ザ!鉄腕シンフォギア!   作:パトラッシュS
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二年越しのライブ

 

 

 2年後。

 

 無事にライブを終えたツヴァイウィングの二人は控え室で談笑をしていた。

 

 本物の天羽奏になりきり、2年もの間、翼と共にライブをこなしてきた智絵。

 

 上司である弦十郎の計らいで絶唱を使った影響でシンフォギアが使えなくなったというご都合設定をでっち上げてなんとかここまで粘ることができた。

 

 そして、2年もの間、そんな智絵と別行動をしていたRADIOの彼女達が何をして来たかというと?

 

 

「ウチのボーカルの代わりに入って貰ってほんと助かったわ! ありがとう!」

「いえいえー! 私も未来もいい経験させてもらいましたよ」

「この畑があのノイズで出来てるって聞いた時は度肝抜かれましたけどね! リーダーさん」

 

 

 そう、2年もの間、RADIOの穴を埋めるべく新たに彼女達はRADIO部員を補充して手助けをして貰っていた。

 

 名を立花響と小日向未来という。

 

 当時、中学生だった彼女達をRADIOにスカウトし、未来ちゃんはADに、そしてビッキーこと立花響ちゃんには智絵の代役をお願いしたのである。

 

 気がつけば2年の月日が経っていた。時が過ぎるのは早いものである。

 

 

「いやぁ、二人のおかげでだん吉も一年くらいで出来たしなぁ」

「タイムマシン作ってるって言われた時は信じられなかったですけどね、まさか、本当にタイムマシンにした車作っちゃうんですもん

「おかげで姉御も無事に回収できたしね」

「でも、姉御が私らのせいで土木に目覚めて一年くらい福島の建築現場で働くってのは予想だにしてなかったけどね

「ほんとですよ…いつ帰ってくるんだろあの人」

 

 

 そう、実は既に完成していたデロリアンで死亡する予定であった奏の身柄は彼女達は無事に回収した。

 

 そこまでは計画通りだった。替え玉で頑張ってる智絵とあとは奏を入れ替えてしまえば何事もなく終わるはずだったのだ。

 

 しかしながら、そうは問屋がおろさない。

 

 実はしばらく、RADIOの一員として奏の身柄を預かっていた彼女達。その活動を共に行っているうちに奏は…。

 

 

『なんかあたし土木のおっちゃんに腕気に入られたみたいでさぁ! 悪いけどー、おっちゃん達と一年くらい家建ててくるから、智絵によろしく伝えといて!』

『ちょ…!? 姉御マジっすか!』

 

 

 ヘルメットを被ったまま、満面の笑みで奏からそんな風にサムズアップされてはもはや止められるわけもなく。

 

 そんなこんなで2年も経ってしまった。奏もだが、ノイズ退治は福島県で定期的に行っているそうでたまに大量の灰が彼女達に送られて来た。

 

 それらはありがたく畑の肥料に使わせてもらっているものの、この信じられない状況に彼女達もなんとも言えない智絵に対する後ろめたい気持ちがあったりする。

 

 

「というわけで、ただいまツヴァイウィングのコンサートにやって来たんですけど」

「ビッキーは2回目なんだっけ?」

「はい! 1回目は死にかけちゃったんですよね、私

「あの時は大変だったねー響?」

「奇遇だね! ウチの末っ子もライブ1回目で死にかけてたよ! 主に筋肉痛でだけど!」

 

 

 ーーー1回目で必ず死にかけるライブ。

 

 それほど楽しいライブという事なのだろう。ライブ会場に来ているお客様も熱狂的だ、これを見ていれば彼女達の人気の高さが伺える。

 

 さて、という事でRADIOのメンバーはひとまず末っ子を回収すべく、ツヴァイウィングのコンサートにお邪魔する事にした。

 

 歌が終わり、トークに入ったところを見計らってスタッフに楽器を用意させ、サプライズ乱入を仕掛けてみる。

 

 

