている方の腕を上げると同時に金属が擦り合った甲高い音が響き渡る。
「どうだ? 驚いただろ?」
自然と口角が上がり、彼女に問いかける。するとそれに答える酔おうに迷走そうな表情を浮べる。
「ええ、それはもう。まさか銃を使ってくるとは予想もしてませんでしたよ」
言い終えると彼女は俺から離れようと後退する。しかし逃す気のない俺は咄嗟に後退しようとする彼女に足を掛ける。バランスを崩した彼女は、どうすることも出来ず眼下に落下していく。そこで気配は消えた。
「残りは9」
一度屈んで弾みをつけ、一向絵の枝に飛び移る。為ると途中で両手に短剣を持った彼女が斬りかかる。
「残念だな」
斬りかかろうとする彼女に蹴りを入れ、さらに両手に持った刃で切り払う。刃からはどちらも当った感触が感じられ、内心ほくそ笑みそれを地面に向け蹴り落とす。そこからはどうなったかは言わなくても分かるだろう。無事に上の枝に飛び乗った俺はある方向に目をやる。するとそこから浮かび上がるように彼女の姿が現われる。
「さすが超級と言うべきですかね? あっという間に四体もやられるなんて」
困った様な顔をして、彼女は溜息を吐く。その問いかけに俺は鼻で笑う。
「お前も中々やる方なんじゃないのか?」
無表情ながら言葉を返す。すると彼女も仄かに笑い声を上げる。
「「「お世辞でも嬉しいですよ?」」」
その声は三方向から聞え、どれも同じ回答を為ている。別に驚きもしない。ソニックカイザーの恩恵でその宝庫にいる補とは想定済みだったからな。俺は目を巧みに使い、目の前に居る彼女以外の声を出した分身に確認の為僅かな時間だけ感覚を向ける。
「面倒な奴・・・」
「「「褒め言葉として受け取っておきますよ」」」
言い終えると、声を発声していた3体が銃口を向ける。それらはそれぞれ六回引き金を引き、合計18体のモンスター型銃弾が射出される。
「っ!」
舌打ちを一回鳴らし、俺は行動を取った。まず最初に為たことは回避出来ないようにと仕込んだであろう、俺の足を固定仕様とした二体の分身をラクシュミーと短剣で切り裂いた。似たいの分身は斬撃を入れると霞の様に消えていく。しかしそれを見届けることは出来なかった。その前に射出された銃弾が今にも俺を噛みつかんばかりに迫っていたのだ。それも三方向から同時に。全部切り落とすことは可能。しかし多分この後も弾丸は打ち続けられる事は予想が出来た。それだとコチラの体力が持たないかも知れない。俺は瞬時に判断して、三方向に内、一方向に背を向ける。
「ラクシュミー!」
『
俺の考えを理解したラクシュミーは咄嗟にそのスキルを発動させる。このスキルはラクシュミーの能力特性の一つをを守りの方に生かした、彼女だけが使える防御スキル。彼女の能力特性は主に分けると二つある。一つ目は俺が防御不能と言われる由縁の能力である
「はあアアッ!」
一方向から来る弾丸がラクシュミーのスキルによって阻まれることによって俺は気兼ねなく、残り二方向から来る弾丸の迎撃に集中できる。声を上げながら、俺は迎撃の際に発せられる爆発に巻き込まれないようにうまくよけつつ、モンスター型の弾を切っていく。スキルを発動した方向から聞える、六発の爆発音。そして迎撃に勤しんだ十二発。これで彼女らが放った弾丸は全て撃ち落としたことになるが、再びその三方向から六発づつの発砲音が新たに聞えた。
「おい!」
『大丈夫です。十分耐えられます』
焦った様に問いかけると、彼女は自信ありげに返答を為てくる。
「信じるからな!」
言葉を言い終える頃にはもう三方向よりの銃弾はコチラのパーソナルエリアまで侵入為てきている。俺は意と津一つに目を向けていき、一心不乱に両手の刃で切り漏らしの無いように素早く丁寧打ち落としていく。その甲斐あってかすぐに十発の弾丸は撃ち落とすことに成功した。残り二発。油断しないように剣を振るう。
『カルキ、上です!』
