次の日、この奉仕部にある依頼が来た。
それはクッキー作りだった。
依頼人である由比ヶ浜結衣と一緒に家庭科室にいて、早速作ったが·····
「マジか····」
出てきたのはクッキーではなく木炭だった。
錬金術を使うところが間違っている。
「どうやったらあんなにミスを重ねられるのかしら」
雪ノ下でさえもあきれている。
「比企谷君。早速毒味を」
「····死なないよな」
「死なないわよ··········多分」
はっきりしてくれ。
そして再度クッキーを見る。俺はなんでも食えるが、これだけは食うなと脳が警笛を鳴らしている。俺は脳の警笛を無視し、クッキーを口に入れた。
すると、
バタリ
「ヒッキー!」
意識が強制ログアウトした。
十分後、俺は目を覚ました。なんでだろう。記憶が一部すっぽりと抜けていた。
「やっぱ私、才能ないのかな」
その言葉に雪ノ下が····
「ふざけないで」
「えっ?」
「あなたは才能を羨む程努力したのかしら?努力をしない人間に才能を羨む資格はないわ」
雪ノ下はいつも以上に厳しい言葉を由比ヶ浜に投げ掛けた。そして由比ヶ浜は···
「···カッコいい」
「建前とかそういうの全然言わないんだね!」
「え、その、話聞いていたのかしら」
「なんか自信沸いてきた。次は頑張るよ」
「····ええ、次はちゃんと教えるわ」
なんかいつの間にか解決していた。折本や小町には禁止されてるけど俺も料理したくなってきた。
「雪ノ下、由比ヶ浜、少しだけ廊下にいてくれ」
「「?」」
「本物の料理を教えてやるよ」
俺はクッキーを作り雪ノ下と由比ヶ浜に食べさせた。
「あまり美味しくない」
「そりゃお前のクッキーだからな」
「えっ」
「まあ男は単純でバカだからな。どんなに不味くても貰えただけで勘違いしちまうんだ。つまり、味が悪くでもお前みたいな美人に貰えただけで男は喜ぶんだよ」
「····ヒッキーも嬉しいの?」
「俺は別に」
「でも、そっか。雪ノ下さん。あたし、自分のやり方で頑張ってみるよ!」
「え、ええ」
「ヒッキーもありがとう」
その言葉で大体の人間は満足するだろうが俺はなにも感じない。壊れている俺はなにも感じない。喜びも悲しみもない。今あるのは感情の残り香みたいなものだ。だから心が満たされない。何を言われてもなにも感じない。いや、わからなくていい。俺は痛みを感じないから、心の痛みもわからない。俺は生まれた時から人としてなにかが欠落してるんだ。
そんなことを考えながら自転車を取りに行ってたら····
「あんた料理したでしょ」
今までで一番不機嫌な折本がいた。
次回料理禁止の真相が明らかに