6月16日(土)
今日は大広間にお饅頭・羊羹などの菓子が沢山並べてあって吃驚。すっかり忘れていたけど、今日は嘉祥の日だったのよね。嘉祥の日って16個の餅あるいは菓子を神様に供えてから家族揃って食べ、招福・厄除けを願う日なんだけど、その由来から鎮守府でも重要視されている日の一つよね。何で嘉祥って言うのか気になったら、仁明天皇の御代の元号の嘉祥から来ているって説と室町時代に使われていた嘉定通宝から来ているって言う説があるのよね。嘉定通宝の説は「嘉」と「通」が「勝つ」に通じることから縁起がよいとされていたなんて面白い語呂合わせから来ているらしいの。鎮守府ではこっちの説を採用しているのよね。名前の由来はともかく、私達にとっては和菓子をたくさん食べられる日でもあるからそれを楽しみにしていた娘も多かったな。鎮守府でもあまりお菓子とかでないところもあるし、そういうところではこの日は結構楽しみだったのよね。
前にいた福島の鎮守府で6月16日の未明に梅を採って梅干を作ってたんだけどその梅干しを遠征や出撃前には必ず食べる義務があったんだ。鎮守府を離れてから知ったんだけど、旅立ち前にこの梅干を食べて災難を逃れると言う嘉祥の梅から来ていたのね。
ところで大広間に合ったお菓子って
それぞれ1個づつ配られたから食べてみたんだけど、気になった熨斗繰って短冊状に切った鮑をお酒で柔らかくしたものなのね。それと平麩って生麩を甘く煮染めただけ……。
ま、私達には他にも茹で饅頭や水羊羹、くるみ味噌餅、椿餅の他に抹茶が入ったお饅頭も配られたんだけどね。
今日はお菓子だけでお腹いっぱいになっちゃった。
それにしても、この日を忘れているなんて、私もここに来てすっかり贅沢覚えちゃったみたい。昔はあれほど楽しみだったのにね。……反省しないと。
6月17日(日)
先週は夕立に担がれちゃったけど、今日は本当に父の日。前に聞いた話だと、お父さんが本当に贈ってもらいたいものは一緒に過ごす時間らしいんだけど、それは飛龍さんと五月雨ちゃんが贈るから私は別のプレゼントを用意しないとね。
先週から色々探してたんだけど、Mini Brewという、家庭用ビール醸造マシンを発見してプレゼント。提督、意外と物作りも好きだから丁度良かったかもって思ったんだけどね。提督、すごく喜んでくれて、良かった。
あれ? 日記を書いてから思ったんだけど、酒税法ってクリアしているのかな、アレ。……市販されているし、ま、良いか。
6月18日(月)
遠征から帰って久しぶりに那珂さんのバンドの練習に参加。
みんなで演奏するのは、やっぱり楽しい。正式なメンバーじゃないんだけど、みんなも五月蠅くは言わないので、よかった。でも、他の人達になにか言われたら参加しちゃおうかな。那珂さん達に迷惑かけたくないしね。
6月19日(火)
今日は個人的なんだけど、とっても嬉しいことがあったの。遂に練度が90になったのよね。90になったから私の目標を改めてこの日記に書いて置きます。
私が建造された脇田提督の鎮守府にいた峯風さんが私の目標。艦娘としても1人の女性としても、あの人のようにありたいと心がけて来たんだ。練度が90になって練度だけはやっとあの時の峯風さんに追いつけた。ここが私の新しいスタートライン。
峯風さんは大本営参謀部に異動した後直ぐに脇田提督と結婚して退役しちゃったけど、脇田提督を最初期から支えて第一艦隊旗艦も何度も務めて自分は勿論随伴艦にも小破以上の傷を負わせなかった歴戦艦でもあったし、普段はお淑やかで鎮守府の母とも姉とも慕われてたの。
今の私じゃまだまだ背中は遠いけど、何時かは追いつき追い越していきたい目標。
峯風さんには成長した姿を見て貰いたいから何時か絶対に会いに行くって決めてるんだから!
