ある日、桐ケ谷は清州城城下を散歩中に盗賊野武士に村を占領されて困っていると言う百姓と出会う。訳を聞いた政宗はすぐさま兵を動員させその村の救出に向かうのであったのだが、その話を聞いた信奈たちも一緒についてくるということになってしまったのであった。そして現在。日本軍はその村がある地点から4キロの地点で止まり陣を張っていた。そして・・・・
「あの先がお前の言っていた隠れ村か?」
「は、はい・・・・そうです」
と、俺は小高い丘の茂みの中に隠れ双眼鏡を覗きながらそう呟く。双眼鏡に見えたのは村っというよりもまさに城のような物だった。あたりは壁に囲まれている。そしてその真ん中あたりに村らしき建物と城のような建物ががあった。
「村というよりありゃ完全に城だな。これは少しだけ厄介になりそうだな・・・・で、なんで乗っ取られたんだ?」
「実は・・・・」
と、農民が言うにはなんでも城門の閂を閉め忘れてその隙に賊の大群に押し寄せられ戦うことも知らない村人たちは対抗できるわけもなくすぐに占領されてしまったらしい。その言葉を聞きお俺は
「(閉め忘れて強盗とかそう言う類に入られるのはいつの時代も同じだな・・・・)」
と、苦笑し、そして俺と農民は陣へと戻る。
「・・・・・で、どう桐ケ谷?」
陣に戻ると信奈が待っていて俺にそう訊くと
「ああ、完全に村というよりは城だな。まあ、そんなのどうでもいいけどな」
「そうなの?・・・それよりも桐ケ谷。本当に大丈夫なの?たった200人以下の人数で1000人相手に戦うなんて?」
「任せろ。伊達に皇軍名乗っているんじゃねえからな。それに俺たちには実戦経験も多少はあるしな」
そう、俺たちの部隊は少し前まで義勇軍として南方諸国の独立軍に参加していたことがある。あの時はイギリス、オランダ相手に戦ったけな・・・・・だが、今回の相手は同じ日本人。しかも野盗・盗賊とはいえ侍だ。戦国時代の武士は接近戦がかなり強い。当時の世界で言えばまさに最強の兵士だ。確かに俺たちには現代の武器という強い味方がある。だがその弾薬も無限ではない。まあ、月島基地では代理の武器となるドライゼ銃の生産を試みているんだがな。だからこの戦いはすぐに決着をつけなければならない。そう考えていると
「ちょっと桐ケ谷!何考えているのよ!!」
「うわっ!?」
と、耳元で大声を出す信奈に俺は驚く
「の、信奈。なんだよ?」
「なんだよじゃないわよ。ボーとして?」
「ああ、なんでもないよ・・・・・「桐ケ谷氏」五右衛門か?」
と、俺がそう言うと五右衛門が現れた。因みに彼女の部下も含め五右衛門は正式に日本軍の一員となっており、階級は少尉となっている。
「な、なにこの子!?もしかして敵!?」
「違う。違う。こいつは蜂須賀五右衛門。俺の仲間だよ。・・・で、五右衛門。村の中調べてくれた?」
「もちろんでござる」
「で、盗賊や村人たちはどこにいるかわかったか?」
「村人たちは皆・・・・地下牢獄に幽閉されており・・・・盗賊は・・・村の建物にいるでござる」
と、ゆっくりと喋る。これは噛まずに言うためである。地下牢獄か・・・・それなら砲弾と彼の流れ弾問題はないな・・・・・
「そうか・・・・ありがとな」
と、俺がそう言うと五右衛門はふっと笑いそして闇に消える。そして俺はSTGを手に取り
「さて、それじゃあ、行きますか。辻、」
「あいよ。なんだい少佐?」
「西住少佐を呼んでくれ。戦車が必要だ」
「了解した」
と、そう言い辻は敬礼してその場を後にし俺はSTGのマガジンを装填して
「さて・・・・・それじゃあ、始めますか・・・では織田の皆さん、俺達の闘いぶり、とくとご覧あれ」
「ええ、是非拝見させて貰いますよ桐ケ谷殿」
と、長秀はそう言い俺は信奈を見て
「・・・・・信奈」
「な、なによ」
「この丘からよく見ておけよ・・・俺たち大日本帝国軍の・・・・近代戦をな」
と、そう言い俺は辻たちのいるトラックへ向かうのであった
「ふっ・・今日も大量に他の村から分捕ったな~」
「そうだな~食料も金目の物も大量だ」
と、城壁の上で見張りをしている盗賊たちが酒を飲み笑いながらそう言う。
「でもさ~こんだけ派手にやったら他の大名たちに目を付けられないか~?特に織田とか?」
「はっ!この隠れ村は森なんかで囲まれているんだ。それにたとえ織田に見つかったとしても今は今川なんかと戦でていいっぱいだからすぐには来ねえよ」
「そうだな~」
と、笑いながらそう言う賊たち。すると何やら風を斬り裂くようなすさまじい音が聞こえる
「ん?なんの音だ?」
と、そう言った瞬間。彼らのいた城壁はすさまじい爆発を起こすのであった。そしてその爆発の中生き残った見張りの賊の一人はあるものを見た。
「な、なんなんだ・・・あれ」
