Re:2人で始める素晴らしくも険しい異世界生活に祝福を! 作:キリンビールR
「こんのクソったりゃあぁァァァ‼」
叫んだ途端に大量の視線を感じた。
そりゃあいきなり街中で奇声を発していたら、誰だって注目するだろう。だがしかしそんなことも気にならないほどに叫びたい気分だったのだ。
取り敢えず歩こう、視線が痛い。
それにしてもここはどこなんだ?本当に異世界?
だとしたらどうすればいいんだおい、やっぱりろくな事にならなかったじゃねぇかあの駄女神め!何としてでも帰って泣かせてやる。
そもそも天界の規制とやらはどうしたんだ⁉失敗に終わったんじゃなかったのかよ!
何はともあれ、何かしらしなきゃな。このままじっとしてれば助けが来るかもしれないが、そんな希望を持てるほど異世界が甘くないのは知っている。
何かあった時の為にいくらか金は持っているが、使えるだろうか。ここが本当に異世界なのかも分からないんだしな。そうだ、テレポートしただけに違いない。規制だってあるんだしな。
取り敢えず、金が使えるか手頃な店で試すしかないだろう。
考えているところに八百屋のような店が目にとまった、よし、ここで試してみるか。
「なあ、おっさん。ちょっといいか?」
「いらっしゃい、何をお求めで?」
なんか見たこと無い野菜のようなものもいくつかあるな。まあ、この赤い果物は
「このリンゴはこれで買えるか?」
そういいながら手の中の200エリスを見せた。
「ん?リンゴ?これはリンガだぜ?それになんだこの硬貨は、見た事ねぇな。残念ながらうちじゃそんな硬貨は扱っちゃいないよ」
「な、まじでか、そこを何とかできないか?」
「無理なもんは無理だ、金がねぇならさっさと行くんだな!ったく、今日はなんでこうも文無しが寄り付くのかね」
くそっやっぱ使えないか、それにしても見たこと無い?たぶんあの世界はエリス硬貨で統一してるって聞いた気がするけど。ちゃんとダクネスに聞いときゃよかったな。ん?
「今文無しが来たのが1回目じゃないような事言ってたけど、どういう事だ?」
「さっきも来たんだよ、てめぇみてぇな知らねぇ硬貨をもってリンガを買えるか聞いてきた坊主がな。そういやそいつもおめぇ見てぇに黒髪黒目だったな」
「へえ、黒髪黒目か。そいつがどこに行ったか分かるか?」
見たことの無い硬貨を持っていて黒髪黒目。ここを異世界とするなら、そいつもこの世界に来た異世界人かもしれないな。ただ珍しい人間が同じ日にここに来たってだけの可能性もあるが、探してみたい気もするな。
「あ?そんなもん知らねぇよ。あっちの方に歩いてったってだけだ。おら、商売の邪魔だ!さっさとどっか行っちまいな」
「そうか、ありがとな、おっちゃん!」
同じ異世界人なら何か聞けるかもしれん。まだ近くにいたらいいんだが。
そんなこんなで歩くこと数分、全然見つかんねぇ。
そりゃそうだ、いくら髪の色が珍しいからって、一人の人間をこの人混みから見つけるなんて、そう簡単なことじゃないしな。
そんなことを思いながら途方に暮れていると、路地裏にいる4人の人影が目に入った。
その人影に目を向けると大柄な男、細身の男、そして子供のように小さな男が、一人の人間を前に取り囲んでいるようだった。そういや、アクセルの街じゃダスト以外でチンピラなんて見なかったな。ほんと、治安だけは良かったからな、あそこは。
まあ、お気の毒様ってことで、悪いが俺は危ない橋は渡らない主義なんだ、恨むなよ。と、去ろうとしたとき。絡まれて土下座している男が見えた
「あれ?あいつ」
絡まれているのは黒髪黒目の男だった
やっと見つけた特徴に一致する人間が揉め事起こしてるって…本当に運が良いのか疑いたくなる。
だが、あいつはきっと日本人だろう。理由はそいつの服装にある。そいつが着ていた服は、デザインは違えど俺が持つ唯一の日本の思い出の品。そう、ジャージだった。
助けてみるか、俺もそれなりにレベルの高い冒険者だ、流石に街のチンピラぐらいになら負けはしないだろう。そう思いたい。
こっちの世界でもスキルは使えるのか?試しに、初級の着火魔法を唱えてみた。よし、使えるな。それならと、俺は潜伏スキルを発動させ、チンピラ達の背後に忍び寄り
「ダブル『ドレインタッチ』!」
「「ガアァ!」」
チンピラの3人の内、弱そうなチビを除いた2人の首根っこを掴み魔力と体力を全力で吸い取ってやった。
「うおっ、なんだてめぇ!何しやがった!」
そして、相手が警戒している隙に
「『ドレインタッチ』!」
「ガアァ!」
最後のチビも頭に手を当て、倒れるまでドレインタッチをお見舞してやった。よし、なんとかなったな。やべぇ、今の俺超カッコよくね?