「という訳で、続いての曲に移ると…」

「はーい! すいませーん! 私らRADIOという者なんですけどー」

「…ッ!? な、なんだお前達! ライブ中だぞ!」

「あ、いや、はい、わかってるんですけど、ちょっとウチの末っ子を回収しに来まして…」

 

 

 そう言って、言いづらそうに顔を引きつらせながら風鳴翼に話す我らが兄ィこと山口多津音。

 

 すると、翼は首を傾げていた。末っ子、と言われてもピンと来ない、しかしながら、隣にいる相方の彼女は違った。

 

 ライブ中にも関わらずいきなり、ドパァと涙を流して号泣しはじめていたのだ。

 

 そう、翼の相方とは奏の替え玉を二年間もバレずにやってのけたRADIOの末っ子である永瀬智絵その人である。

 

 観客達は思いもよらない状況にどよめいていた。

 

 まさか、風鳴翼の隣にいる天羽奏が別人だとは誰も今まで思っても見なかったからだ。

 

 すると、智絵は涙ながらに再会を果たしたRADIOのメンバーの元へ駆けていく。

 

 

「リーダー! みんなぁ! 私、頑張ったよ! 頑張ってたんだよ! 何やってたんだよぉ!」

「いやぁ、申し訳ない」

「実は色々込み入った事情がありまして」

「奏…じゃない…そんな…。いや、でも確かに違和感はあったが」

「むしろ違和感しかなかったんじゃないかと思うんですけど…」

 

 

 確かに容姿やスタイル、声も変声機で似せてはいたが素は隠せなかった筈。

 

 智絵が演技をしていたとはいえプライベートでは無理がある部分もあった筈だ。

 

 思わず動揺する翼にそう突っ込みを入れるRADIOのキーボード担当の国舞 谷子。

 

 すると、はっとした表情を浮かべた風鳴翼は俯いたまま、震える声で彼女達にこう問いかけはじめた。

 

 

「それじゃ…本物の奏はやっぱりあの時に…」

「つばっち、本物の姉御なら福島県の村で土木のおっちゃん達と家建ててるよ

「福島県で家!? どう言う事なの!?」

 

 

 という訳で、ここで翼に対して、事の顛末を事細かく観客の目の前でリーダーが責任を持って説明し始める。

 

 そして、全ての話を聞き終えた観客達も翼も呆気にとられるばかりであった。

 

 つまり、今の今まで隣で歌っていたのは天羽奏を演じていた智絵だったという。

 

 こうして、無事に元の鞘にメンバーの一人が帰ってきたわけであるが…。

 

 

「という訳で、ウチのボーカルなんですよね…」

「だが、まだライブ中だぞっ! 歌も残って…」

「大丈夫です! ライブはこいつが今日は代行しますので」

「えぇ!?」

 

 

 今回は合同ライブをやらせてもらう事に。

 

 回収したはずの天羽奏本人が土木の現場に行ってしまっているから致し方ない。という訳でツヴァイウィングの片羽は智絵が引き続き担う事に。

 

 代わりにRADIOのボーカルには…。

 

 

「それにウチのボーカルの代打を用意しておきましたから! ビッキーよろしくね!」

「はーい! 任されました!」

「!? 貴女は2年前の!」

「その節はお世話になりました」

 

 

 ビッキーこと立花響ちゃんに入ってもらう事にした。

 

 会場からはRADIOとの合同スペシャルライブと聞いて歓声が沸き起こっている。滅多に歌わなかった五人組の国民的女子高生アイドルが2年ぶりにライブをするのだ。

 

 そうなるのも致し方ない。

 

 ライブ会場にいる観客からはこんな声も。

 

 

「え! あの娘達歌うの!」

「てっきりテレビで見てた時は農家の方だとばかり…」

 

 

 そう、あまりに歌わなすぎてアイドルという事自体を忘れ去られていたのである。

 

 という訳で、久々に握る楽器を噛み締めながら、ドラムの岡松雅子がリズムを刻み曲を流しはじめる。

 

 

「じゃあ、ウチらの曲からでいいよね?」

「つばっち合わせて! 行くよー」

「くっ…この程度の想定外な出来事! 防人としてこなしてみせる!」

 

