聖杯戦争 in 総武高校   作:Iタク

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今回は視点がコロコロ変わります。ご了承ください。
短めです。



聖杯戦争開始前 他のマスターたちは……

 総武高校。

 私たちが通っている学校であり、県内有数の進学校である。

 しかし、現在はもうただの学校ではない。ここはもうすぐ戦場となるのだ。

 

 

 ある日、実家に帰った時、書物を整理しているとある一冊の古びた本を見つけた。

 

「……何かしら、これ…」

 

 たいした興味もなく、ただどんなものなのか、という小さな疑問からその本を開いてしまった。

 そのせいで、この戦争のことを知ってしまったのだ。

 

「…願いを叶えるために、殺しあう…ですって?」

 

 初めは馬鹿馬鹿しいと信じていなかったが、ネットやほかの文献で調べていくと、どうやら本当に願いを叶えるものらしい。

 聖杯、というものは。

 

 そして、次に行われる場所が何の偶然か、自分が通っている学校であった。更に、通常とは違うトーナメント方式で行われるそうだ。

 

 人を殺してまで叶えたい願いなど、自分にはないと思っていた。

 

 しかし、実際本当に叶える願望器の存在を知ってしまった。

 

 私ではもう叶えることができないと思っていた。

 

 でも、それが叶えられるなら────

 

 

「私は…この戦争に参加する…!」

 

 

 そう決心した私は、学校内唯一の友人にも、聖杯戦争の存在を教えることにした

 

 

 

 

 * * * * * * *

 

 

 珍しくゆきのんからメールが来たかと思ったら、何やら物騒な内容だった。

 戦争で勝ち抜けば願いが叶う?みたいな、そんな感じ。

 

「どうしちゃったんだろ、ゆきのん…」

 

 他の子からのメールなら、多分軽く流してた。

 でも、私が最も信頼する友達から珍しく来たメールだ。そんなことは出来ないよね。

 

 どんな願いでも叶える、かぁ…。

 もしホントなら、私は何を願うんだろう。

 

 お金?

 能力?

 世界征服?

 

 ううん、どれも違う。

 そもそも私は、今に満足してるもん。

 

 

 ……あっ、そっか。あった、私の願い。

 自覚した途端、どんどん叶えたい欲が膨れ上がってくる。

 

 この願いを叶えるためなら私は、

 

 

 命だって懸けれるよ────

 

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 

「はぁ、めんどくさいなぁ~…。早く部室に行きたい…。」

 

 全く、いくら生徒会長だからって一年生に仕事与えすぎじゃないですかね!

 まあ、私の仕事量は他のみなさんの半分くらいなんですけどっ。

 

 それもこれも全部あの先輩のせいだ。まあ、あの先輩って言っても私が先輩と呼ぶ人は一人しかいない。

 この仕事が片付いたら、今日もまた遊びに行こう。ふっふっふ、覚悟してくださいね先輩っ!

 

 ─ピロンッ

 

 不意に聞き慣れたメロディーが流れる。どうやら私の携帯が鳴ったみたいだ。

 

「んー?……なにこれ…?」

 

 来たメールを確認すると、なんだかよくわからない内容だった。

 そういえば以前、奉仕部でチェーンメールの相談があったという話を聞いたことを思い出した。今回もきっとそういう類のものだろう。

 

 しかし、送信者のメアドが見たことないものだった。

 なんだ、ただのいたずらメールのようだ。

 

「こういうのって、検索したら一発で…!」

 

 私は自分(が使ってる学校)のパソコンで、メアドをググってみた。

 身に覚えのない電話やメールなどは他の人にも来とることが多く、検索すると大概迷惑メールや迷惑電話のリストに載っている。それを確認すれば心置きなく着信拒否できるって感じ。

 

「どれどれ……え、参加資格?なんなのこれ…」

 

 検索すると、聖杯戦争?とかいう参加資格を持つものに送られるメールだ、という情報が載っているページを見つけた。

 

 どうやら、今度の聖杯戦争というものはこの総武高校で行われるらしく、生徒会長は無条件で参加を認められているそうだ。学校で行われることなどホントに極稀のようで、過去の総武校生徒会長が参加したという記録は残っていない。

 

 ……私が初めて?

 

 謎の優越感が生まれる。これっぽっちも信じていなかったこの話について、私は真剣に考えいた。

 

 もし、何でも叶うなら、

 

 どうしようもない、私のこの願いがホントに叶うなら、

 

 

 

「…覚悟してくださいね、先輩方(・・・)。」

 

 

 

 

 

 * * * * * * * *

 

 

 

 この戦争に参加するにはいくつか条件がある。

 

 ・聖杯戦争の存在を知っていること。

 ・例え魔力がなくても、魔術の心得があること。

 ・命を懸けてでも叶えたい願いがあること。

 

 以上の三つを満たせば、誰だって参加できてしまう。

 そしてそのせいで、参加者が過去最多級の人数になってしまったのだ。

 聖杯戦争とは、古来より数少ない魔術師から更に厳選された魔術師全七名による戦いだった。

 そのため、いくら殺し合っても世間にさほど影響はなく、だからこそ、この戦争の存在は表に出ることはなかった。

 

 しかし今回、100人を超える参加者となってしまった。

 

 そこで、聖杯戦争の管理プログラムは対策を検討した。何か別の方法はないか、と。

 すると、参加者全員の共通点を見つけた。

 

 皆、ある高校(・・・・)の生徒、または関係者であることがわかったのだ。

 