「あんた、大丈夫か?立てるか?」
突然起こった出来事で、目を白黒させている男に、俺は取り敢えず自己紹介をすることにした
「俺の名前は佐藤 和真。あんたは?」
「え?お、俺は、菜「邪魔だ邪魔だ!どいてくれ兄ちゃんたち!」へ?!」
「うおっ?!」
お互いに自己紹介しようとしたところで、いきなり金髪のロリっ娘が俺達の方へ走ってきた。
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数分前スバルside
その時菜月 昴は後悔していた。
無理無理無理無理無理ィ!刃物は無理だって!敵いっこない!誰か助けてェ!
「ちっ、んだよこの野郎、金になりそうなものなんて全然もってねぇぞ、無駄に手こずらせやがって」
「すいません!靴でもなんでも舐めますから!どうか命は!」
はい、舐めてました!すみません!異世界だから勝てると思ってましたごめんなさいぃ!
「ダブル『ドレインタッチ』!」
「ガアァ!」
ふと、絡んできた三人とは違う男の声に反応し顔を上げてみたら、二人の男が倒れてきた。
な、なんだ今の、何したんだ?二人の男を倒した?つーかどっから出てきたんだ?それらの突然の出来事に、脳の処理が追いつかないでいると
「『ドレインタッチ』!」
「ガアァ!」
突然現れた男は、最後の1人も触れただけで倒してしまった。
「あんた、大丈夫か?立てるか?」
伸ばされた手を取り立ち上がる。
と、取り敢えずお礼を言わなきゃと思い口を開こうとすると
「俺の名前は佐藤 和真。アンタは?」
「え?お、俺は、菜「邪魔だ邪魔だ!どいてくれ兄ちゃんたち!」へ?!」
「うおっ?!」
未だに整理が追いついてない頭で、聞かれた名前を答えようとすると、突然走ってきた少女によってそれは阻まれた。
「あ?こいつら。あんたら絡まれたのか。見かけによらずそこそこ腕が立つんだな。片方はボロボロだけど…っと、急いでんだった。まあなんだ、強く生きろよ!」
走ってきた少女は、少し立ち止まってそう言うと、またすぐに走っていった。普通の人間とは思えない速さで。なんだったんだ今の…
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カズマside
あっちでも色々と凄い物は見たけど、この世界ではロリが壁をあんなスピードで登るのか。まあ俺の妹の方が凄いけどな。
「な、何だったんだ今の…。お前の自己紹介の途中だったな。それで、名「そこまでよ、悪党!」」
気を取り直して名前を聞こうとすると、またしても自己紹介は遮られた。凛とした、強い意志を持ったきれいな声によって。あと少しめぐみんに似ている
声の方を向くと、そこには美少女が立っていた。
なんかキャラの口調がおかしいかもしれません。それと少し時系列がおかしいですがご了承下さい。カズマも走り抜けた少女に遭遇させておきたかったんです。
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ご拝読頂きありがとうございました。