残り一発を切ろうと為た矢先に、突如として相棒からの悲鳴に似た忠告が耳に入る。しかし今その方向に目を向けられない。彼女の指摘から為て隠れていた三体の内の何体かが奇襲を掛けてきたことが窺える。瞬時にその一発を切り落とすと、すぐに顔を上げる。そこには上の枝から降下しながらコチラに銃口を向けた分身の一体が見える。このままだと、あのモンスター型の銃弾の餌食になるな。
「しゃらくせっ!」
咄嗟の判断もとい悪あがきで左手の短剣を降下為てくる分身に投げつける。その行動を想定為ていなかったのか、分身は空中でもたつきながら、その件を弾いた。その間コチラに目は向けられていない。これはチャンスだな。軽く膝を折って、分身を迎撃しようとジャンプする。物の数秒で剣の届くところまで近づき、分身は驚愕に顔を染めていた。しかしこれで終わりだと思って欲しくないものだ。右手に持っていたラクシュミーを掲げると、彼女はスキル発動の準備を終えていた。
「
俺が不愉快になった分だけ、コチラの攻撃に対する防御を無効化し、一撃一撃に相手のHPの内0.5のダメージを負わせるスキル。しかし分身にはHPは存在せず、このスキルの一撃で霞の様に消え去ってしまった。折角スキルを発動させたのに、これでは不完全燃焼もいいとこだ。目的を終えたため、元の枝に着地して軽く息を吐く。
そんな時だった。ソニックカイザーが遠方より妙な音を拾ったのは。激しく響かせる気か機械の駆動音。木々が氷見潰されていく破裂音。そして機械的な音声とどこかで聞いた事があるような語尾に『クマ』と発する人物の会話音。あいつ。来てたのか。だが何の目的があってだ? しかも第七形態で発動していると言うことは、あいつが本気を出さざる終えない敵。又は、機嫌を損ねた奴がこの森にいるのか? とにかく関わらないように使用。俺も今少し面倒な奴と対面している最中だしな。そんな事を考えていると、その音が徐々に近づくように大きくなっていった。それはもうソニックザーなんて使わなくても。ふと、対面している彼女に目を向けると、困惑したような顔をして首を傾げている。どうやら彼女はこの音の正体を知らないらしいな。まあ、知ってる人間なんてこのくにじゃあ数人しかいないけどな。様子を伺い続けると、彼女は分身共々構えは解かない物の、明らかに動きを止めた。正体不明の音が何故か近づいてくる。それだけで警戒するのには申し分ない言い訳だ。しかしなんでコチラに近づいてくるんだ。・・・・・・・もしかして・・。
俺の考えが当ったかのようにその走行音は突如止み、別の音が耳に入った。それは数発の砲弾を発射した際の起こる空気を破裂させたような音と発射された砲弾により空気を切る音だ。この音を聞いた瞬間俺は嫌な予感がし、急いで地面に降りた。
「ラクシュミー!」
『敵攻阻む隣妻の加護!』
俺の焦った様な声に反応してか、彼女も同じような声でそのスキルを発動させる。幸い前の発動から一分経過していた為、すんなりと発動出来た。しかし、それは間一髪のところで全部展開されたのだ。何故なら、発射された砲弾はもう目の前まで迫っていたのだ。
「くっ!」
雨の様に発光した砲弾群が俺らを含む辺り一面に降り注いだ。俺はスキルがあるから別に痛みを感じることはない。数秒後にはそれは止んだ。しかし辺り一面を見渡すとみっしりと生えていた木々は砲弾の被害を受けて根っこだけ残して、後は残らず爆散して開けた場所になってしまっていた。
「やり過ぎだ。シュウ」
黄昏れるようにそう口にする。言葉が帰ってくる事を期待などしていなかったのだ。
『自分でも思うクマ!』
不意に背後から帰ってこないであろうと思って居た返答が聞える。そう帰ってくるはずのないの言葉がだ。その言葉を耳にして、俺の中で張り詰めていた物が一気に切れ、途方もない疲労感が押し寄せる。それと同時に彼女に抱いていた感情が急激に馬鹿らしくなってしまった。もうで王にでもなれという思いを共にして疲れた様にその方向に目を向けるとそこには様相通りの人物。この惨状を生み出した本人。【破壊王】シュウ・スターリンの姿があった。