6月20日(水)
今日は私の誕生日だったのよね。特に知らせていなかったんだけど、やっぱり姉妹よね。しっかりとお祝いしてもらっちゃった。陽炎ちゃん達や提督からもしっかりとプレゼントがあったし。この鎮守府に来られて良かったなぁ。今までもお祝いしてもらえたけど、こんなに大勢から祝ってもらえたのってあんまりなかったのよね。
6月21日(木)
今日は夕立の誕生日。白露型で誕生日のお祝いをしたんだけど、いつの間にか大人数になっちゃったのよね。序でに食事会も一緒にしちゃったみたい。
夕立が希望していた手作りの日焼け止めをプレゼントしたんだけど、ちょっと物足りなかったからこっそりヤシの葉で作っていた帽子もプレゼント。見ていた白露や時雨が拗ねちゃったから、二人の他に五月雨ちゃんも含めて白露型の皆にも作ることを約束しちゃった。ま、何とかなるでしょ。
誕生日のケーキは白露と時雨が作ってくれたので、私は飲み物作り。甘酒でシュワシュワのカクテルを作ってみたのよね。
グラスに甘酒とラム酒を均等に入れ、金柑を加え、炭酸水を注ぐだけなんだけどね。夕立も満足していたんだけど1週間前に建造された隼鷹さんや那智さんから人気があったなぁ。
あ、そうそう、今日は夏至でもあったのよね。朝からあいにくの空模様で太陽が出ていなかったからあんまり実感わかなかったんだけどね。
6月22日(金)
いよいよあさってから旅行。色々と準備しておかないとね。提督にお土産は何が良いか尋ねたら、コーヒーと蜂蜜、それにラム酒とパッションリキュールとグアバ酒だって。お酒の要望が随分多いじゃない。メって言ったら、真面目な顔で妙に男臭い笑みを浮かべて、お前が無事に帰ってくるのが何よりの土産だって私の頭を撫でながら急に言うんだもん、ちょっとドキッとしちゃったよ。
飛龍さんもこの表情にコロッと行っちゃったのかな? どことなくあの人と似た雰囲気だったしね。
明日の今頃は船の中か……艦娘が船に乗るのも変な感じよね。一寸寝付けないんだけど、船酔いの原因に寝不足もあるって言われてるし艦娘が船酔いなんて笑い話にしかならないよね。今日は早く寝ちゃおう。
6月23日(土)
明日の今頃は宿なのよね。どんなところかなぁ。提督からは色々と買い物のコツも教わったけど、遠征の補給地点とは違う視点で同じ場所を見るのって新鮮だよね。補給場所はいつも三日月山の麓だから宿の場所は近いんだけど、あそこの鎮守府の外って出た事ないから、楽しみ。
そろそろ船も来る頃だし出かけよっと。
6月24日(日)
今日から修学旅行で父島へ! 艦娘なのに船に乗るって変なの。でも、私にとって初めての体験だから楽しい。父島って、うちの鎮守府からでも結構長い間乗船するんだ。自分達で良く行く遠征や海図だと近く感じるのにね。
真夜中に出発してお昼頃に烏帽子岩を通過して二見湾に到着。いかにも南の国の島って感じで内地との気候の差にビックリしちゃう娘も多かったの。私達はいくつかの宿に分かれて泊まるんだけど、私が泊まる所は港からすぐのガジュマルが目印のペンション。
喫茶店とお土産屋さんも併設していて提督の定宿なんだって。近くに神社もあるし、色々聞いているから楽しみだなぁ。言われていた通り、荷物を置いたらすぐに蜂蜜を買って序でに農協さんを覗く。南国フルーツが販売してたから色々買っちゃった。近くの商店で亀缶見つけちゃったからこれもお土産に買っちゃおう。喫茶店のサメバーガー美味しかったよ。一寸お腹すいてたから二軒隣でポキ丼も食べちゃった。
あ、そうそう、面白い標識があったから一緒に撮って貰ったんだ。それが、これ。
東京や南硫黄島までの距離とかが描かれていて面白かったよ。父島から東京まで1007kmで、南硫黄島までは330kmあるんだ。因みに深海棲艦のいる沖ノ鳥島までは963kmだって。ここにはないけど、鳥島までは422kmなんだ。
後、提督に言われた神社にもお参りに行ったんだけど、結構階段が急だったのよ。これが麓からで、
これが上から見たところ。
ここから110段ほど上がったところに神社の本殿があるの。ここの手水舎は囲いがあって使うときは扉を開けるんだよ。扉には小鳥が水浴びをするから扉は閉めてくださいって書いてあったのよ。写真撮ってみたんだ。
上の展望台にも上ってみたんだけど、良い眺めだったな。
6月25日(月)
今日は1日中、山へのハイキングと買い物に明け暮れる。午前中、自転車を借りて小港海岸って所までお出かけ。小港海岸で自転車を停めて中山峠ってところを通ってジョンビーチまで片道2時間掛けていったんだけど、峠も浜辺もすっごい絶景が広がってるの。彼方此方色々見てきたけど、提督が絶対に行けって言ってたのも納得。小港海岸に行く坂の途中から自動販売機がなかったのには閉口したけどね。提督に聞いてたから艤装の中に4リットル分の飲み物入れといて良かったけど、すっかり温くなっちゃって。
