艦これーいつか夢見たまほろばー   作:センチュリオン アクションX

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性懲りもなく初めてしまった………

メインはガルパンを進めるので更新は遅くなるかもしれません。


第1話

ーーー北極海ーーー

 

 

そこで、二隻の艦が撃ち合っていた。

 

いや、片方の艦は異形だ。この世のものとは思えないほどに禍々しい。

 

『究極超兵器 フィンブルビンテル』

 

かつて世界に『大いなる冬』をもたらせた兵器の中の兵器。

 

その究極の兵器に挑む、一隻の戦艦。

 

 

「第一砲塔大破!第二砲塔も使用不可能!」

 

「復旧作業を急げ!第三砲塔は使えるか!」

 

「第三、第四、第五砲塔は生きています!」

 

「目標フィンブルビンテル!誤差修正後、各砲塔発射!!」

 

戦艦の56.3cm3連装砲から青白いビームが発射される。

三本のビームは螺旋を描きながら一本の束になりフィンブルビンテルに命中する。

 

「全弾命中!効果は見られず!」

 

「ヴェルナーから通信は!?」

 

「ありません!」

 

「く!VLS開放!特殊弾頭弾、一斉射!」

 

戦艦の甲板に設置されたVLSから次々とミサイルが発射される。

 

「第一、第二主砲、実弾のみ発射可能!」

 

「第一、第二主砲、徹甲弾装填、準備完了次第発射!」

 

「敵、反物質砲発射を確認!」

 

「回避運動!あれには当たるなよ!!」

 

フィンブルビンテルより発射された黒い雷球が戦艦を追尾していく。

しかし

 

「ぐ!?」

 

「きゃあ!?」

 

急に船体を衝撃が襲う。

 

「何があった!?」

 

「左舷に敵の攻撃が被弾!レールガンと思われる!」

 

「レールガンだと!?」

 

超電磁砲。それは砲弾を超電磁で加速させ莫大な運動エネルギーを生み出し破壊力を向上させる『最強の実弾兵器』。

 

「左舷第4装甲まで浸水!」

 

「右舷注水!平行を保て!」

 

「敵反物質弾迫る!距離2500!!」

 

「急速前進!エンジン出力100%!」

 

『そ、そんな事したらエンジンがイカれるぞ!』

 

「泣き言は後だ!やらなきゃ沈むぞ!」

 

『りょ、了解!』

 

戦艦は急速に速度をあげ、雷球回避に成功する。

 

「左舷の浸水が止まりません!艦体の維持が困難です!」

 

「……………ここまでか」

 

「艦長!?」

 

「ナギ少尉、ヴェルナーに繋げ」

 

「は、はい!………繋がりました!」

 

『先輩!なにが!?』

 

「ヴェルナー、「まほろば」の艦体維持が困難になった。このままでは沈没するだろう」

 

『…なら』

 

「ああ、まほろばを自沈させる、あの忌まわしき兵器と共に」

 

「……艦長、まさか」

 

「すまないナギ少尉、最後の手段として浮かんだのがこれしか無かったんだ……」

 

戦艦「まほろば」艦長、シュルツが通信機を握り締めながら苦しそうに呟いた。

 

そう、この戦闘に勝算などほとんどありはしなかった。

相手は究極超兵器フィンブルビンテル。

北欧神話にある『大いなる冬』をもたらした究極の兵器の中の兵器。

通常兵器など、効くかどうかもわからなかった。

 

そこで、シュルツはヴェルナーにまほろばを体当たりさせ自沈させる事を提案した。

まほろばには自沈させる用の特殊な爆薬が積まれている。

それをフィンブルビンテルの間近で爆発させ、もろとも吹き飛ばしてしまう作戦。

だが、危険過ぎるのもあるし、ヴェルナーやシュルツ自信、まほろばを自沈させるなど苦渋の決断でしか無かっ

た。

 

「ヴェルナー、生き残った船員を収容してスキズブラズニエルまで撤退してくれ」

 

『……艦長は?』

 

「私も行くさ、心配するな。…………総員上甲板、各自退艦せよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー駆逐艦桜花ー

 

 

「先輩、生き残った乗組員の収容が完了しました」

 

「……そうか。ありがとうヴェルナー」

 

そう返事をするシュルツであるが決して自分の船であるまほろばから目を離さなかった。

 

「……先輩、まほろばは……」

 

「…ああ、あれは本来()()()()()()()()()()。何かしらの現象によってこの世界にきた文字道理何かと戦う艦だ…………だからこそ、沈めたく無かった……」

 

「先輩……」

 

「……そう言えばヴェルナー。思い出したよ、まほろばと言う言葉」

 

「?」

 

「筑波教官が言っていたんだ。『倭(やまと)は 国の()()()() たたなづく 青垣 山隠(やまこも)れる 倭しうるはし』……日本の神話に出てくるヤマトタケルの歌だそうだ」

 

そう言いながらシュルツは三度、フィンブルビンテルに突入していくまほろばを見る。

 

桜花の甲板の上ではまほろばの乗組員が涙ながらに手を振っている姿が見える。

 

「まほろば………君がいた世界は………まほろばだったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くで、爆発音が鳴り響く。

 

 

 

後にウィルキア王国で語り継がれる『マキナ・インコグニタ』と言う北極海の激戦は

 

二隻の艦の爆発音で、幕を下ろしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、

 

 

まほろばの戦いは

 

 

 

まだ、終わってなどいなかった。

 


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