 

 そして、流れ始めるのは彼女達に馴染みのある音楽である。会場も一団となり声を上げながら彼女達の演奏を後押しする。

 

 リーダーのギターが冴え渡り、多津音のベースが下地を作って、谷子のキーボードが駆ける。

 

 ボーカルである翼、智絵、響の三人はハモりながら綺麗な声色を奏でた。

 

 

「君が〜♪」

「熱い恋を〜♪」

 

 

 その声を聞いた観客からも声が上がり、ライブは盛り上がりをみせる。

 

 曲は彼女達のお気に入りの曲。楽器の演奏と共に彼女達の身体から発せられる三重奏は聞く者たちを魅了した。

 

 そして、ライブは一層の盛り上がりを見せる。ツヴァイウィングの曲に加えてRADIOの曲を交互に演奏しながら歌った。

 

 ツヴァイウィングに馴染みのあるあの曲ももちろん全員でだ。

 

 

「歴史を作ろう♪」

「逆光の〜♪」

 

 

 ライブは大盛況、しかも、今回、サプライズはこれだけではなかった。

 

 なんと、このライブを通してユニットができたのである。というのも? 普段からツヴァイウィングのファンだったビッキーこと立花響ちゃんは実は歌がかなりお上手。

 

 だからこそ、RADIOのボーカル代理を務めて貰ったのだが、今回のライブが実は響のデビュー戦なのである。

 

 しかし、楽しそうに歌う彼女の歌の出来に休憩を挟んだトークの場でリーダーがマイクを使ってこんなことを言い始めたのである。

 

 

「ビッキーええやろ? つばっち、みんなもそう思うやろ?」

「あぁ、確かに上手いな、このライブが初めてとは思えないくらいだ」

「本当ですか!! いやぁ、翼さんにそう言ってもらえるなんて光栄だなぁ」

「つばっちとのハモり完璧だったよね」

 

 

 そう言いながら立花響ことビッキーをべた褒めする一同。照れてる姿がまた可愛らしい、普段から明るい彼女はRADIOメンバーのお気に入りの後輩であった。

 

 つばっちこと風鳴翼もこれには太鼓判を押す、確かに歌も自分や智絵と遜色なく歌えていた。

 

 頑張って練習してきた事は彼女の歌を聴いていればわかる。

 

 そう言うわけで…。

 

 

「新しくビッキーとユニット組んでみたら? つばっち」

「えぇ! 私と翼さんがですか!」

「そうそう、ユニット名はビッキー&翼で

「あれ? ちょっと待って、それ既視感あるよ? どっかで聞いたことあるフレーズだよ?

 

 

 ーーーユニット名、ビッキー&翼。

 

 なんだか、馴染みが深いユニット名、いや、というより明らかに既視感がある名前であった。

 

 だが、それを聞いていた翼はというと興味深そうにその名前について思案していた。確かに思っていたよりしっくりきてしまう。

 

 

「ビッキー&翼…。良いな、採用しよう」

「よかったね、響ちゃん!」

「やったー! よろしくお願いしますね! 翼さん!」

「いや、やっぱりそれ聞いたことあるフレーズなんだけど! なんか私らに馴染み深い気がするんだけども!」

 

 

 国舞谷子の異議申し立て虚しく、こうして新たなユニット名がこのライブを通して完成してしまった。

 

 こうして、ツヴァイウィングのほかに立花響と翼による新たなユニットがこのライブを通して出来上がってしまったのである。

 

 その後、二年越しになったRADIOのライブはツヴァイウィングと共に大成功。

 

 興行はうなぎ登りでこれには特異災害対策機動部二課は資金が潤う事、間違いなしだろう。

 

 そして、物語は2年の時を経てようやく動き始める。

 

 

 今日のRADIO。

 

 

 1.ビッキーと未来ちゃんがメンバーに。

 

 2.世界を飛び越える車を作ってしまう。

 

 3.新ユニット、ビッキー&翼が結成。

 

 4.二年越しに歌うアイドル。







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