午後はガイドの人と一緒に自転車でお出かけ。農業センターから笠山って所と中央山って所に行ったんだけど、中央山は結構楽だったわね、階段もあって。山の上で輪になって石を拝んでいた人がいたのよね。話を聞いたらパワースポットなんだって。ガイドさんも初耳らしく、色々と聞いたら某所から広まったらしいの。ただ、提督がここに旅行に来ていろいろやらかしていた時期とぴったり。おまけに提督がうっかり踏み殺しちゃって埋めたグリーンアノールのお墓作ってた時に吐いたって言う法螺話とそっくり。若しかして……? ち、違うわよね。
近くの長崎展望台から写真撮ったんだけど、
ここから見た風景や初寝浦展望台にはあの戦争の跡が合って色々とあの頃を思い出しちゃった。
ここって初寝浦展望台に行く途中の森の中にあった倉庫なんだけどね。ここも弾痕とかあって……。
あと、そこから宿に帰るときの坂は怖かったよ……。長崎展望台寄ってから帰ったんだけどね。どう怖かったか口で言うのは難しいけど坂の角度とカーブと下までの風景でジェットコースターより怖かった……。坂道行く直前に撮った写真がこれ。この写真撮った直後にスコールになっちゃって皆ずぶ濡れになっちゃったんだ。
それにしても濡れた急な坂道を自転車で降るのってあんなに怖いものなんだね。中央山の緩やかな坂から帰ればよかった。
夜はちょっとお出かけして扇浦って所で星空観察。みんなで満天の星空と夜の海をみながらとりとめもないお喋りに耽っていたら騒がしくなって来たのよね。そっちに行ったら丁度ウミガメの産卵。良いもの見ちゃったなぁ……。
6月26日(火)
今日も一日ハイキング。ハートの形をした千尋岩って所にお出かけ。途中のガジュマル林を通っていたら、赤ポッポに出会ったのよね。正式名称はアカガシラカラスバトっていうんだけど、可愛いの! ここにしかいない鳥で大体40羽くらいなんだってガイドさんのお話。提督は何度か神社で出会っているらしいんだけど、私の泊まっている近くの神社とは別の神社なんだよね、残念。その事話したら、娘さんの提督さんってあの人かってすぐに判るのって、すごくない? 千尋岩って父島の南端の断崖から南島、母島の眺望を楽しむだけじゃなくって、調べたら恋人と一緒にハートの窪みの部分で「サモトラケのニケ」の格好をすると幸せになれるらしいのよね。いない場合は思い人の名前を叫ぶと叶うんだって。そんな話をしていたら、ガイドさんが複雑な顔をするのよね。その話って皆既日食後に広まったんだけど、提督が日食の日に千尋岩に来ているのよね。その時のガイドが今日のガイドさんだったんだけど、他の観測ツアーの人たちと一緒につくった話らしいのよ……。悪気はなかったらしいんだけどね、ツアーに参加して実際にする人も多いらしいし。話通りにして幸せになっている人たちもいるから良いんじゃないの? せっかくだし千尋岩で撮って貰っちゃった。
夕方、三日月山展望台で海に沈む夕日を見ていると、沈む瞬間に緑色になったのよ。見たって人と見えなかったって人がいたんだけど、後でペンションの人に聞いたら年に片手の指で足りるほどの貴重な瞬間だったのよね。
写真撮ってみたんだけど、やっぱり写ってなかった。残念。写真の撮り方、青葉さんに習おうかな。
あ、そうそう三日月山にも呉で作られた高射砲がまだあったんだよね。そういうのを見ると色々と考えちゃうなぁ。
夜間の星空見学ツアーに出かけたんだけど、農業センターのお手洗いの脇でグリーンペペっていう緑色に光るキノコを見たり、オオコウモリを見たり。星空を楽しんだんだけど、遠征中とかに見る星空とどことなく違って見えたのよね。提督は夜に浜辺でラム酒飲みながら星空見るのが好きだって言ってたけど、何となく判るかも。
明日はいよいよ帰宅。……振り返ると、島の人がみんな親切でとってもフレンドリーな気がした。
最後にペンションに戻って寝る前に、みんなで堤防に腰かけて結構語り明かしちゃった。港の明かりと夜の海っていうシチュエーションに嵌ったかなって感じです。
6月27日(水)
無事、鎮守府に帰って来られてホッとする。お土産で一袋だけ残っていた珈琲豆の他に蜂蜜やラム酒ゼリーに、提督から言われていたラム酒とパッションリキュール。グアバ酒はなかったのよね。後はタコノキの苗木とパッションフルーツや島レモン、アテモヤやシャカトウ、スターフルーツにジャボチカバ、グアバ、島バナナ、シャシャップ、モンステラの実といった南国フルーツとその苗木を買ってきたけど喜んでくれるかな? タコノキって綺麗な実が付くのね。写真がこれ。
ね? 綺麗でしょ?