 そこから管理プログラムは、過去に月面で学校を舞台とした聖杯戦争をベースとしたものに、今回することを考えた。

 

 ・戦いは指定された決戦場、もしくはカギ探索を行う別エリアだけで行うこと。ただし別エリアで行う場合、制限時間付きである。

 ・校内の時間を進む早さは世界とは隔離され、今回の聖杯戦争は、一般時間では一日間となる。

 

 以上二つのルールは、参加者皆が知っているルールである。

 

 だが、三つ目のルールは誰も知らない。

 

 これは管理プログラムだけが知ることであり、聖杯戦争の案内NPCでさえ知らない情報なのだ。

 誰も知る由もない。

 知らないからこそ、100人を超えるマスターたちは決死の覚悟で戦いに挑む───

 

 

 

 

 * * * * * *

 

 

 

『さて、聞こえるかな?128人のマスター諸君。』

 

 聖杯戦争に参加することを決心した私、雪ノ下雪乃は案内NPCに連れられて指定された部屋に案内された。

 しかし、まさか平塚先生の姿とは驚きを隠せなかったわ…。他のみんなもそうであったもの。

 

 驚いたことといえば、他の参加者がほとんど総武高校の生徒であったこと。

 顔見知りと殺し合うなんて少し辛いけど、もうそんなことは言ってられない。みんな殺しに来る。願いを叶えるために。

 ここに来たからには、優しさはもう捨てなくては……

 

 そんなことを思っていると、再び平塚先生…のNPCの声が聞こえてきた。

 

『戦いの前に、皆には自身の使い魔である、サーヴァントを召喚してもらう。通常、召喚において使われる触媒によって召喚される英霊が決定するのだが、今回は参加者の人数が多く、召喚されるサーヴァントが重なる可能性がある。英霊によっては複数クラスを持たないものもいるため、クラスは基本七騎士からの完全ランダムということになる。必要なのは呪文だけだ。より強いサーヴァントを引き当てることを祈っているぞ。』

 

 そこでアナウンスが終わる。とうとう来てしまった。

 この召喚は自分の生死に関わるといっても過言ではない。

 触媒がいらないことは事前に知っていたが、上位サーヴァントを引き当てる方法は最後までわからなかった。

 だから、悪あがきのようにひたすら魔力上限を上げていた。魔力値の高さとサーヴァントの強さが比例するのではと考えたからだ。

 

「もう、腹を括るしかないわね……」

 

 はぁ、と一つ深呼吸とし、右手を伸ばし、呪文を唱える準備をした。

 

 

 

 

 

 

「────告げる」

 

 

 

 

 

 

 * * * * * *

 

 

 

 ─数分前

 アナウンスが終わった後、皆が部屋で呪文を詠唱し始めた。

 

 

 別ルームでは、金髪の美形青年が、

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。」

 

 また別ルームでは、眼鏡をかけた清楚系腐女子が

 

「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、」

 

 目つきの鋭い長髪の長身ポニーテール女子が、

 

「王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」

 

 髪が少し赤い短髪女子が、

 

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。」

 

 髪が亜麻色セミロングの生徒会長が、

 

「繰り返すつどに五度。」

 

 ウェーブのかかった茶髪のスタイルのいい童顔女子が、

 

「えっと…あっ。ただ、満たされる刻を破却する」

 

 そして、綺麗な黒髪ロング女子が、

 

「────告げる」

 

 

 各々自分の部屋で呪文をここまで唱えていると、目の前に描かれた魔法陣が赤く光り始めた。

 

 

 おっとりした雰囲気の三年女子が、

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。」

 

 黒髪セミロングの女子大生が、

 

「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 体格が太めの眼鏡をかけたロングコートの男子が、

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」

 

 参加者の中で最少年の女子小学生を含む数人は、他の人よりも呪文が数節多く、

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。」

 

 そして…

 

「汝三大の言霊を纏う七天、」

 

 

 魔法陣の光が強くなり、そこから風が発生している。部屋の中はめちゃくちゃになり、気を抜けば自分まで飛ばされそうになる。

 皆、呪文が残り一節を残す。

 参加者は、最後の一節に全ての力を込めて…………

 

 

 

「「「「「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」」」」」

 

 

 

 ピカッッッ!!!!

 

 

 目の前が真っ白になるほど魔法陣が光り、強い衝撃を感じた。

 だんだんと光が弱まり、皆自分のサーヴァントを確認する。

 

「……勝った。この勝負、僕の勝ちだ…!」

 

「う~ん、出来れば男の娘が良かったんだけどな、ぐ腐腐」

 

「…これは……猫耳?」

 

「これであいつを………覚悟しな…ヒキタニ…!」

 

「んー、この人は当たりなんですかねぇ。」

 

「おー、なんかカッコいいね!」

 

「………よりにもよって、このサーヴァントだなんて…」

 

「一緒に頑張ろうね~!おー!!」

 

「…やっぱり、予想通りだ♪」

 

「フハハハ!サーヴァントよ、我に従え!…あ、すいません冗談です」

 

「………まずは制御しなきゃ……、それができれば…」

 

 

 

 128人のマスター達が英霊の召喚に成功し、早速一回戦が始まった。

 その時、誰も考えもしなかった。

 

 この後、129人目のマスターが参戦することを。

 

 そして、そのマスターのサーヴァントが特殊クラスであることを……

 

 

 





次話から本編になります。
本編は基本八幡視点になりますので、今回のような他視点は希なものだと思っておいてください
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