オリキャラの介入で魔法科高校一年生を普通科高校生徒っぽくしてみた。 作:フル・フロンタル
魔法大学付属第一高校、今日はそこの入学式だ。ここをある程度の成績で出ていれば、面倒な受験勉強などしなければ大学まで行けるのだ。勉強が嫌いな俺は大学受験だけは勘弁したいので、猛勉強してこの高校に入ることが出来て、現在に至る。……まぁ、二科生なんですけどね。昔からの魔法は苦手ではないが得意ではないし、仕方ないとは思うけど。
親に頼んで一人暮らしさせてもらい、現在は一人暮らし中。とりあえず、入学式が始まるまで講堂で待機していた。
先生達にやる気だけはある事を示すために前の方の席に座った。成績を上げるには、何事もまず態度である。
……けど、なんだろう。なんか周りの視線がすごい向けられているような……気の所為か?まぁ良いか。とりあえず気にしないことだ。
すると、入学式が始まった。生徒会長とか新入生代表の挨拶が始まる中、俺はボンヤリと壇上を眺めた。
「ふわぁ………」
しまった、欠伸が漏れたか。昨日は入学式が楽しみ過ぎて眠れなかったからかな。なんにしても眠いわ、頭痛も酷いし。
いやいや。でも寝たらダメだからな?やる気がある事をアピるために前の方に座ってんのに、前の方に座ってて居眠りこくとか喧嘩のバーゲンセールだ。
耐えろ、俺。頑張れ、俺。そう頭の中で言い聞かせながら、結局そのまま眠りに落ちた。
☆
寝てると、ユサユサと体を揺さぶられた。薄っすらと目を開けると、茶髪でめちゃくちゃ可愛い女の子と黒髪でめちゃくちゃ可愛い女の子が俺の体を揺すっていた。何これ、夢?
「………?」
目を擦りながら、くあっと小さく欠伸を浮かべて伸びをした。で、誰なのこの人達。
「あのぅ……もう、みんな出て行っちゃいましたけど……」
「……えっ?」
辺りを見回すと、あれだけ人数がいた講堂内はガランとしていた。前で入学式の後片付けをしている、おそらく生徒会のメンバーしかいない。
………ん?待てよ?てことは、この人はわざわざ俺の事を起こしてくれた、というわけか?なんか申し訳ないなぁ。
「す、すみませんわざわざ」
「い、いえ」
お礼を言いながら立ち上がった。もっかい伸びをして、首をコキコキと鳴らした。
さて、どうしよう。何かお礼をしたいが、ここでお茶とか誘ったらただのナンパ男だよなぁ。でも、お礼をしないというわけにもいかないし……。ここはとりあえず自己紹介だけ済ませて、少し話せるようになってからお礼をした方が良いかもしれない。
「あーえっと、俺は鈴木涼太っていいます」
「あ、はい。私は光井ほのかです」
「……北山雫」
よし、名前さえ覚えておけば大丈夫だろう。それに、同じクラスになれるかもしれないし。
「じゃあ、同じクラスになったらよろしく」
「えっ?」
「えっ?」
えっ、何その反応。俺なんかおかしな事言った?
すると、光井さんの方が恐る恐る口を開いた。
「あの、言いにくいんですけど……」
「私達は一科生、あなたは二科生。同じクラスにはなれない」
「し、雫⁉︎」
隣の北山さんが一刀の元に斬り捨てた。えっ、ていうかそうなの?いや、それ以前にさ。
「なんで俺が二科生だって知ってんの?」
「……えっ?」
「肩、肩」
「……キーボードの効果音?どうしたの急に?」
「いや、違くて。肩のエンブレムが無いのが二科生、あるのが一科生だから」
な、なるほど……。そんな仕分けがあったのか。それは知らなんだ。なんかとても恥ずかしい思いをしてしまったぜ……。ちゃんと入学要項とか読んどきゃ良かった。
「…………知らなかった」
「ま、まぁ私も知ったのはさっきですから!」
わざわざフォローしてくれる光井さん良い人だなぁ………。
「それより、早く帰りませんかっ?」
「そうだね。帰ろうか」
えっ、それは俺も誘ってくれてるのか?出会ったばかりの男を?いや、もしかしたら向こうも入学初日で友達を求めてるのかもしれないけど……。
いや、でも誘われてなかったら恥の上塗りだよなぁ。とりあえず、校門までご一緒して、話が途切れそうに無かったらそのまま一緒に帰っちゃおう。どの道、うちのアパートは近いし、二人が駅の方に行くなら一緒に移動しても自然だ。
俺も立ち上がって、二人と講堂を出た。自分のクラスだけ確認し、帰宅し始めた。
すると、光井さんが声を掛けてきた。
「鈴木さんは結局何組だったの?」
「E組だった。あ、さん付けとか良いから。ほら、一応同級生だし」
「そう?じゃあ、鈴木くんで良いかな?」
「ああ、良いよ」
でも、女子が相手だと男はさん付けせざるを得ないのだが。
そういえば、クラス分け表は名前順みたいで、前に柴田って人がいて、さらにその前に司波って人がいたな。
「私達はA組だったよ。新入生代表の司波さんと同じクラスだったの」
「ふーん……えっ?司波?」
「知ってるの?」
「うちのクラスにもいるよ、司波って人。名前があった」
「へぇー、じゃあ兄弟か姉妹なのかもね」
すごい偶然だな。下の名前が何なのかは覚えてないけど。
「で、新入生代表ってどんな人なの?」
「えっ、鈴木くん本気で言ってる?」
「……挨拶してた」
「あれ、そうだっけ……?」
寝てたから覚えてないや。入学式が楽しみでワクワクしてたからな。
「すごく綺麗な子だったよ。ね、雫?」
「うん。なんというか……あんな綺麗な子がこの世にいるんだってレベルで」
「へー。そりゃ少し惜しいことしたかも」
「昨日ちゃんと寝てなかったの?」
「うん。今日の入学式が楽しみであんまり眠れなかったんだよね……」
「か、変わってるね……」
そうかな。まぁ、確かに高校生にもなってそれは確かに子供っぽいとは思うけど。でも新しい生活の始まりと思えば普通だと思うけどなぁ。
「でも、それなら気を付けてね」
北山さんが忠告するように口を挟んだ。
「? 何が?」
「この高校、あまり一科生と二科生の仲は良くないらしいから」
「え、そうなの?」
「ちょっと雫……」
「楽しみにしてるなら先に言っておいた方が良いよ。……二科生はあくまで補欠って扱いだから、結構下に見られやすいって聞いたことあるから」
あー、まぁ人間だしそういうとこあるよね。そう考えると、まぁ確かに俺の望むような学園生活にはならんかもしれないな。
「まぁ、でも安心して。今日、私達と知り合えたのも何かの縁だし、何か困った事があったら相談に乗るよ!」
「み、光井さん……!」
光井さんが元気良く言った。そのセリフに軽く感動し、俺は全力で頭を下げた。
「ありがとうございます!女神様!」
「め、女神なんてそんな……」
「ではこれから甘えさせてもらいます!………主に金銭面で」
「ええっ⁉︎そっち⁉︎」
勿論、冗談だけどね。
そんなことを話しながら歩いてると、俺の住んでるアパートが見えてきた。
「じゃ、俺家この辺だから」
「近くない?」
「まぁ、一人暮らしだからね」
「……金銭面でも協力できるようにするね」
「いやそれは冗談だから。じゃあ、またね」
小さく手を振ると、二人も「またね」と挨拶して別れた。さて、今日の晩飯は何にしようかな。