それにしてもなんだか慌ただしい3日間の旅行だったけど、満喫できてよかった。鬼怒さん達とは会えなかったから、遠征以外で機会があったらまた行ってみたいなぁ。帰りにイルカも追いかけてきてくれたしね。
今度はもうちょっとゆっくりしたいわね。だけど、そんな贅沢は当分できそうにもないよね。
そうそう、今日は新箸の祝いの日だったのよね。帰ってきたら皆うどんや団子をススキや茅の青茎で作った箸で食べているから吃驚しちゃった。
私が前にいた鎮守府は赤飯にススキの穂と青竹の箸を添えて神棚に供えるだけだったからね。
6月28日(木)
食事会。ちょっと疲れちゃったから私は軽めの準備でした。苺と甘酒にホワイトチアシードを混ぜてプディングを作ったのよね。大きめの容器に甘酒とチアシードを入れてよく混ぜ合わせて冷蔵庫で30分ほどおくの。それを綺麗なガラス容器に灌いだら苺を飾って出来上がり。簡単でしょ? チアシードのプチプチ感といちごの甘酸っぱさが良く合って我ながら感心する出来だったのよね。
6月29日(金)
今日、提督に執務室に呼ばれて、鎮守府の参謀として中部太平洋方面艦隊の演習計画策定会議への参加を命じられた。
嘘でしょって言いたい。大本営に異動した杉野提督からの推薦もあるって聞いたんだけど、困っちゃったなぁ。私、参謀教育なんて殆ど受けてないよ……。提督に甘えて返事は保留させてもらったけど。
6月30日(土)
今日は夏越しの節句。夏越しの節句では神社で夏越の祓っていう今年前半の穢れを祓って無事に過ごせたことに感謝して後半も元気に過ごせるよう祈る行事があって、私達艦娘にとっても大切な節句なんだ。でも、私は昨日の事が頭から離れなくて、ホント、どうしたらいいんだろ? なんて色々考えてたら鳳翔さんに、半年の間に積もった穢れを流す大切な行事だから漫然と参加しちゃダメって窘められちゃった。昔は6月って悪疫の流行期だし、農作業が終わって体に疲れが溜まっている時期だったから禊をすることで健康維持や除災を祈願したのよね。
そんなわけで、私達も街の神社で茅の輪くぐりをして、形代による祓を行ってもらったの。人形代に罪や穢れや災いなどを移し、祓い清めて海に流したんだ。
鎮守府に戻ってきたら、酒まんじゅうと水無月があったの。水無月なんて、京都以来だからとっても懐かしかったなぁ。
用意された酒まんじゅうって今は酒かすや日本酒を利用して作られるのが一般的なのに、態々米麹で作ったみたい。
水無月ってういろうの上に小豆がのった三角形のお菓子で、それぞれに意味があるのよね。確か……三角形が氷室の氷、小豆は悪魔払いの意味を表していた筈なんだけど、ちょっと自信ないかも。後でこっそり誰かに聞いてみよっと。
もう過ぎちゃったけど、6月1日に氷室の氷を口にすると夏痩せしないらしいのよね。それにあやかったとも言われてたけど、どうなんだろ?
夕食は、比叡さんと磯風さんお手製の夏越ごはん。他所の鎮守府だとメシマズ勢なんて言われているらしいけど、そんなことないのにね。……うちの鎮守府だと。
写真は全部私が2005年から毎年行っている小笠原旅行で撮ったものです。今では無くなっているものもあります。
サモトラケのニケ云々は、タイタニックの有名なアレ。