とある場所の空の上で一機の偵察機が飛んでいた。その偵察機はかつて日本海軍が作りだし『我に追いつくグラマンなし』の電文で有名な快速偵察機『彩雲』であった
「どうだ?何か見えたか?」
「全然。見渡す限りの海に山・・・近代的な建物どころか船すらねえ・・・・・」
「本当に戦国時代なんですね・・・・・」
と、彩雲の搭乗員たちがそう話す。
「そう言えば陸軍の連中、この前賊討伐で派手に暴れたらしいぜ」
「いいな~俺たち航空兵もそれに参加したかったぜ・・・・・」
「確かにな。それに陸海の戦闘機隊の連中、不満にぼやいていたぞ「空戦が無いから暇だ」って」
「確かになこの時代には空母や戦艦どころか航空機が存在しないんだから戦闘機隊の出番はないよ。やるとしても爆撃か地上兵に対して機銃掃射するぐらいだからな。さて、そろそろ戻るか。いい加減に月島に戻らないと燃料が無くなるぞ」
「了解。あ~途中で空母とかあればな・・・・・・・ん?」
「どうしたんだ?」
と彩雲の操縦士が何かに気付く。それを見た機長が送受に訊くと
「いえ、三時方向にある島影に何かがちらっと見えたんです」
「きっと木造船だろ?」
「いえ、それにしては少し大きかったような・・・・」
「よし、これは確認する必要があるナ。すぐに島の裏に回れ」
「了解」
そう言い彩雲は島の裏側に回る。すると・・・・
「機長!?島の裏側に数隻の船。しかも木造船じゃありませんん!あれは・・・」
「バカな!?空母に重巡だと!?なんでこんなところに!?」
「すぐに月島基地や桐ケ谷大佐たちに至急電だ!急げ!!」
一方、清州の長屋の部屋の中で俺と辻と宮藤が飯を食べていた。因みに部屋は一つで三人から4人は入れる。それと部屋割は普通の部隊だと階級とかで決めているんだが俺の部隊はそれはしないでくじ引きで決めている。
「いや~やっぱ軍曹の作る飯は美味いな。なあ辻?」
「そうだね。だけどそれ以前にまさか戦国時代に来てジャガイモやカボチャの煮物が食べれるとは思わなかったわね。ありがとね軍曹」
「いいえ、私のおかげではありません。補給部隊の人がジャガイモの種芋を使って栽培してくれたおかげです。私はただ料理しただけですから」
と、そう言うものの宮藤は嬉しそうに言う。因みに長屋の庭にはウコギの葉だけではなく別の野菜があった。それはトマトにカボチャ、そしてサツマイモにジャガイモであった。なぜそんなものがるかというと補給部隊が積んでいた食料の中にジャガイモの種芋。カボチャ、トマトの種があったからだ。最初は栽培するのに苦労はしたが今ではこの長屋の庭にたくさんありたまに一緒に住んでいる足軽におすそ分けをしたりしている
「・・・・美味しそう」
「あれ?犬千代にねねいつの間に来たのか?」
「ついさっきですぞ!」
「・・・・いい匂いがしたから。桐ケ谷たち、何食べているの?」
「ん?ああ、ジャガイモとカボチャの煮物だよ」
「かぼちゃ?」
「ジャガイモとは何ですか?」
と、ねねと犬千代が首をかしげると
「ジャガイモとカボチャって言うのは南蛮の野菜のことかな?ねねちゃんや犬千代ちゃんも食べるかい?」
「はいですぞ!」
「食べる・・・・・」
辻が誘うとねねと犬千代は頷き宮藤はお椀にジャガイモやカボチャを入れて二人に渡すと二人はそれを食べる。するとねねは笑顔で
「美味しいですぞ政宗殿!」
「美味しい・・・・・芳佳お代わり」
と嬉しそうにそう言い犬千代も無表情ながらも嬉しそうな声でお代わりを要求する
「はいはい待っててね。すぐにお代わり盛るから」
と、そう言って宮藤はまたお椀にジャガイモ・かぼちゃをよそい渡すと犬千代はがつがつ食べる
「すごい食いっぷりだね~今までウコギの葉しか食べていなかったのかい?」