と、震えながらそう言う彼の見たそれは森の奥に枯草色をした鉄の塊のような大きなものがこっちに向かってきているのだ。
「初弾、城門に命中!」
「さすがティーガーの88㎜すさまじい威力だ」
「少佐。次も撃っちゃいますか?」
「いや、砲弾が惜しい。それにあの城壁なら簡単に突破できる。そのまま進め!戦車前進!!」
「了解!」
と、まほ率いる戦車隊はティーガーを先頭に城壁へ突っ込む。初めて戦車を見た賊たちはパニックを起こし慌てて弓やら鉄砲やら撃つが戦車には全く効かず、そのまま戦車隊は壁へたどり着きそのまま体当たりする40~50t近い重さの鉄の塊に土壁が耐えられるはずもなく壁は崩れ突破される。そして突破した戦車の背後にトラックが
入り込み
「全員降車!!着け剣!!」
と、桐ケ谷の言葉にトラックに乗っていた歩兵たちは銃剣をつけてトラックを下り、小銃や短機関銃、そしてハーフトラックから一式重機関銃や二式汎用機関銃などを襲い掛かる賊に向ける。それを見た賊たちは
「なんだあいつらは!?」
「見たこともない格好だが伴天連の軍か!?」
「かまうことはねえ、ぶっ殺せ!!」
と、建物から出てきた総勢1000名近い賊たちが槍や片手を手に襲い掛かる。それを見た桐ケ谷は
「敵が来たぞ!敵は今興奮状態だ心臓を撃ってもすぐには死なん!頭をねらえ!!堀曹長とおやっさんはこの村の地下牢で捕らわれている村人を救出しろ!!」
『了解!』
と、そう言い堀曹長と船坂軍曹は数十名連れて村人の救出に向かう。それを見た桐ケ谷は軍刀を向け
「辻!」
「了解!総員射撃開始!!」
と、辻の言葉と同時に歩兵たちは四式小銃やら百式短機関銃や62式機関銃を撃ちまくる。その銃撃の雨に賊たちは将棋倒しになり
「ロケット砲!装填よし!!」
「撃てぇー!!」
「バズーカ部隊に後れを取るな!迫撃砲隊、撃てぇー!!」
と、歩兵の一人が
「宮藤!突撃喇叭!!」
「はい!」
と、宮藤は返事をしそして士気を上げるため突撃喇叭を吹き、始めそして政宗は軍刀を振り
「突撃に-前ぇー!!」
『万歳っーーーっ!!!!」
と、鬨の声をあげて生き残った賊に万歳突撃を敢行する。万歳突撃といえば大戦時に我が日本軍が玉砕するときによく使われていたが今日では玉砕を敢行する時ではなく相手に対し銃剣突撃を敢行するときに叫ぶ時の掛け声として使われている。話を戻そう賊は先ほどの銃撃でただで士気が崩壊している中、すさまじい気迫で銃剣突撃をする日本軍に驚気はするがすぐに槍や刀で応戦するが歩兵の銃剣術や短機関銃を持った歩兵たちに次々と倒される。そして
「大変です頭!!地下牢に閉じ込めた村人が逃げ出しました!」
「なんだと!?見張りの連中は何をしていたのだ!!」
「は、はい・・実は先ほどの伴天連どもにみんなやられました!」
と、部下がそう言うと賊の頭らしき落ち武者は悔しそうな顔をしていると
「貴様がこの盗賊の大将か?」
と、そこから枯草色の南蛮風の格好をした短い黒髪の少年がいた。
「だったらどうする!!」
「貴様らの兵は最早壊滅した。潔く降伏しろ。降伏するなら命まではとらないぞ?」
と、そう言うが賊の大将は刀を抜き
「ふざけるな!」
とそう言い斬りかかるが、その少年はひらりと躱し。そして横一文字に賊の頭を斬った。
「ぐはっ!!」
口から血を吐き賊の頭は自分を斬った少年を睨み
「お、俺は絶対に認めねえぞ・・・・こんな飛び道具ばかり使うのが戦いであってたまるか・・・・」
と、そう言い絶命した。そしてそれを見た桐ケ谷はその死んだ賊の頭に、両手を合わせ、そしてその場を後にし、そして崩れた城壁を見るとそこには旭日旗が立てておりそして
『バンザーイ!!バンザーイ!!バンザーイ!!』
と、歩兵や戦車兵が万歳三唱をしていた。すると堀曹長らに救出された村人たちがやってきて、お礼を言いそして村長らしき老人が
「ありがとう・・・・おかげでわしら村の皆は救われました。あなた様はどこの国の軍隊なのですか?」
と、そう訊くと桐ケ谷は
「俺たちは・・・・・大日本帝国軍です」
と、敬礼して答えるのであった。
「・・・・・・なによ。あれ・・・」
「たった一刻で千人以上いた盗賊が壊滅・・・80点です」
「それにあの種子島、連発しているこれが未来の戦い方なのか?」
一方、丘の上で様子を見ていた信奈たちは驚いていた
「これはとんでもない相手と同盟をしてしまいましたね・・・・・姫様」
「そうね・・・・でも桐ケ谷なら謀反なんてことはしないはずだから大丈夫よ」
「そうだといいですね・・・・・50点」
と、信奈たちはそう言い桐ケ谷たちが戻ってくるまで唖然とした顔でその村に掲げられて風に吹かれ靡いている旭日旗を見ているのであった。