と辻が苦笑していると犬千代は頷く
「おいおい、犬千代は成長期なんだからもっと栄養つけないと背が伸びないぜ?」
と、俺がそう言うとムスッとした表情になる。あれ?なんか変な事言ったか?すると犬千代は
「胸は飾り・・・・・」
「・・・・は?別に胸の話なんかしてねえけど・・・・・」
「桐ケ谷は胸の大きい女好き?」
と、そう訊くと辻と宮藤が俺のほうをじっと見る。その問いに俺は悩む
「う~ん・・・・俺は女性のそういう胸の大きさのことは気にしたことはねえけど。女性の魅力は胸や顔だけじゃ決まらねえし、別にそう言うことで差別はしねえよ」
「大佐・・・・」
「ふっ・・・・」
「政宗・・・・いいヤツ」
「?」
と、宮藤、辻、犬千代が少し嬉しそうな笑顔を見せねねは首をかしげていた。なんだろう。俺何か言ったか?そんなことを思いながら俺たちは食事を楽しむ・・・・・はずだったんだが
「なんだ?なんか外が騒がしいな?」
と、何やら外で怒鳴り声が聞こえる
「やれやれ・・・・おおかたうちの歩兵たちが酒に酔って暴れているんじゃないかな大佐?」
と辻がまたどこからか取り出したのかウォッカを飲みながらそう言う
「あわわ、ど、どうしましょう大佐?」
「たく、しょうがねえ連中だ。ちょっと注意してくる」
と、そう言い俺は立ち上がり外に出る。
「おい、お前ら、うるさいぞ!少しは近所に住んでいる奴らのことも考えんか!」
と、そう言うが表にいたのはうちの歩兵部隊でもましてはまほ少佐の戦車兵の連中ではなく馬に乗った若侍の集団が俺たちの済んでいる長屋を囲んでいた
「・・・・あんたら、どこのもんだ?」
「ふっ、我らは、織田勘十郎信勝さまの親衛隊だ!」
と、若武者の一人がそう言う、織田信勝?信勝、信勝・・・・・・・
「・・・・・ああ、思い出した。確か信奈の弟だっけか?」
会ったことはないがな。そう言うと若武者は顔を赤くし
「この!足軽の分際で信勝さまを呼び捨てにするな!」
と、そう言う。足軽そう言えば俺たち日本軍の同盟の話ことは表には出さず秘密にしていたからな・・・・連中が俺を足軽と見間違えるのも無理はない
「知らねえよ。で、なんの用だ?」
「この家に、うつけ姫が拾ってきたというサルがいると聞いた! 我らはうつけに飼われる世にも哀れなサルとやらを見物しに来たのよ」
と、威張り散らす。すると
「どうした大佐?」
と、そこへまほ少佐がやって来た。
「ああ、少佐、いや、なんでも信奈の弟さんの腰ぎんちゃくがやってきてな」
「ほう?」
そう言いまほ少佐は若侍たちを見る。すると若侍たちが
「こ、腰ぎんちゃくだと!?若殿! この礼儀知らずの足軽、いかがいたしましょう?」
と、そう言いうと白馬に乗った少年がふふんと鼻で笑いながら馬を下り、俺とまほ少佐の目と鼻の先へと近づいてきたそして
「あのうつけ姉上が動物を拾ってくるとは珍しいのでね。ぼくも直接この目でサルとやらを拝んでみたくなったのさ」
と、得意顔でそう言うとまほ少佐は少し顔をしかめ
「大佐。誰だこの小僧は?」
「ああ、たぶんだがこいつが信奈の弟の信勝だな顔つきが姉にそっくりだ。そうだろ信勝?」
俺は信勝を見下ろし、威圧的な態度で対応する。無論、彼女も威圧的な目で見ていた。するとその少年は
「呼び捨てにするな! ぼくは尾張の大名・織田家の長男だぞっ! お前たちこそ誰だっ」
「帝国陸軍大佐、桐ケ谷政宗」
「同じく帝国陸軍少佐、西住まほ」
と名乗ると信勝の腰ぎんちゃくはニヤッと笑い
「なるほど・・・・貴様がサルか。隣にいるおなごと同様確かにおかしな格好をしている」
「その通りだな。あの姉上にはお似合いのサルだ」
「礼儀正しき若殿とは大違い。あんなうつけ娘が尾張の国主とは片腹痛いです」
「まったくだ」
完全に馬鹿にしたような笑い声をあげる。
「大佐・・・・」
「わかっている。が、手は出すな少佐」
まほ少佐が眉間にしわを寄せそう小さく言うと俺は彼女をなだめ。俺は信勝の方へ顔を向け
「自分の姉をうつけ呼ばわりか・・・・礼儀を知らないのはどちらだ?」
「ははははは! きみたちは何も知らないんだな。父上の葬儀の時に、姉上は袴もつけず、うつけの格好で現れて、しかも抹香を鷲掴みにして父上の仏前にいきなり投げつけたんだぞ?」
と、そう言う。・・・たく信奈の奴、そういう時ぐらい素直になればいいのに・・・・・俺がそう思う、の言葉は続く
「あんな姉上に任せたら尾張は滅んでしまうよ。やっぱり家督は僕が継ぐできなんだ」
「はい。全くその通りですね!」
「あんなうつけに終わりは任せてはおけません」
と、取り巻き共が相槌を打つ。俺はその様子に呆れ
「そうか・・・・じゃあ、信勝。貴様はどうなんだ?尾張を手にしてどうする?こんな国にしたいという野望はあるのか?」
俺がそう訊くと信勝の顔色が変わる。やっぱりか。こいつ他の連中に煽られただけで自分自身の意思とか野望とかそう言うのを一切持っていないんだな
「なっ!貴様信勝さまに向かって・・・・」
「貴様らは黙っていろ」
「ひっ!」
取り巻きが何か言おうとすると少佐が睨んで黙らせる。すると信勝は
「ぼ、ぼくは・・・・そうだ!う、ういろうを宣伝して、全国区の食べ物に育ててみたい、かな?」
「あほか!そんなの商人か県知事クラスだ!お前には大名には向いてねえよ」
「い、言い間違えた!僕は今川と斎藤家を討ち破り!」
「討ち破り?」
「え・・・・え・・・と・・・全国にいる美少女を尾張に集めて尾張を美少女大国にする!!」
「女の敵だな・・・・」
「呆れたぜ・・・・正直言って失格だ。お前に戦国大名がつとまるなら、俺にだってつとまるぞ?」
と俺と少佐がため息をついてそう言うと信勝が
「とにかく姉上は大うつけなんだ!尾張の恥なんだ!だからぼくたちの母上も幼い頃から姉上を嫌って、相手にもしなかった!」
「何?」
信奈の母親が信奈を毛嫌いしている?どういうことだ?
「だってそうだろ?乱暴でわがままで、南蛮人なんかと親しくして、天下がどうとか種子島がどうとかワケの分からない事ばかり喋ってる姉上は、子供の頃からずっと母上に疎まれていたんだ。まあそれが当然だと僕は・・・・・」
と、そう言った瞬間
「あいたぁ!!」
と、信勝の頭に拳骨がお落ちた。無論拳骨を落としたのはこの俺だ。これ以上馬鹿話に付き合いたくなかったからだ
「おい、貴様。二度と自分の姉をうつけというんじゃねえ」
と、威圧を込めてそう言うと信勝は頭を押さえ
「何するんだ!貴様、足軽の分際で僕を殴るなんて!それにさっき言ったことは事実じゃないか!姉上はうつけなんだよ!」
「まだ言うのか!」
と、俺がそう言った瞬間、急に乾いた音が鳴り響いた。それはまほ少佐が信勝の頬を引っ叩いたからだ。そしてまほ少佐は
「いい加減にしろ小僧・・・・・・まだそれを言い続けるのなら今度はビンタじゃすまないぞ」
と、ものすごい威圧を込めた目でそう言うと俺も
「信勝、もう一度言う二度と自分の姉を・・・・家族を馬鹿にするな。信奈みたいにちゃんとした目標も立てず取り巻き連中の言葉に流されて考えずに行動しているお前が偉そうに家督とか言ってんじゃねぇ」
と、殺気を含めそう言うと信勝は腰を抜かし倒れそして半泣きになって
「か、勝家ッ! 勝家助けてぇぇぇぇぇ!!」
と、、そう叫ぶと・・・・・
「政宗・・・・貴様とんでもないことをしたな」
とそこへ刀を抜いた勝家がやってくるのであった